ここだけエドワード・エルリックがアルの魂を鎧に移すの代償として錬金術を無限の剣制に変化したら。   作:資格者:Y

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僕はただ…鋼の錬金術師と型月を混ぜたかっただけなんだ…。



「乖離する始まりの日」

 

 

 

「……畜生ッ!持って行かれた(・・・・・・・)……!!」

 

その日、アメストリス郊外・リゼンブール村にて一つの悲劇が生まれた。十代に入ったばかりの少年エドワード・エルリックは、喪失の痛みに端正な顔を歪ませ、血を吐くような呻きを上げた。

弟の肉体は全て奪われた。代償として得た「母親」は、見るも無惨な肉塊でしかない。

エドは右腕を伸ばし、傍らに転がる古びた鎧を指差した。 魂。弟の魂だけでも定着させる。 だが、等価交換の法則は無慈悲だ。左足一本では、魂をこの世に繋ぎ止める対価としてはあまりに足りない。

「……何でも出すさ。右腕だろうが、心臓だろうが……」

エドの魂の叫びに、真理が反応する。 だが、提示された代償は「部位」ではなかった。

『お前の、――まさか錬金術師としての可能性を、全てオレに譲るか?』

「……あぁ、くれてやるよ! 錬金術でこんな結果しか出せない力なら……喜んで差し出してやらァッ!!」

 

「戻って来いッ! アルーーーッ!!」

 

その瞬間、エドワードの頭の中に「音」が響いた。 それは歯車の噛み合う音。数千、数万の剣が打ち鳴らされる鉄の音。 彼の内界に眠っていた「理解・分解・再構築」の回路が、バキバキと音を立てて剥がれ落ち、未知の異能へと書き換わっていく。

 

 

 

―― I am the bone of my sword. (体は、剣で出来ている)

 

 

 

「っ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

脳からくる衝撃と共に、エドの脳内に数多の武具と「一振りの双剣」の設計図が焼き付く。 その双剣はこの世界の理から外れた、東洋の陰陽を象る夫婦剣。 もはや、地面に触れる必要も、円を描く必要もない。

エドは自分の右腕で近くで転がっていた鎧の首元に血の錬成陣をなぞり叩きつけた。 その背後には、錬金術の光ではない。 夕焼けに染まった、果てしない「剣の丘」と「空に浮かぶ巨大な歯車」の幻影が、一瞬だけ揺らめいた。

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。 雨の降る中、駆けつけたウィンリィとピナコの前で、エドは虚ろな目で座り込んでいた。

「エド! 大丈夫!?左脚が……それに、この鎧は……」

ピナコの悲鳴に近い声に、エドはゆっくりと顔を上げる。

「……アルは、ここにいるよ。魂だけ、連れ戻した」

その手には、奇妙な武器が握られていた。 黒い、曲刀のような短剣。 アメストリスの技術ではおよそ見ることのない、重厚な意匠の「干将」。

「エド、それ……錬成陣もなしに……?」

「わかんねぇ。けど……もう、前のようにはできないんだ」

エドはそう答え、手の中の剣を握った。 彼が失ったのは、世界を再構築する錬金術。 代わりに手にしたのは、己の内界に刻まれた武具を、現世へ引きずり出す異能(のうりょく)を得たからだ。

「兄さん……」

アルフォンスのうつろな声が、鎧の中から響く。

「あぁ。鋼の武器なら、いくらでも用意してやる」

エドワード・エルリック。 「等価交換」を捨て、「無限」の剣を内包する世界を得た少年は、その手に握った偽物の剣と共に、過酷な旅路へと足を踏み出す。

 

 

あの日から数日後

 

朝のリゼンブールの暖かな陽光は、今のエドとっては酷く眩しすぎた。

「……やっぱり、できないか」

リハビリ中のエドが、庭の土に手を当てる。かつてなら「理解・分解・再構築」の奔流が土を形作り、瞬時に壁や物質などを作り出していただろう。

だが、今の彼が地面を叩いても、錬成反応は一切起きない。ただ土が虚しく飛び散るだけだ。

「兄さん……」

鎧の体となったアルフォンスが、背後から申し訳なさそうに声をかける。 エドは立ち上がり、鈍く光る機械鎧(オートメイル)の左脚をじっと見つめた。

「錬金術師を辞めたわけじゃない。真理に『別のルール』を押し付けられただけだ」

エドが意識を内側に向け、その「呪文」を呟く。

「―― 投影、開始(トレース・オン)

空気が震えた。 錬成陣も、リゼンブールの土も、この世界の理すらも関係ない。エドの脳裏にある「荒野」から、一本の無骨な鋼鉄の長剣が引きずり出される。 実体化した剣は、エドの手の掌から現れた。

「不思議だよね。錬金術じゃないのに、錬金術で作ったものよりずっと、兄さんの魂の感覚がする」

アルが投影された鋼鉄の長剣に触れながらそう語った。

「この投影魔術ってのは錬金術と同じく武具を複製だけじゃ無くて。貯蔵と武具の強化も出来る……それも『あっち』のルールらしい。おまけに、今の俺の中で一番強い剣は、あの日の夜に見たあの双剣だけだ」

エドは自分の左足を見る。 機械鎧の重み、神経を焼くような接続部の痛み。それが、彼をこの現実へと繋ぎ止めていた。

「アル、俺たちは元の体に戻る。……錬金術が使えなくなったのなら、俺はこの『偽物』を積み上げて、真実まで辿り着いてやる」

「……うん。どんなに遠くても僕も一緒に行くよ。」

そこへ、ピナコが家の中から声を張り上げた。

「エド! アル! 軍からの使いが来てるよ。マスタングとかいう、あの国家の駒だってさ!」

エドの瞳に、鋭い火が灯る。 自分たちを元の体に戻すための「鍵」を握る者たち。 エドは投影した長剣を杖代わりにして立ち上がった。

等価交換(錬金術)がなくても、俺の魂にある『全部』を叩きつけてでも、お前を取り戻してやる」

 

そして1年後アメストリスの歴史の中で「錬金術を使えない魔術師(れんきんじゅつし)」の旅が、ここから始まろうとしていた。

 

 

 

国家錬金術師のロイ・マスタングとの邂逅から1年。エドワードは彼の推薦を受け、国家錬金術師となるためセントラルシティを訪れていた。

 

 ――12歳の少年による国家資格の受験。

 物笑いの類かと思われる噂を聞き付け、実技試験場には多くの軍人が見物に訪れていた。さらに今日に限っては、軍事最高責任者キング・ブラッドレイ大総統までが観覧しているという異例の事態。大の大人であっても思わず震えてしまうような状況だろう。

だがそんな威圧の中でエドはほとんど気にすることもなく錬成の準備せずに右腕の掌を前に出した

 

「どうした。錬成陣の準備はどうした?」

「要らないよ、そんなもん。俺の場合、こうした方が早いから」

 

 

「―― 投影、開始 (トレース・オン)

 

 

「「「ッ!?」」」

 

直後、右腕から青い線の様なものが浮かび右手の掌からは錬成光に似たの青い光が一帯を照らし、右手の掌から放たれた青い光が徐々に収束していき一本の短剣が生み出された。

道具も使わずにただ手の掌のみで行われる超速錬成。滅多に見られない高等技術に周囲はどよめくが、驚きはそれだけに終わらない。徐々に姿を現す一本の短剣の、あまりの存在感に聴衆は目を見開く。

東洋風の流麗な曲線を描かれた漆黒の短剣ーー「干将」が姿を現した。

 

「……ほう、これは中々ーー」

 

そう言葉を漏らすブラッドレイにエドは干将を強く握り締め、ブラッドレイを刺す様に突進していき

錬金術師達が持つ拳銃を瞬く間に切り裂いていき、ブラッドレイの首を刺そうとした剣を寸止めした。

 

「ーーこーゆー風に暗殺があるかも知れないからさ、この試験方法見直した方が良いんじゃない?」

「肝が据わっておる」

 

 

 

 

「ただ、世界の広さを知らぬ」

「ーーーッ!?」

 

 

 

 

言葉の意図が一瞬遅れたエドが手に持っている干将に異変は起こった。

なんと干将の刀身がパッキリと斬られたのだ。

それをあの瞬きの間に、サーベル一本のみで斬ったのだ。

 

「結果報告を楽しみにしていたまえ、若すぎる錬金術師よ!」

 

笑い声とともに去っていく大総統を唖然と見送りながら、少年は世の広さを思い知ったのだった。

 

 

一週間後、特に番狂わせもなくエドは合格し、東方司令部にて国家錬金術師資格を拝命していた。

「これが証である銀時計。拝命証と細かい規約はこっちだ。それから……これを」

 

投げ渡された紙をエドワードはペラリと開く。

 

「なになに? ――『キング・ブラッドレイ大総統の名において、ーーー汝エドワード・エルリックに銘『錬鉄』を授ける』――錬鉄?」

「あぁ、例えば私ならば“焔”、アームストロング少佐なら“豪腕”という風に、国家錬金術師にはそれぞれ能力や境遇に則した二つ名が与えられる」

 

 

「そう! 今日から君が背負うその名は!ーーー『錬鉄の錬金術師』ッ!!」

 

 

 厳かに告げられた自らの名に、エドは不適な笑みとともに手を打った。

 

「良いね、その重っ苦しい感じ! 背負ってやろうじゃねーの!!」

 

 ここに、史上最年少の国家錬金術師が誕生した。

 また同時に、史上初めて“未知の異能(まじゅつ)で受かった錬金術師”が今、ここに誕生した瞬間でもあった。

 

 

 

 

リゼンブールの穏やかな風が吹く丘の上。旅立つエルリック兄弟の後ろ姿を、遠く離れた木々の隙間から見つめる人影があった。

それは、アメストリスの軍服ともこの地方の民族衣装とも異なる、場違いなほど白のハイネックとミニスカートをなびかせた女性――アルクェイド・ブリュンスタッドだった。

 

赤いの瞳の観測者

彼女は、不思議そうに金髪の少年、エドワード・エルリックを凝視していた。

「……綺麗。あの子のだけ、世界の『編み目』が違ってる」

彼女の瞳――魔眼に映る世界は、通常の人間に見えるものとは異なる。 この世界の住人である錬金術師たちが引き起こす現象は、いわば「世界という大きな織物」から糸を引き出し、別の形に編み変える行為だ。それ自体は、彼女にとっても馴染みのある(ことわり)の範疇だった。

しかし、あの少年が剣を投影した瞬間だけは違った。

「等価交換? 違うわね。彼は外から持ってきているんじゃない。自分の中にだけある『完成された世界』を、無理やりこの現実に上書きしてる」

アルクェイドは、木に背中を預けて楽しそうに微笑んだ。

異物(イレギュラー)への興味

彼女はこの世界の住人ではない。あるいは、この時間軸の存在ですらないのかもしれない。だが、星の触覚である彼女にとって、エドワードが真理の扉で引き当てた「異能(のうりょく)」は、あまりに異質で、それでいてどこか懐かしい響きを持っていた。

「あれは……そう、空想具現化(マーブルファンタズム)に似てる。でも、もっとずっと不器用で、一途な、ただの『一』に向かう意志……」

エドワードが投影した鋼鉄の長剣が霧散する。 その瞬間の魔力の残滓を、彼女は鼻をくんくんと鳴らして味わうように感じ取った。

「ねえ、鋼の少年(エドワード・エルリック)。君が作っているのは、ただの剣じゃない。それは、君が諦めきれなかった『心』そのもの」

予感

彼女は、リゼンブールの家を後にしようとする兄弟を見送る。

「錬金術を捨てて、自分だけの答えを投影し続けるか……。うん、これは退屈しなさそう!許してくれるよね? ゼルレッチ」

誰にともなくそう告げると、彼女の姿は陽炎のように揺らぎ、次の瞬間には風だけが残された。

アメストリスという巨大な国家錬金術のシステムの中に投げ込まれた、異界の魔術の種。 そしてそれを面白がる「真祖」の視線。

エドワードの歩む道は、本人の預かり知らぬところで、より複雑で、より規格外な運命へと絡め取られようとしていた。

 

 

 






 おまけ『エドの改造日誌』


零・螺旋剣(カラドボルグ・ゼロ) 誕生!】

【回想:リゼンブール村】
国家錬金術師試験に向けてエドは試し撃ちとして「カラドボルグⅡ」を投影しようとする。
しかし、その結果空間を削る破壊の一撃が引き起こしてしまい「リゼンブールの森林」と「周囲の建物の崩壊」を起こしてしまい、エドは投影の練習を中断を決心した。
錬鉄エド「……ダメだ、このままじゃ次撃ったとしたら街が半分消し飛ぶ! 威力を削るんじゃねぇ、破壊の『ベクトル』を凝縮しろ! 長さは50センチ……形状はナイフ型……空間を削るエネルギーを、全方位じゃなく『衝撃波(ノックバック)』に一点集中にすればいいんだ!」
赤色の閃光と共に、エドの手の掌から生まれたのは、短くも螺旋状の小剣。
次の日にまた試し撃ちした結果、空間を「削り取る」ではなく街を傷つけずに「弾き飛ばす」ために特化した、エド独自の答えだった。

因みにリゼンブールの周辺で天変地異が起こったというニュースが流れて1人冷や汗をかいてたそうな

零・螺旋剣(カラドボルグ・ゼロ)
・ランク:C+ (あるいはB)
・種別:対人宝具/対軍宝具
・レンジ:1〜20
・最大捕捉:10
メリット:「無条件の吹き飛ばし効果」と「取り回しの良さ」
デメリット:「もし空振だった時の隙が大きい」
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