浅葱の影   作:CATARINA

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感想、評価など深く感謝を。

FGOからはキャラ増えるしそれぞれ『オチ』作らなきゃならないから難しいんだよね……


お人好しの魔術師

 

 マスターらを伴って江戸城へ向かう。

 幕府軍もまた、攘夷志士共同様に致命的な被害を被っており……

 元々本職の戦闘屋だからか、多少なり志士よりも残党は多いがね。

 それでも総数で二百と少し……抱える難民の数もやはり多い。

 生き残って動ける若いのと残党兵、ちびノブが協力して仮設宿舎を建設してはいるが未だに追いついてない状態だ。何せ資材も何もかも、瓦礫の山から掘り起こさなきゃならねえんだからな……

 最低限男女だけ分けて一人一畳半程ですし詰め……どう考えても身体に悪い圧縮で何とか冬は越せたが、続くようなら皆マトモな頭が残らないだろうさ、開発は急務である。

 

「お前さんが連れてくるってから嫌な予感はしてたけどさ、よりにもよってヒラクチの彦斎に壬生狼の狂犬。しかもその後ろにいるのはかの第六天魔王殿だって? 頭痛くなりそうだよ」

「申し訳ねえなオッサン、腕は確かなんで勘弁してくれ」

「確かに、確かに錚々たる顔ぶれだよ? それでもさ、限度ってモノがあるでしょ」

「聞こえてるわよ」

「マスター、切って良いですかね?」

「わァーッ! 待った待った、どうしてそう短気かね……」

 

 江戸城の幕府残党を束ねるのは見ての通り勝海舟……以蔵がそうであるように、生前の。

 将軍も天子様も皆死んだ中で良く生き残ったモンだと俺ァ思うがね。

 幕府の頼れるお仲間も最早雀の涙、泣けるぜ。

 

「何はともあれこんにちは未来の魔術師クン、幕府の陸軍総帥……もう名前だけの役職だけどね、を勤めてる勝って者だ」

「言わなくてもわかると思うぜ、マスターちゃんは未来でアンタに会ってるしな」

「未来で……? なるほど、サーヴァントというヤツ……僕もそういう扱いなのか」

「言っただろ、本来の歴史ならアンタは辛うじて江戸を丸焼きにしてるこの大火を未然に止めたんだ……それだけの偉業がありゃ、人理が英霊としてその名を刻むのは当たり前だと思うがね」

「ハハ、頭が痛いな。見ての通り今の僕は何もかもに失敗したただの敗残兵だよ、幕府もね……君たちはこの歪んだ世界を正しに来たと聞く、当然協力は惜しまないが……今の僕らに出来ることはそう多くない、力になれると良いが」

「……勝さん、一つ話したい事があるんですが」

 

 ん? 随分と真面目そうな顔、何を言い出す気なんだ。

 

「どういう風に聞いているのか、詳しくは分かりません。でも多分、貴方が思ってる程立派な事が出来るわけじゃない、今まで沢山の世界を見てきて……助けられなかった人、守れなかった約束も幾らでもあります」

「……ふむ」

「……それでも、精一杯頑張ります。だからどうか、皆さんも諦めないで貰いたいんです」

 

 真面目だね。

 流石に甘い、実に良い時代を生きたんだなぁマスターちゃん。

 ……その事実が俺らには、有難いくらいなんだが。

 

「……参ったね、秋無くんに聞いた通りだった」

「だろう? 間違いなく何かが変わる、そんな気配がするのさ」

「へ?」

「そこにいる秋無くんは僕の知る限り日ノ本一のお人好しだけどさ……そんな彼が言うんだ、『未来の魔術師殿はもっとずっと酷い』なんてね」

 

 未来にはマスターちゃんみたいな甘々な奴らが沢山いるんだろうな。

 なんせこんな人畜無害な子が真っ直ぐに生きてられるんだから。

 俺みたいに周りから孤立し、排斥される事なく……

 人の善性を良しとする未来が、この国にあるってんなら。

 

「……先程言った通りだ、僕らは可能な限りの協力をしよう」

「だが良いのかい、どんなに頑張ったところで世界が直ったことは全部無かったことにされちまうぜ」

「分かってて連れてきたんだろう? 君が気にいるわけだ」

 

 俺や勝のような草臥れたジジイには、若者の『青さ』が実に沁みるモンさ。

 頑張って解決しようね。

 

「……しみじみしてるけど君まだ三十だったろ」

「何なら現代換算なら二十八だからなぁ死んだの……」

 

 顔がね、厳ついからね……

 自分の歳もイマイチ分からなくなるんだよなぁ。

 

「今んとこ大目的はあの五体……百鬼とか呼んでる化け物の始末で良いか?」

「ああ、とはいえ此方に対抗し得る戦力はないので任せきりになるが……」

「問題ない、セーフエリアを確保してくれるだけでもかなり助かってる……さすがに俺たちだけじゃ難民の管理もままならないからな、手が足りん」

 

 ちびノブは真面目で勤勉だがそんなに頭は良くない。

 基本的に本能の赴くままに生きている為、複雑な業務には向かないのだ……

 

「その一点のみなら、向こうさんと志を共に出来そうなモンだがねぇ」

「無理無理……幾ら追い詰められたって、長年の蟠りはそう簡単に解けるもんじゃねえさ。この間まで殺し合ってたんだからな。その辺りは戦国の世を生きた信長公の方が詳しいんじゃないか?」

「…………まぁー現実的じゃないの。呉越同舟なんざ夢物語よ、実の所人間はどんなに追い込まれたとて『はいそうですか仲良くしましょう』とはならん。見た目上取り繕ってもいずれボロが出る、そんでもって大抵致命的なところで破綻するんだよネ、儂良く知ってるし」

「そゆこと、残念ながらいがみ合いつつやるしかねぇ。双方に顔が利くだけ上等だぜ……」

 

 

 

 

 

 

 

 その後、江戸城近辺の民にも同じように商売をして大盛況、その帰路。

 食い物は直接的に必要になるもんだから反応がわかりやすい、が……

 マスターらが来たんだ、余裕が出来る分色んな事をしていきてぇよな?

 武器や嗜好品……実の所アテはあるんで何とか検討していきたい。

 

「前居たのよ、銃持った不審者……よく分からんヘルメット被ってるやつ」

「あー……新宿で見た」

「やっぱ心当たりあるか。普通に民を襲い始めたから制圧したんだが……何個か銃も落としてな」

 

 連射可能なsmg……貴重な数個は当然熾烈な取り合いになる。

 猛烈な争いの果て、射撃競争にて雌雄を決したちびノブ達。

 全体でも極々数人の精鋭射手の中で交代交代使う事になったらしい。

 

「因みに体格のせいでまっっっったくリコイルを制御出来てねえから注意な、やたらめったら撃ちまくるから」

「精鋭射手の件なんだったんじゃ」

「ちびノブ同士でも色々あるんだろ……火力だけはあるんだが」

 

 奇声をあげながら乱射、どこの〇ンボーだよって。

 とはいえ銃が手に入るというのは僥倖だ、戦う力のない奴らも自衛が出来る。

 ちびノブから取り上げるのは流石にね……可哀想だから……

 

「俺も借りて撃ってみたがすげえな未来の銃ってのは。威力も弾数も比較にならねえし真っ直ぐ飛ぶ」

「弾の供給はどうしてるの?」

「シバいて拾うばかり……生産体制が整ってねえんだよなぁ」

 

 だからこそ大事に扱って欲しいのだが、引鉄を引いたら止まらなくなっちまうらしい。

 気持ちは分かるよ気持ちは、俺も正直呑まれそうになった。

 ぶ、文明の利器スゲェ〜!!! ってなったし。

 

 

 

「……■■■■」

「……待ったマスター、お客さんらしい」

「なるほど見た目で分かる、明らかに強い方ね」

「百鬼の一体、羅刹とか呼ばれてる奴だ。特徴は……」

 

 此方の言葉を待たずに斬りかかってくる。

 その動きは豪快かつ繊細、個に宿った確かな武の残滓を感じさせるもの。

 一振り、二振りの後にマスターを捉える。

 

「■■■!!!」

「させない……!」

「バカ! ()()()()!!!」

 

 咄嗟に抜刀した彦斎がその刃を受け止めようとして……

 それより早く、抜き撃った俺の弾丸が凶刃に命中、同時に炸裂。

 

「わぁあああああ!?」

「爆発!? 一体どうなって……」

「……原理は分からんがソイツの斬撃は防御不可、回避困難のクソみたいな剣だよ……!」

 

 打ち合いは不利すぎるぜ、となりゃ相手すんのは……

 

「ノッブ! 秋無さん!」

「応!」

「流石、よく手駒を理解してる……といっても俺は銃使いのサーヴァントじゃねえがね……」

「■■■■■■!!!!!」

「前衛は任された、頼んだぜ信長公……」

 

 振るわれる豪剣を、すんでの所で躱す。

 一太刀直撃すれば戦闘不能は免れぬ凄まじい剣圧、薩摩よりタチが悪いぜ……

 力強くも力のみならぬ剣は繋ぎ目無き連撃を可能とし、その一つも食らってはならん。

 嫌になるぜホント、こんなのばっかりだしよ……

 銃口を押し付けて発砲……効果薄し。グリップを逆手に持って殴る……少しは手応えアリ。

 

 裁定者としての俺はどうも、大国主の寵児としての側面が強いっぽい。

 銃は当然持って召喚されこそするけど、特段補正が乗るとかではないんだよね。

 あくまで便利な武装程度に留まるし、サーヴァント並の敵には効き目が薄い。

 殴って僅かに怯んだ所に痛烈な射撃……神秘殺しの魔王、妖には効くだろうさ。

 

 腕を振り上げ、首を刈り取るように叩きつける。 

 上体が翻り派手にすっ転ぶ……とはいえこの程度じゃ、まだまだ。

 脚をホールドし、力任せに持ち上げて振り回す。

 単純な膂力以上の破壊力を生み出すには遠心力が欠かせねぇ。

 

「そォら、飛んできやがれクソボケ!!!」

「……!?」

 

 放り投げ、滑空、瓦礫に突き刺さる。

 土煙に混じって様子は伺えない、が……

 

「総員構えッ!!!」

「「「ノブッ!!!」」」

「撃てぃ!」

 

 控えていたちびノブ達による一斉砲火。

 一発一発は石コロ投げられたくれえだが、数十も撃たれたらちったあ効くだろ?

 見れば信長公も両手に火縄銃を携えて乱射……すげえなアレ、どういう仕組みなんだ。

 俺も加勢しようかね、炮烙玉の予備は幾らかあるんで……

 投げた火薬の玉に射撃のどれかが命中、発火。

 轟音と共に一帯が吹き飛ぶ。

 

 爆炎を背景にマスターちゃんらに待避を指示、派手にやり過ぎたな……

 奴らには確かな知性がある。あまり目立つような事をすると集まってきかねん。

 さっさと離れるのが吉……

 

 

 

 

 

 爆発の残響を切り裂いて、瓦礫から妖が飛び出してくる。

 片腕片脚を失って尚、その闘志に揺らぎ無し。

 

「! 秋無さん!」

「……ん」

 

 気付いたのはマスターのみ、背を向けた秋無に凶刃が振り下ろされ……

 

「んな所だろうと思ったぜ、しぶとい野郎だ……」

「……!!!」

 

 片腕の白刃取り、掴んだ刀は即座に起爆し爆風が秋無を包む。

 再びの爆発に一同が怯んだ瞬間、それを切り裂いて飛来するひと振りの刀。

 秋無の持つ不帯剣の呪い、驚異的な吉兆の反動としてある刀に呪われた体質。

 即ち、掴んでさえしまえばあらゆる剣豪を無力化出来てしまうという事であり__

 

「……マスターちゃんに当たったらどうすんだよクソが!!! 死ね!」

「!?」

 

 刀を失った妖が困惑する間もなくアイアンクロー。

 巨岩を豆腐のように握り砕く剛力が妖の頭蓋を握り潰し、力を失った躰を投げ捨てる。

 あまりに大雑把な戦いに、一同は呆然とするばかりであった。

 

「いや、今食らいましたよね? なんですか『一撃で戦闘不能__』みたいなモノローグ」

「浅いからな、流石にもうちょいしっかり切らなきゃ俺は倒れんよ」

 

 既に満身創痍だったからこそこのくらいで済んだワケだが。

 耐久ステの低い沖田なら多分これでも重傷だろうな……などと思いつつ無事を伝える。

 生憎と色々あって、俺ァ『秋無出雲』より頑丈なのさ。

 

「さてと、帰ろっか。明日は別の拠点を回りたいんだよね」

「江戸城と浅草寺だけでも相当居たように思えるけど……」

「人ってのは案外しぶといんだぜ……それに、手数が増えたなら嗜好品なんかにも手ェ出してみたいし。酒は現状でも案外手に入るが煙草は中々な……ヤニ切れで死にそうな奴ァ多い」

「喫煙者は肩身が狭そうで可哀想ね」

「自業自得だからしゃーない」

 

 アレだけ様々な健康被害が……とか書いてあんのに未だに止められないんだからな。

 その結果真っ赤な診断結果に青褪めるのもまた身から出た錆なのさ。

 世知辛い世の中だよなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(組長は自分が禁煙中なのをすっかり忘れています、馬鹿なので)

すっぱり止められるのは多分琴ちゃんの唯一褒められるとこ。
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