RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。   作:白波 鷹

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第38話 王女様の誕生会

「―で、誕生会に誘われたわけだけど……すでに場違い感が半端ない」

 

 俺はそう言って、城の中で開催されているきらびやかな装飾の施された会場を見ながら圧倒されていた。いや、俺だけじゃなく、ミュラやエリシル、それにマフィやレシアーナも同じように普段とは違う光景に口を開いている。

 

 俺との違いと言えば、その光景に目を輝かせているくらいだが……しかし、派手だ。そうして、俺が誕生会の光景に圧倒されていると、同じようにげんなりした様子でバルフォードさんが声を掛けてくる。

 

「さすがは王女様の誕生会ってか。こういうのは俺もあんまり得意じゃねぇんだよな……」

「あれ? でも、バルフォードさんって向こうの騎士団やってるし、こういうのは慣れてるんじゃないんですか?」

「いやまあ、そりゃそうだが、向こうじゃ警備やってるだけで参加はしねぇし―って、ん? その話、坊主にしたっけか?」

「やべ……」

 

 俺はとっさに『プリテスタファンタジー』の設定を口走ってしまい、思わず口をつぐむ。実はバルフォードさんはルアールさんやクラムさんと違って、確かに仲間にはなってくれるけど、別にパーティキャラクターというわけじゃない。

 

 というのも、物語中盤で主人公達は先にルアールさんとクラムさんと出会ってパーティキャラクターになり、その後にバルフォードさんを紹介されるんだが……バルフォードさんはその時にすでに別の国の騎士団に入っていて、パーティには加わらないNPCだったりする。

 

 とはいえ、そこで協力関係が生まれ、主人公や王女様と一緒に戦ってくれるもう一つの国となるわけなんだが……それが今まさに国王が進行しようとしている国、『オクトール王国』なのだ。だから、バルフォードさんとは会話する機会こそ多少あるものの、ゲーム内ではここまで深く話せたことはないんだよな。

 

 しかし、よく考えれば、まだ会ったばかりのバルフォードさんからその話は出てなかった……ついうっかりしてた。すると、仲間達が驚いた様子を見せる中、俺は訝しげに顔を近付けて怪しむような視線を向けてくるバルフォードさんに笑顔で言葉を返した。

 

「あ~……えっと、街でバルフォードさんを見掛けた人達が話してるのを聞いたんですよ」

「ん? なんだ、そうだったのか」

「まあ、そりゃ向こうじゃそこそこ有名なんだし、知っててもおかしくないんじゃない?」

「腐っても騎士団の隊長だしね」

「腐ってもってのはなんだ。これでもお前らの親父として立派に騎士団をやってるだろうが」

「そうは言うけど、仕事の時以外はしっかりしたところなんて全くないし」

「こういう空気が苦手ってところも騎士団っぽくないからね」

「いやまあ、そうなんだけどよ……」

「ふぅ……」

 

 娘の二人からそう言われげんなりした顔を見せるバルフォードさんを見る。ルアールさんとクラムさんに助けられたな……とはいえ、怪しまれないためにもここは上手く話を合わせておかないと。

 

「それにしても、バルフォードさんが騎士団の団長だっていう話は驚きましたよ」

「ははは! ガラじゃねえってか?」

「まあ、そういうわけじゃないですけど……」

「良いって良いって! ま、久しぶりに休暇が取れたんで、親子水入らずで旅行気分でこっちの国に来てたんだよ」

「驚いたな……まさか、あなたが『オクトール王国』の団長だったとは……」

 

 そんなバルフォードさんに師匠も驚いた様子で声を上げると、バルフォードさんは肩をすくめながら言葉を返す。

 

「そりゃこっちの台詞だぜ? 坊主達から聞いたが、あんただってこの国の団長だったらしいじゃねぇか。それに、そっちは『宮廷魔導師』だったんだろ? なら今さら驚くことでもないじゃねぇか」

「それもそうだな」

「まあ、そういう人間が集まり過ぎじゃない? とは思うけどね……」

「だとすりゃ、そりゃ坊主の人望ってやつじゃねぇか?」

「ははは……どうでしょうね……」

 

 ゲームのことを知ってるからとは言えないから曖昧に笑って返す。まあ、言っても信じてもらえないだろうけど……。

 

「ま、そんなこんなで休日を満喫してる最中に例の騒動に巻き込まれちまってな。とはいえ、休み気分だったし、騎士団だと分かると色々と面倒だから黙ってたんだが……ま、バレちまったんなら今さら隠す必要もねぇか。それに、向こうじゃ護衛ってんで出されてる食い物に手は出せなかったが、こっちは客だし、遠慮する必要はねぇ。たっぷり食って帰るぞ!」

「ちょっと……恥ずかしいから少しは遠慮してよ……」

「本当だよ……一緒に居るこっちの身にもなってよ、もう……」

「細かいこと気にすんなって」

 

 そう言うと、バルフォードさんは笑いながら食事の場所まで歩いていき、ルアールさんとクラムさんは呆れた様子で付いていっていた。大変そうだな……。

 

「それにしても……」

 

 俺はそうこぼしながら後ろを振り返る。

 そこには周囲に圧倒されながらも緊張した様子で顔を強張らせたミュラ達がいつもの服ではなくオシャレなドレスを着て立っていた。そのドレスはツィオラさんに用意してもらったもので、「私のお古で良かったらどう?」と色々と用意してくれたのだ。

 

 それぞれ、ミュラはその気の強い性格を現す赤、エリシルは大人しさを現すような白、マフィは活発さを現すような青に、レシアーナはツィオラさんと同じ黒いドレスを着ていた。何気にバトル重視の『プリテスタファンタジー』では見ることができない服装だよな……。

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