という事で総力戦。気合い入れて行くぞー!
「「「「「ノッブゥ!!!!!」」」」」
「多すぎじゃろ、一体何体居るんじゃ」
「えーと……確認してるだけで百五十はいるノブね。気付いたら増えたり減ったりしてるから実数は±で十くらいだと思うノブ」
「心強いわね」
「心強いか? コレじゃぞコレ、こんなもちもちのナマモノじゃぞ」
「ノッブ〜!? だからノブギョーをモチモチするのは止めるノブゥ〜!!!」
江戸城や浅草寺なんかからも戦えるちびノブは大半を引き抜いてきた。
これ以上はそもそも制御が利かない……武装した幼児みたいなモンスだからな。
「隊列は基本陣形、ビッグノッブを盾としたファランクス陣形だ。悪い、負担を掛けるな」
「ノォッブウ!」
「後ろに一般兵がつけ、前方に向かってとにかく撃てば良い。誤射は気にするな」
「「「ノブ!!!」」」
「ノッブUFO達は射線を確保しつつ上空から戦場を観測しろ、安全第一だぞ」
「「ノブッ!!!」」
「なんでコヤツこれでコミュニケーション取れとるんじゃ、意味わからん」
「本当に何でだろうね……」
更に浅草寺から志士の中でもイキの良いのが何人かに、龍馬と以蔵。
……残念ながら幕府の方からは人を引き抜けなかったが、居ても揉めそうだしな。
考えられる限りの最高戦力だ、これで通らなきゃどの道終わりだよな。
「マスターちゃん、相手すんのは大嶽……ま、つまり近藤だな。今更も今更だけど仲間の屍を傷付けんのが苦しいなら退いてても良いんだぜ。なんせアンタは要だ、万一も怖い」
「……大丈夫です。それよりもこんな事、早く止めないと……」
「……優しいねえマスター。ほんっと良い子過ぎて感動だよ俺ァ」
「秋無さんは、大丈夫なんですか?」
「俺? 余裕だよ余裕、だって生前から半殺しにしてるし」
幹部で俺が殴った事ねえの、源さんだけじゃねえかな。
言うまでもないバカ共は勿論、山南さんも伊東さんもシバいた事あるよ俺。
滅茶苦茶良い人だけどたまーにね、たまに……
「山南さんも!?」
「マスターちゃんの前じゃそりゃ真面目だろうけど、あの人結構ヤバいぞ。はっちゃける時は蓄積したキチゲが大爆発してすんごいハジケるタイプ」
力士と喧嘩した時とかほんっと酷かったからね。
鴨さんが頃合いみて皆止めたのに気分良くなったあの人真顔で力士血祭りにしてたし。
止まんないから鴨さんが押さえつけて俺が絞め落としたんだっけ……懐かしい日々。
「最悪の青春じゃ、爽やかに懐かしむ内容じゃないじゃろ」
「壬生狼ん時はなー本当に全員酷かったからね、良い思い出になっちまうのよ」
あの人あの面で拷問とか平気だしね。
ウチだと三番目(土方、俺の順)に上手いよ。
「ま、そんな訳で。俺は新撰組相手に躊躇う理由がまるでないんだよね」
「ハハ……厳しいんだね」
「お、そうそう。こういう時には笑っとくべきなのさ、顔が重苦しくなってたからな」
「! ……もしかして、わざと?」
「さあどうだか……終わったらそん時ゃもっと面白い話してやるよ、藤堂と齋藤を娼館に叩き込んだ話は……流石にマスターちゃんには早いか?」
「待って滅茶苦茶気になるんだけど!?」
ハハハ、無事に終わったらな。
さて……アンタらに利もないのに協力して貰ってすまねえな。
「僕は一応、カルデアのサーヴァントだからね。マスターに協力するのは道理だろう」
「水臭い事言いなや、普段おまんに世話になっちゅー……奴らも自分で志願してきたやき」
「そうかい……素直に感謝するぜ、幕府の薄情者よりずっと偉いわ」
現状維持で必死なのは理解するから責めらんないけどな……
勝さんや末端の侍たちはがぜんヤル気だったが中間がね。
奴らの頭ん中は未だに江戸時代だからさ、階級に縛られてんだよ。
末端も末端……近代ヤクザで言うなら直系組長が子飼いにしてた半グレ集団が新撰組。
……最終的に二次団体には格上げされたとしても、奴らからしたら俺に頭下げんのは嫌なんだろ。
男は見栄とプライドで生きるモンだけどな、捨てるべき恥ってのもあると思うぜ。
いざ刑場へ……お、いたいた。
「よォ、久しぶりだな。ちょっと痩せたか? 飯食ってる?」
「■■■■……」
「ちゃんと狂化もしてるよなぁ、そりゃ。狂わせなきゃここまで堕ちねぇか」
†黒の剣士†の時のことは忘れてやる、友人としての情だ。
……いやマジで良い歳してありゃちょっと面白過ぎる。
虎徹もなんか邪剣KOTETUって感じだったし何だったんだろアレ。
発砲、弾丸は真っ直ぐ大嶽に直進した後に切り落とされ真っ二つに。
……そこは弾くとかにしとけよ、斬鉄剣かテメー。
「沖田ん為にも、今日こそは始末させて貰うぜ」
「秋無さん、手筈は……」
「伝えた通りだ、乱戦になるぜ。気をつけろよマスターちゃん」
「………………■■■」
言ったか言わないか、大嶽は旗を掲げる。
血塗られて焼け落ちた新撰組の御旗。
賊軍として蔑まれた俺たちの末路。
翻る旗に呼応して、辺り一帯から大量の人型が生え出ずる。
出やがったかクソッタレ共。
ふざけた事に一体一体が低級サーヴァント相当……所謂シャドウサーヴァントに近しい。
英霊の影法師の影法師。劣化コピーとはいえその戦力は馬鹿に出来ず……
……実質的にアレ俺の上位互換だよね? いーなー……俺もああいうのやれたらなぁ。
『声に出てますよ組長』
「出して言ったからな……今回ばかりはお前らも前衛だ。頼むぞ」
『ウス……にしても、良くやりますねアレ……』
「何が?」
呆れたように山崎は呟く。
何だ? 戦力差に戦くタイプじゃないだろうに。
『どう見てもアレ、ドリ〇ターズの「わああああお!!! 止めろ止めろ! 俺もちょっと思ったけどさ!!!」
なんて事言うのだこの馬鹿は……
思っても言わないというのが世界のマナーである。
脚本の執筆カラテ力が足りなかったからどっかで見た事ある展開ばかりなのだ。
「総数百弱……っても、皆殺しは非効率だ。サーヴァント含め主力で正面突破して道を拓く、ちびノブや志士らは戦線を維持して押し留めろ」
「応……にしても、酷いな。あの時以来か……」
「アンタ……そうか、最前線の生き残りだったよな? 良く来たな……」
少しばかり年配の……四十過ぎくらいの志士。
傷だらけの風貌が歴戦の気配を醸し出している。
「来たがってた若いのは皆殴り倒した。今日居るのは全員死に損ないの年寄りだよ」
「馬鹿な事言うなって……お孫さん、生まれたばっかりだったろ?」
「ハ、尚更。尚更に悔いは無え」
「……侍ってのはどうしてこうと腹が据わるのかね」
さぁて、やるかぁ。
どちらからとも言えず、一発の発砲音。
それを発端として板橋の地にて再び戦禍の狂熱が湧き上がる。
シャドウとはいえサーヴァント、一体一体のスペックは非常に高い。
「信長公!」
「如何にも神秘薄そうじゃしただの銃撃にしかならんぞ! 『三千世界』!!!」
十分だ、十二分すぎる。
三千丁の火縄銃からなる面での射撃、百人そこそこの旧新撰組隊士には酷だろう。
ああほんと……俺らが大名なんてどだい無理な話だったよなぁ。
一大名とは、領地を持つ士族の力とはこんなにも強大。
個人の力、数の力、金の力に血縁なんかの血の力。
どれもこれも俺達にはとても無かったシロモノで。
だからこそ、俺が切り込むに足る。
銃撃の雨霰の中に飛び込み、手近な誰かの頭を叩き割る。
同時に乱れ撃ちの神秘殺しが身体に食い込むが、それすら今は無視して。
大上段から振るわれた凶刃を持ち主諸共殴り砕き、返す手で発砲して砲兵を一人殺害。
猛烈な勢いの突進を受け止め、轍を残しながら踏み止まり……
いやこの太り方は島田の野郎だな、食い過ぎだぜ……!
脇の下に生やした腕も回し、引っこ抜くように無理やり頭上に掲げる。
空中で一度持ち替え、振り下ろすに足る体勢を確保。
質量十分重力良好。腕無くなって以来久しぶりになるが……
「ちっとは痩せやがれってんだ!!!」
直伝! パワーボムッ!!!
月が落ちてきたのかと錯覚するような衝撃。
当然ながら叩き付けられた身体は霧散。
巨大なクレーターを伴い、爆風で数人が巻き込まれたように視界が開ける。
刹那、煙を切り裂いて一刀……隻腕の振りが胸を深々と切り裂く。
喉を遡る血を吐き出し、それでも踵を強く踏んで最接近。
惜しいな伊庭ちゃんよォ、両腕があった頃ならもう少し効いたかもしれねえが。
片腕の受け太刀も虚しく、すり抜けるように押し付けた銃口が火を吹き。
脳漿……に当たるモノを撒き散らしながらぶっ飛んでいく死骸を見やる。
隻腕の経験値にゃ一日の長があるのさ、思ってるより力入らねえよなァ。
「次……! どうした、その程度じゃ止まらねぇぞ!!! あぁ!?」
「…………!」
一同に明らかな困惑の空気感が広がる。
ほーん、シャドウ化してても俺が怖えか? ハハハ。
足りねえ足りねえ、全然食い足りねえな。
「直接来いよ近藤!!! お前の大事な
「…………!!!」
安い挑発……それでも、ヤツは乗る。絶対に無視できない。
ここまで縛られて尚もわざわざ『新撰組』に拘るんだ、さぞお仲間が大切だろうよ。
抜く間も見えぬ程の抜刀突撃……避けない、防がない。
お前程じゃあないが、隊士のやり方はよくよく把握してるんでね。
袈裟懸けに切り裂かれながら、襟首を掴んで地に叩き付ける。
幸か不幸か……嫌なもんだな、無辜の怪物。
切られた傷、撃たれた跡、殴られた痣。
逆戻しにするように再生していく傷と共に、人としての理性が溶けていく。
秋無出雲は新撰組を滅ぼした仇敵である、それゆえに。
新撰組と対峙するとき俺の身体には力が満ち、その傷も瞬く間に癒える。
ただただ致命的に相性が悪いんだよな、お前らと俺じゃあ。
地に突っ伏した近藤を力一杯踏みしだく。
鉄下駄が身体にめり込み、致命的に砕く感触。
ドズズッ……!!!
「秋無さん!!!」
「ゲホッ…………遅えぞオメーら、大将がやられる前に動けよ……!」
無数の影が一直線に俺目掛けて猛進し、刃でもって刺し穿つ。
四方八方、合わせて七か八かの刀に縫い止められるような格好。
だが、好都合だ。
都合良く、纏まってくれてやがる。
……ドガゴォンッッッ!!!!!
瞬間、爆発。
自分諸共標的とした一発。
サーヴァントとして得た現代の知識、弾着地を観測した高精度攻撃。
ノブUFOによる遠望と、ノブ戦車による長距離支援が揃って可能となった隠し玉。
『誤射は気にしなくて良い、合図ががあったら撃ちまくれ』
『『ノブノブ!!!』』
「俺ァウチの面子が揃ったとは一言も言ってねえぞ……!」
「……■■■■!」
爆発のダメージに眩む視界の中、起き上がった近藤が刀を振るのを確かに見る。
回復はまだ追い付いていない……貫通した刃が想定以上に深手となっていたから。
腐ってもサーヴァントか……
『待たれよ! この紋所が目に入らぬか!?』
「ッ!!!」
「! アンタ……」
「立てるか!? 止められるのは一瞬だけだ……!」
ああ、最高だよ。ナイスだ、
生前に、その終わりに執着しているというのなら____
近藤の奴は幕臣だ。間もなくして崩壊したとはいえ幕府直属の侍だった。
なら当然、
まぁこれを考案したのは何を隠そうあの渋声ノッブなんだが……
一瞬ありゃ十分さ、欠伸が出るくらいの時間だもの。
ひと息に懐へ潜り込み、身体を圧縮するように圧し固める。
肉と骨と、複雑に絡み合ったそれらが撥条となり、理外の力を生み出す。
「オメェはもう少し、もう少し自我を持って動けよ馬鹿野郎!!!」
「ッ!?!?!?」
全身全霊の
再度地を蹴りそれに追い付いて組み付く。
生前は流石にこの発想が無かったワケだが……
オオクニヌシに流し込まれたクソ余計な現代知識、その中から引っ張り出した妙義。
身体を捻り、空中で錐揉み回転して衝撃力を増しながら地面に突き刺さっていく。
化け物になった近藤は幸いにも俺より少しだけデカいんで、この技を選べた。
二度の剛撃、頭蓋を砕かれた大嶽の身体はぐったりと力を失い、溶けるように消滅していく。
あー……痛ぇ……
全身バキバキになりそうというかなってる。
ヤバいなこれ、絶対あとで筋肉痛になる。
年取るとね、時間差で身体に響くんだよ。
まぁ俺当日中になるから分からないけど。
「ゲホゲホッ……秋無君、無事かい?」
「何とか、俺より他を気にかけてやってくれ」
「……見たところ、多少の被害こそあれ概ね大勝と呼べるだろう」
「そりゃ、何より……」
視界の端には力尽きたビッグノッブを囲ってわあわあ泣くちびノブ達。
ただでさえ少なかった志士も半分程度。
勝ったとしても誰かが死ぬ、ホント戦争というのは非効率的だ。
『戦争は究極の経済活動』などという論調があるが馬鹿馬鹿しい。
勝者も敗者も失われる命は平等で、それさえ有れば何だって出来るってのに……
『ブラボー! ブラァボォー!!! 流石にですカルデアの皆様、そして組長殿』
「……誰!?」
「やっぱしお前か、センスの無え造形だと思った。俺の目利きも捨てたもんじゃない」
「ハハハ、手厳しい。しかしご容赦頂きたい……どうにも素体の性根が醜悪では、仕上がりにも限度というのが」
屍を弄び、自らの操り人形が如く辱める。
その姿形をも弄った上でより醜悪に、悪しモノに造り変えるような。
実に趣味の悪い……本人の性根が捻じ曲がってるとこうも下劣な技を使うようになるかね。
「さあさ、皆様ご唱和下さい! 復・活! 武田観柳斎復活! 復活の観柳斎で御座います!!!」
観柳斎復活! 観柳斎復活!
分かりやすくシバく対象が出てきた模様。