個人同士の戦いがぶつかり合う。
第一話、風を迎える黎明
鞘が、短く鳴った。
刀「抜くなって言っただろう?」
カオル「まだ抜いてないよ」
カオルは腰の刀に親指をかけたまま、足を止める。
朝露を踏んだ靴底が、わずかに滑った。
刀「……その“半分”が問題なんだと言ってるだろう」
刀は溜め息をつく。
カオル「はいはい。
カオルは刃を戻し、細い路地を抜けた。
商店街のシャッターは半分だけ開き、刀を帯びた人影がいくつか、当たり前のように行き交っている。
誰も、彼女を見咎めない。
それが、この街の普通だった。
ザワザワ、と辺りが騒がしくなる。
朝の冷えた空気を身に纏いながら、カオルは「どうしたものか」と周囲を見回す。
カオル「
風黎「……血の匂いだ」
風黎は重々しく答える。
カオルを何かを感じ取ったかのように答える。
カオル「てことは…だろうね」
刹那、カオルの目の前に、一振りの剣を持つ男が、落ちてきた。
カオル「…大丈夫?これ。生きてるかな」
風黎「生きてはいるみたいだ。起こしてみるか?」
カオル「…」
カオルはぺちぺちと、男の頬を叩く。
カオル「おーい?」
刹那、大量の剣が空に舞い、カオルに向けて放たれる。
それは、明らかに殺意を持って放たれたものであった。
カオル「風黎、風!」
カオルは刀を振り、剣を弾きながら叫ぶ。
風黎「承知!」
風黎の声と共に、大きな風が舞う。
その風は大量の剣を一塊へと変える。
カオル「よっ!」
カオルは一塊になった剣を、一振りで砕く。
カオル「…硬度はない割に、速度と本数の両立ができるわけね」
刹那、背後から鋭い突きが放たれる。
ボッ!
カオルは剣が己を突き刺す直前に、刀の湾曲を利用して、剣を弾く。
カオル「助けてやったの…僕なんだけど?」
そう、カオルを襲ったのは、先ほど剣を持って倒れていた男。
男「…新世界の…礎となるがいい……!」
カオルの視界から、男が消える。
カオルは背後に蹴りを放つ。
刹那、上空から剣が降り注ぐ。
カオルは剣を地面に刺し、軸にしながら回転して躱す。
男「…避けるな……」
カオル「無理な話じゃない?」
男「…我の邪魔を…するでない…!」
男は横薙ぎで剣を振るう。
カオルはしゃがみつつ躱し、刀の柄頭を男の喉に叩き込む。
男は後退りする。
男「…はっ…はっ…いい一撃じゃないか…思わず後退してしまったよ」
カオルは気味が悪いと言わんばかりに顔を歪める。
刹那、男が地面を蹴った。
カオル「チッ…!」
風黎「まずい!避けーー」
男の剣はカオルの首を捉えた。
ザシュッ!
血が舞う。
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