ただ流石に毎日更新は厳しいので三日に一話くらいの頻度になります、ご了承ください。
「ハハハ、どうだマスター。そろそろ耐えらんなくなっちまったんじゃねえの?」
「ッ__まだ、まだ終わってない」
「強情だな……どうれ、も一つ入れてみようか」
「グアァッ……!」
室内の温度と湿度が急上昇し、一気に身体の自由を奪っていく。
噎せ返る程の熱気に二人の体力は凄まじい勢いで削られ、意識がくらりと暗夜行路。
しかし驚くべくはマスター、かつて北米大陸を横断したその剛体。
秋無の苛烈な責めにも未だ耐え続けている。
死線を共にしたサーヴァント達も既に死屍累々……半ば瀕死で運び出された後ならば。
今のマスターはすなわちカルデア最後の希望、屈する訳にはいかなかった。
「にしても驚えたぜ、ウチの情けない隊士共は早々にリタイアしたのになぁ」
「慣れてないだろうからね……」
「ほう、自分は慣れてると来たか……だったら全力で行くぞ!」
「ッツ!?」
大国主の器、建御名方の半身。
そんな規格外の膂力でもって全身全霊で扇ぐ。
その暴威たるや最早斬撃、叩きつけられた熱風は瞬く間にマスターを焦がし、その辛抱も焼き尽くした。
「ッ〜! ギブ!!!」
「……良く耐えた、すげぇぞマスターちゃん」
「……おまんら、何しとるがじゃ?」
そんな二人を呆れた様子で見ていたのは以蔵。
当然カルデアの個体なのであの時のような綺麗なヤツではなく。
見慣れたいつも通りのクズ個体である。
場所をカルデアの一角……職員や一部サーヴァントの為に設置された
頑強なサーヴァント用のキメキメセッティングにで悶える二人であった……
尚、マスターは男性体になっている為倫理的問題は一切発生していないモノとする。
「お疲れ様です、先輩」
「ありがとマシュ……あ"あ"薄いスポドリが身体に沁みる」
「人の身体にとやかく言うのもアレだけど、どういう体質なのマジで」
汗を流し、水風呂の後に暫し身体を休め……服を着て出たワケだが。
よくよく冷やしただろうスポーツドリンクを飲む間にみるみるマスターの姿が変わっていく。
身長は縮み、胸が膨らむと同時に髪は緋色に。
飲み干すまでの僅かな時が経てば、そこに居るのは見慣れた女の子のマスター。
……とりあえず、彦斎には良かった……のか?
俺は理解のある商人だから、女の子同士とか全然良いと思うけど。
古馴染みにもそういうの居たし、衆道とかも珍しくない時代だったし……
でもまぁ、やっぱり普通に男女の組み合わせの方が良いとは思うから……
俺のオススメはマシュちゃんか彦斎かね……人外はやめとけってアドバイスを。
人生の先輩としての言葉さ、是非心に刻んでくれ。
麗らかなる日々……マスターを探してたら丁度サウナ行くとこだったからご一緒させて貰ったんだけどね。
世界の神秘というか……何かやっぱり現代になって神秘が薄れたって嘘だと思うんだ俺。
マスターちゃんは死徒だったりする? 英霊どもと轡を並べてるからまぁないか……
まぁ良いや、そんな事は些事に過ぎない。
「ついに準備が終わったぞ! 見せるのはマスターたちが一番だ!」
「声デカ」
「因みにダ・ヴィンチ女史やW所長の許可も取ってないぞ! 書記官殿に殺されるかもしんないが!」
商いは止められねぇんだ。
こういう『許可が出るかどうか微妙なライン』の物事は先んじてやっとくとお得。
営業実態があると下手に止めろとも言い難くなるだろうしね。
マスターを真っ先に呼んだのも勿論理由アリでさ。
何だかんだ人理救済の立役者、マスターちゃんの鶴の一声には逆らえなかろうと。
打算マシマシ下心オオメ、商人として利益追求は性だよねえ……
「という事でご同行願いたいんだが、この後大丈夫?」
「とりあえず緊急の要件はないかな」
「私も同じです」
なら良かった、『同行』使用……ってもまぁ徒歩なんだけどね。
マスター達を引き連れて、ぶらぶらと歩くは見慣れたボイラー室付近。
この辺は区画整理がなっちゃいねえよなぁ……
雰囲気だけなら地元の裏路地、九龍城の一角ってえ中途半端さだぞ。
「着いたぞ……ちょい待ち」
「……沖田さんとノッブの部屋?」
「おう、っても沖田は大体俺らの部屋に入り浸ってるし……信長公もどこぞに行ってる事が多いからな。不在中に勝手に俺の方で使わしてもらう事にした」
「良いんでしょうか、流石に不便なのでは……」
「ま、居住スペースはなくはないし、そこで雑魚寝して貰うくらいは可能よ」
俺も何度か琴沖田から逃れる為にここに避難したよ。
建築思想が俺の知識ベースだからか妙に落ち着くんだよなぁ……
それが災いしてノッブに襲われた事もあったケドね!
何で受け専なのにあんな自分から来るんだろね魔王サマ。
「……あ、やべ、看板掲げなくちゃあな……ちょっと待っててね?」
「あ、はい……」
薄らでかい大男は勢いよく部屋の中へ滑り込むと、何やら仰々しい木の板を担いで出てくる。
秋無の巨躯ゆえに軽々と持ち上がっているが、どう見ても100キロはくだらぬ代物。
それを扉のすぐ横に置いて一度此方へ、まじまじ眺めた後に微調整。
再度眺めて満足そうにニヤリと笑えばさぁ完成。
『春夏冬亭 第一号カルデア支店』
「ヨシ!」
「どこがヨシなの、どこから突っ込めば良いの」
「第壱号ってここから増やすつもりなんでしょうか……」
そりゃ勿論。
意外や意外、カルデアには錚々たる世界の商い人が居るじゃないの。
向こうさんと比べりゃ俺は新参、新たにシマを荒らしに来た敵だぜ?
野望はでっかく青天井、いつだって上を向いてなきゃ食われちまうよ。
「まぁまぁ、マスターにとっても悪い話じゃないんだぜ。とにかく入りな」
「……お邪魔します?」
「邪魔するなら帰って〜……なんてな」
因みにバリバリの京都っ子である俺が京言葉を使わないのは矯正してるからです。
商人が皮肉や煽りをゾロゾロと口から垂れ流すワケにはいかないっしょ。
親父殿もそうだけど意外とおんで、同じ考えの奴。
まぁなんということでしょう。
良くも悪くも機械的で冷たい雰囲気のカルデアの廊下から、敷居一つでなんたる変貌。
ほのかな温かみと懐かしさを感じさせる美しい板張りの内装。
こだわりの飾り柱と梁は厳選した一本材を惜しみなく使用し、壁には焼杉と漆喰でかつての店舗を再現。
同時に、
その奥に控えるは真っ黒な羽織を纏ういつものナマモノ。
つまりは勘定ノブギョー復活であった。
「あ、組長! 早速お客さんノブか?」
「おう、第一号はなんとマスターちゃんだぞ」
「それはめでたいノブ! 是非ゆっくり見てってノブ〜」
「どんな改築をしたの……というかここは?」
「見ての通り、古今東西の珍品名品揃いの問屋さ……ま、少し見てみな」
「珍品……あ! 心臓だ!」
気付くのが早いね。
手っ取り早く言っちゃうと春夏冬亭カルデア支店のサービス、それは素材の販売。
やっぱりさ、周回せど周回せど貯まらない素材には辟易としちゃうじゃん?
マスターちゃんのほんの一助に、仕入れが日替わりなのは勘弁して欲しいが……
「これ、売ってるの?」
「モチロン、欲しいかマスターちゃん」
「そりゃ勿論! ……何これ、6……?」
「交換レートだ……説明してやれ、ノブギョー」
「はいノブ! お前たち、アレ持ってこおいッブ!」
「カンジョノブ!」「カンジョウノッブ!」
てちてちと小柄な黒羽織のちびノブ……勘定ノッブ達がボードを持って現れる。
二体のちびノブはノブギョーの左右に並び、自信満々に板を掲げ……
「あ、逆ノブね」
「「ノブッ!?」」
並び方を間違えた事に気付き、慌てて左右を入れ替える。
「と言っても仕組みは単純ノブ、この店には日替わりで四つ程素材が並ぶノブよ……マスターには欲しい素材と手持ちの不要な素材を交換して貰おうって事ノブ!」
「交換レートは銅素材で1p、銀なら2、金なら3って感じだな……」
「大体素材の販売価格は倍って認知で良いノブ、でも仕入れによってはお安くするノブよ?」
「……実質倍必要って、暴利なんじゃ」
「手数料だ、まぁ不要な素材がある時にでも覗きに来てくれ」
差額の素材はどうするのかって?
それはナイショ、俺の方で上手いこと捌いとくからさ……
「因みに集めてきてるのはシフト制の調達ノッブ部隊だ。一日おきに交代交代で何処かに素材を探しに行ってくれるんで……今ならノブ撰組班が休んでるから、欲しい素材があるなら頼んで見たらどうだ?」
「お願いして持ってこれるモノなの?」
「さぁ? 何せ自由気ままに動き回る連中だからな……だがお願いすれば
「石じゃなくて欠片で良いんですか……ちびノブさん達の生態はよく分かりませんが」
ちびノブ達には俺の方から別に金平糖を給金として払ってるからな。
なので外つ国で言うチップみたいなモンさ、弾んでやったら喜ぶだろう。
素材一覧を吟味して僅かに考えたマスター、手元の端末を確認し……
「……とりあえず並んでる分、全部勾玉と交換で良い?」
「毎度ー!!!」
春夏冬亭は無事にお客様第一号との取引を成功させたのだった。
「……あ、藤丸くん。それに都合良く秋無くんも……悪いけど、少し良いかい?」
「勿論。カルデアの頭脳たるダ・ヴィンチ殿に逆らうヤツなどおるまい、なぁ?」
「何で私に振るの……何かあったの?」
「うん……まぁ、見て貰った方が早いと思うから、とりあえず管理室へ」
……何だ? わざわざ俺もって事は……また奴らが何かやらかしたのかね。
マスターちゃんはともかく、俺を巻き込む理由なんてそんくらいしか思いつかんし。
怒らせると怖いからなるべく神妙な顔立ちのまま向かおうっと……
「……ん、来たわね二人とも。迅速な対応は感心だわ」
「お褒めに与り光栄だね所長ちゃん……んで? 何のために俺らを?」
「呼ばれて飛び出てナンチャラカンチャラ! 私も居るぞ!」
「……何故私まで?」
琴もいる、というか沖田までいる。
確定じゃん、絶対新撰組案件じゃん。
嫌だな~戸ずまりすとこ……というワケにもいかないよなぁ。
「まずは概要から、微小特異点が発見……といっても新しいモノじゃない。君たちが解決した特異点の残穢が寄り集まって再度カタチを成したと言った方が良いね」
「それの解決にまた向かえと? しかし、そこまで大所帯でやる事か?」
「……これ自体は放置してもそのウチ消えるモノよ、だけどね……」
「一部のサーヴァントの反応がカルデアから消えた、それを追ってこの特異点に辿り着いたのさ」
「なるほど、消えちまったら皆も巻き添え。回収も必要なんだね?」
「正解……じゃ、これを見て欲しいんだけど」
ダ・ヴィンチ女史が映し出した一つの映像。
実は先遣隊として新撰組のいつメン……沖田と琴以外は先に潜ってるのだと。
……前回は何の役にも立たず、あまつさえ闇堕ちフォルム的なヤツで迷惑かけたからな。
多分その辺りが気まずいんだろ、奴ら根が真面目だから……
『……カルデアへの報告、この特異点はやはり京都で間違いない』
「ん、近藤の声だ……しかし京都だと? 俺のアレが混ざっちまったのか?」
「この後だ、よく見ていてね」
ふむ?
『だが……やはり我々の知る京都とはかなり隔絶している、既に何ヶ所か明らかな相違を発見しており……速やかな解決の為、やはり我らが金庫番の知恵を借りたい……彼は地元の人間だからな』
「おう、そこは頼りにしてくれよ……で、相違ってのは何だ?」
『……見てくれ、私も自分の記憶が必ず正しいとは思わないのだが……』
そう呟いてカメラに映るのは何とも見慣れた清水寺。
相変わらずすげぇ場所だよなぁ……高いとこ怖いやつに優しくないぜ……
そして清水の舞台の向こうにそびえ立つ巨大な城。
そうだね、京都名所チェイテピラミッド姫路城だね。
懐かしいなァ〜京都での日々が蘇るようだ……
「何だアレ!? あんなクソみたいな建造物がある訳ねえだろ!?」
『他にも我々の知る京都とは幾つか違いが発生しているようだ。新撰組、以上』
「待て近藤! 他ってなんだ!? アレだけじゃないのか!?」
「これは録画だから今叫んでも仕方ないよ……さて、百聞は一見にしかず。任せて良いかい?」
「……任された、人の地元に何してくれてんだよマジで……」
「なぁ、もしかしてこの後ずっとこんな感じなのか? シリアスとか難しい?」
ぐだぐだのアフターストーリーにそんなモノを期待するな。
はぁ……気が重い……
マジで元凶を見付けたらギタギタのメタメタ、京都に手ェ出した事を後悔させてやる……
「具体的には『炒飯が微妙にベチャつく呪い』をブチ込んでやる、生涯ちょっとガッカリしろ」
「うわ、絶妙に嫌な呪いだ……」
グンヒルド殿とキャット殿との共同開発です。
キャット殿はね、タケミナカタも最初は反応してたけど対応に困って出てこなくなった。
なので珍しく俺がマトモに会話できる玉藻族のお人なのよね……
『春夏冬亭 カルデア支店』
組長とちびノブが営む店、日替わりで物々交換式に素材を持ってきてくれる。
聖晶片を二つ与える事でちびノブ達のやる気が上がり、二日後の素材数が増える。
組長の一部である勘定ノブギョーを起点にいつの間にか増えていた模様。現在十三体。
鬼の金庫番:B
クセの強い隊士たちの中でいて、彼は確かにその財政を守り抜いた。
決して極端な節制に在らず、締めるところは締め、緩めるところは緩め……
不測の事態すら考慮し、限られた予算を一切の無駄なく割り振る技能。
味方単体に攻撃力up(3T)を付与+【CT前借り状態】(CTを一時的に0にする、使用後のctは増加する)を付与(1T)+自身にコマンドカード選出不可状態を付与(3T)、『秋無出雲』には使用不可
総評 地獄のクソタンク鯖。