纏めて投稿だとマジで時間食うだろうから……
ぐだぐだアフターは今構想&カキカキ中、とりあえず閑話挟んでお茶を濁すのだ。
___秋無出雲の朝は早い。
早朝の四時ごろ、ひっそりと寝台から躙り出る。
尤も隣にいる往年の相棒はその程度で起きるタチではないのだが……
なるべく音を立てぬようにシャワー室に入り、鏡に映った全身を見て溜息。
満遍なく至る所についた食み跡や血痕、剛力に潰され痣まみれの身体。
知らぬ者が見れば熊か獅子などに食い荒らされた惨死体にしか見えぬだろう。
悲しいかな、これが秋無出雲の『今』であった。
サーヴァントの頑強な身体に……生前を上回る治癒力によって、治る事には治るのだが。
それにしたってあんまりにもあんまりである。
かつての新撰組時代、確かに毎日毎晩好き勝手貪られてはいたが……
会えなかった年月が、尚更に彼女を歪めてしまったのか。
自認ではなるほど、確かに死んでからそれ程経っていない__そう思うのだが。
俺の死後、長い歳月を生きた琴からすればあまりに久しい逢瀬となる……だから、責める事も出来ない。
『妻の愛に応える為に、ガッツスキルは在る』
かの竜狩りはそう言っていた。
そうだね、本当にあって良かったと思うよ今は。
……でも痛いものは痛い!
黄金律(商)の効果で爆速で治癒していく身体に感謝しながら、身体を洗い流す。
血やら唾液やら……まぁ後はともかく、本当に酷い有様であった。
沖田の日の方がずっと気は楽なんだけどなぁ……
たまに昂り過ぎて刺されたりするけど、それくらいだし。
「さて……今日も働くとするかね、行ってくるぜ」
「んにゅ……」
魔力を回して服を換装し、未だ目覚めぬ眠りヒメを一瞥してから部屋を出る。
流石にこの時間ともなると出歩く者も殆ど居らず……
僅かな反響が朝からの修羅場に備えた食堂へ。
「うい、おはようさん。今日も早えなぁ……」
「ん、おはようだね秋無くん。どう? そろそろ慣れた?」
「流石に慣れました、元々朝は早いんで」
「おはよう、早速だがそっちで時雨煮の面倒を頼めるかな?」
「よし任された」
カルデアの食堂は一部のサーヴァントによる持ち回り制であり、俺もその一人。
とはいえ忙しいんで朝だけなんだがな……
アーチャー殿なんかは朝昼晩といつの時間も厨房に居る気がする、マジで偉い。
当然プロではない訳だが元々ね、冥土喫茶の従業員には俺が料理を手解きしてたくらいなので。
一通りは和洋と出来たりするんだ。
あと琴のヤツがな……最低朝は俺の作った飯じゃないと食いたがらないから……
今日の面子はアーチャー殿にブーディカ殿、それに地獄の舌切り雀殿……
ここまではね、まだ良いんだけどさ。
「おお、秋無殿か。ちと豚汁の味を見てくれるか、貴殿の舌は頼りになる」
「……うむ」
俵藤太殿……いや、藤原秀郷殿か。
うん、一つ言って良い?
カルデアの層、厚すぎだろ。
伝説の怪異殺し、日ノ本で一、二を争う武勇の持ち主だぞ。
なんで調理を……いや、滅茶苦茶美味いんだけどね飯はさ。
こんなのがザラなら
俺らの時代ってさ所謂戦国時代……ノッブとかその辺も勿論人気あったんだけど。
やっぱり平安鎌倉頃の化け物サムライのお話が一番人気でさ。
源頼光ご一行も丁度半分居るし、相対する酒呑童子とか……
ウチのとはどうも相性が悪いっぽいがね。同じ鬼種なのに。
他じゃ源義経殿と……それに憑りつくようなカタチで平景清。
反英霊とはいえ錣引きの逸話なんてめちゃくちゃ有名な大豪傑だぜ。
そんな感じで出るわ出るわと伝説の英雄ばかりでクラクラしちゃう。
サービス十年の積み重ねを感じちゃうね全く。
「美味いが芋の甘みが足りないか……寸胴一つに匙三杯くらい砂糖、キビ糖入れてみるのはどうだろう」
「わざわざキビ糖か……貴殿が言うなら間違いないのだろう」
「煮込みや汁物に使うと独特の艶やコクが出るらしい、琉球の奴らに昔聞いた」
東西南北津々浦々、北は蝦夷地に南は琉球。
今の日ノ本の範囲なら色々回ったからね……
そんなこんなで時間を潰していればもう六時頃。
朝一番で朝食を求める者たちが入りだす時間……
「悪ぃ、俺ちょっと次の仕事あっから抜けるわ…_八時には琴連れてくっから後頼むわ」
「ああ、君も毎日大変だな……」
「何事も慣れさ慣れ、アーチャー殿も俺と同じタイプに見えるがね」
「ふむ?」
「人の世話焼いてねえと生きてらんない生き物、そんな雰囲気あるぜ……」
見れば分かる、同類だと。
……まァー! 見れば分かるくらいにイケメンだから腹立つけどね!
絶対若い頃ブイブイ言わしてたって、相当手馴れてるだろ。
歴史に名だたる者どもだから当たり前なんだけどさ……
皆ツラが良くて悲しくなる、初対面のちびっ子共に泣かれて傷付いた。
人を見た目で判別するのは良くないよ……少なくとも俺は辛い、耐えられない。
「「「ノ〜ブ〜ノ〜ブ〜♪」」」
「お、戻ってきたか……収穫はどうだった?」
「ノッブ!」「ノブノブ!!!」「ノブ……」
「おおやったじゃねえか……いや気にすんなって、別に責めやしねえって。良く無事に帰ってきた、偉いぞ」
「あれ? 秋無さん」
「マスターちゃんにマシュちゃん、おはよう。これからご飯かな?」
「はい、混む前に入ってしまおうと」
賢明だね、今日は多分最初っから混みそうだからな……
秀郷殿が俵から出す食い物は殊更に力が湧くような素晴らしい飯になる。
ここがかつての京都なら物価を破壊する彼を死ぬ気で止めるとこだが……
生憎と商売じゃないなら有難く使わせてもらうだけだ、
「献立は牛肉と牛蒡の時雨煮、豚汁に鳥の照り焼き……よく考えたら三大家畜が揃ってら」
「タンパク質過多なメニューだね……」
「生野菜もあるからそこは調整だな、琴の奴は絶対食わないが……」
やり方によるけどね、生だと多分だいたい駄目。
ラディッシュとか食わず嫌いで口にも入れないだろうし。
「何してるの?」
「んー……まだ内緒。もうちょっとで準備が終わるから楽しみにしてな」
「ノブッ!」
「あ、今度は待機組が行くのか……気ィつけろよ、弁当は皆で分けるように」
「ノブノブ〜」
「あ、消えちゃった……というか凄いね、流石は大商人……」
「どっちかと言うと気分は遠足の日の父親だぜ……ハハ」
…………あ、やべ。
マジでなにも考えずに適当な事言ったつもりが、二人ともスゲー顔してやがる。
いやゴメンて……別に俺ァ気にしてないから元々……
「いや、ホント。言った俺が悪かったな、大丈夫だから。そんな重い表情やめて?」
「……すいません、勝手に重く捉えちゃって」
「大丈夫大丈夫、今のは全面的に俺が悪いわ。ホントゴメンね」
「やはり出雲さんの願いというのは、その事なんですか?」
「うーん……難しいとこだなぁ」
違うってのは嘘になるっつーか……そりゃ気にはなるよ気にはね。
ただまぁ、実の所そんな重きに考えてないってのも事実だし……
「馬鹿みてーな死に方した父親と、狂気に呑まれちまった母親……それをよくよく知った上で生きたんだろ? だったらまぁ、なんだ。多分ずっとマシな生き方を選んだろうさ、別に俺としちゃそれで十分なのよ」
「凄い割り切り方ですね……」
「少なくとも、英霊だのなんだの……歴史に名前が残ってないのが何よりだぜ」
名声も悪名も、そのどちらにも在らず。
ただ真っ当に、平穏に生きたんだろうさ。
ならそれで、良いじゃん?
「マ、琴はその限りじゃないから内緒ね。アイツはアレで結構色々考えてっから」
「勿論です。人には触れちゃいけない痛みが、きっとあるから」
「おお、流石マスターちゃん。こんな良い子なら親御さんは誇らしいだろうなぁ」
マスターらと分かれてだいたい七時過ぎ……
食堂も相当混んでるだろうが、肝心の相手はというと。
「
「いや、それ表現じゃないのかよ。初めて見たわ『ゼットゼットゼット』って言いながら寝るヤツ」
「んん…………もう一口……」
「散々食い散らしただろうが……ホント俺じゃなきゃ何回死んでるか分からん。ほら、起きろバカタレ」
「ふぇ」
「幼女かテメーは」
肉体年齢二十後半、中身はその数倍だろうに。
いや、先のことは記録として知ってるだけで記憶じゃあないんだっけか。
だったら…………いや、二十後半でもおかしいな。
「____出雲?」
「おう、おはよう。もう結構な時間だぜ……」
「……まだ眠いからぎゅってして」
「付き合いたてのカップルかよ、今更そんなんじゃないだろうが」
「…………」
分かったよ、そんな目で見るな。
結局のところ俺はこの人斬り社不鬼女に逆らえないのである。
惚れた弱みってヤツだ、泣けるね。
「ほら、満足したなら起きろ。飯食えなくなるぞ」
「……生きてる」
「?」
「あったかい。ちゃんと、生きてる」
「……とりあえずシャワー浴びて……髪梳いてやるから歯磨け、そのままは色々ヤバい」
「ん」
……これだから責めらんないんだよなぁ。
大丈夫さ、今更何処にも行きやしねえよ。
八時過ぎ、食堂。
ピークもピークは過ぎ、少しばかり疎らになった席につく。
それでも何十人かは居る辺りにここの層の厚みを感じるが……
「隣良いですか?」
「ん、沖田か……それに信長公も」
「おう。来てから少し経つが、どうじゃ?」
「毎日が驚愕と困惑ばかりだ。個人的にはやはりアレだな、銃……すげぇよな文明ってのは」
黒スーツの方の悪そうな狐サン。
コヤンスカヤってえのも商人らしいんだが……近代兵器の類を多く取り扱っていてな。
武器は好きなんだ、オトコノコだからね。
俺たちん時じゃ一発一発火薬を詰めるヤツだってまだ現役だったのに、今のってアレだろ? 二十三十と連射出来る上、威力も鉄板の装甲を容易く貫く程と……
人は人殺しに於いて最も優れた生き物ってのにも納得がいくぜ。
「昼ごろにちょっとMtgして射撃してくるけどアンタもどうだ?」
「オモロそうじゃが儂今日はちょっと用事あるからパスで」
「出雲、手止まってる」
「ああ悪い……その前に物品の在庫や管理をダヴィンチ女史と話して……午後は改装工事を手伝って……」
「働くの〜……兵站を一人でやれる裏方、滅茶苦茶羨ましいわ」
「あの、そろそろ突っ込んで良いですかね」
「何だ?」
「……琴さんは自分で食べるとかって発想は」
「今日はちょっと面倒なんだ、次」
「ええ……」
信長公と真面目に話す傍ら、雛鳥のように口を開ける琴に飯を捻じ込んでいく。
丸呑みにしてんのかって速度で消失していく山盛りの飯に、出来上がりの良さを確信した。
「今更過ぎるだろ……それ言ったら昔っからだぜ?」
「それはそうなんですけどね、良くもまぁ公の場でやりますねホント……」
「私は一切恥じるところがないぞ」
「俺は慣れた、今に始まった事じゃないし」
正直これでもマシな方というか、普通に食う気があるだけ上等なんで。
甘え率七十ってところか……まだ人としての尊厳はギリギリある。
一番酷いときはね、自分で咀嚼する事すら放棄しだすから……
じゃあどうしたのかって? そりゃ、まぁ、うん、ね……?
十一時。
飯の後琴の奴は子供サーヴァントたちと遊びに行きました。
ガタイが死ぬほど良いのでやっぱり子供は楽しいよな……
大っきいモノ見るとそれだけでテンション上がるし、分かるよ。
オジサンもデッカいのは好きだから……多分違う意味だけど。
「うーん……使用予定数に反して塵と骨が少なすぎる! 証とか一回分も無えし!」
「本当に申し訳ございません、言葉もありません」
「マスターちゃん、リソースは限られてんだ。計画的にな……」
「まぁあまり責めないでやってくれたまえ、供給が不可能な品が枯渇したワケじゃないから……今のとこは……」
本当にそうかぁ? この三つしか入ってない心臓は?
「それは琴さんの強化に……」
「なるほど……やっぱり勾玉とか火薬より逆鱗とか心臓のが良かったか?」
「要らないワケじゃないけどやっぱり枯渇しちゃうかな……」
この間の特異点で俺が開いてた交換所……俗っぽく言うなら箱ガチャ。
ちびノブ達が収集してきた品をズラっと撒いたワケなんだが。
素材に若干偏りがあったばかりに、足りないモノばかり足りなくなってしまっていた。
「ヨシ、とりあえずExcelに叩き込んだから全部の素材の出納管理出来るぞ」
「……いつ覚えたの?」
「刑部姫殿やティーチ殿に一通り教わってきた、やっぱし便利なシロモノはどんどん取り入れないとな」
まず計算ミスしないってのがとんでもなくスゴい。
その上で誰がどう見ても簡単に位置や在庫を確認出来るのは更にスゲー。
そりゃ俺もね、蔵の十個そこらくらい持ってたけどさ……
何を何処にぶち込んだのか、それがいつからなのかとか……
全員に共有すんのってめちゃくちゃメンドいんだよなぁ。現代しゅごい。
「ついでに聖杯保管庫には監視カメラと罠を仕掛けておいた、安心と信頼のNFF製だ」
「私としてはそここそ信用が怪しいんだけどね……」
「やらかしたらすり潰すって脅してあるから大丈夫だよ」
滅茶苦茶ビビってるからねなんか。
理由は良く分からんのだけど、多分俺ん中のもう一人かその辺か……
ま、都合良いからそのまま言いなりになってくれたら滅茶苦茶楽なんだがなぁ。
「ちゃんとアマゾネスドットコムなんかで仕入れた奴と混合してるから大丈夫だよ」
「何もしないよりずっと良いのは間違いないからね」
「今まで何度聖杯を悪用してトンチキ世界が生まれてきたことか……」
まー俺の予想だとそのうちまた持ち出すヤツ出るだろうけどね……
話の取っ掛りとしてあんまりにも優秀すぎるから仕方ないと割り切るしかないと思うよ。
黄金律(商):A
働けば働く程無尽蔵の利益に恵まれる。天性の商才。
またそれを実現する為に最適な身体を維持する、二十四時間戦えますか?
自身に毎ターンHP回復+毎ターンNPチャージ+ガッツ(永続一回、重複可)
関係ないけど琴ちゃんは170-95-130です。本編とは何も関係ないけど。