灰色創世外伝Ⅺ:逆理の巫女   作:絶撃@

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本作は『灰色創世』の外伝で、《第Ⅺ世代タカヒロ》の時代における

観測者視点による内部資料形式の物語である


ここで語られるのは、ただの物語ではない――
常識や理屈では説明できない、観測されることで初めて形を持つ世界の片鱗である


あなたはこれを読むことで、無意識のうちに観測者として立たされる
知らぬ間に世界の理を見つめ、思考の限界を押し広げる存在として――

準備はできているか
あなたが目撃するのは、常識の裏に隠された理であり、存在の意味である
ここから先、あなたはただの読者ではいられない


これはある意味尋常な物語ではない


果たして、これを読んだあなたは、それに気付くことができるのか――



それが試されている


01 un-medium 逆理の巫女

灰色創世外伝Ⅺ―逆理の巫女―

 

 

 

01

 

 

un-medium 逆理の巫女

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

月の裏側・・・ラグランジュ・ポイントに浮かぶもう一つの月

 

 

 

《フレア=スター》

 

 

 

それは絶えず地球と月の一直線上に存在し、地球からは決して見ることは叶わなかったため、近代になるまでその存在は知られていなかった

 

その大きさは月の直径の約1/2

質量は1/16と非常に小さいにもかかわらず、そこには大気があり、そして―――多くの人々が住んでいた

 

 

ほんの・・・7年前・・・までは・・・・

 

 

ジェルナ=デル=フランソワーズは、7年前に謎の崩壊を遂げたフレア=星(スター)の遺跡から仮死状態で発見された

 

 

 

―――そう、彼女は《生きていた》のである

 

 

 

 

水も・・・大気も失われたこの、かつては水の星だったもの・・・その残滓の中で

 

 

 

 

世が世なら―――

 

 

彼女はフレア=スターを統べる皇女であったはずなのに

 

 

 

 

 

 

なぜ、こんな事になってしまっているのか

 

 

 

 

 

 

既にその記憶の殆どを失ってしまった彼女の―――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――過去も―――未来も―――その内に秘めたままに眠ったままだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――これは、今より10年前に始まり、

 

 

そして7年前に終わらせてしまった―――僅か3年余りの邂逅が織りなす悲劇の物語である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロローグ

 

 

軌道圏複合企業連合:Cislunar Corporate Alliance(シスルナー・コーポレート・アライアンス)略称:CCA または The Alliance

「Cislunar」(地球〜月軌道圏の空間を指す専門用語)は月面だけでなく軌道全体を支配するグローバル企業連合である 

 

その目的は月資源採掘を起点としたエネルギー、軌道インフラ、生命維持、医療、通信、観測、AI管理という、国家を超えた利害の一致から、世界の意志により運営されている

 

地球~月軌道圏の空間、物流、情報を支配し、今や地球の生殺与奪権を握っていた

 

 

 

 

 

それは、ある一つの小さな違和感から始まった

 

 

――――今より10年前

 

 

軌道圏複合企業連合Cislunar Corporate Allianceは、月の裏側、グレナダにヘリウム3の採掘基地の建設プロジェクトが進行していた

 

その中継基地として、ラグランジュ2宙域にステーションの建設をするため、同宙域に調査隊が派遣されていた

 

 

 

―――第一次ラグランジュ2重力解析チーム

 

 

同チームはステーション建設予定ポイントであるラグランジュ2の調査に来ていた。その過程で小さな違和感を発見していた

 

 

「・・? おかしいですね・・・重力波観測データに微妙なノイズがあります」

 

 

若い観測員がその再現性に説明がつかないでいた

 

 

「いや、そんなはずはないだろ。この宙域にはなにもない」

 

 

「ですよね・・・装置誤差の可能性もありますし、経過を観察します」

 

 

「一応、ラボに報告書を送っておいてくれ」

 

 

 

 

―――月の裏側、グレナダAllianceラボラトリー

 

 

若手研究者がノイズに違和感を覚える

 

 

「・・?・・これ、《揺らぎ》ではないですね」 

 

 

「どういう事だ?」

 

 

「自然な動きじゃないです。意図的に平滑化されている」

 

 

「はは、何言ってんだ。まさか測定されないよう誰かが操作してるってか?」

 

 

 

最初は、誰も取り合わなかった。次の一言が出るまでは・・・

 

 

 

「いや、そういう事じゃなくて・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・《ここ》、何か隠れてません?」

 

 

 

 

 

 

 

一瞬、騒然とする

 

 

 

 

 

 

だがすぐに否定される

 

 

 

「なんかあるってか?だが現になにも映ってないし、重力レンズ効果も確認されていない。装置誤差だろ」

 

 

 

そして理論物理学者がぽつりと呟く

 

 

 

「さっきの《隠れてる》で閃いたんだけど・・・」

 

 

 

 

 

 

「あっちの方・・・ラグランジュ3になんかあるんじゃないか――――なんてな」

 

 

 

 

 

 

「まさか、マイクロブラックホールのカウンタームーンか!?」

 

 

 

別の質量を、月を挟んで更に地球の真反対側・・・ラグランジュ3につり合いの取れる質量体があれば・・・・

 

 

 

「いやいや無理だろ、蒸発しちまうだろ」

 

 

「だが、もしそうなら説明がつく。ケプラーの法則の裏をかける」

 

 

「そもそもそんな配置は制御なしでは不可能だ」

 

 

「だから制御してるとか」

 

 

「どうやって?出来るわけない!」

 

 

 

 

「みんな頭固いよ、固い固い。考えてもみなよ、この世界には魔法だってあるんだぜ。あれ、俺ら説明できないでしょ」

 

 

 

 

一同、黙り込む

 

 

 

 

「・・・一応、ラグランジュ3の重力波も調査してみるか」

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

―――第一次ラグランジュ3重力解析チーム

 

 

 

「・・・重力波の位相が・・・自然じゃないね。人為的に制御されてるよコレ」

 

 

「マジかー・・・・てことは・・」

 

 

 

 

 

 

―――第二次ラグランジュ2重力解析チーム

 

 

 

「見えてないけど、なんかあるって事だな」

 

 

 

「光が返ってこないって事は、プラズマステルスだな」

 

 

 

「でもどうやって確認する?」

 

 

 

「そうだな・・・・ミサイルでも撃ち込むか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを実際にやろうとした時点で、何も見えない、何もないはずの宙域から信号が放たれた

 

 

 

そして、プラズマステルスを解除したそれは・・・

 

 

 

 

 

 

 

フレア=スターは、姿を現した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秘められた過去

 

 

【フレア・スター調査報告書  軌道圏複合企業連合:Cislunar Corporate Alliance内部資料(非公開)】

 

執筆者:T・ヴェルム・シュヴァルツェCCA内部調査室室長

 

 

これは、今はなきフレア=スターの遺跡から発掘された文献と、唯一の生き残りであるジェルナ=デル=フランソワーズ(ジェルナのみ本名)の僅かばかりの証言、そして人類として唯一フレア=スターに降り立ったとある査察官(フレア=スター動乱に巻き込まれ死亡と推定)からの報告書を元に記したものである

 

無論これらの内容を裏づけする物的証拠は何もなく、ある理由により私自身この事を公にするつもりは毛頭ない

そして、この話を信じる信じないはあなた次第であることを付け加えておく

 

 

 

フレア=スターの女たちは、生まれつき不思議を操る力を有していたという(男にはその力はない)

それは《乙女》である間は潜在しているに過ぎない

成人を迎え、男性を受け入れ《女》となった時、《力》が顕現する

 

 

その力は《イマジネーションを実体化させる》というもので、

想像力が逞しければ、発動される《力》は理論上は《無限》であるという途方もないものである

 

 

要するに、夢見る少女(純潔を失った者を少女と言えるのかはわからないが)であればあるほど力が強いという事らしい

 

 

月の質量の1/16・・・

 

フレア=スター崩壊後に訪れた調査隊のコメントによると

 

そこでは自分が風船にでもなってしまったような感覚を体験できたという

 

うっかり歩くとどこへ行ってしまうかもわからない

 

 

本気で跳躍したら、外宇宙に飛び出しかねないほどの脆弱な重力

無論大気も・・・水も・・・この星に留め置くことは出来ないだろう

 

 

 

本来ならば、死の星であったはずの“フレア=スター”には、古より多くの人々が暮らしていた

その大地は緑に覆われ、豊かな海に囲まれた水の星であった

そこで人々は数千年の時を過ごし、今日まで何事もなく細々と暮らしていた

 

 

我々の常識ではあり得ないことである

 

 

 

とある査察官が残した調査報告書にはこう記されていた

 

 

【実際にフレア=スターに降り立った唯一の異星人(地球人の事)、この私だけがこの驚くべき真実を知っている】

 

 

・・・と

 

 

 

 

 

それは・・・

 

 

逆理の巫女たちの力・・・

 

 

 

この星の既婚の女性たちは、すべからく巫女と呼ばれていた

 

 

 

通常の巫女とは異なり、純潔を失う事で霊媒として覚醒し不思議を顕現させることの出来る背徳の存在・・・・

 

 

 

彼女たちのイマジネーションの総意が、あるはずのない大気と、ほぼ地球に匹敵する1G前後の重力を発生させていたというのだ

 

 

 

もし、これが事実なのだとしたら大変な事である

 

 

 

そして、その“事実”の一切は星の男たちには伏せられていたという

 

 

元来男とは未知を好み、何事に於いても処女を愛する

そして力を欲し、己を顕示するものである

 

 

だが、それゆえに

 

 

巫女たちは星の男たちがこの力を欲し、私欲に行使する事を恐れた

 

 

女は、愛する男の為に

 

 

時に取り返しのつかない過ちを犯すことがある

 

 

もし、星の男たちに“力”の存在が発覚し、その“力”の提供を強く求められたなら

愛する男の為にフレア=スターそのものを裏切らないとも限らない

 

 

それは、女として生まれたものの悲しい“性”である

 

 

それ故に、巫女たちはこの“事実”を星の男たちにひた隠しに隠した

秘密を漏洩しようとする者を打ち殺す事さえいとわなかったという

フレア=スターの創世記には血塗られた過去があり、巫女たちの間でのみ、その事実と力の在り方の伝承が代々受け継がれてきたという

 

 

そして、フレア=スターの長い長い歴史の中で、男性と女性の役割分担が完全に確立されていた

 

男性は家族単位、社会の中では主であり、あらゆる職業の担い手であり主導者である事が求められた

そして女性は《契約》の後はただ一人の男性に従うものとされ、家事・育児全般は女性に委ねられていた

 

 

ただし

 

 

国(星)の政(まつりごと)は、巫女にのみ許された

 

男性の参政権は一切認められておらず、選挙権すらなかったという

 

 

日常における一切の優位性を男性に譲る代わりに、国政における全ての権限は巫女にのみ与えられたというのだ

 

 

巫女とは公に男性を知ったとされる女性、すなはち家庭の主婦たちである

元々は“力”の存在を秘匿するための措置であった女性上位の体制であったのだが、

本質的に争いを好まない女性による統治は、思いの他良好に機能していたという

 

星の男たちも、面倒な政は女たちに任せて、自分たちは思う存分に男の性(さが)を振るい、人生を堪能していたというのだが・・・・

 

 

こうして聞いてみると、何とも滑稽な話である

 

同じ男として、何と情けない連中だと思わないでもなかったが、しかし・・・

私自身、彼らと同じ立場に身を置いたならば、多分何の不満もなく過ごしていただろうことは想像に難くない

 

 

 

かようにして、延々と数千年も積み上げてきたフレア=スターの歴史

 

 

それが何故、数年前に崩壊してしまったのか?

 

 

巫女たちは何故そのような力を持つようになったのか?

 

 

そもそも、何故彼らはこのような思いをしてまで地球から遠く離れたところで数千年も暮らし続けてきたのであろうか?

 

 

 

まるで・・・・姿を隠すかのように

 

 

 

 

査察官の最後の記録にはこう示されている

 

 

 

【性別を偽りフレア=スターに降り立つ事に成功した私は、自らの好奇心と欲望から、まだ男を知らない《巫女見習い》を密かに篭絡し、情報を引き出させる事に成功した。だが私と通じた事で、巫女見習いは《逆理の巫女》へと覚醒し、力を発動するようになった

 

その巫女は私の命令に従順に従い、《禁忌》とされる情報の全てを私に吐き出した

 

逆理の巫女の頂点に立つ《皇女ジェルナ・デル・フランソワーズ》の左手の甲に宿る七つの宝玉の秘密さえも、彼女は赤裸々にかた】

 

 

 

この報告書の通信を最後に、査察官との連絡が途絶えた

 

 

そして程なくして

 

 

 

フレア=スターは星が纏う大気と水を宇宙空間に放出し――――

 

 

 

―――――その水の星は《死んだ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ここから先は、貴公が提供してくれた情報を踏まえ記載する

 

 

フレア=スターの女にとって、契る事は“契約”である

意に叶った唯一人の男の為にのみ、陰ながらその力を行使するのである

 

この力は“諸刃の剣”であり、悪戯に行使されるべき性質のものではない

その力を集結させれば恒星一つを消滅させる事も可能なほど強大であるという

使い方を誤ると自らを滅ぼしかねない

 

それ故、力を行使出来る立場にある女たちには高度に熟成された人格が求められ、未熟な者や、未成年者の“契約”は厳しく制限された

 

また、配偶者の選別には寛容であったが、実際の契約に至るまでや、その後に至るまで厳しい戒律を守り続けねばならず、国家が認めなければ婚姻は許されなかった

この禁を破ったものは終身刑か、最悪の場合、処刑されることもあるという

 

 

だが、近年は実際に禁を破ったものはおらず、そのしきたりは守られつつも、刑罰については人々の間でも忘れ去られていた

 

 

 

 

 

事の起こりは、ほんの10年前に遡る

 

 

 

 

 

この星には、通常異星人(地球人の事)の入国は禁止されている

無論、巫女の秘密が外部に漏れ、利用されることを恐れたためである

しかし、頑なに閉鎖的なスタンスを取り続けるフレア=スターに対し、魔属領とルクスフリート王国を除く国家群で構成された地球連邦評議会は露骨に不信感を募らせていた

 

 

フレア=スターは衛星軌道上に展開しているCCA所属ステーションを介して、外界との交易をおこなっていた

そしてステーションのクルーは全員男であり、女性の姿はひとりもいない

そこから母星に入ることを許されるのは、その星の男のみで、外部の者の侵入は一切許されていなかった

 

 

古より袂を分かつ間柄であるとはいえ、元々は同じ人類である

しかも国交を回復しているにもかかわらず、議会へも参加せず、本国への入国を頑なに拒む理由を突きつけるが、返答はない

 

痺れを切らした評議会は、フレア=スターに謀反の動きありと恫喝し、査察団の受け入れを迫り、これを渋々了承させる

 

但し、フレア=スターは評議会に一つの条件を付けた

 

 

《査察官は女性である事》

 

 

意外な条件に興味を抱いた評議会は、真相を確かめるために“ある男”を査察官に任命し、女装させて潜入させたとある

 

フレア=スターサイドは評議会の裏切りを想定していなかったようで、そのまま査察官を受け入れたようである

 

 

 

ここまでの経緯を鑑みるに、査察官と裏切りの巫女はいずれも処刑された可能性が示唆される

 

 

 

それがどのような経緯でフレア=スター崩壊に繋がったのかは不明だが、この件が深く関わっている可能性が濃厚と見られる

 

 

 

 

【備考】

 

 

フレア・スターのウィークポイントは資源と食料の不足にある

 

あのように小さな天体では、文明を維持するのは難しい

 

 

それまでどうやって資源や食料を調達していたのか、ここに宝玉の秘密が隠されていると推察される

 

 

 

【推察1:フレア=スターは第五レイヤー世界の存在の可能性】

 

レイヤー世界についての認識は、人間であればA・T・M・Aの上層部の一部と、終端の魔導師の関係者に限定・秘匿されている

 

UsumnaKと魔族は外部レイヤーの存在であるという事情からこれを理解しているが、何らかの強い強制力が働いているためかこの情報が人間側に漏洩されたという報告は確認されていない

 

第四レイヤーの発見の事実から、第五レイヤーの存在の可能性は示唆されていたのだが、図らずも証明された形

 

 

フレア=スターの住人の遺体がただの一人も確認されていないという事実から、フレア=スターはベースレイヤーである世界との繋がりを断絶し、第五レイヤー世界を閉じた可能性が示唆される

 

 

フレア=スターの逆理の巫女にして皇女はその左腕に七つの宝玉を装備している

 

その一つまたは複数を外す事で、第五レイヤー世界がフレア=スターごと世界から外される

 

外れた世界には異星人(人間)がいないため、無人の地球に降り立ち資源や食料を調達していた可能性が示唆される

 

 

 

【推察の整理とジェルナ・デル・フランソワーズの現状への接続】

 

 

裏切者の巫女と査察官を見せしめとして処刑

 

地球連邦評議会は非公式にフレア=スターの主権を侵害し強引な査察団の受け入れ及び禁忌である男性査察官を潜入し情報を巫女から引き出す

 

事態が発覚しフレア=スターは査察官と巫女を処刑、現世よりフレア=スターの離脱を決定

 

宝玉の分散によりフレア・スターと第五レイヤーを世界と断絶

 

永遠に隔絶された世界で生きる未来を選択

 

フレア・スターの男性は事態に批判の声を上げるものの、巫女たちは男性の権限規制を強化

 

力を持たない男性は沈黙するしかなかったと推察

 

 

ジェルナ=デル=フランソワーズだけが現実世界に取り残され、知らぬまま第五レイヤー世界の分断の番人として機能している可能性

 

 

第一の宝玉の力で延命したジェルナはCCAに回収され、その後諜報員として雇用・活動開始

 

 

【ジェルナがCCAの諜報員である理由】

 

一つはフレア・スター崩壊後に仮死状態にあった彼女を発見、救出したのがCCAの調査隊だった事

 

二つ目は地球圏とCCAとではフレア・スターに対するスタンスが異なる点

 

 

フレア・スターの崩壊はCCA側ではなく、主権を侵害し強引な査察団の受け入れと、禁忌である男性査察官を潜入させた事にある

 

 

【CCAはフレア・スターへの介入を保留している理由】

 

理由はジェルナ・デル・フランソワーズの存在にある。彼女の力の秘密もわかっておらず、どのようなリスクがあるのかが推し量れないためと推察

 

ジェルナ自身がフレア・スターの秘密に関する記憶を失っている事、宝玉の力についてはあくまでも推測の域を出ない。要するにCCAも何もわかっていない

 

故にジェルナを諜報員として雇い、地球圏の諜報活動を探らせる傍らで、その活動の過程でフレア・スターとジェルナに関する情報が得られる事を期待していると推察される

 

 

恐らくは、その過程で知らずに宝玉を回収し、記憶と能力を獲得する過程でジェルナは不完全ながら事の真相に気付いた可能性が高い

 

 

それが第二の宝玉発見と時を同じくして、宝玉の管理及び処理・隠ぺいをA・T・M・A代表である第Ⅺ世代タカヒロに委託した理由と推察される

 

 

 

 

 

以上。




この章を読み終えたあなたへ――

ここに記されたのは、全てではなく
ほんの一端でしかない
それでも――世界はあなたの中で微かに揺らぎ、常識の縁がほころびる音が聞こえるかも知れない


本章は、物語でもなければ、完全な記録でもない
これは観測者が残した「解体された世界の残滓」であり、

《灰色に創生されてしまった世界》

それをあなたがどう認識するかを問いかけるための試みである

もしもあなたが、この世界の理に疑問を持ち、常識を少し手放すことができるなら
それだけでこの章は役割を果たしたことになるだろう


忘れないでほしい
世界は、観測されることで初めて形を持つ
そしてあなたの目は、すでに観測者としての役割を果たしているのだから―――何かを見つけられるはず
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