ブルアカ転生記譚   作:背教者

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予約投稿分を勘違いして消しちゃったので再投稿です。そのせいで3分ズレてます……()

今話はワカモ視点です
前半は振り返り+まとめ、後半がお見舞いです
AI絵が1枚あります



【怪縁】はじめまして、先生(ナイストゥーミートゥ・プロフェッサー)

 

 

 レイトさんが護送されてからの事を話そう。

 

 

 あの後、ヴァルキューレが到着したため、廃校対策委員会によって捕縛していた傭兵達は引き渡された。

 事態は伝わっているので彼ら彼女らの嫌疑は多岐に渡るが、殺人未遂の容疑は確実。

 少なくとも向こう数か月は矯正局から出られない見通しだ。

 そう言われても大人しく従っていたが、それは事前に彼から話された事が要因だろう。

 

 EXP社を介した真っ当な傭兵稼業の道。

 

 シャーレを介した学生への復学の道。

 

 これまでのキヴォトスを思えば破格と言ってもいい。直前に襲っていた相手である関係性を考えれば、あり得ない対応ですらある。

 勿論しっかり罪を清算してくる事が条件。

 その道を選べるか否かは当人達次第だ。

 あの分ならヴァルキューレによる取り調べにも出来る限り応じるだろうし、ある程度の情状酌量はされるかもしれない。

 ……ヒナさんに足を折られた包囲網組、それから彼を襲った後に風紀委員とSRTに捕縛された追加依頼を受けた面々は明確な殺意があったとして重罪になるから、酌量はされないだろうが。

 

 

 それから便利屋68について。

 

 

 ゲヘナ単一で指名手配されている要注意グループである彼女達との協業は、先に予想した通り問題になりかけた。

 とはいえ、結果的にはなっていない。

 理由は二つ。

 まず風紀委員会のヒナさんが『今回は善行だし味方だったから』と見逃す方針だった。

 アコさんは要注意グループだから捕らえてもと言っていたけれど……

 

『アビドス自治区では現行犯対応のみ。トップの彼が直に話して言及しなかった以上、拘束の必要性は無いわ』

『くっ……命拾いしましたね、便利屋……!』

 

 ヒナさんのその判断に、彼女は悔しがったけどそれ以上の異は唱えなかった。

 また便利屋と彼の対話は万魔殿のマコトさんにも伝わっており、問題ないと判断していた。

 これでゲヘナ・アビドス間の政治的な問題は無くなった。

 

 残るはEXP社の外聞等だが、こちらは二つ目の理由であるシャーレの介入のお陰で何とかなった。

 結果として、シャーレという超法規的な権限が介入したことで、この協業は『市民を守るための正当な行動』―――柴大将という一般市民を、ひいてはゲヘナの盟友を守る行動であったという大義名分として上書きされた。

 シャーレが関わり、その権限が行使されれば、その側が「正義」となってSRTの武力が振るわれる。

 権限一つで正義の定義すら書き換えてしまうその無法さには、改めて考えさせられるものがあった。

 

『何かあったら便利屋68に依頼してちょうだい! 報酬さえあれば、何だって引き受けてあげるから!』

『何でもって言ってもアルちゃんが気に入る依頼限定だけどね~』

『敵は全部、吹っ飛ばします……』

『……ま、ウチみたいなのに依頼する事態は無い方がいいけどね』

『と、とにかく! ワカモさん、先生! また機会があったら協業しましょうね! あとあの男の人にもお大事にって伝えておいて!』

『ばいばーい!』

 

 問題が無くなったのを見て、アルさん達は思い思いの言葉と共にアビドスを去った。

 最後のアルさんの言葉には、今話していた事を踏まえた上でそれですか、と苦笑してしまったが。

 まあシャーレを介すれば無問題だろうと手を振り返しておいた。

 

 

 次なる懸念は、柴大将(小父様)の身の振り方だった。

 

 

 カイザーという巨大な悪意がアビドスを、そして彼を狙っている以上、そのまま留まるのはあまりに危険。

 

"なら、シャーレに来てもらうのはどうかな"

 

 先生のその提案は、まさに天啓だった。

 カイザーはキヴォトスでも有数の大手多角起業。傘下の子会社を含めれば、カイザーが関わっていない自治区の方が少ないくらいだ。傭兵を使うくらいだから無関係の自治区に引っ越しても囚われの身になる可能性は残り続ける。

 しかしSRTの精鋭が守るシャーレの拠点なら、カイザーの手も容易には届かない。

 

『先生、気持ちは有難いが、俺は書類業務は出来ないと思うぜ? 傭兵辞めてから長いし』

"事務は機密が関わりますし……柴大将にお願いするとすれば、建物の管理や調理人として雇用などでしょうか。今は復学支援で預かってる子達が持ち回りでしてくれているのですが、その子達も遠からずどこかの学園に行くので、その職の方が欲しいとは思っていまして。復学の方に力も入れられますし"

『あーそういう事情ならそりゃ欲しいだろうな。聞くところによりゃ、他の学園なら専門の料理人がいるらしいし……とはいえ俺を雇う事は大丈夫かい? 信用とかそういう方面で』

"ワカモさんの会社は連邦生徒会やヴァルキューレと提携してるとの事ですし、レイトも内定貰ってる身だから多分信用面は十分だと思います。柴大将さえ良ければ後で上に確認しますけど"

『はは、ここまで心配されて断るのは失礼ってもんだな……アビドスから離れるのはちっと寂しいが、我儘で迷惑を掛けたくないのも本心だ。先生、頼めるかい?』

"任せて下さい!"

 

 そうして先生が連邦生徒会の会長代行―――七神リン行政官に経緯を話した結果、機密に関わる事務関係ではないのもあってかストレートで小父様は即採用された。

 事務屋としての適性ではなく、十五年間ラーメン屋を営み、D.U.地区に広告を出すほど積み上げてきた「市民としての信用」が決め手となったらしい。私や、シャーレに内定しているあの方の養父であるという縁故も、後押しにはなっただろう。

 

『早ぇ……長年ラーメンばかり作ってきたのもあって、それ以外あんま馴れてねぇんだよな……』

"そこは応相談ですかね? 作るのはラーメン専業で食器洗いに専念するというのもアリでしょうし"

『だなぁ。まあとりあえず、ありがとな先生。明日からよろしくな』

"こちらこそ!"

 

 そうして小父様はアビドスを離れる事になった。

 思う所はあったようだったが、カイザーをどうにか出来ない今はこれが最善だと信じるしかなかった。

 保護だけなら本来働く必要は無い。それでも働く場所を提案され、それを承諾したのは、小父様も次に腰を落ち着ける場所を探していたのかもしれない。

 家財はその殆どがハルカさんの爆弾で吹っ飛んでいたので、小父様は先生がシャーレに戻るのに帯同して一緒に向かった。

 

 

 続けて大きな話になったのは『白銀条約』について。

 

 

 彼が傭兵に尋問している間に、マコトさん、リオさんの二人が示し合わせてシロコさん達に、「シャーレの条約参画」を打診した。

 結論から言えば、アビドス側はこれに同意。反対する理由も代替案もなく、何より今回の件で先生に深い信頼を寄せていた彼女達にとって、それは拒む理由のない提案だった。

 更には彼が復帰不能としか思えない負傷を負い、精神的支柱を失った直後だ。惹かれ、思い始めるのも無理からぬ事だった。 

 "政治的交渉(そういったこと)"は殆どあの方が主導されていたので右も左も分からず、本当にこれで良かったのだろうかと悩まれていたが……

 

『今回のそれは元々あの方の発案なのでしょう? であればアビドスが不利益を被る事は無いと考えていいと思います』

『そうだな。精々先生の不興を買うかどうか程度か?』

『聞き知る限り、協力の要請で不愉快に思うほど先生が狭量とは思えないけれどね』

 

 順に私、マコトさん、リオさんの言である。

 彼はアビドスを―――そこに生きる人々を、命がけで守ろうとするほど深く想っている。そんな人が不利益を後輩達に被らせる事を万が一にも受け入れるとは思えない。

 強いて言えば、先生が各学園と顔合わせを済ませてからの予定だった以上、それが早まった事による差異がどう影響するかくらいだろうか。

 

"連邦生徒会の協力取り付けは確約出来ないけど……指揮を取ったり、条約を存続させる事なら力になるよ!"

 

 幸いにも、先生も対鉄蛇作戦を介して現場を知ったからか快諾して下さった。

 あるいは彼女にとっても身近な生徒が明確に死に瀕しかけて危機感を煽られたからか。

 その危機感のカケラほどでも連邦生徒会にあればと思わずにはいられないが……ともあれ、有事に際して条約が動けない等という事態は避けられそうだ。

 シャーレが多くの学園と友誼を結んでいけば一時的に戦力を借り受ける事も可能になるかもしれない。

 あくまで白銀の鋼鉄機械が出現したため条約に参加している自治区中心の話だからか、協力要請の話にそれは出なかったが、発案に隠された意図にはそれを含んでいるとは思う。少なくともキヴォトス中の中でもエリートで構成されるSRT生の協力は得られるのだから。

 

 

 残る問題は、彼―――彼岸レイトさんの事。

 

 

 リオさんが手配された総合病院に搬送された彼は、中度の脱水症状、右腕のⅢ度熱傷、左腕の原因不明の負傷、戦闘による幾らかの打撲痕や内臓へのダメージ、また過労により入院する事となった。

 リオさんが手はずを整えた事、また彼が多方面と話をした事もあってすぐに事後処理が済んだため、私達はすぐにお見舞いへ向かった。

 先生と小父様はシャーレに帰る前の道すがら。当然だがアヤメさんとSRTの護衛も付いている。

 私はD.U.地区のEXP社本部にて、シャーレとの協業について纏めるべく向かう道すがら。

 アヤネさんは明後日社会科見学もあるので、先に泊まっておくため。

 シロコさん達も来たがったが、全員でアビドスを空けるわけにもいかないため残留。代わりにビデオ通話をお願いされた。

 そうして集まった私達は、事態が収束してから数時間後に彼が搬送された病院へと向かった。

 

 


 

 

「来たわね。待っていたわ」

 

 アヤネさんが運転するあの方の装甲車で病院に到着し、1階受付のエントランスホールに入った時、待合席を立ってこちらへ歩み寄る人がそう言った。

 聞き覚えのあるその声の主は調月リオさんだった。

 彼女はミレニアムサイエンススクールのトップとして私やレイトさん以上に日々多忙を極めている身の上だ。そんな人物がここにいるとは思わず、全員で足を止めた。

 

「リオさん? なぜここに?」

「ここはミレニアム自治区で最も大きい病院。更に言えば、彼の入院関連の手配をしたのは私よ。此処に居ることはおかしくないと思うけれど」

「いえ、権限的な話ではなく……リオさんが多忙の身である事は私も知っていますので、あなたが足を運んだからには何かあったのかと思いまして」

「なるほど」

 

 私の返答に、リオさんは理解したと首肯する。

 理屈面から疑問を解消するきらいがある彼女にもしっかり伝わったらしい。

 

「そうね……彼の容態に関して、話があるわ」

 

 私達を、特にアヤネさんと私、小父様に目を向けながらのその言葉には、合理を追求する彼女には――こう言っては失礼だが――珍しく慮る色味を含んでいた。

 冷徹に見える面持ちも、こちらを伺うようなものに見える。

 ……嫌な予感が過ぎった。

 

「……急変、されたのですか?」

「ええ、そうなるわね」

 

 

 ―――ドクン、と鼓動が一際強くなる。

 

 

 覚えのある拍動だった。

 抗いがたい衝動が総身を走り抜ける。

 思わず、両腕で自分の腕をかき抱く。

 

「ワカモちゃん。聞かない選択も出来るぜ」

 

 小父様の優しく甘い言葉が掛けられる。背中をさすられていた。

 

「っ……いえ、聞きます。私は……私だけは、逃げてはならないのです」

 

 小父様の言うように逃げる事を皆は許されたかもしれない。

 けれどそれをすれば私自身が自分を許せないだろう。

 私は背負っているのだ、贖えない罪を。ユメさんとホシノさんの死を。彼女達との日々と、その喪失と共に。

 だから逃げられない。

 

「ここで目を逸らせば、私は亡くなったあの方から一生目を背ける事になりますから……!」

 

 たった四人だけになっても幸せだったアビドス生徒会の日々、否定したくないのだ―――

 

 

 

「……別に彼は死んでいないのだけれど」

 

 

 

 彼の死を受け入れる私の覚悟は、やや困惑で眉を寄せ、眉尻を下げるリオさんによって即座に砕かれた。

 

「…………はい? ……死んで、いない?」

「ええ、むしろ生命力に溢れているわ。『急速に回復した』と言うべきだったわね。誤解させた事は謝罪するわ」

 

 そして申し訳なさそうな顔でサラリと文言を訂正された。

 ……つまり私は、必要ないのに自身の心の内や弱みを曝け出した事になる。

 良いところを見せたい相手である後輩や立派になった姿を見て頂きたい小父様にも、協業相手である先生やアヤメさん、SRTの方々にも……!

 

「―――……ぐすっ」

「ワカモちゃん、泣きたかったら俺が聞くから大声は無しでな。ここ病院だから」

「恥の上塗りでしかない暴露やめてくださいましぃ……!」

 

 引き取られたばかりの頃の話をサラリと暴露され、泣きたいやら恥ずかしいやらでぐちゃぐちゃな感情を小父様に抱き着いて吐き出す。

 大きな小父様のもふもふの毛並みを包み込む着物に吸収されて全然響いていないが。

 

「ははっ、全然力入ってないぜ」

「入れてないだけです……」

「…………その。続きを話したいのだけど、いいかしら?」

 

 おずおずとバツが悪そうに申し出てくるリオさん。

 彼女の物言いに語弊があったとはいえ、詳細も聞かずに一人で勝手に自爆した自分が悪いので申し訳なさもある。

 私は小父様から離れ、彼女を見た。

 

「ふぅ……取り乱してしまい申し訳ありません。続きをお願いします」

"おお、一瞬でデキる女社長に……"

「それはそれとして泣いた跡があるから面会前にメイク直した方がいいよ」

「ご指摘感謝しますわ、アヤメさん」

 

 苦笑しながらのアヤメさんの指摘に、表面上は澄まし顔で返す。内心はもちろん羞恥で七転八倒だ。

 そんな私達を俯瞰するリオさんがこほん、と咳払いを挟む。

 

「さっき言ったように、彼の容態は回復したわ。具体的に言えば脱水からの回復、意識回復、内傷の治癒、それと()()()()()ね」

 

 搬送前の暫定診断、搬送後の診断も聞いていたので、それと脳内で照らし合わせながらふんふんと頷いていたその最中、最後に放たれた言葉が、その場の空気を物理的に凍りつかせた。

 

"ん……? いま何かおかしな事が聞こえたような"

「私も同じですわ……リオさん、申し訳ありませんがもう一度お願い出来ますか?」

「脱水からの回復、意識回復、内傷の治癒、それと両腕の完治ね。付け加えるなら、まるで最初から傷などなかったかのようだったわ」

 

 もう一回聞いても、やはり同じことを言っている。しかも付け足されていた。

 両腕の完治……

 謎の黒ずみの左腕はヒナさんの介助を受ける際に使えていたらしいから機能を保っているようだが、右腕は医師の診察でも治療不可と判断された筈。

 

「……ミレニアムの科学医療はⅢ度熱傷すらもどうにか出来てしまうレベルなのですか……? それともどこかの部活の治験か何かで?」

「いえ、ミレニアムからは何もしていないわ。ただ治験というのは正解ね。正確には、彼が個人で結んだ治験契約だけれど」

"治験契約……?"

「何ですかそれは……」

 

 聞けば聞くほど奇妙な事態になっているようだった。

 リオさんも、ミレニアムの部活も、そしてこの大病院も誰も腕の治療をしていない。それを為したのは彼が個人で結んだ契約による治験であるという。

 

 少し詳しく聞くと、私達が病院へ向かってる間に彼の知り合いを名乗る一人の大人が来訪したらしい。

 その大人は彼が搬送された事も、負傷の度合いも知っていた。

 そして彼との契約に基づき、治験という形での治療を申し出たという。

 さらに、脱水症状が軽減した事で意識を取り戻したレイトさんが、その契約の存在を認め、治験を受け入れた。

 病院側も治療は断念している熱傷レベルだ。当人が認めるならばと、その大人に委ねた。

 

 結果―――両腕は完治した。

 

 病院側も匙を投げた熱傷を、たった一人の「大人」が完治させた。

 科学の粋を集めたミレニアムの地で、そんな魔法のような、あるいは呪いのようなことが行われたという事実。

 ……思わず、とうに忘れ去っていたはずの耳と尾への不気味な異物感が湧き上がった。

 

 ―――ともあれ、それを報告で聞いたリオさんも流石に異常事態だと判断し、多忙の間を縫ってここに来たとのこと。

 私達を待っていたのはその治験契約や大人の存在を知っているか確認するためだった。

 

「……もしかしたら彼の身内であるワカモや養父の方なら知っているかもと思ったのだけど、その様子では違うようね」

「ええ、聞いた事がありません。そもそも知っていたら先ほどは取り乱しませんでした」

「俺も知らねぇな……あいつ、まさか自分の体を『実験台』として売り渡してたってのか……?」

 

 学校でも家でも常に傍にいた……と言えればいいが、あの方は単独で動き回っていた。良かれと思って伝えていない事も少なくない筈だ。

 小父様にも黙っているという事はよっぽどの事だろう。

 

「先輩が……? で、でも、月の返済は常に余裕があるってセリア先輩が……」

「その余裕を作っていたのが治験契約じゃないって保証は無いからね……」

"お金に困ってというなら常態的で、誰かしら把握できるくらいには影響が出てる筈けど……"

 

 直接かかわり始めたのが入学してからのアヤネさんは当然知らない。現状を疑えてないから、その土台になってる部分で身を犠牲にしてたのでは、というアヤメさんの指摘で目を白黒させて困惑していた。

 先生も会ってから一か月足らずだが、それなりに活動を共にしている。それでも思い当たる節すらないらしい

 とはいえ付き合いが7年の私、15年の小父様でさえ知らなかった事だ。流石に仕方がない。

 

 話を戻すが、アビドスの借金返済のための契約でもない筈だ。

 

「おそらく金銭目的で契約を交わしたわけではないですわね。あの方の活動で得た金銭は、最低限の生活費や弾薬費分を差っ引く過程も含めて会計が処理します。去年、一昨年は私がしていましたが、不審な入金を見た覚えがありません」

「確かに……セリカちゃんからも同様の相談や報告は上がってませんでした」

 

 学校の借金返済に充てているお金は会計担当が計上している。

 その会計も一昨年と去年は私、今年はセリカさんと連綿と受け継がれてきた。

 彼は関わっていないので誤魔化しようが無い。

 だから少なくともお金を得るためではない筈だ。

 

「何のために……それに私や小父様にも徹底して隠したいのはなぜ……」

「分からないと言えばその大人もですね。幾ら契約を交わしたからとはいえ、律儀に契約を守るとは……」

 

 私の呟きを拾ってか、RABBIT小隊の小隊長を務める白髪の少女が所感を漏らす。

 

「月雪小隊長。今回に関しては『狡猾』、あるいは『周到』と評すべきだ」

 

 彼女の言葉に反応したのは、SRT一期生にしてFOX小隊の小隊長を務める七度ユキノさんだった。

 

「まず、その大人がなぜ彼の負傷具合と搬送先を把握していたかが不明だ。ミレニアムやゲヘナが盗聴対策をしていないとは思えない。彼は監視されていたと見るべきだろう」

「そうだね……絶好のタイミングを常に求めて見張っていたと、そう考える方が自然かな」

 

 ユキノさんの言葉を継いだのはFOX2で呼ばれる副小隊長・吉野ニコさん。

 目を眇め、冷静に思考しながら彼女は更に続けた。

 

「契約を持ち掛けた理由は不明だけど、あの状態の右腕を完治する程……それに原因不明の左腕の黒ずみも。彼にだけ発生する類のものまで治せると聞いたら、幾ら彼でも耳を貸してしまうと思う」

「それ、契約を交わした時点でヤバいわよね? 多分本人も分かってたから隠していたんでしょうし」

 

 ニコさんの意見に同意するように、FOX3のポイントマン・高倉クルミさんが言う。

 そう―――彼女も言ったように、彼はその治験契約が後ろ暗いものだと理解していた筈だ。それ以外に隠していた理由が見つからない。

 

「むしろヤバいのはその先じゃないかな? レイト会長が抱えてるヤバさって手段じゃなくて目的の方だと思うんだよね」

 

 そう考えている中で、一つの意見を出したのはスナイパーのFOX4、天神山オトギさんだった。

 小首を傾げ、長く編んだ三つ編みと耳を揺らしながらそう言った彼女に、クルミさんが「どういうこと?」と疑問を投げる。

 

「契約を前提にしないといけない目的の方がヤバいから黙ってたって事。そういうの、あの人って共有しなさそうじゃん。現に身内含めて誰も左腕が黒ずんだ理由もそれを治す治験の事も知らないし」

 

 オトギさんのその言葉には、小父様やリオさん含めた全員が黙り込む。肯定の言葉こそ無いがその沈黙は雄弁に思った事を表していた。

 

 ―――実際、彼女の言は的を射ているでしょう。

 

 10歳の歳から傭兵稼業や賞金稼ぎを始めている時点でそれは否定できない事実なのだ。

 目的のためには手段を択ばない。いい意味でも悪い意味でも、あの方はその点については一貫している。

 だからこそ、真に留意すべきは治験契約そのものでもそれを持ち掛けた大人でもない。

 彼が何を考えてそれらを受け入れたのかだ。

 それが明らかになれば、自ずと思惑も分かる筈だ。

 ……私はおろか、養父たる小父様にさえ黙っていた、その理由も。

 

「あー……ま、まあ左手の事は後で話すって言ってたし、病室に行けば聞けるでしょ」

 

 しん、と冷えた空気を、オトギさんの苦笑が震わせた。彼女の言葉で凍りついた場が、再び彼女の言葉によって解きほぐされていく。

 

「それでリオ会長、病室ってどこ?」

「……案内するわ。ついて来て」

 

 逃げるように移動を始めたリオさんとオトギさんを見て、まあ確かに本人に聞けばいいか……と納得して私達も後を追う。

 人数が多いのも問題になるので、病室へは案内役のリオさん、養父の小父様、在校生代表のアヤネさん、シャーレの先生と護衛のアヤメさん、SRT組からユキノさん、そして私の計7名が入院している病室まで向かう事で決まった。

 エレベーターが数多の階層を登っていき、目的の階に着いたのでそこで降り、目的の部屋まで進む。

 途中でトイレ休憩を挟み、辿り着いた病室の中へ入った。

 

 清潔感のある病室は昼の陽光と最新式の電光に満たされていた。

 愛しい人はその一室に設えられたベッドに横たわっていた。

 両手は掛布団の上に投げ出されているが、搬送前に見た炭化したような右腕も黒ずんだ左腕も、どちらも元の色を取り戻している。

 しかし眠っているのだろう彼の顔は、記憶にあるそれよりもずっとやつれているように見えた。

 

「……来たか」

 

 入室の気配に気づいたのか、眠っていた彼が開眼した。

 流れるように左手でベッドサイドのコントローラーを操作し、ベッドの背中を起こし始める。

 

「先輩、別に起きなくても……!」

「それなりに話をしなければならないだろう。寝たままだと話し辛い」

 

 彼は私達を順に見た。その視線が小父様に向いたところでビタリと止まる。

 

「……大将も来たのか」

「親だからな。それに、今後シャーレで世話になる。お前が部長なんだろ? その事も話しとかなきゃいけないと思ってよ」

「シャーレに……?」

 

 小父様の言葉に訝しむ顔をした彼は、間を置かず得心がいったように頷いた。

 

「そうか。拉致依頼が出ていたから、その保護のために……」

"うん。シャーレの厨房の職員として、明日からね"

「職員に? 明日から? 即決だったのか」

「D.U.で広告出せてたのもあってな。ま、お前とワカモちゃんの信用が後押ししてくれた部分もあるが」

 

 はっはっは、と腕を組んで笑う小父様。

 レイトさんはそんな彼を見て、ややくすんだ笑みを浮かべた。

 

「あんたなら、一人でも信用を勝ち取れただろう」

「お前が真っ当に生きてたから出来た信用ってのもあるぜ? 子供の責任は大人や親が背負うもんなんだからよ」

「……そうか」

 

 大将の言葉に、疲れたように嘆息しながら頷いたレイトさんは、「それで」と逃げるように先生へ視線を向けた。

 

「先生、あれからアビドスがどうなったか聞かせてもらえるか?」

"……わかった。まず―――"

 

 彼の求めに応じ、先生はあれからの事を話し始めた。

 銀条約への協力をリオさん、マコトさんによって強引に推し進められた事実に、あの方は驚きを隠せないようだった。さらに先生が即座に応じたという報告には、暫し絶句し、黙考を挟むほどだ。

 ……その場で言及する程ではなくとも、何か引っ掛かる点があったのかもしれない。

 便利屋との協業に関しては、EXP社、シャーレ、ゲヘナ何れとも軋轢が生じない結果に終わった事も伝えられた。

 

「……アビドスの被害は少なくないが、一先ず何とかなりはしたか」

"そうだね。今はセリアが中心になって動いてる。あとヴァルキューレに引き渡した傭兵の子達だけど、人数が人数だから取り調べに時間が掛かるって。あと裏取りも"

「だろうな。裏取りと言っても、証拠になるのは捏造が容易いデータ類のみ。更に言えばあの傭兵達に社会的信用は無い。物証として提示しても、カイザーは知らぬ存ぜぬで押し切るだろう」

「それが出来ると踏んだから依頼そのものを無かった事にした……そういう事ですわね」

 

 まあ予想はしていた事だ。尻尾切りが得意な企業なので、そう易々と本命に届くものを残しはしない。

 それが分かっていたから彼も尋問はすれど証拠の提示までは求めていなかった。

 彼女達にとっては真実でも、カイザーによってそれは事実扱いに出来なくされているもの故に。

 それでも騙されたという敵愾心は残る訳で、彼はそれを利用する形で懐柔した訳だが……

 

「あの後、カイザーの内部に侵入してみたけれど、カイザーPMCお抱えの『対デカグラマトン部隊』という私兵は該当時間に出動が掛けられていたわ。けれどその報告書では、カイザーが保有する土地まで鉄蛇が進出しなかったため警戒に留まったとあるのみ。今回の一件への関与を確定できる類のものは無かったわね」

「なるほど……ん? お待ちを。あの鉄蛇の名前は、デカグラマトンと言うのですか?」

 

 露ほども思わなかった。仇討ちを果たした後に、あの鉄蛇に固有の名があったなどと知らされるとは。

 しかもそれをカイザーの者が把握している。

 ただの名付けにしては奇妙だ。昔から"砂漠の鉄蛇"と呼ばれていたそれに改めて別名を付けるなら、相応の意図があるだろう。

 それへの問いを含んだ視線を向けると、当の彼女は、少し難しい面持ちになった。

 

「不明よ。見た限りの文書から鉄蛇に関連していそうな固有名詞は『デカグラマトン』と『ビナー』というものだった」

"あ、それなら多分ビナーの方が鉄蛇の名前だね。シッテムの箱でも同じ解析結果が出てる"

 

 リオさんの言葉に補足を入れたのは先生だった。

 解析自体は作戦中に出ていたが、気付いたのは様々な事後処理が済んだ後だったという。

 先生の持つタブレットは持ち運べるコンパクトさに反した演算能力と、遠隔地からでもハッキングが可能なほどに強固な通信性能を併せ持っているらしい。まさにオーパーツと称されるだけのことはあるだろう。

 ともあれ、カイザーが以前から鉄蛇(ビナー)を解析し、デカグラマトンという未知の深淵にまで理解の手を伸ばしていた。専用部隊を組織している以上、その関わりは昨日今日のものではないはず。

 白銀条約の枠外の身と言えど、鉄蛇はカイザーにも降りかかる脅威には変わりない。

 それでも情報を独占し、提供すら惜しむその姿勢には吐き気すら覚えるが……

 

 

「―――待て、ビナーだと?」

 

 

 そこで、驚愕を滲ませた声が上がる。

 病床に横たわる彼の声だった。

 まるでどこかで『ビナー』という単語を聞いた事があるかのような反応に、その場の全員が揃って怪訝な目を向けた。

 

"レイト、聞いた事があるの?"

「ああ、記憶違いでなければだが……デカグラマトンという単語にも覚えが……」

 

 どこで聞いたか、記憶の底を(さら)うように彼は眉根を寄せ、暗中を凝視する時のように目を眇めていた。

 

「あ、あの、先輩!」

 

 そこで、深い思考の海に沈もうとする彼を呼び戻すように、アヤネさんが声を上げた。深い思考の淵にいたレイトさんも、弾かれたように彼女へと視線を向ける。

 弾かれたように顔を上げた彼へ、彼女は毅然とした、それでいて震える瞳のまま、携えたタブレットの画面を突きつける。

 画面の向こうでは、アビドスに残留しているセリカさん達が教室から食い入るようにこちらを注視していた。

 

「その……今はそれよりも、教えて欲しい事がたくさんあります。先輩が傭兵から訊きたかった事や判明したことは何ですか? 左手の黒ずみは一体何だったんですか? なぜ私達には発生しないのですか? それに、治験契約を誰かと結んでいて、それで両腕が完治したって……でもワカモ先輩も、柴大将もそれを知らないって……」

『そうよ先輩、腕治ってるってどういうことなの!? いや、嬉しいけど不可解過ぎて疑問でいっぱいなんだけど!?』

『本当に謎なんだけど。いったい何をやったの?』

『左腕の負傷もご存知だったようですし、色々と教えてくださいね?』

『ん、キリキリ吐くべき』

 

 アヤネさんの精一杯の問いかけの援護射撃とばかりにビデオ通話中の4人も言葉を重ねる。その誰もが我慢の限界と言わんばかりの権幕だった。

 そこで、アヤネさんが「そして」と絞り出したような声で続けた。

 

「なぜ、誰にも話していなかったんですか……? 私達は……信頼、できませんか……?」

 

 最後には、声を震わせていた。

 様々な不安を綯い交ぜにしながらも、全ての疑問を投げきった彼女の背中を優しくさすりながら、私もまた、レイトさんへと問いかけるような視線を向けた。

 

「一先ず先の一件に関わる話を、お聞かせ願えますか。もちろん、治験契約のことも含めて」

「…………そうだな。順に答えよう」

 

 求める声が届いたのか。あるいは、約束を履行しようとしているだけか。

 真意は量れなかったが、レイトさんは小さく息を吐いて応じると、重い口を少しずつ開き始めた。

 

 あの方が傭兵達に問い質したかったのは、大きく分けて四点。

 

 殺意の有無。

 攻撃の動機。

 カイザーの今後の動向。

 そして――関わった者達に、更生の余地があるかどうか。

 

「特に知りたかったのは更生の余地の有無、それと依頼は無かった事にされているか否かだ」

"1つ目は分かるけど、2つ目はなぜ?"

「ブラックマーケットの深部で動く傭兵を動かしているか否かの分かりやすい見極めがそこだからだ。特に依頼を成功させている鉄蛇誘導に関しては、明確な反故だ。雇った傭兵に復讐される場合がある。連中もプロだ、自身を嘗めた相手には必ず報復をする」

 

 たしかに―――鉄蛇警報を成功の合図としている以上、誘導組は任務を完遂している。

 更に追加依頼として、誘導中の彼を攻撃する事にまで従事させた。そちらはヒナさん達の加勢もあって失敗しているが……

 追加はあくまで別枠だ。

 誘導自体は成功している以上、報酬は支払われなければならない。

 

「ですが、反故にされた……」

「ああ。カイザーがまだそこまでではないのか、先の癒着暴露や排除計画の露呈に際し便利屋にされたように距離を置かれただけかは定かではないが」

 

 私の言葉に彼はそう返した。

 それでは結局、カイザーがどれだけ本腰を入れていたか分からないと言っているも同然だが……

 

「どちらにせよ、その可能性が浮上するレベルの事案だった。それが判明しただけでも大きな事だ」

 

 私よりも長く、そして深く"そちら"に関わっている彼は、真実の在処よりもリスクの所在を重視しているようだった。

 狙ってきているかもしれない。その蓋然性が分かっただけでも、収穫だと言わんばかりだ。

 

「先生。あんたは現状、俺の養父と同じくアビドスを陥落させるための『最高の人質』になり得る存在だ。身辺には本当に注意してほしい」

"……そうだね。アヤメやユキノ達には苦労を掛ける事になるけど"

「それ前提で来てるから気にしないで欲しいかな」

「そうですね。むしろ頼って頂けるとSRTの後輩達も喜びますし、やり甲斐にも繋がります」

 

 苦笑を浮かべながらの先生の言葉に、二人が揃って言葉を返す。

 それぞれ付き合いは半月ほどの筈だが、これほどまでの信頼を寄せる程度には、先生に心を許しているらしい。勿論それが職務であり、死の危険の話をされているからという側面もあるだろうが。

 

「なるほどな。あの時に重症の身を押してたのはそういう訳か……話は分かった。そんじゃ次だ。お前の左腕は、何でああなってたんだ?」

 

 そこで、頃合いと見たか小父様が次の話題の口火を切った。

 腕を組んで難しい顔で病床の息子を見る小父様の横顔は、憂いを帯びた怒りの面持ちのように見える。

 その顔を見た彼は一瞬目を眇め、背中を起こしたベッドに深く身を預けた。

 ふー……と、長い吐息を挟み―――

 

 

 

「それについては私からご説明しましょう」

 

 

 

 ―――語り始めるよりも早く、第三者の声が割って入った。

 

 聞こえてきたのは、入口からだった。

 唐突な乱入者の存在に、その場の全員が弾かれたように振り返る。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 入口には一人の大人が立っていた。

 黒いビジネススーツに身を包んだ、やや細身の男。しかし、そこには人間特有の生気を感じさせない、無機質な硬質さが漂っている。

 

 いや――そもそも、それを人と言い切ってよいものか。

 

 まず、肌の色が異常だった。人種的な特徴でも、火傷による炭化でもない。高級な墨汁を思わせる、不気味なほど美しく光を反射する漆黒なのだ。

 顔に目を向ければ、右目と口に当たる罅割れからは、白と黒の混じり合った炎のような光が噴き出している。頭髪も耳もないその輪郭を、右目からの噴煙が揺らめきながら覆っていた。

 手には黒い手袋を嵌めているが、袖口から覗く肌もまた同様の黒。おそらく、全身がそうなのだろう。

 漆黒の肉体を持ち、その裂け目から白光を漏らす人型の怪異。

 人間と呼ぶにはあまりに甚だしい疑問が残った。

 

「あんたは……―――そうだ。随分昔に一度、ウチに来たことがあったな」

 

 その人物を前にして、最初に声を絞り出したのは小父様だった。

 

「……ええ。7年前に、お会いしていますね」

 

 私は、その言葉を肯定する。

 室内の人々から、そしてタブレット越しの後輩達からも、隠しきれない動揺が伝わってきた。

 無理もない。異質極まると一目でそれと分かる存在が「知り合い」だと言われれば、驚かないはずがない。

 

 その人物が悠然と病室へ足を踏み入れる。

 背後で自動ドアが閉まると同時に、口元の裂け目が歪み、滑らかな言葉が紡がれた。

 

「覚えていて頂けたとは、光栄ですね。お久しぶりです、柴大将。それにワカモさんも。初めて会った時はあんなに幼かったあなたが大人になられたとは、感慨深さがありますね」

「……ありがとうございます」

 

 会ったのはただ一度きり。

 その上、まともな会話すら交わしたことのない相手にそう告げられても戸惑いしか湧いてこない。私は一先ず、当たり障りのない謝辞を口にするに留めた。

 ……決して、この人物が嫌いという訳ではない。

 けれど、外見云々を抜きにしても、この人物が纏う空気はあまりに異様だった。

 沈黙する私を気遣うように一瞥してから、小父様が再び口を開く。

 

「ひょっとして、こいつの腕を治療したっていう大人はあんたかい?」

「ご明察です。彼は稀少な症例ですので、これまでにも協力していただいていました」

「それは……左腕の、アレか?」

「はい。これからお話しますよ……ですが、その前に」

 

 小父様への受け答えを終えると、黒い怪人は先生へと顔を向けた。

 

「ご挨拶が遅れました。初めまして、シャーレの先生。あなたとは一度話してみたかったのですよ。偶然にもこのような機会を得られたこと、嬉しい限りです」

"……あなたは?"

「はるか以前からこの地に在る、あなたと同じキヴォトス外部の者。そして、あなたとはまた異なる領域の存在です。私のことはどうぞ『黒服』とお呼びください。この名前が気に入っていましてね……」

 

 そう名乗った黒い怪人―――黒服は、クックック、と喉奥で嗤った。

 

 





 以下の情報が更新されました
 ・レイトの負傷状況
 ・黒服
 ・彼岸レイト

・レイトの負傷状況
■右腕・左腕・内臓ダメージ
 黒服による治験により完治
■脱水・疲労
 回復中だが、依然として顔色は悪い

・黒服
レイトを治療した大人
7年前に柴大将やワカモと接触した過去を持つ。
「先生」の存在を以前から注視しており、この偶然の邂逅を心の底から楽しんでいる

・彼岸レイト
色々露呈し始めている10年選手
「ビナー」と「デカグラマトン」の名に覚えがある様子
苦虫を嚙み潰したような顔で病床から黒服をじっと見ている

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