TS銀髪ロリでフロアボスらしいけど自由に生きたっていいよな? 作:畑渚
「ちっ」
「舐めるなっす!」
「紬さん、合わせます!」
紬と莉子の2人に同時に斬りかかられたネネは、片方を腕で受け止める他なかった。
「だが貫くほどの威力はないな」
受け止められた刃が、大きく弾かれる。
「無駄だと言っているだろうに」
「……っ莉子会長、危ないっす!」
「大丈夫です、この程度!」
後ろに跳んで確実に避ける莉子。その着地を狩ろうとネネは前に思い切り跳ぶ。
「させないっす!」
がしかし、紬が攻撃を挟み込むことで阻止する。
ガガガ
小春のドローンが間髪入れずに追撃し、ネネの機甲に細かい傷を与える。
しかし、あくまで細かな傷であった。
「私と戦うのは良い度胸だ、認めよう。だがどうやって勝つ?」
「うるさいっす!」
斬りかかってきた紬の刃を、ネネは籠手で強引に掴んだ。
「あ」
「遅い」
ネネは淡々と言い放ち、空いてる拳で紬を吹き飛ばした。
「紬さん!」
しかし、返事はない。紬は壁にたたきつけられたまま、力なく地面に倒れ伏した。
「次は君だよ」
「わかってはいるんだけどねぇ」
次の瞬間、ネネの姿がぶれた。
「回避で精一杯だ」
「いや、遅いね」
ネネの素早い攻撃に反応してみせた小春だったが、さらにその上をネネは行く。
フェイントをモロに食らった小春は、勢いを殺しきれず地面を滑る。
「ぐぅ……あ」
「小春さん!?」
「ダメだ、足がやられちゃった」
そう言って指さす小春の先には、ありえぬ方向に曲がった自分の足があった。
「さぁ、あと一人だね」
「……っ!」
カチャリと刀を構え直す莉子。しかしその目に、数百通りの自分の死が映る。
その全ての情報に呑まれずに、最適な一手で攻撃をなんとか躱す。
「やっぱ反応が良い。他のとはワケが違うね」
「神様からの贈り物ですよ」
「神?はん、そんなやつがいたら……」
なにが逆上するトリガーを引いてしまったらしい。
ネネは目にも止まらぬ速さで莉子の首を掴んだ。
「こうはなってないんだよね」
ギリギリと力が加わるに連れ、莉子の顔は苦しく歪んでいく。
「がはっ」
「このまま楽にしてあげるね」
「くふ、くふふ」
「……?何がおかしい」
「わかりませんか。ええ、わからないでしょうね」
莉子はまるで気が狂ったかのように嗤う。死に際に浮かべて良い表情ではなかった。
「……たしは」
「……?」
「私は……私たちは」
苦し紛れに、莉子は言葉をつなぐ。まるでバトンをパスするランナーのように。
「『4人』でアステリア学園です」
「っ!」
ネネは、背後に気配を感じた。
<=>
ここは……どこだ。
まるで海を漂っているかの気分だった。
あたりは真っ暗で、灯台も船の明かりもない、完全に真っ暗な海だ。
なにかが漂ってくる。真っ暗だというのに、その輪郭はまるでLEDテープのように白く輝いていた。
それは俺の姿を認識すると、ばちゃばちゃと泳いで、そして俺の腕を掴んだ。
なにか別のものが漂ってくる。それも俺の腕をつかみ、海の中へと沈めこもうとしていた。
さらに、またさらに。
どんどんと身体にまとわりつく影が増えていき、俺を沈めようとまとわりついてくる。
「な、なん……ぐぶ……」
抵抗する間もなく、俺は海の底へと沈んでいく。
そこに溢れていたのは、記憶の塊たちであった。
日常を憂う高校生。まだまだ世界がキラキラと光って見えている小学生。遊びに勉強に青春を送る大学生。そして、社会の荒波に揉まれる社会人。
全部が俺のものであって、そして俺のものではない記憶たちだ。
「これは……この身体を構成する全員の記憶か……?」
答える者はいない。しかし、そうであると心の中で確信していた。
「じゃあお前らは……」
海の底についてもなお、腕を離さない影たちを見る。
それらは、一つ一つが、あれら記憶の所有者たちだ。
「すまない。俺が表なんかに出てるがために」
すると影の一つは首を振った。
それはまるで、君だからこそ我々がいるのだと優しく諭しているかのようだった。
「だが……すまない」
外から、声が聞こえる。
アステリア学園の3人が戦っている音だと確信を持っていた。
「俺は行かなければならないんだ」
すると影たちは、一人ひとり、そっと手を離していく。
俺は機甲を展開し、一気に装着する。
「じゃあな。皆。お前たちのこと、忘れないよ」
影たちに見送られながら、俺は水底からブースターを吹かして水面へと向かう。
「紬さん!」
間に合え、間に合わせてみせる。
「小春さん!?」
「ダメだ、足がやられちゃった」
まだ間に合う。急げ、ブースターを最大出力に……!
「くふ、くふふ」
「……?何がおかしい」
「わかりませんか。ええ、わからないでしょうね」
目の前が明るく開けてきた。あと一歩だ。
「俺たちは4人で
「私たちは『4人』でアステリア学園です」
アステリア学園だ!」