Re:【急募】TSっ娘の俺が、自分に擬態し続けなければいけないんだが…俺はもうダメかもしれない。 作:東風白庵
「でさ〜! そのアルバイトの店員さんが〜」
「えー!? ホントぉ? ウソでしょー!?」
「今日帰りにカラオケに寄っていかないー? クーポンが明日までで…」
高校生活の授業の合間にある、休憩時間。
教室内では学生たちの楽しげな声が響いていた。
───────*1*2東京のとある場所に建てられた私立高校。
「はァ………」
そこで黄昏ている哀れな男子生徒が居た。
自分の机で突っ伏し、この世の終わりのメンタルへと突入している俺は、不幸のオーラを噴出さずにはいられなかったのだ。
「………どうしたんだよ、ツグミ」
「リトぉ、俺はもう駄目だ。この世の終わりとはこういうことだ……」
「いや、ホント何があったんだ。滅茶苦茶めんどくさいモードに突入してるぞお前」
「高校入学直後にひたすらにめんどくさいモード突入しまくっていたお前に言われたくねえ……」
「ケンカ売ってんのかお前」
俺に話しかけてきたのはリト──────結城 梨斗。
小学校からの腐れ縁であり、幼馴染でもある。
ケンカを売るも何もただの事実だ。
コイツは入学直後、中学生の頃から恋心を向けていた女子生徒にストーカーまがいというか、事実ストーカーそのものの告白未遂を連日して行い続け、その度に俺ともう一人──────横で話を聞いている男子生徒、ケンイチこと*3猿山 健一を巻き込んで、めんどくさいモードに突入しまくってウンザリさせまくった実績の持ち主である。最近はリア充生活が板についてきたため、そういう側面は引っ込んでいるが、あの頃のリトを知っている俺たちの前で言われたくないものだ。
「というか、今日はララさん居ないんだな」
「あー、なんか用事があるらしい」
珍しい。
この男が完全にフリーになるのは………まあ、無くもないのだが、基本的にいつも色々と女生徒に引っ付かれているため、男子だけで普通にどうでもいい雑談が出来るこういう時間は貴重かつありがたいものだそうだ。まあ、他の男子生徒たちから定期的に殺意向けられてるし、仕方なくもあるか。
「それより、なんでそこまでダメになってんだ? 話してみろよ」
おおう、優しい。
………そう、普段の事実的な風評被害が原因で誤解されることもままあるが、コイツは基本的に優しいのである。俺たち二人が散々めんどくさいモードに付き合わされても交流を断たなかったのは、リトにこういう側面がずっと変わらずあるからだろう。
なので。
………まあ、俺もコイツになら少しくらい話していいか。という気分にもなったりは、する。
「あー………なんというか、まあ。最近疲れるっていうか、常時疲労困憊状態になっているというか」
「「はァ?」」
リトとケンイチの声が被る。
…………まァ、そういう反応になるのも解る。なんせ今のこの身体は基本的には疲れ知らずだ。
矛盾している。だが、『基本的には』なのだ。
そう───────この『本来普通の姿』こそ、『今の俺の身体』にとっては基本ではないという事でもある。
故に………直球では相談は出来ない。
かといって、この溜まり切った不満というか愚痴というか、負のオーラの発散先が無いのもきつい。
よって、ぼかして適当に愚痴に付き合ってもらうしかないというか。
「とにかく疲れてるんだよ。現在進行形で」
「………? お前、オレらと同じく帰宅部だろ? 何してんだよ」
「色々。運動部以上のことしてる。超ハードモードに突入してる」
「具体的には?」
「………バトル漫画みたいなこと、か?」
「「はァ?」」
再びリトとケンイチの声が被る。
………わかってる。わかってるんだよ。
そうなるよな、俺もそうなる側で在りたかったよ、ホント。
「あー………ウソだ。冗談。要は、バトル漫画並みの疲労困憊をこの俺が背負わされているってことが判ればよろしい」
「ほーん。詳しくは言えない感じか。さては………ツグミ、まさか、彼女が出来たのか!?」
「ばーか。ケンイチ、お前も俺が一途に生きてるって知ってるだろ。そういうんじゃねえよ」
「ハハハハハ! そうだよなー。ツグミは俺のように一途な男だからなー」
「いや、お前ら………まるでオレだけが一途じゃねーみてーな……」
「「どう考えても普段の行いが原因だろ」」
「うう……なんも言えねー……!」
よし、いい感じに話題がリトに向いた。
この時間は、このままコイツを弄る方向性で乗り切るか(ゲス顔)。
◆
退屈な授業時間がすべて終わり、家に無事に帰ってこれた。
ふらふらと揺れる身体をなんとか自室のベッドに放り投げ────────酷使し過ぎた身体が、荒い呼吸を繰り返す。
「やっぱ、いちにち、ぶっつづけは……………だめ、か」
視界が揺れる。
吐息が、荒い。
「はっ………ぁ、………、ぅ………ぁ」
意地でも解きたくない、という意思とは正反対に身体は『元の状態に戻っていく』。
「く、そ………」
怖い。
戻るのが、怖い。
必死にシーツを握って、ふんじばって抗っても、抗えない。
「ぁ───────あ、ぁ」
いやだ。
いやだ。
いやだ。
そうして。
─────────俺の身体は、
……………
………
…
「はぁー…はぁー… ックソ」
相変わらず女みたいな………否、女の子特有の
「はぁー……」
はき出すため息さえ…澄んだ、所謂
────………クソ。
(あぁ、どうして
──────何度も繰り返した思考。
飽きずに、飽きるはずのない苦悩にまみれた疑問を再び浮かび上がらせる。
……この現象が、この災難が俺に起こり始めたのはいつだったか。
視界の端に映る、日本人とは思えないような…
………………
…………。
……っ!
「うぅ……どうして……」
「………どうして
──────────
鼻の奥をスピスピ鳴らしながら現実を嘆く俺。
────────あぁ……TSっ娘の俺が、自分に擬態し続けなければいけないんだが…俺はもうダメかもしれない。
但し、前述の通り彩南町は架空の町であり、作中でそこそこ出演頻度の高いお馴染みの河川敷や、無印最終回のプールは岡山に存在した場所がモデルであるため、『位置的には東京に属している架空の町』と表現するのが正しい。
ToLOVEるダークネスまでに至るまでの歴史を知っている方はご存じだろうが、この1期の存在は他作品で例えるならば、漫画・アニメ『ワンピース』における『オマツリ男爵と秘密の島』とするべきだろう。
これは単に、原作シリーズとは別物の言ってしまえば『公式二次創作枠』という意味と、もう一つ『この作品以降のシリーズへの歴史的影響力が大きすぎるため、原作とはかなり乖離した内容であっても無視することは出来ない枠』という意味でもある。
そのため、私としては色々と否定的な部分と肯定的な部分が存在しているのだが、今回の解説に入れてしまうとぶっちゃけそれだけで文章量が終わってしまうため、割愛することとする。
要点だけ言ってしまえば、『アニメ1期』にはToLOVEるの二次創作を行う際に『引用することが避けられない部分(サザエさん時空に突入した経緯や、巨人化宇宙人についてなど)』と、『引用すべきではない部分(金色の闇の年齢が24歳…………と明らかに視聴者が誤解するような形で流ししつつ、実は放送当時の字幕を見ると『フロムス銀河歴では24万歳』という無茶苦茶な設定をカブトボーグ式の味付けで出していたり)』という厄介さがあり、そのため基本的に引用すべきは『(アニメ版の1期関連の資料は)原作のシナリオ担当である長谷見先生が監修しているかどうか』で判定しているということである。解説するの滅茶苦茶めんどくさいなコレ。
もし読んでくださった人がいれば、感想と評価ほしいです……。