色々あって存在しない人が居ますが気にしないでください。
次以降は多分また居なかったことになりますので。
「……遅いな」
「しかし、そう急かすモノでも無かろう」
「問題ない、八秒後にそのドアを開いて入ってくる。竜狩りよ、医療箱の準備を推奨する」
「何だと?」
カルデア某所の一室。
片やシグルド、伝承に名高い竜狩りの大英雄。
相対する席に項羽。知らぬ者も居らぬかつての覇王。
そしてもう一騎__
シグルドと項羽はかつてのカルデア、汎人類史に抗する異聞帯にて交戦し……
敗北の後、汎人類史側の正規の英霊として呼ばれた二騎。
尤も姿こそ正常なシグルドと違い、項羽は異聞の姿と混じりあった人馬が如き戦闘体なのだが。
「ふぅ……悪い悪い、待たせた……先に始めてたりする?」
「問題ない、我らも到着してからそれ程の時は経っていない」
「そりゃ良かった……じゃあ駆け付け一杯ってとこで、音頭は俺が取れば良いか?」
「いや、その、大丈夫なのか? それ……」
「……みなまで言わずとも良い。押さえておけ、
「とりあえず止血を……問題ない、当方は手馴れている」
三人の反応も当然といえば当然。
びちゃびちゃと衣を零れ落ちる血潮に濡らす快男児。
____秋無出雲(食べかけのすがた)、ここに推参である。
「あー……傷口に沁みる……」
「とりあえず目立つ所は塞いだがどうだ?」
「大丈夫大丈夫、左腕とか顔の右半分は残ってるから。俺の場合その内治る」
「凄まじい生命力だな……」
スキル無かったら流石に死んでるけどネ!
いやホント有難い、ガッツバンザイ。
食いかけだけど黄金律の効果でジワジワ治癒してくから……
「何があったと聞くのは野暮なのだろうが……」
「不要、未来を予期する必要すらなく」
「嫁に食われてました、死ぬかと思った……」
「普通そういうのは比喩表現で済むんじゃないのか?」
ウチの嫁さんね、鬼だからさ。文字通りの鬼嫁なの。
色々昂って抑えられなくなるとすんごいんだ。
結果として俺はこんな感じになる……左腕は不味いらしくて良く残るね。
「しかし、巴はそんな事なかったぞ」
「でもガサツだよなあの人も……鬼種の種族的特徴だったりすんのか?」
「そんなハズが……それに巴は言うほどじゃ……」
「あるんだよバカタレ、マトモに切りもせず焼いただけの事を調理とは呼ばん」
「何だと!?」
旭将軍、木曾義仲サマ。
平家物語で有名も有名、超絶最強の大英雄だよね。
……俺らの時代って(ry)
いや、流石にびっくりしたよね。
だって急に未実装鯖がポップしたんだもん。
ウチのアレと巴さんは凄い仲良くてな……気質とか色々波長合うみたいで。
境遇があまりにも似通ってる義仲殿とはいっぺんどうしても飲りたかったのよ。
頼むから早く実装してくれラ〇ングル! 間に合わなくなっても知らんぞ!
サムレム復刻の時こそちゃんと出すんだろうなお前らな……!?
「どうした急に押し黙って」
「いや、世界の意志を代弁してた。運営の悪徳商人に届くように」
「時々黄色い吹き出しが見えるヤツだろうか?」
「あまりやり過ぎると世界線に影響が出る、推奨はしない」
分かってる分かってる、ちゃんと自重はするから……
「エイリーク王は欠席か……残念だ、数少ない俺の味方だったのに」
「いつもこの面子で集まってるのか?」
「まぁ新参の俺が集めてるから最近からね……基本的には妻帯者のサーヴァントばっかりで、その中でもこの辺は度々集まってる方かな。ほら、全員嫁が人外だろ」
「言い方」
「事実を陳列してっだけだし……」
Liln! で俺が作った激緩飲みサー。
カルデアには割かしごまんといる所帯持ち男から、社交性の死んでないヤツをピックアップ。
ほら、某太陽王とかね……良い人だと思うけど一緒に居ると圧が凄いから。
あと太陽に類する存在だからか、近くに居るだけで俺の正気をゴリゴリ削る。
玉藻殿とかホント酷かった、初対面で殺しかけたし……
琴が押さえてくんなかったらどうなってた事やらね。
他面子はエイリーク、オリオン、坂本龍馬……
ジクフリとかカエサルとか、普通のもいるには居るんだけどね。
カルデアのカップル、人外多過ぎ問題。
いや、英霊になるような女はどっか外れてるってなら真理だけど……
普通の既婚者だとあんまりね、カミさんの方は召喚されないから……
「今回は増して人外嫁持ちしかいない、しかも皆ラブラブそうなヤツ!」
「貴殿も仲が悪いようには思えないが……」
「やっぱこう、たまには愚痴とか言いたいじゃん? どいつもこいつも全肯定過ぎる!」
「別に良い事だろうに」
おれはかなしいよ。
俺の味方はエイリークとオリオンしかいない。
オリオンは……言わずもがな、エイリーク王は良い人なのでニコニコしながら聞いてくれる。
……グンヒルドさんもまぁ、アレだけど良い人なんだよね。
無差別に呪いバラ撒いたりするけど、俺が真摯にお願いしたら対象外になったし。
「最近はグンヒルドさんに呪いとか教わってみたり、意外とオモロいぞ」
「……商人よ、何か悪しき事に利用してはいまいか」
「いんや全然……ちょっと琴に邪な想像したヤツが爆死する呪いを撒いてみたくらいで……」
「それではグンヒルド殿と何も変わらないではないか!?」
「まさか、先日原因不明の爆発事故が起きたというのは」
「アレだろ? 刑部ちゃんとヒゲ海賊が突然大爆発したってヤツ」
うん俺のせいだね。
大國主の器ってすげーよな、特に修行とかしてないのに効果出たもん。
因みにカエサルとかも爆発して死にかけてた、ザマァみやがれ。
特に人のモンに手ェ出す事に心血を注ぐような輩は後ろから刺されて死んだらええ。
「優秀な呪術師が多いからか、逆探知されてダ・ヴィンチ女史に怒られちまったよ……」
「残当である、二次被害が出なかっただけマシか」
「それはほんとにそう、いやマジで考えなしにやり過ぎたとは思ってる……でもぶっちゃけ自分の嫁に色目使う奴がいたらすり潰したくならない? 俺はなるんだけど」
「「「…………」」」
だよねぇ。
俺悪くないでしょ実際。
自分の女に要らん情欲向けられて面白くない男とかいないって……キレイゴト無しの生の感情だろ。
あ、そうそう。
こんな感じで俺が重い男って笑い話として消化してくれて構わないんだけど、一つだけ。
そこんとこ、よろしく!
「キミたち、話が盛り上がるのは良いケドそろそろ注文してくれるかネ!」
「ああすまないマスター……とりあえず日本酒、冷酒で四つ」
「バーで頼むモノじゃないよ……まぁ、私の場合所詮真似事だから構わないけれど」
マジで話してばっかで酒頼んでなかった……
とりあえず冷を、事前に預けてあるからさ。
ホントは熱い方が美味いけどいきなりだとね……
「さて、随分と前置きがながくなったケド……乾杯!」
「「「乾杯」」」
「……ん、これは良いな。何より水が良い、美味い酒だ」
「分かるか、俺の地元の酒だ。やっぱり故郷は水が合う」
褒められっと嬉しいね。
こんなになって尚、俺は京の街を心から愛してるからよ……
たった十数年、必死に走り回ったあの日々が懐かしまれる。
「当方はカルデアに来てから初めてニホンシュというのを知ったが、やはり世界には相応に多様な酒精があるのだろうな」
「やっぱり北欧ってーとアレか、エール酒」
「というより世界的には麦酒文化の国が大半だろう」
「如何せん日ノ本は米が豊かに取れる国で、四方を海に阻まれた国だからな」
「だが、日本にも麦酒はあるんだぜ? 麦焼酎は飲り過ぎると喉が焼けるが……」
酒は百薬の長……なんてアホみたいな事を言うつもりは無いが。
悲しいかな、基本的に人間は生きる意味を持たないと動けないので……
百害あって一利なし、様々な疾病になる危険性を高め、あなたの健康寿命を短くするおそれがあります。
んな事分かってんだよ誰だってさ。
二つが噛み合って初めて人間のエンジンは稼働するのです、非喫煙者は知らん。
カルデアに来てからすっかりヤニカスに戻ってしまった俺です、人前では吸わないけどネ!
琴の奴がスッパリ止めてたので微妙に肩身が狭いんだ、偉過ぎるだろアイツ。
「あ"あ"あ"あ"〜…………あ、目ェ生えてきた」
「どういう体質なんだ……」
「治るモノは治るとしか言いようがねえ」
「此方はガッツこそあれそこまで劇的な回復力はない、羨ましい限りだ」
「確かに鬼種……幻想種の中でも食人の傾向にある種であると認知しているが」
「真祖ってーと吸血種同様に吸血衝動があるんだったか、似たようなモンよ」
そっちはそっちで結構凄い生態だよなぁと。
衝動には駆られど、実際吸っちまうと狂気に呑まれる。
自身の欲求と生き物としてのあり方が噛み合ってないぜ……
「そうなると巴殿は随分善良だ、衝動的に愛した男を刺し殺そうとしたり、食い殺そうとしたりしないし」
「……比較対象がおかしいんじゃないかそれは」
「ハハハ、しかしそのような事は些事だろう商人殿」
「違いねえ、惚れちまった以上もう負けだ。何だって許せちまうからよ」
「ハハ、違いない」
どちらとも言わず盃を打ち鳴らす。
HAHAHAHA、流石Mr.シグルドは話が分かる。
琴もブリュンヒルデ殿も俺らの死後、随分やらかしたみたいだし……
それこそジークフリートのカミさんとかね、そりゃすんごいのだが。
俺たちはその事を咎める資格もなけりゃ、責める気もしないんだよな。
新撰組全殺しにして、その過程で何百何千とブチ殺して……
一度は家族を捨てて復讐に狂った、そこまでは事実なんだとしても。なんだろな。
ああ、
正直なとこ、そんな風に思ったのも嘘じゃあない。
そりゃ戦いなんて忘れて生きて欲しかったよ?
復讐に狂うまでのその過程で、どれだけの苦しみがあったのかを考えると心がズタズタになる。
でもさ、俺の為にそこまでしてくれたって部分はどうにも仄暗い悦があるのも事実で。
歪んでいても、嘘はないから。
「……やっぱウチのはかの旭将軍的には悪鬼なのかな」
「……申し訳ないが」
「いんや全然、そうじゃなきゃびっくりしちゃうし」
一つ掛け違えたらこの間みたいに日ノ本滅ぼしてるし。
そもそも無差別に人を殺し過ぎたからな、悪い鬼ではあるんだろ。
でもそれは俺に関係ないからな。
アイツの今が楽しいなら俺はそれで良い。
その為なら何でも捧げるし、何でもぶっ壊すだろうよ。
何せ一回目は自分の為に……自分の意思で最後まで他人の為に使い切っちまったから。
今度は別に惚れた女の為に使い潰したって良いだろ?
当然、マスターちゃんらの助けにもなりたいけれどね。
「ホント面白いなぁサーヴァント、最初聞いた時はとんだクソシステムだと思ったが」
「影法師とはいえ、死後に一時の再会を許される。これほど特異な事もそうあるまい」
「駆け抜けた生前に対する一片の褒賞、そのように考えて良いのではないか?」
「取り繕うなよオメーら。何だかんだ馬鹿みたいに死に別れた女と再会出来て嬉しいだろ?」
「「「……」」」
よし三人抜き、俺の勝ちだな。
マスター、店で一番強いのをショットで四つ。
「はいドウゾ。いやぁ眩しいね君たち、全員何だかんだベタ惚れじゃないの」
「せんきゅー……マスターにもそういう相手いなかったの? ナイスミドルって感じなのに」
「いやぁそれが全然でネ……若い頃はブイブイ言わせてたんだが」
「すっごいヴィジュアル系の見た目だったしなアンタ……」
差し出される四つのグラス……あ、これヤバい奴だ。見たらわかる。
サーヴァントでも下手したら潰れるな、その為に頼んだんだが。
「お前らどうもまだまだ照れと正気があって良くない、良くないぜ……という事で此方を用意しました。順番が来る度にイッキして下さい、その後にたっぷり自分の嫁のノロケ話をしていきます」
「どんな企画なのだ」
「俺がオモロい、何だかんだ三人とも堅物よりだからさ……ちょっと今日は潰してやろうかと。特に義仲殿」
「俺か?」
なんかねぇ、境遇というか死に様というか遺した影響というか。
かの大英雄にこんな事思うのも不躾だけど、他人の気がしねえのよ。
多分この回が終わった後には存在が無かったことにされそうだから、意地でもあんたの素がみたい。
腹割って話そうぜ。
「巴殿は勿論他の正妻さんたちのお惚気まで全部吐かせてやるからなオメー!」
「……面白い、乗った」
「当然、一戦士として売られた勝負は買わねばならんか」
「不可解だ、勝敗の基準があまりに曖昧すぎる」
「じゃあやらんのか?」
「……そうとは言ってない」
ヨシヨシそう来なくちゃ……ってもね、やっぱりここは作法として俺からね。
新撰組伝統のアルハラを思い知るが良い。
一番、秋無出雲いきまァーす!!!
しにそう。
あたまわれる……
全員酒強過ぎだろ、どんな生き物なんだ奴らは。
ギリギリ……ギリッギリ勝った、マジで勝敗どころじゃなくなったけど勝った。
項羽殿はなんかまだ行けそうな雰囲気あったけど最後まで飲んでたのは俺だから俺の勝ちです。
何とか自室に這うようにして辿り着く……うおお開閉ボタンが遠く見える……
ガシャリと開く扉に、倒れ込むようにして部屋に入ろうとすると何やら姦しい。
酒で鈍った頭にがんがんと響く女子の高い声に意識を持ってかれそうで……
「早く出てって下さいよ! 今日は私の日なハズですけど!?」
「いや、よく考えたら譲っただけで私が混ざっちゃいけない理屈はなくね?」
「私が嫌なんですが!? が!?」
「お前ベッタベタに甘え散らすからな……局の奴らが知ったらどんな反応するかな」
「……良いじゃないですか甘えても! 人にはオギャりたい時もあるんです!」
「……お前酒入ってるな? しかも結構……私もだけどさ」
なんだここは地獄かね?
はぁ悪霊退散悪霊退散、くわばらくわばら。
……よし、まだ改装中だけど向こうで寝ようっと。
振り返って意気揚々と、我が代表堂々退場す。
当然そんな暴挙は許されるハズもなく。
腕やら足やらを掴まれ、部屋の中に引き摺り込まれる。
人には駄目だと分かっていても挑戦したくなる時がある。
その結果失敗に終わったとしても、意志や経験は次に繋がる。
……何が言いたいかって言うとね。
マジで体調キツいからやさしくしてくれ……
飲みサー『既婚者飲み』 新規メンバー随時募集中!
カルデアには人外嫁が多過ぎます!
琴ちゃん→組長は言うまでもないですが組長→琴ちゃんもかなり重いです。
お互いにクソデカ矢印を刺しあってるふたり。
旭将軍はどうしても絡ませたくて全ての辻褄を無視しました、悔いは無い。
属性が似てるんだよね二人とも。
『鬼種の嫁を孕ませた挙句に勝手に満足死して狂わせた』ここまでだとどっちか分からないバグ。