ワンナイトから始まる狩猟生活   作:タク@DMP

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第二十話:奇襲燎原・バゼルギウス

【討伐クエスト】

 

大迷惑! バゼルギウス!

 

依頼主:ギルド編纂者のバジル

 

メインターゲット:バゼルギウス一匹の討伐

 

目的地:防衛砦

 

空から来たるは恐怖の爆撃者・バゼルギウス! ……砦の防衛設備が壊されて今にも泣きたいデス……無法極まる爆鱗竜の討伐をお願いしマス!

 

 

 

 ──数分後。

 すっかり回復した二人は地獄のような空気のまま戦場に突入しようとしていた。

 ラグナはいつも通り全身破軍装備で、武器が破軍の剣だ。

 一方のアジサイも猫耳の生えたオロミドロ装備にセツ=Dと、しっかり使い慣れた構成で挑む。

 

「本当に……すいませんでした……」

「どっかの誰かさんが早とちりしてくれやがった所為でよォ、出遅れたじゃねえか。暴力でしか解決できない子に育てた覚えはねーぞ」

「ムカッ!! 普段の自分の言動を少しは省みてはどうでしょうか! 本当にボクだけの所為だと思いますか!?」

「オメーそれを何て言うか知ってるか、他責思考って言うんだぜ」

「グゥッ、それを言われると……いや、しかし、数々の前科が……」

 

 言い争いながら二人は砦の防壁から飛び降りる。

 後に続くようにしてマタビがラグナの背中目掛けて飛びついた。

 そして、彼らの後をバジルが追いかけ、防壁の柵から身を乗り上げて叫ぶ。

 

「相手は古龍級生物デス!! くれぐれも油断しないように!!」

「知ってるよ!! 実際にやり合うのは初めてだがな!!」

「ッ……何と言う巨体!! しかも、とんでもない数の爆鱗です!!」

 

 バゼルギウスの異様な姿を見て、アジサイは鳥肌が立つ。そして、アレが全て爆発物であることを思うと寒気がするのだった。

 大きく膨れ上がった首、足、更には翼に至るまで生えた爆鱗。

 その正体はバゼルギウスの体液が空気に触れて固まったものであるため、弾数は実質無限。

 弾切れを一時的に起こす事はあっても、時間が経てばまたすぐに装填される。

 

「とにかく攻撃だ!!」

「は、はい!!」

 

 いつものように足元を斬り刻んでいくアジサイ。

 そしてバゼルギウスに飛び乗って大剣を振るうラグナ。

 しかし、こうして攻撃する度にポロポロと鱗は落ちていき、そしてしばらくすると──爆発する。

 

「プルルルルルルルルルルルルル」

 

 サイレンのような咆哮。

 そして、警告が示す通り大量の爆鱗がばら撒かれていく。

 そして湯気が立つそれを目掛けて、バゼルギウスは頭を地面に打ち付けたまま迫りくる。

 ラグナもアジサイも、すぐさま大きく距離を取った。

 バゼルギウスが突っ込んだ場所から次々に爆発が巻き起こっていく。まさに大惨事だ。

 

「おいおいおい、ヤベーよヤベーよヤベーよ!!」

「何なんですかあの──危険物体は!! 大自然は何を思って、あの爆撃機を作りたもうたのですか!!」

「プルルルルルルルルルルルルル」

 

 危険。まさに危険の一言に尽きる。これでは近付こうにも近付く事が出来ない。

 低空飛行に入ったバゼルギウスは、全身から爆鱗をばら撒きながらラグナ達に迫る。

 当然、あの巨体で爆鱗諸共突っ込まれたのでは堪ったものではないので、ラグナもアジサイもバラバラに逃げるしかない。

 しかし、そうなると当然狙いは一人に定まるわけで。

 

「ねえねえねえ!! ヤだ!! ボク、ヤだ!! 嫌なんですけどーッッッ!?」

 

 アジサイが涙目になりながらバゼルギウスに追いかけられている。

 ぽろぽろと爆鱗をばら撒きながら墜落するバゼルギウス。大爆発が巻き起こり、アジサイの軽い身体は簡単に吹き飛ばされるのだった。

 頭から地面に突っ込んだ彼女は翔蟲で受け身を取る余力も残っておらず、そのまま倒れ込んでしまうのだった。

 

「おーい、生きてるか?」

 

 そんなアジサイを、ラグナが米俵のように抱きかかえる。

 ぽろぽろとアジサイは泣いていた。

 

「ボクが一体何をしたっていうんですかぁ……」

「無実の大剣使いにドロップキックしたことだろ」

「アオオオオオオオオオオオン」

 

 直後、響き渡る爆鱗竜の鳴き声。

 ポロポロポロと爆鱗がラグナとアジサイの周囲に放り投げられる。

 そして、バゼルギウスの口から炎が吐き出されるのだった。

 

「あっ」

「あっ」

 

 着火。そして──爆轟。

 

 ──数秒後、ラグナとアジサイは砦内の一時キャンプに運び込まれていた。

 

「ニャーニャー」

「ニャーニャー」

 

 ネコタクアイルー達が荷台にカス二人を乗せ、思いっきり地面に投げ込み、回復ミツムシの中に着けこむ。

 そこにバジルが駆け付けた。

 

「何やってんデスか、アホ二人ーッ!! 全然ダメじゃねーデスか!!」

「じゃあオメーも行ってみるか、あの地獄の鉄火場によォ!! アレが動く度に爆発するウンコがポロポロポロポロばら撒かれてやがんだわ!! 言うは易く行うは難し、テメーも来い!!」

「良いですよね、編纂者はァ!! 肝心な時は安全圏で引きこもってられるんですからァ!!」

 

 体力が回復したラグナとアジサイがキレながら起き上がった。

 幾ら熟練のハンターと言えど、破壊力抜群な上に無軌道かつ無差別にばら撒かれる鱗を避けながらバゼルギウスの巨体から逃れるのは至難の業である。

 ましてやラグナもアジサイもバゼルギウスと直接戦うのは初めてなのだ。

 

「安全圏じゃねーデスよ!! バゼルギウスの機嫌一つでこっちも爆発に巻き込まれるデース!! ああ、ワタシの、防衛設備が……壊れていくデス……」

 

 涙を流すバジル。 

 本来この砦は初手バゼルギウスなどと言う災厄を想定していないのである。

 そもそもバラージュ周辺にはバゼルギウスの生息は確認されていなかったのだが──

 

「ヤツは長距離飛行が可能だ、どっかから渡ってきたんだろうな」

「それで初っ端から来られたらお終いなのデスよ!!」

「つーか、他のハンター共はどうしたんだ!?」

「実はラグナ達がバゼルギウスと戦ってる間にイャンクックの群れも飛んできてデスね……そいつらの対処で手一杯なのデス」

 

 最悪だ、とラグナは頭を抱えた。

 バゼルギウスはどうやっても此方で対処するしかないのだ。

 防衛隊は破竜砲やバリスタでバゼルギウスを攻撃したり閃光弾で撃ち落としてはくれているものの、それでもバゼルギウスが本気で暴れれば容易く設備は破壊されてしまう。

 あの爆鱗には、大型飛竜のブレス程度では傷ひとつ付かないはずの破竜砲が容易く破壊されるだけの威力があるのだ。

 その証拠が、ラグナとアジサイの一撃ノックアウト。これまで色々なモンスターと戦ってきた二人だが、彼らとてバゼルギウスの鱗の爆発に巻き込まれればタダでは済まないのである。

 

「もうボク、爆発は嫌です……ア、アルコールが恋しい……」

「だが今ので大体パターンは分かった。ヤツは爆鱗を撒いた後に自分の身体やブレスで爆発させる!! 逆に言えば、ヤツの行動線上以外で爆鱗は直ぐには爆ぜねえ!!」

「問題は不発弾です、事故が多すぎます!」

「ゲホッ、とにかく体力回復は任せるのニャ……後、運良くアイツが麻痺してくれればチャンスが出来るんだけどニャ」

 

 当然のように爆発に巻き込まれていたマタビの頭もアフロになっていた。しかし、彼女とて敗けっぱなしではない。

 

「飛竜祭最後の準備期間で作ったこの武器で……あいつに一矢報いてやるのニャ!!」

 

 マタビは新たな得物・ゲネポスネコ銃剣を背負う。

 廃坑跡で死んでいたゲネポスやドスゲネポスの死骸から剥ぎ取った素材で作った、マタビの武器である。

 ゲネポスの牙や爪には神経性の麻痺毒があり、相手を痺れさせる効果があるのだ。

 

「アオオオオオオオオオオオンッッッ!!」

 

 咆哮するバゼルギウス。

 武器を構えるラグナ達。

 両者は向かい合い、再び狩猟が始まる。

 

「よし来いバゼルギウス。”飛竜落とし”のラグナ様が無傷でテメーを落としてやるぜ」

「ええ。さっきまでのはほんの準備運動です。あれはネコタクで戦略的撤退をしただけですから。断じて力尽きたわけではないですから」

 

(今更何回も爆死してるのは無かったことには出来ねーのニャ)

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