ブルアカ転生記譚   作:背教者

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 今話の視点は先生のみ
 最初は先生とレイトだけで、途中からニヤとアヤメが出てきます



Vol.-1 彼岸と此岸の狭間編
【幕間】桜花祭の後日談 前編(レイト&ニヤ&アヤメ)


 

 百鬼夜行桜花祭から数日の時が過ぎた。

 

 百鬼夜行に行っている間も貯まっていた書類は、謹慎中だけどボランティアで手伝ってくれるカンナや当番代わりとしてユキノやミヤコ達がある程度捌いてくれてたお陰でそこまで貯まっていなかった。

 捌いてくれていた皆には私の方からお礼や労いを渡したが、当番だったら出される給料に比べれば全然少額。それでも喜んでくれるのは嬉しい事だ。心苦しくはあるが。

 

 転生者の皆が言う『原作先生』や『前世先生』がほぼワンマンでこなしていた理由がこの心苦しさから来るものだとしたら、ちょっと理解できるかもしれないと思った。

 まあそれでも自分もワンマンでやろうとは思わないけど……

 私は彼女達が言う『原作先生』や『前世先生』のようにはなれない……

 

 そんな感じで平和な日常に戻った今日のシャーレオフィスには、数日ぶりの当番であるレイトが来ていた。

 午前中は小・中規模の学校との顔合わせの案内や依頼で入った外回りでの戦闘、昼食を挟んで午後からは書類仕事に勤しんだ彼は、前の当番の時と違って特に疲労を見せず黙々と仕事をこなしている。

 

"レイト、そろそろ休憩しよっか。なに飲みたい?"

「……先生と同じもので」

"コーヒーのつもりだけど大丈夫?"

「ああ」

"オッケー"

 

 それでも疲れは貯まっている筈だと踏んでいる私は、有無を言わせないとばかりに休憩に誘った。

 普段から借金返済の金策や夜間の警邏で動き回っている事を知っていると、あんまりシャーレの当番で負担を掛けたくないという想いがあるのだ。

 部長に据え置いておいて何をという話ではあるのだけど……

 

 それに以前の当番の時の彼は仮眠していたから、ユウカ達みたいに雑談が出来なかった。つまり私は彼自身から彼の事をあまり聞けていない。

 初日のシャーレ奪還戦やSRT廃校反対をはじめ多くの事を助けてもらっているのに。

 だから私にとって、この休憩は彼の事を彼自身から聞いて知る絶好の機会だった。

 

"レイト、最近のアビドスはどう? 襲撃ってまだ続いてるの?"

 

 コーヒーを手渡し、ソファに座りながら問い掛ける。

 彼はブラックのまま口に含んだコーヒーを飲み下した後、思案顔になって口を開いた。

 

「続いてはいるが、最近は散発的だ。以前は一日に二回来ていたが今は一、二日に一回のペースに落ちた。拠点の数も半分以下になっている」

"へー! 良かったね! でも何がキッカケだったんだろうね"

「俺がシャーレの部長になった事、またほぼ同時期にシャーレの最高権力者である先生がSRTの指揮権を担ったからだろう。今は謹慎中だが、公安局局長とも懇意にしている。下手にアビドスを襲い続ければシャーレとSRT、ヴァルキューレが出てくると考えれば、怖気づくのも納得だ」

 

 彼はそう言ってマグカップをぐびりと呷る。

 その彼の話に、私は首を傾げた。

 

"でもそれ、私が来る前も同じじゃない? レイトってSRTの生徒や連邦生徒会長、カンナ達と仲良いよね"

「個人を重視しているが故の評価だな、それは。個人が与える影響など高が知れている。重視されているのは組織としての繋がりだ」

 

 私の疑問に、しかし彼は予想通りとばかりの様子で言い捨てた。

 視線は虚空に向いている。

 目は、思い返すように眇められて。

 

「つまり……キヴォトスに何も貢献できていないアビドスがどうなろうと、誰も知った事ではないという話だ」

 

 強い諦観を滲ませながら、彼はそう吐き捨てた。

 その言葉からは、自身がどう動いても評価されるのは自分だけだと―――そんな悔しさが含まれているように感じられた。

 

"レイトは、アビドスの事がすごく好きなんだね"

 

 そう私が言うと。

 なぜだかレイトの顔がものすごい渋面になった。

 

"えっ……ど、どうしたの……?"

「……これは、いまここに先生しか居ないから言うが」

"う、うん"

 

 

「俺はアビドスの事は嫌いだ」

 

 

"嫌いなの!?!?!?!?"

 

 

 てっきりアビドスの事が好きで、その存在を無かったものとして扱われるのが我慢ならないとかそんな感じだと思っていただけに、彼の発言には心の底から驚愕した。

 レイトは中学の頃にはSRTへの推薦も持ち掛けられていた。それを蹴ってでも賞金稼ぎを続けたのだから、てっきり彼も転生生徒の皆が言っていたセリカのように地元愛が故だと思っていたのだけど……

 

"え、本当に……? 嫌いなのに借金返済のために10年前からずっと賞金稼ぎで頑張ってたの……?"

「ああ」

"なんで嫌いなの……?"

「むしろ年中砂嵐に見舞われ、原因不明の砂漠化も進んでいて、過疎化も進行して生活に不便な所だらけの土地を嫌わない理由は無いと思うが」

"おお……それは……うぅん……"

 

 こちらに視線もくれずに放たれた言葉に、私は唸り声しか上げられなかった。

 利便性に富む土地が好まれるが故に地価は上がる。アビドスはその逆を行っていて、好まれない部分ばかりが目立っている。しかも砂漠化は今も進行し続けている。

 そりゃあまあ……土地に関して好きな部分は見出せないだろう。

 

"え……えっと、じゃあレイトが頑張ってるのは、アビドスという土地じゃなくて……人のため、とか?"

「……俺のためでもあるがな」

 

 私の推測に、彼は視線を虚空に向けたまま頷いた。

 

「15年前の事だ」

 

 それから、静かに話し始めた。

 

「ある大人達がいた。欲に目が眩んだ大人よりも一層邪悪な、自らの信仰に従う狂信者達だ。『世界よ、原初に還るべし』とな……俺は、その思想に迎合できず、その(もと)を抜け出した」

 

 そう言ってぐびりとコーヒーを呷る。

 思い出す中で込み上げる何かを、飲み下すかのように。

 

「だが齢四つ、五つのロクな訓練も受けていない子供が一人で生きていける筈もない。俺は路頭を彷徨った。土地勘は無く。砂嵐で移動も満足に出来ず。飲むものも食うものも無く。頼れるツテなど、ある筈もなく……そのまま野垂れ死ぬはずだった」

"……でも、そうはならなかった"

「ああ」

 

 こくりと、茫洋とした表情で彼は頷く。

 目つきを少し柔らかくしながら。

 

「善良な大人がいた。なんの関係もない赤の他人を拾い、身柄を引き受け、育てまでした……根っからのお人好しの善人が」

 

 そう言った後、彼が横目で私を見てきた。

 

「三つ目の理由」

"えっ?"

「俺がシャーレに、先生に手を貸す個人的な理由の三つ目。あの時は勘違いだと誤魔化したが……俺は、200人余りの浮浪生徒を引き取ったあんたに、俺の恩人の姿を重ねていた。力になりたいと思った」

 

 そういえば、と思い出す。

 シャーレが指導してから初めて彼がここを訪れた時の事。あの時、彼は協力してくれる理由として公私共にあると言って、教えてくれた。

 私的な理由は三つあると言って、でも三つ目は勘違いだったとして教えてくれなかった。

 私はそれが誤魔化しだと察していたけど……

 

"私的の理由の三つ目ってそれだったんだ……"

「そうだ……嘘を吐いて、申し訳ない」

"ううん、気にしないで。悪意があっての事じゃなかったわけだしさ"

 

 頭を下げての謝罪に、少し面食らいながら私はそう返した。

 内容が内容なだけに仕方のない事だと思うのだ。

 

"あの時の私はキヴォトスに来たばかりで、レイトと会ったのも二回目だった。レイトにとって大事な過去を話すのは難しかったって私でも思うよ"

「……そう言ってもらえると、助かる」

 

 頭を上げた彼の表情は、少しの安堵が浮かんでいた。

 私も安堵の息を吐いてコーヒーを啜る。

 

"話を戻すと、レイトは自分を拾って育ててくれた人に恩を返すために、借金返済をし続けてるって事だよね?"

「概ねはそうだ」

"概ね?"

「この15年で知り合った人や入学した後輩達の事もあるからな」

"あーなるほど……じゃあ二回留年してるのって"

「後輩達のためだ。去年の内に学業や生活に関しては教えたから、今年中に出来る限り俺のツテや技術を教え込む予定でいる。ヘルメット団の襲撃や連邦生徒会長の失踪が無ければ幾分か楽だったが……」

 

 恨めしそうに呟くレイトに、私は苦笑を浮かべるばかり。

 後進育成の課題はどこにも付きものだけど、人材に乏しいらしいアビドスとなるとその問題はとんでもないだろう事は想像に難くない。留年しないといけないくらいとなれば猶更だ。

 

「借金は確実に減らせているが完済には程遠い。恩も未だ返し切れていない……それどころか、増え続けている」

 

 そう言った彼は、視線を横に向けた。

 それを辿った先には、ガンラックに立てかけられた白いショットガンと、近くに置かれた折り畳み盾。

 

「2年前にも、随分と迷惑を掛けた」

"……その2年前って、ニャテ・マサムニェも言ってたね。あと7年前の惨劇とかも……仇名が付けられたくらい……"

 

 桜花祭を破壊し百鬼夜行を手中に収める『百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)計画』を企てていた男の言葉を思い返す。

 レイトに向けて吐かれた悪罵には、過去を引き合いに出して諦観を抱かせるものが多かった。

 2年前はショットガンと盾――つまり転生生徒の皆が言及していた一件なのだろう。

 でも7年前はいったい何のことか分からない。

 

 分かっているのは、おそらく彼が何かを喪ったという事。

 

 死が縁遠いキヴォトスに於いてでも"惨劇"と揶揄された事態に当時12歳の少年は関わっていた。

 心の傷になっていてもおかしくない。

 不幸中の幸いなのは、悪辣な大人が多いらしいキヴォトスを股に掛ける彼をして『善良』と評し、更には恩を感じる事をずっとしてもらえる相手がいる事だろうか。

 彼が嫌いだというアビドスに、それでも残り続けて借金返済に尽力しているのは、その善良な大人の存在を基点にその地に生きる人が好きだから。彼の原点と言ってもいいわけだ。

 いつか会ってみたいものだ。

 

 

「その7年前の惨劇に関してだが、俺はその惨劇自体には関与していない」

 

 

 そう思っていたら、彼がそんな事を言ってきて私は困惑した。

 

"そうなの?"

「ああ。『彼岸の獣』という仇名自体は『狙われたら最後』という意味合いで付けられてはいるが、7年前の事件に仇名の由来は関係無い。俺を貶めようとする輩や事実を知らない者が憶測で関連付けているだけだ」

"え、じゃあ何であのとき訂正しなかったの?"

「それを真実と思い込んでいる者にとって、訂正は都合が悪いから言い訳しているという解釈をして意味が無いからだ。それにもうあの事件は風化していっている。知らないなら知らないでいいものだ」

 

 そこまで言った彼は、だが―――、と言葉を続け、視線をオフィスの入り口へ向けた。

 

「先生には話しておくべきかもしれないな」

 

 

「―――そうですねぇ」

 

 

 彼の言葉に、合いの手が入る。

 私も視線を向ければ、オフィスの入り口には数日ぶりとなる陰陽部部長の姿があった。話し込んでいたからエレベーターの音を聞き逃していたらしい。

 

"ニヤ!? あれ、今日来るって連絡してもらってたっけ!?"

 

 既にシズコからの依頼の報告書に必要な書類は送ってもらっていたので、彼女がここに直接来る用事も無い筈。

 だから余計に驚いた。

 

「にゃははっ、良い慌てっぷりですねぇ先生♪ ちなみに連絡はしてないので見過ごしとかではないですよ。お気になさらず」

 

 開いた扇子で口元を隠しながらニヤは笑う。

 

「私もいるよ、先生」

"アヤメも来てたんだ! こんにちは、いらっしゃい!"

 

 その後ろから、ひょこっともう一人現れた。結わえた金髪を肩から垂らし、右目に眼帯を着けたエルフ耳の少女――百花繚乱の現副委員長アヤメだった。

 

"百花繚乱の方はどう? 正式に引継ぎや就任式は終えたとは聞いてるけど"

「うーん、みんなの混乱はあったけど実働方面は変わりないから問題無しかな? 怪異とか百蓮の資格のことには困惑してたけどね。私は竜気の魔眼があるし、ナグサも百蓮を使えるし、いつも通りどっちかを頼ればいいか! って感じで纏まったよ」

"そっか……無理してない?"

 

 『いつも通り』という事は、今まで頼られ続けて苦しく感じていた状況に近いのでは、と心配になった。

 頼られ続けたアヤメが内心どう思っていたのか、それを周囲には話していないのだ。

 周囲は『百蓮の資格がナグサにあってアヤメに無かったから継承戦を経て委員長と副委員長が入れ替わった』としか認識していない。

 おそらくナグサも、それとなくアヤメに頼り過ぎないように促しはしても、その理由までは語っていないだろう。

 レイトを間に挟んだ話し合いでは大丈夫と思っていても、実際に戻ったらダメだったなんて事は普通にあり得る。社会でも往々にしてある事だ。

 

 そう考えて心配した私の問いに、アヤメはほんの少し苦笑を浮かべた。

 

 その顔に、まさか、と私が眉を寄せたその時―――

 

「実はですね、それ込みで先生にお願いがあって本日お伺いしたんですよ」

 

 助け舟を出すように、ニヤが話に入ってきた。

 

"それ込み……という事は、お願いは複数あるんだね"

「はい。ちょっと長い話になりそうなんですが、お時間大丈夫です?」

"丁度休憩中だったから大丈夫だよ! 二人にも飲み物出すね。といってもインスタントのコーヒーとアップルティーと緑茶しかないけど……"

「では私は緑茶をお願いします」

「私もそれで」

"オッケー!"

 

 ニヤとアヤメのリクエストを受けた私はささっと給湯室に向かい、二人分の緑茶を淹れた。 

 その二つを思い思いの場所に座った二人に手渡し、元の位置に座り直してから私はニヤに顔を向けた。

 

"早速だけど、お願いって?"

「その前に、まずはこちらを。シャーレへの入部届です」

 

 そう言ってニヤが差し出してきた入部届らしい用紙の()を受け取る。

 それらを見ていけば、ニヤにアヤメの他に、ナグサ達百花繚乱の幹部生徒、まだ会ってない陰陽部の生徒、修行部のツバキ達、お祭り運営委員会のシズコ達、忍術研究部に属したらしいイズナの名前もあった。

 その他にも複数の見知らぬ部活の生徒達の名前も。

 合計で100枚近いそれらに私はびっくりした。

 

"凄い量だね……それに私の知らない部活の子達のもあるね"

「イズナさんの後のものに関しては、ほら、ニャテ・マサムニェに切り捨てられた魑魅一座の子達ですよ」

「あの子達、切り捨てられて鬼に殺されそうになったところを助けられて、そのあと先生の指揮で戦ったのを契機に改心したみたいでね。悪いことはもう懲り懲りだって言って普通に部活を立ち上げたんだ。今はもっぱら次のお祭りの設営準備に従事してるよ」

"あー……あの鬼、凄い迫力だったもんねぇ……"

 

 言いながら隣に座るレイトを見る。

 彼が一人で暫く相手取ってくれていたからどうにかなったが、そうでなかったらあの威圧感だけで魑魅一座の子達は逃げていただろうし、そうなっては数で押されて戦線は崩壊していたと思う。

 

"今更だけどレイト、よく咄嗟に動けたよねあの時"

「先生が事前に狙っていると言ってくれていたからな。あと、傭兵をやってるとあれくらいの大きさには驚かん」

"えぇ……"

 

 あの鬼の巨体をどうとも思わないくらいの事が普通にあるのか傭兵、というかキヴォトス、と私は少し引いた。

 ニヤとアヤメの方を見れば、二人は苦笑を浮かべている。

 

 ―――多分だけどこれ、レイトの感覚の方が外れ値だな……?

 

 あんまり彼の傭兵としての感覚を信じ過ぎない方が良いかもと思いつつ、万が一にもマグカップを倒して汚したらいけないので書類の束をデスクの方に置いてもらうようレイトに頼む。

 それからニヤに顔を向けると、相変わらずにんまり顔の彼女が次の話題を口にした。

 

「次は当番関係なんですけどね? アヤメさんを暫くシャーレに置いていただきたいなーと」

"アヤメを? それはいいけど……やっぱり百花繚乱での仕事が辛いから?"

「いやー今回はそれだけじゃないんですよねぇ」

 

 困ったように眉をハの字にして言うニヤ。

 その様子に、ふむ、と私も思考を回す。

 

"……もしかして、シャーレ近辺で怪異が出てきた場合の保険とか?"

 

 真っ先に思い浮かんだのは、花鳥風月部がこちらに手を出してきた場合のための対抗策としてアヤメを置く事だ。

 現状怪異を倒すためには百蓮を使えるナグサ、あるいは竜気の魔眼を持つアヤメの力が無ければならない。そのどちらも居ないシャーレは、ニャテ・マサムニェの一件を解決して花鳥風月部の思惑を邪魔したことで恐らく敵対視されている。

 それを危惧したニヤが先んじて動いてくれたのでは、と予想した。

 

「当たらずとも遠からず、ですね」

 

 この予想に、ニヤは何とも言えない評価を下した。

 間違いではないらしい。

 おそらく私がまだ知らない何かが、アヤメをシャーレに置く判断に関係しているのだろう。

 

「理由は幾つかありまして、内ふたつは先生の予想通りです。アヤメさんの事もですが、ニャテ・マサムニェに『百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)絵巻』を教えた存在……『ヘイローを持ち風流を口にする大人の女性』こと花鳥風月部を警戒しての事でもあります」

「ここ数日、奪いに来るのを警戒して私とナグサで昼夜分担であの絵巻を管理してたけど音沙汰は無かったよ」

"そっか……良かったと言っていいのかな?"

「まあ平和だったので良い事でしょう」

 

 にゃは♪ と笑声を上がる。

 

「ただですね、アヤメさんをシャーレに派遣して守りを固めれば、当然ですがこの絵巻の管理に綻びが出る訳です。百花繚乱の方々で穴を埋めようにも無理がありますから」

"確かにそうだね。百蓮を持つナグサと竜気の魔眼を持つアヤメじゃないと、怪異で攻められたら対応できない訳だし"

 

 ナグサとアヤメ二人で管理していたのは、万が一怪異が来ても二人なら対処できるから。そして二人掛かりなのはどちらかが寝ていてもどちらかは起きていて警戒できるから。

 しかしアヤメがシャーレ―――もっと言えば私を守っていたら、怪書の管理にも穴が出来る。

 一般の百花繚乱生徒や陰陽部生徒では、怪異が襲ってきても倒すことは出来ない。

 ナグサが駆け付けられないタイミングで襲われて奪われたら一大事。

 かと言ってナグサを縛り付けるのもどうかとは思う。

 

「あー……それもあるにはあるのですが、私が主に危惧しているのは()()()ではなくてですねぇ……」

"ん……?"

 

 やや歯切れが悪いニヤに首を傾げる。

 

「―――花鳥風月部の恐ろしい所は、一線を超えさせるほどに人心を惑わす話術だ」

 

 そこで、書類を置くついでにコーヒーを淹れ直してきたレイトがそう言った。

 

"知ってるの?"

「……7年前にな」

"え……!?"

 

 その返答に、私は心から驚いた。

 さっき聞いていた話題がここに関係してくるだなんて予想外だったのだ。私も知るべきかも、と言っていたからこの話の中のどこかで教えてくれるとは思っていたけど。

 まさか花鳥風月部に関わってくる事だとは……

 

 いったいどんな話なのか、不安を抱きながら私は耳を傾けた―――

 





 シャーレ所属生徒に百鬼夜行連合学院が追加されました
 彼岸レイトの情報が更新されました
 『7年前の惨劇』の情報が更新されました


・彼岸レイト
15年前にアビドスを彷徨っているところを『善良な大人』に拾われ、育てられた青年
アビドスの借金返済はその恩返しの一環
拾われる前はレイト曰く『邪悪で悪辣な狂信者達』の下にいたらしい
現在は15年間で知り合った人や後輩達のためにも続けている*1
『善良な大人』への想いは強く、先生に協力的なのもその大人の影響が強い
兎角、人のことを大切にするきらいがある


・7年前の惨劇
ニャテ・マサムニェが言及した事件
レイトと『彼岸の獣』に関する事と思われたが、レイト自身は惨劇には関与していないとのこと
風化していっているので特にレイトには訂正する気は無いようだが……?





今回のビナー総力戦で2凸ですが初めてTormentクリアしました
鋼鉄大陸レイドでのビナーD(Torment級)はフェーズ3無かったのも加味するとちゃんと弱かったんですねぇ…
ホド、ケセド、ゲブラ、コクマーはD突破出来なかったしティファレトはエイミワンオペ2凸で済ませてたので今後が戦々恐々です
前々から思ってましたがTorment1凸やLunaticいける人は本当に凄いですね

*1
アヤメには『辞め時を見失った』とも語っている

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