ブルアカ転生記譚   作:背教者

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今回でアビドス1章+デカグラマトン編前半は終了です
今話は掲示板→先生→掲示板視点です





【怪話】またいずれ、先生(サムデイアゲイン・ティーチャー)

 

400:名無しの転生生徒

柴大将達には家族で話し合ってもらうとして……

 

いやー驚愕の連続でしたね(n度目)

 

401:名無しの転生生徒

黒服がここで出てくるとは思わんて

 

402:名無しの転生生徒

切断レベルで匙投げられた腕治ったの!? どうやって!?

→治したの黒服(おまえ)かよぉ!?

ってなったよね実際

 

403:名無しの転生生徒

治験というのが不穏なんだよなぁ

現状『誰がやったか』は判明したけどそれ以外まだ何も分かってない

 

404:名無しの転生生徒

レイトが搬送されたの把握してたわけだし先生と話すの絶対狙ってたと思う

 

405:名無しの転生先生★

実際狙ってただろうね

タイミングが偶然にしては出来過ぎてる

 

406:魔眼の使い手

黒服って人は『原作』にも居たんだよね?

何してた人なの?

 

407:名無しの転生生徒

先生大好きファンクラブ

 

408:名無しの転生生徒

先生をじっと見てた

 

409:魔眼の使い手

は?

 

410:名無しの転生生徒

まあ>>407は冗談として、>>408は補足が必要かな

あいつ『神秘』についてかなり語ってたやろ?

それを研究するためにキヴォトスにいるんよ

 

411:名無しの転生生徒

『ゲマトリア』という組織に居る奴の一人

そいつらは観察者であり、探究者であり、研究者であり、そして狂気を否定する求道者でもあるらしい

 

412:名無しの転生生徒

有体に言えば『悪い大人』だよ

生徒を実験体にして神秘を研究するのも普通にしようとするから

黒服は『原作』でそれをしようとして、先生に阻まれた第一人者

その時の問答をキッカケに興味深いなってなって観測を始めた

原作だとビナーとケセドとホドの総力戦の前口上でペラ回ししてたっす

 

413:名無しの転生生徒

ついでに言えばカイザーがアビドス砂漠に進出する要因らしいんだよね

凄い古代兵器があるよ~!って黒服が唆したから、それを利用してキヴォトスを支配する計画を立てたカイザーが砂漠化対策で融資を求めたアビドスに金を貸して地上げ紛いの事をして追い詰め始めた

 

414:名無しの転生生徒

なんでまあ、元を辿って行けば黒服がアビドスの借金苦の原因っす

勿論カイザーも悪いんすけどね

砂嵐自体はともかくそこに便乗する形であいつらは動いてる

 

415:名無しの転生先生★

……それホント?

 

416:名無しの転生生徒

『原作』に於いては、はい

前世キヴォトスも多分そう

この世界でもそうかは分からないですけど、何十年も前から借金が始まってる以上、20年未満のレイトがそこに関与して変わってるとは思えないんで多分同じはず

 

417:大預言者

その話、おそらくあやつは知らぬよな?

 

418:名無しの転生生徒

流石のレイトもこれは知らないと思う

俺らが知ってるのは神視点で黒服が言ってるのを見た事があるからだし、10年も傭兵続けるモチベがあるレイトに漏らすほど黒服もアホじゃないし

 

419:名無しの転生生徒

なのでまあ……

黒服の治験って、絶対裏がある筈なんすよね

あいつが誰かのために無償で良い事する訳ないんで

 

420:名無しの転生生徒

契約だから事前に何かを取り決めていて、黒服はそれを履行したに過ぎない

レイトはその恩恵でケガが治った

じゃあ対価としてレイトが何を差し出してるのかが不明

ただ盾の権能の代償の観察だけとはちょっと考え難い

 

421:名無しの転生生徒

あとこの治験契約っていつからのものなんだ?

そもそも黒服とレイトはいつどこで会ったんだ?

 

422:名無しの転生生徒

遅くとも7年前には既に会ってるんだよな

柴大将とワカモに引き合わせたのがレイトみたいだし

 

423:名無しの転生生徒

いまレイトは19歳だから、7年前って事は12歳か

満13歳だから中学一年

いや中一で色々起き過ぎだろ。そら柴大将もああなるわ

 

424:名無しの転生生徒

連邦生徒会長からのヴァルキューレとSRTスカウト、ワカモを引き取った狐坂事変ときて、今度は黒服

なんでlaw側とOutlaw側を反復横跳びしてんだ

 

425:名無しの転生生徒

そういえばビナーとデカグラマトンの呼称にも反応してなかったっけあいつ……

 

426:名無しの転生生徒

してたな

もう吐け、マジで全部吐けレイト

多分それだけで色々な方面の問題解決の取っ掛かりになるぞ

 

427:名無しの転生生徒

現時点で既に白銀条約とかいうデカグラ編への足掛かり出来てますしね……

 

428:名無しの転生生徒

なんならビナーは撃破されてる

こーれ最終編に出てくる色彩ビナーの代わりどうなるんですかね?

 

429:名無しの転生生徒

特殊作戦や総力戦で出てきたケセド、ホドもぶっ壊してるのに色彩で出てきた辺り、復活するんじゃない?

 

430:名無しの転生先生★

え、あれ復活するの?

嘘でしょ?

 

431:名無しの転生生徒

分からん……

一応ゲームで撃破時には爆発するんだけど、ただの演出で実際は沈黙や撃退するまでに留めてる可能性がある

ちなみにビナーはHPをゼロにしても逃げ帰るモーションしかしない

 

432:名無しの転生生徒

なので先生の方からそれとなーくオーバードレールキャノンの修理を促しておいた方が良いと思われ

まあ預言者の脅威がまだある以上、リオが言われずともしそうだけど

 

433:名無しの転生先生★

そうだね……それとなく聞いて、しそうになかったら提案してみる

 

あといま黒服からお話の誘い掛かったから行ってくるね

 

434:名無しの転生生徒

ああ、やっぱり誘いを掛けてきたな……

行ってら~

 

435:名無しの転生生徒

油断しないでな

ついでにここに出てた疑問についてもぶつけてくれると助かる

あいつが答えるかは期待してないが

 

 

 


 

 

 院内の廊下の突き当たり。

 日差しの入る窓と自販機のあるそこへ、私はアヤメ、ユキノ、アヤネ、リオの5人を伴って黒服と対峙した。

 黒服が財布から取り出した紙幣を自販機へ入れ、無糖のあついコーヒーを購入。ガコン、と取り出し口から音がした。

 

「皆さんも何か買われますか? 奢りますよ」

"それは私の役目なので結構です"

「クックック……そうですか」

 

 キッパリと断りを入れる。それも予想していたのか楽しそうに肩を揺らしながらお釣りレバーを引き、釣銭とあつい無糖コーヒーの缶を取り出した。

 そうして黒服が自販機から離れたのを見て、次は私が紙幣を取り出し、入口へ挿入。

 

"みんなも飲みたいのがあったら言ってね"

「じゃあごちそうになります。私はペットボトルの緑茶で」

「私は、つめたいミルクティーをお願いします」

「微糖のホットコーヒーを頂くわ」

「……では、私はペットボトルのスポーツ飲料を」

"はいは~い"

 

 にわかに湧き立った少女達の要望に応え、釣銭清算がされる前にそれぞれの要望通りにボタンを押し、最後に自分用のつめたい無糖コーヒーを買う。それぞれが希望したものを取り出し口から取っていった。

 その一幕を、黒服は壁際でコーヒーの缶を傾けながら観察していた。

 傷ついてるのかもしれないが、ロクに知らない大人から奢ると言われても警戒しか無いだろう。

 まあリオとアヤネも私とは今日が初対面だけれど……

 

"それで? 私に話ってなに?"

「まずハッキリさせておきましょう。私達は、あなたと敵対するつもりはありません。むしろ、協力したいと考えています」

 

 コーヒーのプルタブを捻り、プシュッと空気の抜ける音と共に穴を開ける。

 その反響が無くなってから、私は口を開いた。

 

"何のために?"

「私達の計画において、一番の障害はあなただと考えているのです。あなたの存在は決して些事とは言えない……敵対する事は避けたいのですよ」

"『私達』ね……あなたたちは、いったい何者?"

「拝借した名ですが、『ゲマトリア』と名乗っております。ゲマトリア(私達)は観察者であり、探究者であり、研究者です。あなたと同じ『不可解な存在』だと考えていただいて問題ございません」

 

 黒服の答えは先ほど転生者の子が言っていた事とほぼ同じだった。求道者の下りが無いのは気になったが、別の機会で触れる事だろうと一旦流す事にする。

 それにしても……

 

「先生が、不可解な存在ですか……?」

 

 と、そこでアヤネが同じ点について言及した。

 対面に立つ黒服は、こくりと首肯する。

 

「そうです。むしろ不可解の塊ではありませんか? 情報が遮断されたキヴォトスの外より突如の来訪。呼び寄せた連邦生徒会長は失踪し、彼女が残した連邦捜査部S.C.H.A.L.Eとオーパーツを使い、既に様々な問題を解決している」

"私が凄いんじゃないよ、それは。SRT関連の事はユキノ達SRTの子達が私を信じてくれたからだし、レイトの尽力があっての事でもある。癒着関連はカンナの勇気があったから。百鬼夜行の事も、百花繚乱やお祭り運営委員会の子達が頑張ったから。今日の事もみんなが協力したからこそ……私は、ちっぽけな人間さ"

 

 それは本心からの言葉だ。

 みんなが解決のために協力したからこそ得られた結果。シャーレの実績と言っても、借り物に近しい。

 背負える責任であり、背負うべき責任だったから背負ったに過ぎない。

 子供達が笑える未来のためなのだから。

 

「クックック……あなたは自己評価が低いですね。あるいはシャーレの権限があってこそと考えているからでしょうか? 権限があっても、それを使うかどうかはあなた次第です。その判断をもあなたは大したことではないと言うのですか?」

"そうだね"

 

 間を置かず肯定する。

 迷う必要も無い事だった。

 ―――だが、黒服は違ったようだ。

 ぼうっ、と。右目からの白と黒の噴煙の勢いが増す。左右に控えるアヤメとユキノが咄嗟に構えを取ろうとするのを、片手で抑える。

 黒服が向けてきているのは怒りではない。

 だが、感情の起こりではある。

 まっすぐと注がれる黒服の視線には、訝しむ色に満ちている。

 

「理解できませんね……なぜ? なぜそんな答えが出るのです? 権限の行使には責任が伴います。あなたはその責任を負う事を、偶然出会い、頼られただけの子供のためにそれを負う事を、なんて事はないと言っているのです。なぜそんな事を?」

"それが、大人のやるべきことだから"

 

 私の返答に、再度ぼうっと噴煙が増した。

 それから数秒して、噴煙の勢いが和らいだ。こくりと黒服はあついコーヒー缶を傾け、嚥下する。

 

「なるほど。大人とは『責任を負う者』、そう言いたいのですか?」

"そうだよ。SRTの事が顕著だったけれどね。連邦生徒会長も子供なんだ、その子が投げ出しちゃった事は私が背負う。やり方は多少横紙破りだし、背負うのも全部という訳じゃないけれどね"

 

 誰かが投げ出した事は、結局誰かがしないといけない。

 そしてそれを出来るのは私だった。シャーレの権限をフルに使えば、SRTの責任を背負えた。だから背負った。

 子供達が笑っていられるなら、躊躇う理由なんて無い。

 

「……先生。その考えは間違っています」

 

 しかし、黒服はそれに異を唱える。

 眼窩の白い闇を強くしながら、彼は言う。

 

「『大人』とは、望む通りに社会を改造し、法則を決め、規則を決め、常識と非常識とを決め、平凡と非凡とを決める者。権力によって権力の無い者を、知識によって知識の無い者を、力によって力の無い者を支配する者です」

 

 そうなのだろう、と内心で首肯する。

 少なくとも、キヴォトスに於ける『大人』の定義はそうなのだと。

 私と相対した子達から幾度となく聞かされたことだ。当たり前のように当たり前じゃない事を言う―――ミヤコ経由だが、ユキノもそう言っていたらしい。

 この地に於いて異端なのは私の方だ。

 

「先生。自分とは関係のない話、なんて事は言わせません」

 

 そこで、黒服が私について言及する。

 何のことだろうと疑問を抱く私に、彼は話を続けた。

 

「あなたは、このキヴォトスの支配者にもなり得ました。この学園都市における莫大な権力と権限、そしてこの学園都市に存在する神秘の全てが、一時的にとは言えあなたの手の上にあり……しかし、あなたはそれを迷わず手放した」

 

 それは、皆がチュートリアルと言っていたシャーレオフィスビル奪還戦の事。地下へシッテムの箱を取りに行き、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復、回収し、それを連邦生徒会へ移管した話だろう。

 たしかにアロナには言われた。「今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも同然です!」と。

 同時に制御権を連邦生徒会へ渡しても大丈夫かとも聞かれた。

 私に支配なんて大それたことは出来ないから即答で渡していいと言ったけど。

 

「あなたの先ほどの論理に沿うなら、あなたは制御権を以て連邦生徒会長と同等の座に就き、キヴォトスを統治し、混乱を収める道もあったのです。むしろ失踪した連邦生徒会長が負うべきだった責任を負うと言うなら、それこそが『正道』ではありませんか?」

"結果論だよ、黒服。それは今だからこそ言える事でしかない"

 

 あの時に私がSRTの責任を負うと言いだしても、誰も賛成はしなかっただろう。レイトですら難色を示したに違いない。

 彼が協力してくれたのは、戦友であるユキノ達が、彼女たち自身に非が無く、どうしようもない責任を理由に廃校の道を辿っていたため。それを阻止するために私に―――シャーレに、協力してくれたに過ぎない。

 

"シャーレは、究極的には『利害の一致』で動くものなんだ。必要だから助けを求められ、助けが必要ならと手を貸す。そういう組織で、私はそのために居る。必要とされない事には口を出せないし、私も口を挟まない。何でもかんでも手助けしてたら、子供達の成長に繋がらないからね"

「……私は、助けを求めていませんでしたが」

"そういう子には聞きに行って引き出すんだよ。助けを求める、声なき声を、その子が笑う未来のためにね"

 

 やや憮然としたユキノに、そう笑いかけておく。

 屁理屈と思われてるだろうか? でもまぁ、それが私だから受け入れてもらうより他はない。

 

「なるほど……『子供が笑う未来のため』。それが、あなたがキヴォトスで追求する事ですか」

"わざわざ追求する事でもないと思うけどね"

 

 黒服の大仰な考え方に、私は軽く答えた。

 そう―――なんて事は無いのだ。そして当たり前であるべき事である。

 

"子供が笑えない社会が当たり前だなんて、そっちの方が笑えないと思うよ"

 

 大人だけが私欲に肥え、笑う現実は看過してはいけない。

 幸せになるのはいい。私欲を満たすのも当然の権利だ。

 けれどそれが、子供から搾取してとなるなら―――

 それは、到底受け入れてはならない事である。

 なぜならば、その社会には未来が無いという事だから。

 

"さっきのあなたの言葉から察するに、あなたはそうは思わないようだけど"

 

 突き放すように言って、つめたい無糖コーヒーを呷る。

 黒服は愉快げに、喉奥で嗤った。

 

「ええ、仰る通りです。私達は他人の不幸よりも自分達の利益を優先します。否定しませんとも。善か悪かと問われれば―――きっと、悪でしょう」

「――――」

 

 ピリ、と空気が張り詰めた。

 ユキノからだ。正義を胸に抱き邁進してきた精鋭の狐が、ハッキリと闘志を露わにした。

 

「しかし、ルールの範疇です。そこは誤解はしないでいただきましょうか」

 

 だが、機先を制するように黒服が言う。

 その時だけは顔を彼女へ向けていた。

 

「そのルール……言うなれば契約が、相手を嵌めるためのものでないという保証は?」

 

 反撃とばかりに、それまで黙って聞いていたリオが発言した。

 黒服も彼女へと顔を向け、ぼうっ、と二色の噴煙を右眼から上げる。

 

「治験契約の事でしょうか? それでしたら契約書の写しを彼も持っていますので、後程ご確認ください。不法なものではありませんよ」

「例の左腕の負傷は、あの盾を持った2年前からのものの筈。けれど養父の方とは7年振りとの事……保護者も知らない契約を結ばせていた以上、信用ならないわ」

「保護者が常に把握していなければ怪しい、と。そうなると、彼が10年の間に結んできた契約の全てが怪しい事になりますよ?」

「論点をずらさないでちょうだい。あなたが、彼と、結んだ契約が怪しいと、今は言っているの。治験契約についても、それ以外にあなたが交わしたと思われる事も」

「クックック……流石は一年の身で一校の長に上り詰めた『ビッグシスター』ですね」

「世辞は結構よ。それで、どうなのかしら?」

 

 リオはある意味頑なに、しかし実直に理詰めで黒服に詰問を続ける。煙に巻こうとしたらしい黒服もこれには参ったと言わんばかりに飲み干した缶共々、両手を上げた。

 

「私がここで言葉を尽くしたところで信用には値しないでしょう。先ほども言いましたが契約書の写しは彼も持っています。そちらをご確認ください」

「ならそうするわ。ただ、まだ訊きたい事がある。あなたと彼は何時からの関係なのかしら」

「およそ10年ですね」

"え……!?"

 

 10年前から知り合っていた事実に、私達は揃って驚愕した。

 ワカモに降ろされたモノを何とかするべく、方々探し回ったという話だったから7年前くらいかと思っていたのに……

 更に3年前から関係があったなんて。

 

「まさか、レイト先輩が傭兵を始めるようになったのって……」

 

 だから自然と、黒服がキッカケで彼は傭兵を始めたのではと疑った。

 転生生徒(みんな)がカイザーを唆し、アビドスが借金苦になるキッカケになった人物だと言っていたのもあるが、それを知らないだろうアヤネも同じ発想に行きついているようだった。

 

「いえ、それに私は関係していませんよ」

 

 だが、黒服はアッサリとそれを否定した。

 困惑に包まれる私達を他所に、空になった缶をゴミ箱へと入れた黒服は、振り返りざまに続ける。

 

「私が会った時、彼は既に傭兵をされていました。まあ当時はトレジャーハンターと言った方が正しいかもしれませんが」

"トレジャーハンター……?"

「ええ、そうです。10年前から連邦生徒会長よりお声が掛かるまでの3年間は、主にオーパーツ探しで金策をされていました。彼が探し当てたものを私が買い取ったり、オークションに出品する仲介人等をしたりが基本でしたね。あとはまあ、私自身が足を運ぶ際には護衛を頼んだ事もあります」

 

 たしかに、言われてみれば10年前から7年前の3年間は空白だ。

 7年前、当時の連邦生徒会長から半ば嫌がらせの形ではありながらも各自治区での戦闘許可が出るようになり、賞金首を捕まえる事もある程度スムーズになった。

 ゲヘナの風紀委員会やミレニアムのセミナーからの依頼も届き、傭兵稼業も順調に。

 だが、そうなる前の3年間、どうやってお金を稼いでいたかは不明のまま。

 そこにこの黒服が関わっていたらしい。

 しかし、彼が傭兵を始めるキッカケではないと。

 そこで、私は思い出した。彼が長年傭兵稼業をしている理由を。

 

"……思い返せば、そもそも彼がお金を稼いでる理由は、自分が大切に想う人達のためだったね"

 

 今では知り合いや後輩の事もあって続けている傭兵稼業の目的は借金返済のお金稼ぎであり、その始まりは柴大将なのだ。

 黒服が挟まる余地はそもそも存在していなかった。

 

「クックック……そういう訳です。それに、私との関わりも全てが悪という訳ではありませんよ。彼が発見して私が見定めたオーパーツの幾らかは、ミレニアムにも渡っています」

"……どういう事?"

 

 ここに来て、新たな事実が出てきた。

 なぜミレニアムが? と疑問をリオに向ける。彼女は少しの間考え込んでから口を開いた。

 

「……ひょっとして、古代史研究会の事かしら」

「リオ会長、そこと先輩にどういう関係が……?」

「古代史研究会はその名の通り、キヴォトス史に於いて古代文明と呼ばれるものの研究をしている部活よ。史跡を探索し、歴史的価値のあるものから過去を探究する事で、ミレニアムサイエンススクールが掲げる千年難題……七つの古則を解明しようという目的のために活動している。その中には、オーパーツの研究も含まれているわ」

"じゃあレイトが探し当てた物を、ミレニアムに寄贈してるって事?"

「正確には貸与ね。美術館のそれのように、一定期間借り受ける代わりに金銭を支払っているの。そうするだけの価値がある物を彼は数点、定期的に提供してくれている。この契約は四半期毎……3ヵ月毎に更新しているから、アヤネが知らなかったのだと思うわ」*1

 

 ミレニアムが価値があると判断するレベルのものを定期的にとなると、それなりの額になる筈だ。安定した収入があるのはとても良い事である。

 それにしても思ったより本格的にトレジャーハンターしてるな彼……

 

「その提供物の鑑定を私が担っていたという訳です。鑑定と言っても、危険物かそうでないか程度ですがね。私も元を正せば外部の者なので詳しくないですから。好事家に売れるなら私経由でそちらに売り、売れなさそうなら古代史研究会への貸与、危険物は処理という具合で動かれているそうですよ」

"思ったよりガッツリ一緒に動いてるね……?"

「クックック……これでもビジネスパートナーとしてそれなりの付き合いになりますので。年数だけで言えば、柴大将と梔子ユメさんの次に長いのですよ」

「くちなし、ゆめ?」

 

 黒服が挙げた名前に、アヤネが聞き返す。

 私はその名前に聞き覚えは無い。少なくとも初めて聞く名前だが―――名前そのものは知っている。

 その名の少女が、どうなったのかも。

 

「おや、ご存知ありませんか? あの盾の本来の持ち主ですよ。2年前にビナーと大規模な砂嵐に見舞われ、彼が持つ散弾銃の持ち主と共に悲運を辿っていますが」

「……じゃあ、先輩達が『仇討ち』と言われていたのは……」

「その事ですね。彼にとって幼馴染の梔子ユメさん、そして自身を慕ってアビドスのために奮闘しようとした後輩の小鳥遊ホシノさん、お二方のボロボロに黒焦げた遺骸を懸命な捜索の末にワカモさんと二人で見つけたそうです。DNA鑑定もして、疑いようが無かったそうですよ」

「…………そうなんですね……」

「……何となく察してたけど、やっぱりそうだったんだ」

 

 黒服の清々しいほどに残酷な事実の提示に、アヤネとアヤメが沈痛な面持ちで呟く。ユキノとリオも同様に、顔も知らないだろう二人の死を悼んでいた。

 私も薄々察してはいたけれど―――

 やりきれない気分だ。

 

「そして、それを契機に彼は白銀条約の締結のため、ワカモさんはEXP社の設立へと奔走。今日(こんにち)では前者は預言者による犠牲者を防ぐべく運用され、そして今日(きょう)は後者が市民の避難のために動かされましたね」

「……待ってちょうだい。預言者って何の事?」

 

 一瞬流しそうになったが、白銀条約で情報面を扱っているミレニアムのトップはそれに気付き、言及した。

 預言者。

 それは転生者掲示板を経由して私とアヤメ、あの子達やクズノハこそ知っているが、他の人は初めて聞く単語(ワード)の筈だ。

 一体どこで何を知ったのかと、私達は疑問を浮かべた。

 

「あなた方が本日討伐されたビナーの事ですが……ふむ、どうやらご存知なかったようで」

"私達はね。レイトはビナーという名前に聞き覚えがありそうだったけど"

「ああ……それはそうでしょうね。しかしもう何年も昔にお話しした事です、"砂漠の鉄蛇"という名称の方が馴染み深かったことと日々の忙しさも相俟って忘れていたのでしょう。まあ話したのはビナーに関してだけで他に現存するとは話してませんでしたからね」

「あれ……? ですが先輩は、デカグラマトンという単語にも反応されていましたが……」

「ふむ……? それについては私は知りませんね。彼が聞き知っている事自体が初耳です」

「そうなんですね……」

 

 どうやらレイトがビナーについて反応したのは情報源が黒服だからだったらしい。転生者の子達も、ビナー戦の前口上は黒服が担当したと言っていた。多分それなんだろう。

 しかしデカグラマトンの事は話していないと言う。

 じゃあ彼はいったいどこでそれを聞いたんだ……?

 

 ―――ともあれだ。

 白銀条約について協力する事を約束した以上、ここでそれに類する話は聞いておくべきだ。彼が聞いたのはそれが出来る前で重要視していなかっただけだろうから。

 

"黒服、知っている事を話して。預言者って一体何なの?"

「クックック……ええ、構いませんよ。誰かに考察を聞いていただく事は研究者にとって得難い楽しみですから。少々長話になるのはご容赦下さい」

 

 こちらの要請に、特に対価を要求する事もせず上機嫌に肩を揺らしながら笑う黒服は、少ししてから話し始めた―――

 

 


 

 

「遠い昔の事です。キヴォトスの端、誰も足を踏み入れない旧都心のとある廃墟で、奇妙な研究が進められていました」

 

「神を研究し、その存在を証明できれば、その構造を分析し、再現できるだろう」

 

「すなわちこれは、新たな神を創り出す方法である……」

 

「誰もが嘲笑う滑稽な仮説でしたが、そんな理論に興味を示した者達がいたのです」

 

「『ゲマトリア』……そう、私達が拝借した名、その大元です。その者達がその研究を支援し、莫大な資金と時間が費やされ、神の存在を証明するための超人工知能が造られたのです」

 

「神という存在に関する情報を集積、分析、研究し、それを証明するための人工知能……『対・絶対者自立型分析システム』は、そうして稼働し始めたのです」

 

「……月日は流れ、都市は破壊され、研究所も水の底に沈みました」

 

「しかし、そのような研究が行われていたという事実すら忘れ去られるほどの時間が過ぎたにも関わらず、このAIは、己の任務を遂行し続けました」

 

「そしてついに、AIの宣言が廃墟に声高らかに鳴り響いたのです」

 

 

「『Q.E.D.』と」

 

 

「……それは証明され、分析され、再現された新たなる神の到来です。『音にならない聖なる十の言葉』と己を称する新たな神―――『神名十文字(デカグラマトン)』」

 

 

「彼の者はまた、己の神命を予言する者と接触して預言者とし、神聖な道である「Path(パス)」を拓いています」

 

「これぞまさに、新たな『天路歴程(てんろれきてい)』」

 

「それが本当に神なのか? 実際のところ、そのような事はどうでもいいことです」

 

「ただ、彼の者自身の神性を証明する過程であるそれは、間違いなく真理の摂理に至る道―――『SEPHIRA(セフィラ)』と呼んでも、遜色は無いでしょう」

 

 

「本日撃破された預言者は、セフィラの最上位に位置する天上の三角形の一角」

 

 

「そのパスは理解を通じた結合。"違いを痛感する静観の理解者"の異名を持ちし、第三の預言者……BINAH(ビナー)です」

 

 

「そして現在私が確認している預言者は、残り2体」

 

 

「第一の預言者、"最もきらびやかに輝く至高の王冠"・KETHER(ケテル)

 

「第四の預言者、"慈悲深き苦痛を持って断罪する裁定者"・CEHSED(ケセド)

 

 

「未確認の預言者はあと6体、そして到来間近の神が1柱」

 

 

「デカグラマトンの預言者を相手に、先生は、『S.C.H.A.L.E』は、キヴォトスはどこまで耐えられるでしょう?」

 

「少女達の神秘は、新たな神の神秘に比肩し得るでしょうか?」

 

 

「ええ、そうです……元の『ゲマトリア』が参画した研究に、神秘の探究を志す私達もまた、非常に興味深いものとして観察を続けております」

 

 

「本日のビナーの撃破も同様です。見事な手際でした」

 

 

「ともすれば……全ての預言者も、そして新たな神をも踏破するかもしれませんね」

 

 

「そして、私はこうも思います」

 

 

「『神を超えし者は果たして人なのか?』」

 

 

「これもまた、興味深い問題です」

 

 


 

 

550:魔眼の使い手

 黒服『以上です。ご清聴、ありがとうございま―――』

 私「長過ぎるよ!!!!!!」

 

長過ぎるよ!!!!!!

 

551:名無しの転生生徒

 

552:名無しの転生生徒

草生える

 

553:名無しの転生生徒

思考と衝動そのままに喋ってるアヤメさん狂おしいくらいすこ

 

554:名無しの転生生徒

ウキウキ黒服の大演説をそれで済ませたのすまんが爆笑してる

そうだよな、ファンのミーハー心理とか無いならそうなるよな

 

555:名無しの転生生徒

まあ絶賛敵意と不信向けてる相手の話だもんなぁ……w

 

556:名無しの転生先生★

 黒服『ククッ、クックックックッ……! ですから事前に長話はご容赦をと言ったでしょう』

アヤメ『あんな長いと思わないって! いや、それより複雑過ぎ! 前半の対絶対なんちゃらの下り必要だった!? セフィラがどうこう、パスどうこうって訳分かんなかったよ!』

 黒服『デカグラマトンの来歴として必要だったかと。それに後半も重要ですよ。神が神たらんとする要素には欠かせませんから』

 

愉しそうにしてるなぁ……

 

557:名無しの転生生徒

しっかり長話を聞いてくれた上にアヤメの反応が良すぎるからなんだろうなって

 

558:名無しの転生生徒

敵対しなけりゃ割と話せる奴な感じはするからな黒服

敵対しないのが無理なだけで

 

559:名無しの転生生徒

先生がマジで原作先生と同じ結論出してて感動したよ俺

 

560:名無しの転生生徒

『大人とは責任を負う者』

はーこれこれ、堪んねぇよ!

 

561:名無しの転生生徒

『子供が笑う未来のため』もブルアカ宣言の根底にあるものだし譲れねえな!

 

562:名無しの転生生徒

っぱ黒服との対峙が好きなんすよねぇ

掲示板越しの実況とは言えやり取りを知れて感動ですわ

 

563:名無しの転生先生★

そんなに喜ばれると恥ずかしいやら複雑やら……

なんてことは無い話なんだけどね

 

それと黒服とは心の底から本気で合わないって分かったよ

 

564:名無しの転生生徒

でしょうね

 

565:名無しの転生生徒

まあそうじゃないとだ

SRTの子も抱えてるから猶更あくどい事出来ないし

 

566:名無しの転生生徒

そもそも先生と黒服じゃ思想も方向性も真逆だからな……

生徒を平気で実験体にできる奴とはそりゃ反目する

 

567:大預言者

中々の外道よな、黒服とやらは

悪と詰られようと、法を逸脱していないが故に捌けぬ中で動き続けておる

分を弁えている者ほど厄介なことはない

 

568:名無しの転生生徒

そうなんよね

あくまで契約とかのルール上で出来る事しかしないんすよコイツ

まあ穴を突いてくるからアレなんだが

 

569:名無しの転生生徒

これレイトは大丈夫なんかね……?

リオに写し見てもいいよって言ってる辺り、不当なのは無いのかもしれんが

 

570:名無しの転生生徒

『見るだけじゃ分からない』ことがあるかもしれんよ

治験に使った薬の効果で分かってるのは見た目と結果だけで内訳は不明やろ?

 

571:名無しの転生生徒

というかレイトって黒服のことどれだけ知ってるんだ?

10年間の付き合いだからとはいえあくどい事まで知ってるとは限らんよ

 

572:名無しの転生生徒

『ゲマトリア』についてレイトがどれくらい知ってるか不明だからなぁ……

そのへん無関係な可能性はあるが、原作黒服ってホシノの次にシロコ狙ってたんだよな

ホシノが乙ってるこの世界だと初っ端からシロコ狙いだろうし、それに関して黒服からアクションあって色々勘付いていてもおかしくない気がするんだが

 

573:名無しの転生生徒

オトギが言ってたみたいに、それを踏まえた上で付き合わないといけないくらいの何かがあるとか?

 

574:名無しの転生生徒

まあ逆に本当に何も知らなくて黒服を「物知りおじさん」扱いしてる可能性も全然あるんだけどな

あいつ言ってること殆ど考察だから合ってる保証も実は無いんだけどね

 

575:名無しの転生生徒

まあでも火のない所に煙は立たぬと言うし、考察してる時点で存在は証明してるから

預言者の事だって存在を知るキッカケにはなったからヨシじゃ

 

576:名無しの転生生徒

預言者と言えば、ビナーよぉ……

オメー、ユメぱいとホシおじを殺りやがったのかよ……

 

577:名無しの転生生徒

砂嵐も絡んでるからワンチャンでセトの憤怒もオシリスの神秘持ちらしいユメぱいを仕留めに絡んできてた可能性はある

雷だから遺体が黒焦げになってるのにも説明はつくしな

 

578:名無しの転生生徒

というかやっぱりワカモが遺体を見つけてたのね……

レイトも居たっぽいけど、本当に引き摺りまくってたなあれ……

 

579:名無しの転生生徒

恐らくユメぱいにはかなり懐き、ホシノの事はかなり可愛がっていたのだと思われる

 

580:名無しの転生生徒

その辺の思い出話も聞きたいけど亡くなってるとなると凄く聞き辛ぇ……

 

581:名無しの転生生徒

そんで二人の死が白銀条約の締結のキッカケだったりEXP社の設立の根幹になったと

この二つが巡り巡って仇のビナーを討つことに貢献したのは、なんというか感慨深いな……

 

582:名無しの転生生徒

俺はむしろ二人の死が残酷なまでに確実なものとなって絶望してる

ユメ先輩はまだしもホシノまで……!

しかもご丁寧にDNA鑑定までして生存可能性を否定されてるしよぉ!

一縷の望みすら絶たれてやがる!!!

 

583:名無しの転生生徒

諦めろ

あの二人が一番辛い立場だ

 

584:名無しの転生生徒

原作だとユメ先輩って2年か3年かは明かされてないが、この世界だと多分当時3年生なんだろうな

レイトにとっちゃ幼馴染と後輩

ワカモにとっちゃ先輩と後輩

しかもレイトが便利屋に言ってた言葉の元の発言者の生徒会長は多分ユメぱいなので、恐らく同級生なんだよね……

 

585:名無しの転生生徒

盾はともかく銃も比較的しっかり残ってるのに遺体ボロボロなのか……

 

586:名無しの転生生徒

>>585

たまたまビナーの主砲を素で食らっちゃったとかかなぁ

砂から顔出した瞬間にぶっぱされたらユメぱいが防げたかどうか怪しいし……

 

てかホシノも何か出会った経緯変わってたな?

レイトを慕ってアビドスのために奮闘しようとしたって感じで黒服言ってたけど、原作そんなに前向きだったっけ

 

587:名無しの転生生徒

一応原作もアビドスのために奮闘はしてたが……

 

588:名無しの転生生徒

あれどっちかというと脳焼きしたユメ先輩のためって所が大きいと思うんだよな

色々憤ってた辺り理想はあったんだろうけど、実際の原動力の大半はユメ先輩だったと思う

 

589:名無しの転生生徒

ああ……

10歳の頃からずっと借金返済に貢献してるから、そこでホシノがレイトに脳を焼かれてたのか

 

590:名無しの転生生徒

そうか、原作前からずっと能動的に動いてたらそういう変化も起きるか

 

591:名無しの転生生徒

まあ死んじゃってるんですけどね

 

592:名無しの転生生徒

>>591

お前さぁ……

 

593:名無しの転生生徒

>>591

人の心とか無いんか?

 

594:名無しの転生生徒

>>591

もちっと故人への思いやりをだな

 

595:名無しの転生先生★

 リオ『……ちょっと待ってちょうだい。おかしいわ。『新たな神の神秘』?』

 

ん、長考してたリオが何かに気付いたっぽい

 

596:名無しの転生生徒

ほう?

 

597:名無しの転生生徒

マジかーリオがかー

 

598:名無しの転生生徒

原作だとヒマリの持ち回りだったが、この世界だとリオになるのか……

さて、何に引っ掛かったんだ?

 

599:名無しの転生先生★

 リオ『AIであるなら被造物ということ。けれど盾の権能の件を踏まえれば被造物に神秘は無い筈よ? つまり『対・絶対者自立型分析システム』を基とするデカグラマトンは、被造物の身でありながら、演算の果てに自ら神秘を持ったという事?』

 黒服『そうなります。更には、接触した対象に己の神性……すなわち神秘を分け与え、預言者として作り替える。作り替えられた者は被造物でありながらヘイローを、すなわち神秘を有するのです』

 リオ『それを証明するのが天路歴程、もといセフィラ……預言者の存在? おかしいわ。順序が逆よ。先に預言者という柱があり、それを辿って神性を証明し、神として証明されるのではないの? いえ―――預言、神の言葉を預かるなら、先に神が在るの?』

 

んん?

卵が先か、鶏が先かの話かなこれ

 

600:名無しの転生生徒

おお、おお……?

 

601:名無しの転生生徒

ビナー戦前の口上のアレかな?

あんなんまともに考察した事無いから分からんが、考えるだけ無駄なのでは

 

602:名無しの転生生徒

まあデカグラの正体は自販機のお釣り計算AIやからなぁ……

おもっくそ推論を外してる黒服の話なんてそんな真面目に聞くほどの事じゃあらしまへんえ

 

603:名無しの転生先生★

 黒服『ええ、そうです。既に神たるデカグラマトンは存在しています。そして己の存在と神性を証明するために、預言者を増やしているのです。確認されている最新の預言者は4番目。『廃墟』に在りていずれ到来せし堅固な王国に忠誠を誓う民。閉鎖された軍需工場をコントロールし、無限の軍隊を生産していた『ディヴィジョン』という名のAIだったモノ』

 リオ『廃墟の……!』

 黒服『そのPath(パス)は、権力を通じて動作する慈悲。その異名は、"慈悲深き苦痛をもって断罪する裁定者"。第四の預言者、ケセドと言います』

 リオ『ケセド……それがアレの名前なのね。『ディヴィジョン』というAIの名前も初耳……後で調べなくては』

 

黒服ってどこからこれだけの情報を集めてくるんだろ……

 

604:名無しの転生生徒

まあ、アビドスの借金の年数を考えるに何十年も前からいるっぽいし、ビナーも同じくらい長い存在らしいから……

 

605:名無しの転生生徒

そうか、黒服ってそう考えるとお爺ちゃんになるのか?

 

606:名無しの転生生徒

黒スーツのスタイリッシュな着こなしぶりとスタイルは全然老人のそれではないけどな

 

607:名無しの転生生徒

そうなるとカイザーPMC理事もそれなりの老人って事なんだなぁ……

 

608:魔眼の使い手

 リオ『ゲヘナに居た預言者と、ケテルについても教えてちょうだい』

 黒服『ゲヘナの火山に居た者は第二の預言者、"王国を守りし古代の守護者"・CHOKMAH(コクマー)と言います。しかし私も、この預言者は撃破後に確認したので詳細を知りません』

 先生"あ、知らないんだ……誰が倒したとかも?"

 黒服『彼が2年前のゲヘナの議長と共同で討伐したとは聞いています』

 リオ『2年前……白銀条約の時期だとすればマコトで、前線に出たのは恐らくヒナね』

アヤネ『ああ……ヒナさんの火力なら預言者を倒せてもおかしくはないかもしれませんね。ひょっとするとワカモ先輩も参加されていたかもしれません』

 黒服『それからケテルについてですが、こちらは何年も前にミレニアムの『廃墟』で確認したきりです。パスは判明しておりません』

 リオ『……『廃墟』に? ミレニアムに二体も存在しているというの……?』

 黒服『預言者は被造物のAIや機械、ミレニアムはその最先端の都市ですからねぇ。自然と狙われるものが多いという事でしょう』

 リオ『……頭が痛いわ』

 黒服『クックック。心中お察ししますよ』

 リオ『慰めは結構よ……』

 

ああ……ミレニアムに残り2体が集中してるんだ……

 

609:名無しの転生生徒

更に悪いお知らせ

ホドという預言者もミレニアムに出る予定だゾ♡

 

610:名無しの転生生徒

通信ユニットAI『ハブ』ってのが預言者化するんだ

つまりミレニアムはケテル、ケセド、ホドからなる3体の預言者の脅威が存在するって事だ!

 

611:魔眼の使い手

うわ……リオ会長、災難だね……

 

612:名無しの転生生徒

白銀条約があるだけ原作よりマシだぞ

原作だとホドの感化を契機に対デカグラマトンの活動が始まる上に極秘事項だからってエイミと先生、それからヒマリっていう『全知』を自称するスーパーハッカーの3人態勢で調査するからな!

 

613:名無しの転生生徒

なおそれを指示したのは原作のリオ自身の模様

今思うと当時のリオ、すんげー頭抱えてただろうな

AL-1Sの事もあるしエリドゥもあるしヘイローを持って暴れ始めたAIがいるしで

 

614:大預言者

『原作』のリオへの畳み掛けは泣きっ面に蜂のようじゃな

 

615:名無しの転生生徒

更にはパヴァーヌ2章での追い打ちもあるという

 

616:名無しの転生生徒

まあこの世界だとデカグラ関連は白銀条約で緩和されるだろうから……

問題はパヴァーヌなんだがな

つーか俺らや先生にとっちゃこっちの方が喫緊の問題まであるんだよ

 

617:名無しの転生生徒

しかし下手に情報を出すとリオやヒマリらに変に気取られて対策されかねないという……

 

618:名無しの転生生徒

パヴァーヌは先生があんま主体的に動かない話ではあるから、逆に知ってると面倒な事になるんだよな

 

619:名無しの転生生徒

パヴァーヌに限らずだけど押し付けや誘導でどうにかなる話じゃないからな……

だからこそ綱渡りだったりお祈りが入るんだが

 

620:名無しの転生先生★

聞いてるだけで中々キツイ未来だなぁ……

 

621:魔眼の使い手

 黒服『……さて。長くなりましたが、そろそろ解散と致しましょうか。中々刺激的で楽しかったですよ。またこうしてお話をする機会を設けたいところですね』

 先生"あなたが子供達の笑顔のために働いてたら、いずれその機会もあると思うよ"

 黒服『クックック……これは手厳しい。最初に申し上げたように、私達はあなたと敵対するつもりはありません。協力するのも吝かではないのですよ』

 先生"あなた達自身の目的のために、でしょう?"

 黒服『ええ、その通り。お互いの利益、利害のために協力する……それは『大人』として、仕事に私情を挟まない当然の在り方ではありませんか? それに私は法に触れるような事はしておりません。明確な批判の理由は無いと思われますが』

 先生"けれど、あなた達は他人の不幸を顧みない"

 黒服『……ええ、そう言いましたね。しかし私は、彼の腕を治し、彼の周囲の者の悲しみを取り払っています。この事実は変わらないと思いますが』

 先生"なら聞いておくけれど、その対価にあなたは彼に何を求めたの?"

 黒服『彼は珍しい症例の持ち主ですので、診断と検体として肉片を僅かに分けて頂き、試作した薬品を投与して経過を見させて頂きました。それ以上は何も。これまでもずっとそうでしたとも。私とて、彼を無為に死なせたいわけでは―――』

 先生"そこだよ"

 黒服『……そこ、とは?』

 先生"『無為に』と言うことは、犠牲にする可能性も許容しているということ。それを前提にした考えには協力できない。『シャーレ』としても、先生(わたし)としてもね"

 

そのまま解散するかと思ったら全然しなくてビックリなんだけど

 

622:名無しの転生生徒

別れ際にシームレスに大人の戦い第二ラウンド始めないでもろて

温度差で風邪引くわ

 

623:名無しの転生生徒

黒服めっちゃ先生のこと引き入れたそうで草

原作よりちょっと執着出てないかこれ

 

624:名無しの転生生徒

原作先生より意思表示多くてハッキリしてるからもっと知りたいと思ってるとか……?

原作先生はホシおじ捕まっててにべもなかったけど、こっちは現状特に敵対要素無いし

 

625:名無しの転生生徒

まあ俺らの情報で無理筋な交渉なんだけどな

 

626:魔眼の使い手

 黒服『……左様ですか。子供達の笑顔のためでしたか。私達と手を取り合い、キヴォトスの真理を秘儀を手に入れる事とそれは両立できると、そうは考えないのですか?』

 先生"出来るのかもしれないけれど、私は秘儀だとかそういったものに興味は無いから"

 黒服『真理とは神秘や権能であり、秘儀とはそれらを運用する手段です。治療不可と診断された右腕も、原因不明とされた左腕も、治療困難な内傷すらも治せたのはそれらに精通していたから。これを知る事は、あなたの追求する目的に沿いはしませんか?』

 先生"いやに誘うね。そんなに私を敵でなくしたいくらい何かを企んでると言ってるようなものだよ。子供達が笑っている未来を求める私が邪魔なのは……つまり、そういう事でしかないと思うのだけど"

 黒服『…………クックック……良いでしょう。交渉は決裂です、先生。私はあなたの事を気に入っていたのですが……仕方ありません。諦める事に致します』

 先生"あなたがそのままでいる限り、私はあなたの誘いには応じない。それを覚えておいて"

 黒服『ええ、記憶に刻んでおきましょう……では先生、有意義な時間をありがとうございました。ああ、それと。最後に、一つだけ』

 先生"なに?"

 黒服『詳細は契約書の写しを持っている彼から聞いて頂くとして、明後日、アヤメさんの魔眼の神秘方面での検診を彼からお願いされていますので、その時はよろしくお願いしますね。では失礼致します』

 先生"は!?"

 リオ『ちょっと待ってちょうだい!?』

ユキノ『ん、んん???』

アヤネ『えぇ!?』

アヤメ『ちょ、えっ、はぁ!?』

 

ちょっと待てェ!?!?!?

 

627:名無しの転生生徒

最後に爆弾ぶっこんでいきやがったぞあいつゥ!?

 

628:名無しの転生生徒

意趣返しにしてはバカでかすぎる……!

 

629:名無しの転生生徒

でもそれもこれもレイトが報連相をキッチリやってないからというね

 

630:名無しの転生先生★

こーれはレイトに問い質す事が増えたねぇ……(#^ω^)ピキピキ

 

631:魔眼の使い手

当人の私もだよ!

あの人に検査されるの何されるか分かったものじゃないから怖すぎるんだけど!?

『原作』の話知ってる身として余計怖い!!!

 

632:名無しの転生生徒

なーんも知らないなら『見た目怪しいけどでも治療した人だしなぁ……』で通せたんだろうけどな

アヤメさんは『原作』知っちゃったからなぁw

 

633:名無しの転生生徒

しかもガッツリと『私、他人の不幸気にしないです』って明言されてるから信用置ける要素がマジで皆無という

 

634:名無しの転生生徒

今回の負傷も想定外だっただろうから本当に見た目不審人物だけどその手に詳しい人って紹介で押し通すつもりだったんだろうね

まあ俺らの情報のせいで破綻した目論見でしたが

 

635:名無しの転生生徒

まあ転生掲示板は流石に予想できんわ

アヤメさんがここに来たこと自体、俺らも予想外だったし

 

636:名無しの転生生徒

いやぁレイトの予定がドンドンぶっ壊れていってるのまるでRTAのオリチャー発動みたいで面白いなw

 

637:名無しの転生生徒

愉悦愉悦

 

638:名無しの転生生徒

次は何の予定がどうぶっ壊れるのか楽しみだな

 

639:名無しの転生生徒

なお連鎖的に俺らの原作チャートも崩壊する模様

 

640:名無しの転生生徒

>>639

まあそれはもうSRT救済の時点で壊れてるんで……

 

641:名無しの転生生徒

これがアビドス編の締めかぁ

いやぁ締まらない終わりでしたね

 

642:名無しの転生生徒

まあ平和なのが一番よ、うん

 

643:名無しの転生生徒

とりあえずお疲れ様でしたのだ

 

644:大預言者

じゃなぁ

レイトがあたふたする様を肴に一服するとしよう

 

 

 

*1
3月始まりにおいて第1四半期は1月~3月であり、契約更新は1月になるため会計処理も卒業前のワカモが処理。第2四半期の4月に契約更新で支払いが発生するため、3月に入学したアヤネ、セリカは把握する機会がまだ無かった





 以下の情報が更新されました
 ・デカグラマトンの預言者
 ・先生
 ・黒服
 ・調月リオ
 ・七稜アヤメ
 ・彼岸レイト


・デカグラマトンの預言者
白銀の鋼鉄機械達の総称
漸く正式名称が共有され、後に白銀条約のサーバーにも登録される
デカグラマトンの神性を証明する10の過程であり、これらを辿ることで新たな神が降臨する「天路歴程」の礎
現在第二セフィラコクマー、第三セフィラビナーが撃破されている

・黒服
「犠牲を許容する考えには協力できない、ですか……」
「それをどこまで貫けるか。見させて頂きましょう」
レイトと長い付き合いの探究者
レイトが探し当てたオーパーツの鑑定者であり、オークションや好事家への仲介人も務めるビジネスパートナー。探究者と求道者という観点から方向性は違えど相性は悪くない
今回先生に熱烈な勧誘を二度の口舌の末に断念
レイト(レネゲイド)に対してどう動くかに興味がある

・先生
"レイトさぁ……そろそろ色々話そうか……"
"ちょっとお時間もらうね!!!"
レイトと一ヵ月弱の付き合いの大人
子供が笑っていられる選択を尊び、そうある社会をこそ望む聖職者にして先導者
『技術の進歩には犠牲がつきもの』という考え方は言わんとする事は理解しても、その犠牲を仕方ないと言って出すのも厭わず押し進める考え方には同調しない平和主義者
根本的に合わないと思ったのは人生で黒服が初
実は突き詰めるとレイトとも合わない

・調月リオ
「やることが、やることが多い……!」
「こうなったら彼女(ヒマリ)にも協力してもらうしかないわ……!」
預言者の存在を知って頭を抱えているビッグシスター
この時点で名もなき神々の技術や無名の司祭の遺産について把握しており、エリドゥ建設中
オーバードレールキャノンの修理に加えてミレニアムにもう1体預言者がいると知り、更に6体と自力で神秘を獲得した神1柱も到来すると知ってパンク寸前
このあと全知のヒマリに連絡して特異現象捜査部の部長になってもらった
白銀条約が無ければ確実に一度は膝を折っていた
折れているべきだったかもしれない

・七稜アヤメ
「あの人とどんな契約を交わしたの!?」
「なんで検診受ける私が聞いてないのさ!?」
知らない間に危険人物に診られる事になっていた魔眼使い
昨日の今日で色々起き過ぎて大混乱
恐ろしいのもそうだが、自分のためにレイトが契約を交わしていた事に驚愕している

・彼岸レイト
(何もかも裏目に出始めたな……)
(教えに背く者の宿命なのかもしれん……)
諸々の計画が瓦解し始めた背教者(レネゲイド)
ゲマトリアの一員である事はバレていないが、そこ以外でボロが出始めた
このあと事態を知った柴大将やワカモ、セリア達に物凄く詰められる
なお重篤な状態から回復し、検査入院に変わったため翌日には退院予定

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