レダと同士たちVS褪せ人&ティエリエ&アンスバッハ&血の貴族ナタンwith……   作:風袮悠介

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新年一発目ということで、初夢で見た内容を書いてみようと思います。


誰だよお前

「やはりやってきたか……」

 

 影の地にそびえ立つ巨大な建造物、エニル・イリム。その清めの間と呼ばれる広い空間。

 かつて永遠の王女マリカが行った虐殺の惨状が残り、痛ましい痕跡が残るこの地にて、王となるべく旅を続けていた、黄金の祝福を失いし褪せ人が辿り着いていた。

 マリカの子――デミゴッドを討ち取り、大ルーンを奪い、ラニとの出会いによって彼女の王となることを誓った褪せ人が、この地にて暗躍する最も恐ろしいデミゴッドである聖樹のミケラを倒すべく、訪れた。

 

 広く荘厳な雰囲気を出す清めの間……巨大な支柱に砂が敷き詰められた、空洞のような場所で、褪せ人は一人の騎士と向かい合った。

 

 針の騎士、レダ。

 

 ミケラに仕えし騎士であり、ミケラを信奉するものたちをまとめる同士たちの代表。

 ミケラを守る騎士団に所属していた彼女だったが、その本性は信じられないなら誰でもその手に掛ける、極端な人間不信を患った粛正者。かつて、己の仲間ともいえる騎士団の面々ですら、彼女の手に掛かった。

 

 ミケラの魅了によって強制的に信じさせられてる間だけ、彼女は同士を信じ清廉潔白たる騎士として正常な精神であったというのは、なんとも皮肉な話である。

 

 ミケラの大ルーンが砕けたことにより己の本性をさらけ出した彼女は、ミケラを手に掛けようとする褪せ人と対峙することとなった。

 針の騎士団の鎧、サーコートの下にあった軽大剣を抜き放ち、彼女は言った。

 

「……君は、ミケラ様でなく、黄金樹に導かれているのだろう? 王に、なる者として」

 

 そうだ、と褪せ人は返す。彼もまた、手に大剣――ラニから授けられた、暗月の大剣を手にしていた。

 

「ならば、君は何故、この地にやってきた。……ミケラ様が、あるいは黄金樹が、望んでいるというのか。自らの王たちが(まみ)え、雌雄(しゆう)を決することを」

 

 それはわからない、と褪せ人は言った。レダは褪せ人の様子を見て、溜め息交じりに答えた。

 

「……まぁ、いい。この先に、ミケラ様の元に向かうというのなら――何者であれ、我が剣で貫く。それだけだ――ミケラ様に、近付くな」

 

 レダは褪せ人から一歩離れ、軽大剣を構える。

 その後ろの柱から、一人の男が現れた。――同士の一人、落葉のダン。己の手足を武器とする拳法使い。

 男もまた、徒手にて構えを取る。

 

「針の騎士レダが、落葉のダンが、その同士たちが、お前たちを許しはしない」

 

 二対一か、と褪せ人の大剣を握る手に、汗が滲む。二人とも相当な強者だ。

 そこに、なんともう三人が、先に進めための道から現れた。

 

「赤獅子のフレイヤ――時は来た。嬉しいよ、お前が敵手で。折角だ。お互い、存分に燃えるとしよう」

 

 一人はラダーンに使えた者の一人、赤獅子のフレイヤと名乗る女傑。

 その手には筋骨隆々とした彼女に相応しい、業物の大剣が握られていた。

 

「……あの女の言ったとおりか」

 

 男は変わった双剣を手にしていた。角人と呼ばれる男は、元々影の地にいるものだった。己の一族を虐殺したマリカを、メスメルへの憎悪と復讐心を胸に、生きていた男。

 

「お前が、黄金樹の、マリカの王ならば――確かに、復讐に相応しい」

 

 褪せ人の頭に焦りが生まれる。現れた三人目を見て、動揺しているのだ。

 

「……君と、戦う。悲しいことだ」

 

 それは、かつて交流し、仲間として様々な交流を行った、ムーアという人物だった。

 穏やかで大人しい彼と戦わねばならぬのか、と。

 これで五対一……さすがにここまで、数えきれぬほどの修羅場と死線を潜ってきた褪せ人とて、この状況は拙いと考える。

 

 だが褪せ人も一人ではなかった。

 褪せ人の後ろから、二人の人物が現れる。思わずそちらを見た褪せ人の胸に、安堵が去来した。

 

「……純血騎士アンスバッハ。今刃を掲げ、血に狂わん。我が主、モーグの尊厳のために」

 

 アンスバッハ。モーグに忠誠を誓った、壮年の男。顎髭の鉄仮面を被った老兵。博識で聡明であり、人格者でもある彼がこの場にいるのは、己の主人たるモーグの尊厳のため。

 遺体を奪われ、好き勝手に使われるという事実に、彼はミケラに敵わないと知りながらも、主の忠義のために立ち上がった。

 それがかつて主人を討ち果たした褪せ人の味方となろうとも――尋常の一騎打ちにて敗れた以上は責める四角は自分にはないと言い切る、模範たる騎士。

 

「……さて、フレイヤ殿。私の刃は、赤獅子のお気に召しますかな?」

「感謝します、アンスバッハ殿。貴方の刃は、戦慄するほどに美しい。……だからこそ、我が手でへし折りたくなります!」

「……お見せしましょう。我が刃を」

 

 アンスバッハはかつて、破砕戦争に参加していたのではないかと褪せ人は考えていた。

 かつてその戦争にて振るわれた刃が、味方側であるはずの褪せ人の背筋に冷たい感触を覚えせさせる。これほど味方であることを頼もしく思ったことはないだろう。

 その刃を向けられたフレイヤの頬が、酷く好戦的に歪む。

 

「……ただ、トリーナ様のために。……すみませんでした。貴方を疑って。けれど今は、トリーナ様の願いが、私の全てです。……ミケラ様を、止めます。神になど、しません」

 

 決意を胸にする青年の名前は、ティエリエ。己が信奉する聖女トリーナ――ミケラの半身である彼女から托された願いは、ミケラを止めてであった。

 神にしないでほしい、ミケラを殺して。そして、許してあげて、と。

 ティエリエはその声を最初に聞いた褪せ人へ嫉妬のあまり襲いかかるが、それがトリーナ様の願いならば、と決意を固めてこの場に現れた。

 

「……ムーア殿。貴方とは、戦いたくない。けれど、私には、譲れない言葉ができたのです」

「……ミケラ様が、すべて、忘れさせてくれる」

「私は見誤ったようだな。君を。あるいは、トリーナ様を……せめてもの詫びに、我が剣の神髄を見せてやる」

「剣では斬れず、鎧では防げぬ。侮るな。ティエリエの毒を」

 

 ティエリエの目に、レダへの殺意が宿る。いつもの口調よりも荒々しい敵意から、ティエリエが本気であることが十分に伝わってきた。

 

 もはや戦いは止められない。

 全員が、武器を、新年を携えて、この場にいる。

 一触即発。

 

 だが、さらに褪せ人の後ろから一人の男が現れた。

 

「……血の貴族ナタン」

 

 男は名乗りを上げた。純潔騎士としてのローブを纏い、手に武器を携えた男。

 

「褪せ人よ、味方しよう」

 

 褪せ人側に立ち、レダたちと対峙した。手に力が籠もり、目は鋭く細くなる。

 

 褪せ人は思った。

 

(……誰?)

 

 褪せ人は混乱した。

 己の旅の中で、こんな奴と知り合ったことがあったっけ? と。

 レダは褪せ人を見て、さらに仲間を呼んだかと警戒色を強めていたが、とんだ誤解である。

 

 知らない、こんな人知らない。

 

 思わずアンスバッハを見れば、不思議そうにこっちを見ていた。

 褪せ人殿の知り合いではあろう? と言いたげな目だ。

 ティエリエも同様に、褪せ人の仲間なんだと安心してる様子。

 

 知らない。こんな人知らない。

 

 なんかモーグウィン王朝の関係者っぽい格好をしてるからアンスバッハに聞こうとしたが、アンスバッハ自身が褪せ人の仲間だから知ってるんだろう、と思い込んでる様子だ。

 この空気の中で「お前誰だよ?」と聞く勇気が、褪せ人にはなかった。

 変なことを聞いてナタンが敵側に回ったら面倒くさいし、大変だからだ。

 なんかよくわからないがナタンは褪せ人に恩義がある……あるはずだ、あると思われていてこちらの味方になっているのだから、誤解であろうとなんだろうと解くのは得策ではないと判断した。

 

 というか戦いの前に混乱したくない。

 

 仕方が無い、戦いが終わったあとに聞いてみるか、と問題を先送りにした褪せ人の隣に、さらにもう一人の男が立った。

 

「よう、間に合ったな。俺の太陽」

 

 いつの間にか現れた男は、黒き刃の鎧一式を身に付け、手にするは使命の刃と黒き刃の二本短剣。

 軽薄そうな態度の下にはあるのは金色の髪と、褪せぬ金色の瞳。

 しかし、同鎧には何故か太陽と月の絵柄が描かれている。

 

 男は褪せ人から離れると、両手を広げ両側45°の角度にまで上げると、何やら祈りを捧げてから剣を構える。

 

「さあ行こうぜ。この先、太陽があるぞ。黄金色に輝く、月という名の太陽がな。共犯者よ、ここで止まらないだろう?」

 

 好戦的な態度で言い切った男は、名乗りを上げた。

 

「白き刃、カーリアンウィル・ウィン・ゴッドゴールド・マリカルス。故あって褪せ人に助力致す。葦名より流れ、かつての主ローリアン様を救えず、葦名源二郎の名前を捨てた私を拾ってくださったマリカ様への恩を返せず、死にきれないまま償いきれぬ罪と日食を背負ったこの身なれど、まだやれることと、月食があるのでな」

 

 頼もしいほどの闘気を放つ男を前に、褪せ人は震えた。

 

(誰だお前?)

 

 誰だお前!?

 

 本当に知らない。何やらバックボーンを語ったようだが、そんなもの聞いたことがない。

 今にもレダたちに飛びかかろうとしているが、なんでレダたちと敵対しているのかすら知らない。

 

 意味ありげなことを言ってるようだけど本当にわからない。というかこんな男、どこで知り合ったのかすら覚えてない、というか確信を持って言えるが出会ったことすらない。

 思わずアンスバッハとティエリエを見るが、彼らも知らない。困惑したままだ。

 褪せ人なら知ってるだろう、と思ってるようだったが、当の褪せ人が知らないのだから困ったものだ。

 

 レダたちの方を見たら、一応これで五対五……戦力として並ばれたことで、レダは少なからず警戒を高めているようだった。他の面々も、なんかマリカと関係があるんだな、くらいに思ってるらしく、レダと同様の態度を取っている。

 

 知らない。この人知らない。

 

「よう、ナタン。お前も来たのか」

「……ふん。死王子の隠し刃の残党か。奇異な縁だ」

 

 お前ら知り合いなんだ!? と褪せ人はさらに混乱した。

 どうやらゴールド? とやらとナタンは知り合いらしい。だが褪せ人はこの二人が誰なのか知らない。

 というかお前ら誰だよ、俺とどこで出会ったんだよ!? と褪せ人は思うが聞けなかった。

 

「お前だって、モーグ様のために来たんだろ。俺だって月食がなければこの場にいないさ」

「月食か……血食(けっしょく)を為すためには仕方ないことだ」

「それにはモーグ様の尊厳を守らないといけないからな……死王子は俺の恋敵だが、フォルサクスが俺に托したんだ。日食と月食を合わせろとな。仕方がねぇ、親友がそう頼むんだからな」

 

 何を言ってるかわからない。

 

 意味深なことを言ってるのはわかるが意味がわからない。なんか死王子とやらと知り合いらしい、というかフィアの知り合いなのか? とも思うがフィアはこいつのことを語ってなかったし、どういう関係かもわからない。

 それよりもナタンがそういう事情を知ってることにも驚きだが、彼らは何を知ってるのか。

 

 アンスバッハを見たが、首を横に振った。

 知り合い? と聞くと、知らない、と答えられる。

 

 じゃあ誰だよこの血の貴族??

 

 ティエリエに知ってる? と聞くと褪せ人の知り合いでは? と返された。

 

 知らねぇよ誰だよこいつら。

 

「……忘れてるだけかもだけど」

 

 唐突にムーアが口を開いた。

 全員の目がムーアに向けられた。

 

「二人は、誰? 褪せ人とどんな関係?」

 

 その瞬間、ゴールド? とナタン以外の全員が内心で思った。

 

 よく聞いたムーア!!! と。

 

 レダたちも褪せ人の様子からどうやら知り合いですらないことを察したらしく、じゃあ誰だよこいつら? と思っていたらしい。

 だが、なんというか、そう、空気、空気感が聞くことを躊躇させたのだ。

 だからこそ、その空気をぶち破って疑問を口にしたムーアへ、内心では拍手喝采を送ったのだ。

 

 ゴールド? とナタンはお互いに顔を見合わせた。

 

「俺はナタンと七対三の義兄弟の契りを交わしたものだ。褪せ人は俺の太陽であり共犯者、月食の器であり皹でもある」

 

 ナタンは頷き、そのまま武器を構える。

 少しの間、沈黙が流れた。

 

 え? 終わり?

 

 全員がそう思ったことだろう。詳しいことが何もわからない。

 何を言われたのかわからない。

 

 全員がムーアを見た。もう一度聞いてくれ、と。

 わからないまま戦いたくない、と目で訴えた。

 

「二人は」

「話はもう終わった。時間が迫ってる。このままだと黄金樹と影樹と聖樹の根が干渉し、死王子の瘤と結び付くことで『大災害』が起こるぞ。神の門の鍵が閉じ、暗証番号が大地に刻まれてまう。お前らはそれが狙いだな」

 

 だからどういうことだよ!? と全員が叫びたかった。

 なんか重い事情があるらしいが、なんのことかわからない。何が言いたいんだ、と内心では疑問が湧き上がっていた。

 

 その後、なんか戦闘が始まって終わった。

 事情を聞こうとしたらさっさと二人は帰ってしまった。

 

 なんのことかわからないまま、褪せ人はモヤモヤした気持ちを抱え、ミケラの元へ向かうのだった。




リアルにプレイしてても「血の貴族ナタンって誰?」てなってたのが、新年1発目の夢でした。
1/2の朝目覚めたとき、続きを見てしまったら続きを書きます。

あとゴッドゴールドは偽名でゴッドゴール・Dだったり、などということはない。
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