次投稿始めたらそん時は終わりまで走り抜けるんで……
テンポ死ぬほど悪いのはゆるしてください、めちゃくちゃむずかしいわ。
頑張ろうと決起したとはいえ、思い立ったら何にも出来るってワケじゃあなく。
肝心要の一ピース、仕留めるべく夜叉を発見出来ないまま一週間。
この間にマスターちゃんらは時折の襲撃を跳ね除けつつ、ちびノブらの流通を補助。
リスクを承知なら幾つかある避難所同士での移動すらが可能となってきていた。
視野の広いマスターと、それぞれが絶大な戦力である三騎のサーヴァント。そして……
「ハハ、なるほど。以蔵さんがね……」
「龍馬、おまん……」
「何だ何だ、イゾーが老けてオッサンになってるぞ。一層駄目人間に近付いたな」
「……余計なのもついて来とるのか」
何やら感動の再会というか……この世界でもやはり坂本龍馬は討たれてしまっているらしいからな。
何処に落ちてたのかマスターちゃんらが拾ってきた。
龍馬と以蔵が居れば浅草寺、攘夷志士らの護りはまぁ磐石だろう……
俺はそこそこ長いんで、こっちの以蔵とある程度お互いの
この以蔵は俺と琴がやり合ったその後、死に体で京都見廻組と斬り合い……
何故か返り討ちにして生き残った挙句、奇跡的に同志に拾われたという事らしい。
とはいえ半死半生の深手、療養中に龍馬は暗殺され……となると、暫くぶりの再会だろう。
「邪魔しないでやろうぜマスター、なるほどサーヴァントもたまには悪かない……」
「……秋無さんは、新撰組の皆に会いたいと思う?」
「んー……どうかねぇ」
前ん時はそれどころじゃなかったしなぁ、特に近藤と藤堂。
俺としちゃ齋藤や永倉辺りがどんな生き様を晒したのか、酒の肴にしてみてぇが。
向こうにその気があるとも思えねえしなぁ……
何せ俺ァ新撰組の敵らしいからな、後世の作家たちは良く考えたモンだぜ。
……『』を喪った俺の手に旗はなく、羽織にも袖を通す事はない。
奴らが死んで尚、重ね重ねモメながら再び『』を取り戻したってんなら……
俺は多分、そこに居る資格がねえからよ。
「マスターちゃんの認識だと、この特異点に来る時まで一緒で、気付いたらあの三人だけだったんだよな?」
「うん、他にもこっちの以蔵さんとか、皆居たんだけど……」
「まぁ……無理もねえ、この世界じゃ新撰組は英霊
「?」
「……俺たちの知名度なんざ、誰かの考えたお芝居ありきなのさ。歴史の敗者、人斬りキチガイチンピラサークルの末路なんざ、それを面白おかしく語った誰かが居なけりゃ興味ねぇだろ?」
英霊なんざそんなもん。
後世の誰かがあれよあれよと好き勝手に持ち上げて、創り上げた物語の存在。
マスターちゃんの働きもあって奴らの痛恨が癒えたってんなら、それで良い。
今更話すことでもねえからさ。
「……秋無さん、聞いて良い?」
「答えられる範囲なら何なりと、そうじゃなきゃ黙るが」
「…………新撰組の人から、貴方の話を聞いた事がない。沖田さん以外からは……何があったの?」
「なるほど、なるほどねえ……」
ホント有難い事だ。
わざわざその痛みに触れずにいてくれている。
それなら、俺から言うべきことはない。
「悪いね、だんまりで良いかな」
「…………分かった。ごめんね」
「謝るこたァない、そりゃ気になる、気になるだろうよ……とはいえ、面白い話じゃないからさ」
別にこれといった華もなく、語るも聞くも面白みの無い話になっちまうから。
いつの時代、どこにでもある、よくある話。
馬鹿な男が馬鹿やって馬鹿みてぇに死んだだけ。
挙句の果て、馬鹿が死んでも治らなくて。
未練タラタラ、意地汚くこの世にしがみついてる。
何ともくだらない、つまらない話。
……どういう形であれ、沖田が吹っ切れてんなら良いんだ。
他の連中もきっと、そうだからわざわざ言わねぇんだろう。
「ん、マスターちょっと遅いな」
「え、ああ! また焦げた……」
「シンプルだけど難しいよなぁ出汁巻き。ま、焦げくらいこの状況で誰も気にしないさ」
見た目をよくする為だけにだいぶ余計な手間がかかるの割とすげぇ事だよな。
下面分かりにくいから焦げ易さもダンチだし
マジでこの際全部炒り卵くらいで良いと思うんだが……
折角なんでマスターちゃんのお料理練習をね……
ウチの相棒よりずっとずっとマシだから大丈夫、すぐ覚えるよ。
『組長! 組長ー!!! 大変、大変ノブッ!!!』
「落ち着け落ち着けノブギョー、順繰り話してみろ」
『本願寺の拠点が襲撃を受けて……詰めてたちびノブが逃げ延びてきたノブ……!!!』
その言葉を切り裂くように走る。
詳細はともかく、今は迅速な対応こそが尊ばれる時。
ノブギョーがやって来た方向へ少し急げば多数のちびノブに囲まれてる一体のノブUFO。
相当な戦いの痕なのか、機体も本体もボロボロで半ば墜落するように転がっている。
「何があった!? 他の仲間はどうした!!!」
「ノ……ノブブ……ノブノブブッブ……ノブノ……!」
「チッ……分かった、良く伝えに来てくれた。お前を誇りに思うぞ」
「ノブッ…………」
「ああそうだ、後のことは俺に任せろ……ゆっくり休め」
ノブUFOは小さく敬礼するとばたりと倒れる。
死んだ訳ではない、気絶しただけだ。
築地本願寺からここまでの距離はそれなりにある……一心不乱に飛んできたんだろう。
右手を打ち鳴らし、三体の影を呼び出す。
「各員散開、マスターちゃんらを探し出して本願寺まで連れてこい」
『……委細承知。組長はどうなされるんで?』
「俺は先に行く、とにかく時間がない……『探し物が見つかった』と言っておけ! ノブギョー!」
「はいノブ!」
俺が追い抜いたノブギョーが遅れて到着する。
気絶したちびノブは既に仲間により回収されており、寝床へと向かっている最中のようだ。
「留守を頼む、そして浅草寺や周辺の拠点にも自衛を通達するんだ……話が変わってきたぜ」
「勿論ノブ……さぁお前たち、聞いてたノブね!? 少しでも早く、遠くの拠点まで出るノブよ!」
「ノブノブノッブ!?」
「甘えた事言ってる場合ノブか!!! さっさと行くノブ、徒歩でも!!!」
流石に頼りになる、こういう時に俺自ら一々指揮して回らなくて良いというのは本当に有難い。
「さあ全員聞いたな! 出るぞ!!!」
「「「ノブッ!!!」」」
今まで一度として、拠点そのものが落とされた事はなかった。
外出中の民や兵が襲われることこそあれ、拠点には十把一絡げの雑魚しか寄らなかったから……
だからこそ、各地の拠点は住民らの集まる避難所として機能していたワケであり。
その前提が覆されてしまった。
……極めて、極めてよく考えたらあまりに長い停滞が終わった。とも言える。
やはりカルデアが、彼女らが現れたことで流れが変わったのだ。
ひたすら走る。南へ。
焼け落ちた街の残穢、人々の営みの末路、朽ち果てた世界を貫きながら。
滅びかけのこのクソみたいな世界は、幸か不幸か、どんなとこにも最速で向かうことが出来る。
道中道を塞ぐ雑魚どもを粉砕し、一心不乱に走り続ける。
暫くして、ようやく遠景に見えた築地の本願寺。
一帯の民が避難所として細々とした暮らしを再建した僅かな集落。
俺たちも幾度となく訪れた、南部の拠点。
それが燃えていた。
消えぬ炎、尽きぬ怨嗟を伴い、天に向かって火柱を立てながら。
炎上する大扉を蹴り開ければそこはまさに地獄絵図。
「ああぁ熱いィ! あつぅいいいぃ!!!」
「何も、見えない……おっかあ……おっとお……」
「嫌だ、こんな死に方……死にたくなぃ…………」
生きながら焔に焼かれ、即死もせず焼かれる女。
強い衝撃で光を失ったのか、致命傷を追いながら這う子供。
身体の半分が焼け落ち、半ば骨になって漸く絶命した男。
地獄絵図といったが間違いだな、地獄だってもっとパッとしてら。
「……んだよ、期待外れだぜ。お前だけとはな」
「………………」
「だんまりか? なるほど
人の心とかないんか?ってやつ。
ハハ、ある訳ねえか、元から。
黒塗りの表皮はいっそう堅牢な印象を与え、甲冑のように。
生物的な雰囲気を僅かに残しつつ、ソイツはまるで侍大将かのような立派さで。
……本願寺かぁ。
偶然にしちゃ出来過ぎてやがるし、必然なら皮肉なモンだ。
俺にとっちゃ自分の店の次に馴染み深い場所。
当然、京のそれとは場所も規模も違うが……
「まァ良いか、ホントなら俺たちゃ連れの女の方に用があったんだけどさ」
「……■■」
「悪いな。機嫌悪いから八つ当たりに付き合え…………!」
真っ直ぐ踏み込んで殴り抜く。
途中刀で迎撃しようとしてきたけど関係ねえ。
切られながらだろうと思いっきり、思いっきり殴り抜けねえとよ。
響かねえだろ? お前らの空っぽの脳ミソにはよ。
「■■■■■■ァァァ!!!」
「来いよ! そうでなきゃ殴りがいがねえだろ!?」
他の奴らみてぇな特殊な能力があるでもねえ。
単純に固く、単純に傷の治りが早え。
他は件の雨以外で負傷が癒える事はないんだが……ことコイツは例外。
素体のしぶとさと諦めの悪さが色濃く反映されてやがるらしい。
振るわれる豪剣を辛うじて受け流し、小刻みな打撃を蓄積していく。
細かい斬撃は全部無視、急所だけ守ってりゃ何の問題も無え。
性質の差から血に塗れるのは俺だが、それでも衝撃は緩やかに蓄積していく。
伸びきった腕を背負うように肩で挟み込みへし折って。
後頭部で頭突きを叩き込んでから大雑把に投げて壁にめり込ませる。
復帰される前に全力で踏み切ってドロップキック。
常人なら爆ぜた水風船みてーになるだろうが……
あ、駄目だこれ。全然怯みもしねえ。
起き掛けに一刀、深く斬られる。
小技で俺を仕留められないと踏んだ獄卒はここに来て構えを変化させる。
忌々しくも薩摩を想起させるような大上段、一撃必倒の大振り。
そりゃ悪手だろ。
ソイツを使い慣れ、習熟したならともかく見様見真似じゃあよ……!
振り下ろされる瞬間にその小指を撃ち抜く。
刀ってのは普通、ある程度遊びを持って握るモンだ(俺が言うのもアレだが)。
一方で野郎は両手をくっつけるように一本にして握るクソみたいな握り。
短く持てば室内戦に適し、長く持てば大振りの破壊力は青天井……
ある意味実戦の剣としちゃ間違ってねえのかもしんねえよ。
だがよ、その持ち方は切り返しや防御……攻めを誤った時のことを考慮出来ない。
更にもう一発、こんな風に刀が弾かれた時なんかにゃ……
「デケェ隙晒すよな!?」
「…………!!!」
肩から抱きつくように密着して大外刈り。
生憎だが引き手はないんでね、そのまま落とさせて貰うわ。
諸共倒れ込む自爆技、二体の総質量全てを地に叩き落とす。
ダメージに沈黙する獄卒を右手一本でホールドしながら思考を巡らせる。
異様な再生力、それを上回る為にはやはり一撃必殺。
奇しくもお互いに考えが一致したらしいな。
くだらない皮肉に不意な笑みを浮かべてしまう。
それ自体が意外な事で、困惑こそしたが……
即座に押し黙り、今は無き左腕を掲げる。
一瞬眩い程の光を放った後、顕現する喪ったはずのソレ。
ヒトの腕にしては嫌に機械的で、無機質な神授の剛腕。
「■■■■!?」
「おお、流石に感じる? すげぇよなぁコレ、神性ってのはホント」
軽口を叩く余裕はないのだが。
こうして瞬間
ホント嫌になるね、カミサマの力ってのは……
「今回は二発で事足りちまいそうか?」
今更危機感が追い付いたのか、逃れようともがき出す。
ジタバタしたって遅えって……テメェもとりあえず一回休みだ、くたばりな。
ドズッ……!!!
あ?
腕を振り下ろすその刹那、胸から鈍色の銀が生え出ずる。
それは的確に心臓を貫き、霊核を破壊____
「おお、やっぱ俺ァツイてる。纏めて始末出来るなんざ……」
しきれない。
男の五体即ち神の創りしモノ。
生前も死後も変わらず、神造の生命は決して止まらない。
自らに命じた使命を果たすその時まで、秋無出雲は終わらない。
「手前はいっぺん、立ち止まって振り返る事を覚えやがれってんだボケ!!!」
止めきれぬ剛力の氾濫、彗星が墜落の如き衝撃が獄卒を貫き。
貫いた余力は地を砕き、周辺のあらゆる障害を吹き飛ばして大きく抉り抜いた。
「……アレを避けたのか。すんげえな」
築地本願寺一帯……周囲諸共その全て、今尚残っていた生命さえ。
ソレがあったという名残一つ残さず吹っ飛んだ筈だが。
肝心要の標的……俺たちが夜叉と呼ぶ化け物には傷一つなく。
流石に速えなぁ。宿儺ってのも速いは速いがこっちは段違いだ。
とはいえこうも拓けちゃ不意打ちもクソもあるまい。
ハァ……身体が砕けそうだ、歳取るとちっとの運動が辛いって銀狼のジジイが行ってたな。
まだ三十と考えるか、もう三十と考えるべきか。
まぁ、そんなのはどうだって良いか。
駄目だ、頭が回らねぇ。殴り足りねぇし、殺し足りねぇ。
何かまだやるべき事を、いや、それよりも、そうだな。
ハハ。
ああ足りねぇ、足りねぇ。こんなもんじゃ到底__
これだけの破壊規模、死ぬほど目立ちゃ来るだろ。
カルデア一同も、肝心な奴らも。
……ほうら来た。
僅かな残骸を蹴散らし、或いは真っ赤な空を切り裂いて。
件の二体が一直線に向かってくる。
揃いも揃って律儀なこった、やっぱアレかね? 無意識下の刷り込みというか。
場所も形も、そもそも俺が跡形もなく消し飛ばしちまったワケだが。
……テメェら、臭うなァ。感じるぜ、小汚ねえあのお日様女の力が。
奴の使いかよ? 今更なんの用か知らねえが……
貫かれた心臓、負った刀傷。瞬きの間に癒えて。
身体中に抑制されていた神性が暴走する。
応じて秘めたる狂気が再燃し、その姿を歪めて創り変える。
テメェの私欲で葦原中国を奪いに来た天上のクソ共。
まさに鬱陶しく輝く日輪が如く、その支配欲に果てはない。
汗の一滴も流さず、生まれながらの支配者だァ……?
親父が何と言おうがオレは認めねぇ……認めてたまるか!!!
全員、纏めてブチ殺してやらァ……!!!
「■■■■■ゥゥゥーーーッ…………!!!!」
『三千世界に屍を晒すが良い____』
あァ?
「これが! 魔王の! 三段撃ちじゃぁ!!!」
彼方より降り注ぐは無数の弾丸。
天を埋め尽くす程の弾の驟雨が一帯を包む。
そうか、カルデアのが__
ジュッ……
「アバーッ!?!?!?」
流れ弾一発、神秘を滅ぼす魔王の掃射は今の
一発で悶絶する程のダメージを負い、反動で澱んだ頭が冴える。
歪に連結していた義手もまた掻き消え、もんどりうって転がり回る。
必死にギリギリんとこで弾が止むまで避けていれば、辺りには誰もおらず。
普通に逃げられてしまった。
「何じゃ、逃げ足の早い……しっかり抑えとらんかお主」
「…………スゥー……」
「何じゃ、何か言いたそうな顔しおってからに、いや待て顔怖。何? もしかして怒っちょる?」
ハハハ。
まさか、怒ってはないさ。
怒りが限界を超越して笑っちまうくらいでさ。
昔、沖田たちによく言われたなぁ。
『秋無さんは笑ってる時が一番怖い』って……傷付くよなホント……
「こんの! クソッタレがァァァァ!!!!!」
「ぎゃああああ!?!?!?」
剛腕一閃。
脳天直撃の鉄槌は信長を垂直に叩きのめし、その身体を地面にめり込ませる。
「殺す気か! もうちょい範囲を考えろボケ!!!」
「暴力じゃ暴行じゃ! 誰かー! 誰か男の人呼んでー!!!」
「いや、今のは多分ノッブが悪いと思う……」
「右に同じく」
「葬式は仏式で良いですかね?」
「無慈悲!」
ホンット、やってくれるぜマジで……
お陰でギリギリ戻ってこられちまったよ、腹立つから感謝はしねえけどな。
グワーッ!じゃなくアバーッ!な事から分かるようにかなり重傷。
なんということをしてくれたのでしょう。
無辜の怪物:E~? 狂化:E
使用者の身体構造、能力が換えられる呪い。
また、理性や思考力を失う代わりに強くなるスキル。
悪名高くも新撰組の仇敵、秋無出雲は本来この二つを高ランクで保有する。
裁定者のクラスでは例外的に呪いによる干渉が少なく、狂化のランクも極めて低い。
過剰な神性が抑制を崩壊させ、霊基を変質させるその時まで。