推しの子のXYZ   作:断空我

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アンケート協力ありがとうございました。
結果的に、星野家とルパン一味の遭遇となりました。

途中から沢山の投票をいれていただけて感謝です。




星野家とザ・ロック(前編)

「ハンカチを落としましたよ」

 

その日、アンディは目を奪われるほどの美女を目撃した。

仕事の合間に立ち寄ったホテルに設置されているカフェ。

そこでコーヒーを飲もうとしたところで呼び止められる。

 

「これは失礼、レディ」

 

振り返り紳士然とした態度で対応しようとしたアンディは一瞬、動きを止めた。

流れるような髪、白いワンピースという格好だが、それが余計に彼女の魅力を引き立たせていた。

日本人とわかるが、何よりもアンディが惹かれたのは両目。

まるでスターを宿したような輝きを放つ瞳。

色んな女性を見てきたがここまで気になる相手ははじめてだった。

 

「それでは失礼を」

「お待ちを」

 

去ろうとした彼女をアンディは呼び止めた。

 

「拾ってもらったお礼をしたいのですが」

「すいません。妹達を待たせておりますから」

 

ぺこりと会釈して彼女は去ろうとする。

 

「もし、よければ名前を聞かせていただけませんか?」

 

このまま去りたくないという気持ちにかられ、アンディは名前を尋ねた。

 

「星野アイ……えっと、アイ・ホシノです。それでは」

 

ぺこりと頭を下げて彼女は去っていく。

残されたアンディは星野アイの背中が遠ざかり、部下に呼ばれるまでその場から動けない。

 

「あんな女性もいるのか」

 

ぽつりと呟くアンディ。

だが、彼は知らない。

この出会いは切欠でしかない。

天下を騒がせる大泥棒一味と裏世界最強のスイーパーの一人。

それらと夢の為に相手をするという事を。

秘密結社シークレット・セブンに所属するアンディはまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星野家は突然だがサンフランシスコに海外旅行へ来ていた。

どうして、サンフランシスコというのはアイの幸運である。

今どき珍しい福引で引き当てた。

海外旅行ということでてんやわんやしていたが、色々と丁度良かったのである。

 

「海外というか、サンフランシスコって物騒だなぁ」

 

幼い体を活かしてアクアは人込みをすいすいと抜けていく。

彼の視線は先を行く自身の父親だ。

転生して、推しの子どもとなってから一度も出会ったことがなかった父親。

あの告白を聞いてから父親として信じられると感じた。

一緒に生活するようになってから自分の父親、堀江一のことを知ってきている。

まず、スイーパーであるということ。

そして祖父(これについては後で知ってかなり驚いた)である冴羽獠も同じ仕事をしている。

芸能界の演技に興味を抱きつつある中で現れたスイーパーという職業。

危険でありながらも人助けもしている。

アクアは興味を持っていた。

 

「こーら」

「わっ!?」

 

むんずと腰あたりを抱きかかえるようにして持ち上げられる。

 

「アクア、ホテルで大人しくっていっただろ?」

 

持ち上げられて目線をあわせるのは父である一。

 

「父さん……どうして」

「俺はアクアの父親だ。息子の心配をするのは当然でしょ?特に、こういうところはな」

 

一が周りを見るとガラの悪そうな連中がいつの間にか立っていた。

 

「おめぇ、日本人だな?」

「日本人は金持ちばかりだかな。金目のものをおいておけば命くらいは見逃してやるぜ?」

 

服をめくって拳銃をちらつかせる男。

 

「逃げようたってダメだぜ?」

いつの間にか接近している男が銃をアクアへ向けた。

本物の拳銃を向けられて目を見開く。

前に監督の手伝いで参加した映画で向けられたおもちゃの拳銃ではない。

撃たれたら死ぬ。

アクアの目が開かれる瞬間。

 

「誰の子にそんなもの向けているんだ?」

 

暖かい手にアクアは包まれると同時に男の悲鳴。

 

「やろっ!?」

 

続けて三発の銃声。

 

「アクア、大丈夫か?」

「う、うん」

 

アクアは一の腕の中で大事に抱えられている。

恐怖に支配されそうになっていたアクアは冷静さを取り戻して周りを見た。

包囲していた連中は全員がうずくまっている。

一人は顔をボコボコにされて意識を失っていた。

 

「失せろ。次は体に風穴開くぞ?」

 

もう片方の手でコルト・パイソンマグナムを構えている。

アクアの知識としてはかなりの威力を持つ銃だった筈。

一はそれを片手でそれも正確に撃っている。

祖父の冴羽獠も凄いが、父も凄い。

アクアは自分の父を見る。

整った顔立ち、サングラスで隠れているが銀色に輝く片方の瞳。

その血を自分が受け継いでいるという事実に今はおっかなびっくりな感覚だ。

 

「気絶させただけ?」

「武器を持って自分達が優位と思い込んでいる奴らは真っ向から叩き潰したらやってこないからな……あー」

 

前方から更に武器を持ってやってくる連中を見て一はため息を零す。

 

「例外はあるけどな」

 

走るぞ、といってアクアを抱きかかえなおすと風の様に一は駆け出す。

後ろから銃声や怒鳴り声が聞こていたがすぐに遠くなっていく。

 

「スイーパーって、やっぱりすごいんだな」

 

生前の自分も知らなかった世界。

そこに片足を入れている事をアクアは今更ながら理解し始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、ガンショップ?」

「お、小さいのに英語が読めるのか、すごいなぁ」

「あ、う、うん」

 

ついいつもの癖で読み上げてしまったアクアだが、一は嬉しそうに頭を撫でてくれた。

 

「アイの血……いや、俺の血ぃ?まぁいいや」

 

首を傾げながら一は店の扉を開ける。

 

「前にサンフランシスコにいたことがあってな。この店はその時に色々とよくしてもらったんだ」

「それは、父さんの持っている銃とか?」

「コイツは違うかな」

 

ドアを開けると備え付けられているベルが音を立てて来訪を伝える。

 

「うわぁ」

 

店内をみてアクアは感嘆の声を上げる。

大小様々な銃器。

テレビ等でみたことがあるものから、知らない形状のものまで。

配置など、知識がないアクアも不思議と魅入られるようなものが感じられた。

 

「すいません。開店直後で申し訳ないのですが、今日はお休みを」

カウンター席から気弱そうな男性が顔を出す。

 

「お休みだって、父さん」

「……あのぉ」

「グラン、そいつはよい」

 

カツン、コツンと杖を突く音が店内に響く。

 

「カッカッ、懐かしい香りがすると思ったらやはりお前か。ワン」

 

奥から杖をつきながら老人がやってくる。

 

「久しぶり、アドモスの爺、まだ生きていたようで」

「抜かせ。そう簡単にくたばってたまるか」

 

アドモス銃器店の店主のアドモスは豪快に笑う。

 

「それにしてもいきなりの来店だな?チハルの銃を壊したのか?だったら引退だな!あの最高峰の銃を壊してしまうんなら素質ねぇわ」

「相棒の事言っているようであれば」

 

一が懐からコルト・パイソンマグナムを取り出して机に置いた。

アドモスは目を見開いて机に近付く。

 

「さ、触ってもいいか?」

「どうぞ」

 

震える手でアドモスはコルト・パイソンマグナムを触る。

グリップを握りしめて、銃口を覗き込み、最後は大事に机の上に置いた。

 

「約束、果たしに来たよ?」

「あぁ……わかる。チハルが作った奴だな?」

 

一はコルト・パイソンをしまう。

 

「それだけじゃない。つくられてからずっと大事にしていることもわかる。どうやら半人前の坊主から一人前になっていたらしいな」

「……アドモス爺にそういってもらえると嬉しいね」

 

はにかんだ笑みを浮かべる一。

 

「ところで、お前が大事に抱えている小僧はなんだ?」

「俺の息子」

「ほぉ!?」

 

アドモスがまじまじとアクアをみる。

強面のアドモスにみられて少し怯えそうになった。

 

「もしや、この小僧にあう銃を選びに来たのか!?」

「いや、違うから」

「なんでーい、折角、選んでやろうと思ったって」

 

直後、乱暴に店の扉が開かれた。

 

「邪魔するぜぇ?」

 

ズカズカとガラの悪そうな連中が現れる。

 

「(全員、何かしら武装しているなぁ)」

 

ちらりと入ってきた連中。

 

「失礼するネ」

 

集団の中心。

男達に守られながら腹の肥えた中華服姿の男が入ってくる。

 

「店長サン、前に話したこと、考えてくれたカ?」

「また、アンタか、何度言おうとお断りだね」

 

アドモスは男の顔を見ずに答える。

どうやら何度もやり取りをしているらしい。

 

「店長も強情ネ。あまりに頑固だとこっちもやりたくない手をとりたくなるヨ」

「フン、そういうことしたきゃするんだな。俺は死んだってアンタ達のいいなりになるつもりはない」

「フーン。じゃあ」

 

男が顎で男達に指示を出す。

 

「……おい!?」

アドモスが叫ぶ。

指示で動いた男達が一斉に銃を向ける。

一に。

 

「無関心よそっているところ悪いけド、アンタ、ここの客ネ?恨むならこのタイミングで店に来たことを後悔するヨロシ」

「やめろ!そいつらは関係ないだろ!俺とアンタの」

「もう手遅れ。アンタが首を縦に振らないからヨ」

「……わかっ」

「警告しておくけどさ」

 

首を縦に振ろうとしたアドモスの声を遮り、一は大きな声を出す。

 

「この銃、おろすつもりはない?」

「無理ネ」

「あ、そう」

 

溜息を吐きながら一は両手を挙げる。

 

「ン?」

 

この時になってようやく男は気づいた。

一の腕の中にいたアクアがいない。

 

「お前、ガキは」

ガコンと天井の明かりが一斉に消灯する。

突然の事に男達が戸惑う中で悲鳴が次々と響いた。

 

「な、何事ネ!?」

「点けていいぞ。アクア」

 

聞こえてきた声と共に天井の明かりが灯る。

 

「ナッ!?」

 

男は驚愕する。

自分の連れてきた部下が全滅していた。

意識を刈り取られて武器はすべて無力化されている。

 

「動かないように」

 

男の額に一がコルト・パイソンマグナムを突き付けていた。

 

「い、いつの間に!?」

 

男が目を見開く。

 

「これでも俺の息子は色々と将来有望なんだよ。ついでにいっておくとアンタ、自分が優位だからって油断しすぎ、いつか足元掬われるぞ?」

「ど、どうするつもりカ!?」

「この店から手を引く。俺達に要らぬちょっかいをかけないこと。それが守れるならアンタの部下とアンタは安全にこの店から出られる」

「……もし、断ったラ?」

「身ぐるみすべて剥いで外にでることになるかな?俺自身、不用意な殺しはしたくないんだよ。この店にも恩はあるし」

「……良いだろう。お前の要求飲ム」

 

しばらくして、男は起きた部下たちを連れて店を後にした。

ギラギラと殺意に満ちた瞳を一に向けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまなかったな。ワン」

「まぁ、俺に銃を向けてきた連中が悪いって事で。何より功労者はアクアだよ」

 

一はポンと頭を撫でる。

咄嗟にアクアが「俺が隙を作るから父さん、任せても?」と囁いたことで実行した作戦。

普通の父親なら危ない事はさせないだろう。

しかし、一やアクアは普通とは言えない状況にある。

それ故かアクアを叱ることはしない。

 

「助かったよ。連中。土地を寄越せとか、武器を流せとか物騒な事ばっかりいっていたんだ」

「連中。中国マフィアか…………マフィア抗争でも起こるの?」

「今はねぇな。市長選挙だ。警察もうるさい」

「この街ほど、機能しない警察はないだろ?賄賂や色んなものが横行しているし」

 

アドモスと他愛ない話をしている一だが、傍で聞いているアクアは「なんて物騒なところなんだ」と冷や汗を流している。

 

「さて、裏社会で名高いシルバーアイに助けてもらったんだ。お礼をしないと」

「売られた喧嘩を買っただけだし、それくらいは」

「そうだ!」

 

ポンとアドモスが手を叩く。

 

「お前の息子にあう銃を選んでやろう!孫のグランが!」

「……いや、爺じゃないのかよ」

「カッカッ、俺は引退だよ。今はコイツを一人前にしようと鍛えているところだ」

 

豪快に笑うアドモスだが、一は知っている。

アドモスの息子夫婦は殺されている。

昔、アドモスが商売を拒否した武器商人によって。

その武器商人を一と冴羽獠によって制圧した。

豪快に笑っているアドモスにとって忘れられない記憶であり、孫が後を継がせることに色々とあったのではないだろうか?

 

「父さん。俺、選んで欲しい」

「アクア?」

 

一は驚いた顔でアクアを見る。

 

「父さんと同じ道を進むのか、まだわからないけれど……色々試してみたい」

「誰に似たのか、ま、物は試しってところで、爺、頼むよ」

「やるのは孫だ。グラン」

 

アドモスに呼ばれてグランが前に出る。

アクアと目を合わせた。

 

「利き腕と指を見せてもらえるかな?」

「はい」

 

緊張した様子でアクアは利き腕を伸ばす。

 

「触らせてもらうよ」と告げてからアクアの指や手をぺたぺたと触れる。

しばらく触って「うーん」、「こうかなぁ」と呟きながらやがて奥に向かう。

 

「これなんてどうだろう?」

 

グランが机の上に置いた小箱を開ける。

中から出てきたのはシルバーメタリックのS&W M10。

 

「キミはこれから体ができてくるわけだし。グロックも考えたけれど、お父さんがマグナムを使っているし、同じものの方が気に入るかなって」

 

アクアはおそるおそるといった感じで銃を手に取る。

ゆっくりと握りしめて、誰もいない方向へ構えた。

 

「うっ」

 

父親と同じように片手で構えようとしたがまだ無理だったのだろう。

すぐに両手で持つ。

 

「懐かしい光景だな。昔、似たような銃を選んで構えた奴がいたなぁ」

「あー、いたな。そんな餓鬼。しかし、偶然か?それともアンタの教えか?」

「偶然だな。偶然ってこえぇな」

 

豪快に笑う。

アクアとグランの二人はきょとんとしている。

 

「こりゃ、将来が楽しみだな」

「お互いに、な」

 

他愛の話をしてから一達は店を後にした。

 

「父さん」

「なんだ?」

「どうして、あのお爺さんと豪快に笑ったの?」

 

聞かれるだろうと思っていた質問に一は少し考えて。

 

「昔、あの店で同じように銃をみてもらって、同じように銃を構えた餓鬼がいた。それだけのことだよ」

 

ポンポンとアクアの頭を撫でる一。

撫でられたアクアは戸惑いながら甘んじて受けた。

 

「父さん。俺、父さんみたいなスイーパーなれるかな?」

「どうだろうな。なりたいと本気で思ったらなれるだろうけれど、父さんとしては普通の生活してほしいなと思ったり。まぁ、決めるのはアクアだ。アクアの決めた事なら文句は言わないさ……いや、一つだけ」

 

真剣な顔をする一に身構えるアクア。

 

「頼むから、師匠のような性格はならないでくれ」

「……………あー、うん。そこは大丈夫」

 

拍子抜けしつつも頷くアクア。

冴羽獠よりも更に混沌な修羅場に巻き込まれることを彼らはまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、母さんとルビーをほったらかしにしているけど、大丈夫かな?」

「二人がまだぐっすり寝ているなら希望はあるな」

「起きていたら?」

 

おそるおそる尋ねるアクアに一はひきつった笑みを浮かべる。

 

「一日、軟禁かも」

「…………わぷ!?」

 

アクアの顔に新聞紙が直撃した。

 

「おうおう、大丈夫か?」

 

顔に貼りついた新聞紙を取ったところで一面を見て目を細める。

 

「父さん?」

「いや、何でもない。もし、アイ達が怒っていたら中華街でもいくか」

「それが、いいかもね」

 

新聞紙を丸めてポイする一。

丸めた新聞の一面にあることが書かれていた。

 

――ルパン三世、颯爽と登場。

 

 

 

 

この数時間後、ホテルに戻った一とアクアはアイとルビーにこってりと絞られ、

サンフランシスコに拠点を置くチャイニーズマフィアの黄から襲撃を受けることになった。

 




というわけでルパン三世 アルカトラズ・コレクションでルパン一味と絡みます。
ルパン一味全く出ていないっていわれるかもしれませんが次回から絡むつもりです。

一応、前編、中編、後編になるかも。

新たにアンケートを一つ載せます。

今後の展開の可能性というか、今の段階で皆が何を望むのか確認してみたく。

急いで中編を書いておりますので、また、よろしくお願いします。

もし、高校生になったアクアが名探偵コナンのメンバーと関わるなら、どれがいい?

  • 迷宮の十字路
  • ベイカー街の亡霊
  • 十四番目の標的
  • 世紀末の魔術師
  • 紺青の拳
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