西行寺幽々子先輩に恋をしてしまった飛竜を斬った子孫 作:黒い小説家
俺の名は霜月龍舞、高校1年生、みんなからはワンピースのキャラクターであるリューマからリュウマと呼ばれている。
何せ俺の親が先祖である俺が霜月リューマの伝説である空飛ぶ龍を斬り落とすように強くなって欲しいと言う理由でその名前をつけたらしい。
家には代々語り継がれてる本、そして黒刀秋水がある。
黒刀秋水は先祖代々霜月家の家宝であり、当主になる者だけが持つことを許される伝説の名刀だ。
そんな現実離れした家柄や家系から、俺は一目置かれているが孤立していた。
空飛ぶ龍を斬り落とした子孫なうえ、あまり口数が少なく人を寄せ付けないような気配を発してるからだ。
だからみんな放課後、ファミレスやらカラオケやら行ってる中で俺は一人教室で孤独に学校で過ごしていた。
でも、それは最初のうちだった。
俺に興味を持っていたのか、それとも一人ぼっちで可哀想だと思っていたのか、それは知らない。
でも、唯一俺に気軽に話しかけてくれる人がいた。
それは一個上の先輩の西行寺幽々子さんだった。
ピンク髪のミディアムヘアーにZUN帽といういでたち。
帽子の三角の形をした布が何となく幽霊を想起させる。
幽々子先輩は西行寺家のお嬢様でお金持ち、そのために何人か従者がいるらしい。
彼女はいつも俺が教室で一人ぼっちになった時に現れる。
そして色んなことを話し合う。家柄のことや俺の家に伝わる伝説などを興味津々で聞いてくれる。
聞けば、幽々子先輩の家系もちょっと特殊らしい。
何せ、幽々子さんの先祖は国語や現代文の隅に書かれている西行法師の子孫だという。
お互い特殊な家系に生まれたからこそ意気投合して話が良く合う。
そんな幽々子先輩と話す時間が俺の学校生活の中での唯一の楽しみだった。
「幽々子先輩って和歌とか歌えるのですか?」
「まぁそうね、家の家柄上で和歌を歌えるように教育されてるから」
「大変ですね。難しくないですか?」
「別に大したことないわ、コツさえ摑めば誰だって歌えるわよ、今度リュウマ君も歌ってみる?」
「そうですね、機会があれば。僕も家柄上剣術や武士道を家で学ばないといけないので、ひまな時間があったときにお願いします」
そんな他愛も無い話を高校に入学してから一ヶ月以上続けていた。
幽々子先輩は和歌を俺は剣術や武士道を、辿ってる道はそれぞれ違うが、なんか親近感が湧いてくる。
「でも凄いわよねリュウマ君の先祖、大昔に空飛ぶ龍を斬り落とした伝説の侍なんだから」
「確かに凄いのは認めますが、正直そんな伝説の侍の名前を俺が引き継ぐなんてプレッシャーが…………」
幽々子先輩から目を逸らし、少し絶望したような表情を浮かべる。
何せ大昔に龍がいること自体が驚きだし、そのうえ空飛ぶ龍を斬り落とした伝説の侍なんて、しかもその伝説の侍である霜月龍馬が俺の先祖だなんて。
ましてやそんな優れた能力も力もあまり持ってない俺に伝説の侍の名前を名付けた親が正直恨んでしまった。
「リュウマ君の気持ち、わからないことないわ。私の名前も西行法師の娘からきた名前だから。プレッシャー感じちゃうのも無理はないわよね」
お互い特殊な家系なためなうえ、先祖の名前を受け継いでるからプレッシャーを感じることが多い。
そんな他愛も無い話をしているとリュウマの胸が締め付けられるように苦しくなってきた。
いつもならもっと話しているはずだったが今日は違った。
そして
「今日はこれでお開きにしましょうか」
「どうしたの急に?どこか具合でも悪いの?」
「いえ、これから剣術の鍛錬をしないといけないので、それじゃあ」
「えっ……あっ……うん……気をつけてね」
「それじゃあまた明日」
そう言うとリュウマは席を立ってカバンを持ち、教室から出ていってしまう。
今日のリュウマの様子がおかしかったことを察していた幽々子は心配だった。なんか自分変なことを言ってしまったのかと。
そんな心配する幽々子の気持ちなんて関係なく、別の人が教室に入ってきた。
銀色の髪をボブカット、黒いリボンがあるカチューシャを付けている。眼の色は暗めの銀色で服装は制服を着ている。
「幽々子お嬢様、ここにいらしたんですか」
「あら妖夢、剣道はどうしたの?」
この子の名前は魂魄妖夢、祖父が西行寺家の従者であるため学園の幽々子の従者でもある。クラスは違うが一応リュウマの同級生である。
「今日はお休みにしました。幽々子お嬢様が心配なので、一体何故この教室にいたんですか?」
「リュウマ君と話してたの」
「またですか……リュウマも暇なら剣道部に入ってくれれば良いのに、全国大会優勝間違いないですよ」
「駄目よ妖夢、リュウマ君も本当は忙しいの」
「そうなんですか?勿体無い人材を放って置くほど私は無能じゃないですよ」
「まぁ、良いじゃないの。取り敢えず帰りましょ。ところで今日の夕飯は何かしら?」
「ビーフシチューとか色々考えてます。」
そう言ってリュウマが帰った数分後に幽々子が席から立ち上がると二人は教室を出ていき屋敷に帰っていった。