RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。   作:白波 鷹

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第23話 バジリスクの毒

 そうして、俺は勢い良く『バジリスク』に囲まれていた人達へ向かって走って行き、その人達の前に到着する。すると、そこには毒で動けなくなった数人の男女とそれを看病していた少女がおり、驚いた様子で俺を見てきたが……その顔を見た俺は、思わず驚いて声を上げてしまった。

 

「―バルフォード、ルアール、それにクラム?」

「え……? なんで、私達の名前を……?」

 

 そう、遠くで見ていた時は気付かなかったが、それは『プリテスタファンタジー』のパーティキャラクターである三人だったのだ。

 

 『プリテスタファンタジー』の数年前というだけあってまだ三人とも若いものの、豪快な父親であるバルフォードとその娘で真面目な姉のルアール、そして少し気が弱いクラム。

 

 本来はストーリー中盤で仲間になるキャラクターなのだが……まさか、こんなところで会うとは思わなかった。

 

 ――そういえば、作中でレシアーナがお婆ちゃん……ツィオラさんの話を軽く出した時に、助けてもらったことがあるって話がサイドストーリーであったけど……ここがそのイベントだったってことか。

 

 バルフォードとルアールは毒にうなされていて気付いていないものの、毒を受けていない姉妹の妹のクラムは初対面の人間に名前を呼ばれ、困惑した表情を見せていた。ここは適当に誤魔化しておかないと……。

 

「あぁ、すいません。ちょっと巷で家族三人でパーティを組んでるって話しを聞いたことあるので、そうなのかなと思って」

「そんなに有名になってるの、私達……?」

「まあ、そんな感じです。それより、そっちは大丈夫ですか?」

「あ、う、うん……私は大丈夫だけど、このままだとお父さんと姉さんが……」

 

 そう言うと、クラムは泣きそうな顔でバルフォードとルアールを見る。二人の顔は毒のせいで青ざめ、呼吸も浅くなっており、すぐに治療しなければならないのは誰の目に見ても明らかだった。

 

 ――『プリテスタファンタジー』と同じ毒なら戦闘終了後も続いて治らないし、かなり厄介だな。ゲーム内なら宿屋に泊まれば回復するけど……そんな簡単に治るならツィオラさん達があんなに慌てるわけないよな。

 

 ツィオラさんは毒の治療は街で治してもらわないといけないと言ってた。

 とはいえ、ゲーム通りのストーリーだとこの三人はパーティに加わるわけだし、死ぬはずはないが……代わりにツィオラさんが死んでいる。つまり、ここはツィオラさんがこの三人を逃した結果、死ぬイベントだって可能性が高い。

 

 そんなことになれば、レシアーナも悲しむし、俺だってそんな展開はごめんだ。エリシルを助けた時みたいにここでツィオラさんが死なないように助けることは可能なんじゃないか?

 

 ――でも、毒か……もし、ゲーム内だと同じ仕様だとしたら―『あれ』が効くかもしれないな。

 

 そう考えた俺は毒に苦しむ二人に向けて手をかざすと、とある魔法を口にした。

 

「―『ディスペル』」

 

 俺がそう唱えると、その二人の周りが少し光り始める。

 

「ぐっ……! お、俺はもう駄目だ―って、ん? な、何だ……? か、体が急に楽になったぞ……?」

「え? お、お父さん? ほ、本当に?」

「わ、私も……さっきまでもう駄目だって思ってたのに、いきなり……」

「良かった!」

「なるほどな……この世界の毒も『ディスペル』で解除できるのか」

 

 そう言って、起き上がった父親と姉に抱きつくクラムを横目に俺は自分の手を軽く見る。

 

 『ディスペル』は『プリテスタファンタジー』でMPを消費して使う回復魔法の一つで、状態異常を回復させる魔法だ。通常なら治癒魔導師が得意とするものだけど……そこは主人公、ありとあらゆる魔法を中途半端に覚えるため、これくらいの魔法は使えたりする。

 

 とはいえ、あんまりMPは多くないから基本的にあんまり使うことはないけど。

 そんな俺にクラム、バルフォード、ルアールが驚いた様子で視線を向けてきた。

 

「まさか、その歳で治癒魔導師だったなんて……」

「いや、そういうわけじゃないんだよね」

「え? 違うの?」

「うん。まあ、色々やってたら使えるようになったというか」

「治癒魔導師でもないのに『ディスペル』が使えるってのかよ? おいおい、噓だろ……」

「そんな子供が居るなんて聞いたこともないけど……でも、おかげで助かったわ」

 

 そうして、三人が俺に驚く中、向こうでもツィオラさん達が驚いているのが何となく見えた。なるほど、この世界だと珍しいんだな。ゲーム内だと面倒くさい時はバシバシ使ってたよ。

 

 そうして、そんな俺達を『バジリスク』が舌を出しながら睨み付けてきており、俺は彼らを背中にして警戒心を強める『バジリスク』と対峙しながら声を投げ掛ける。

 

「それより、バルフォードさん達は歩けますか?」

「ん? ああ、まあ歩けるには歩けるが……」

「なら、さっきの人が向かった方向に逃げて下さい。向こうには俺の師匠や助けに来た人が居るので、そっちに合流してもらえませんか?」

 

「なっ……!? 逃げろって、坊主、まさか一人で戦うつもりか!?」

「はい。どうせもう二匹しか残ってないですしね」

「馬鹿なこと言わないで! 相手は一匹でも苦戦する『バジリスク』なのよ? そんなところに子供一人を残して逃げるなんてできるわけないでしょ!?」

 

 俺の言葉に『バジリスク』と対峙していたバルフォードとルアールが驚いた顔で声を返してくる。まあ、子供がそんなこと言ったら普通はそういう反応だよね。

 

 しかし、俺はそんな二人に笑顔で言葉を返す。

 

「大丈夫ですよ。現にさっき何匹か目の前で倒したじゃないですか」

「そ、それはそうだけど……」

「だからって、坊主みたいな子供に頼るのは……」

「そうよ、私達も戦うわ」

 

 ルアール、バルフォードに続いてクラムはそう言って武器を構えると『バジリスク』に対峙する。まあ、相手は残り二匹だし、苦戦することもないか。それに、ここまで言われて無下にするのも失礼だろうしな。

 

「分かりました。では、残りの『バジリスク』をみんなで倒しましょう」

 

 そう言って、俺達は『バジリスク』へと向かっていった。

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