TS銀髪ロリでフロアボスらしいけど自由に生きたっていいよな?【完結】   作:畑渚

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第48話 エピローグ

「あ、莉子会長~」

 

「おまたせしました」

 

「ううん、小春ちゃんも私も今きたとこっす!」

 

「ナイスタイミングだよ」

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

 集合地点についた3人は、目的地へと歩み始める。

 

 軽く雑談して近況報告をしつつ、街を歩く。

 

「もう3年っすね」

 

「ええ、早いものです」

 

 ダンジョンが崩落したあの日から3年。今日はその記念日であった。

 

「小春ちゃん、いや今は小春教授っすね。大学の方はどうっすか?」

 

「生意気な学生が多くて困ってるよ。授業なんてさっさと済ませて研究に専念したいというのに……」

 

「異例の大出世っすもんね。その年齢で教授なんて」

 

「体よくついてた教授が失脚したものだからね」

 

「おお、こわ。小さな政治の世界っすね」

 

 小春は大学教授に籍を置いた。毎日授業に研究にと、充実した日々を過ごしているようだった。

 

「そういう紬こそどうなんだい」

 

「うちは警部になったっすよ!」

 

「無事キャリアに乗れてるようだね」

 

「ふっふーん、目指せ、警視総監っす」

 

 紬は警察に入り、現場を駆け回っているらしい。

 犯人追跡の身のこなしが猫のようだともっぱら評判である。

 

「莉子会長は……」

 

「ふふふ、私も順調ですよ」

 

「そりゃよかったっす」

 

 2人はそれ以上深くは聞かなかった。

 というのも、莉子は今現在、自衛隊に属していることになっている。

 

 しかし、2人はそれ以上の情報を教えられなかった。

 

 そしてこの世の中、少し調べれば、『自由に私服で出かけられる』という自衛官が珍しいこともわかる。

 

 そして莉子の異能……。

 

 2人は漠然と、『莉子会長の仕事内容は聞いちゃいけないもの』だと思うようになった。

 

「あっ、着いたっすよ」

 

 着いたのは、ダンジョンの門の跡地、記念碑が立っている場所だった。

 

 莉子は手にしていた花束を、献花台にそっと置く。

 

「……」

 

 莉子が手を合わせる。それに続いて紬と小春も、静かに手を合わせる。

 

 ここは、ダンジョンで亡くなった全ての者を弔う、会館にもなっていた。

 

「あの日、ダンジョンが機能停止してからいろいろなことがありました」

 

 その実、特異点であったダンジョンを失った日本は、世界で唯一というアドバンテージを失い、エネルギー産業も前時代に巻き戻さざるを得なくなった。

 

「いいこともわるいこともありましたが、結局は前に進んでるんです」

 

 莉子は今でも、あの日の彼の背中を鮮明に思い出せる。

 

 学園を救うと言った無責任なヒーローは、勝手に世界ごと救って消えてしまった。

 

「安心してください。学園こそ、解体となりましたが、私たちは今も生き続けてます」

 

 探索者養成校はその全てが解体となり、探索者たちも散り散りになった。そんな中未だに会い続けているアステリア学園は、その仲の良さがうかがえる。

 

「莉子会長、そろそろ行くっす」

 

「……はい。そうしましょうか」

 

 献花台から離れ、記念会館を後にする。

 

「っと、仕事の連絡です。少々お待ちを」

 

 莉子が少し離れて電話に出る。

 

「莉子会長も大変っすね」

 

「まあもとより、仕事を自分で増やすタイプだ」

 

「確かにそうかもっすけど。学園のときのように手伝えないのがもどかしいっす」

 

「まあ気持ちはわかるけどね」

 

 そうこう軽口を叩き合っているときだった。

 電話を終えた莉子が戻ってくる。

 

「莉子会長、どうだったっすか?……莉子会長?」

 

「……すみません、この後の予定はキャンセルでお願いします」

 

「急な仕事っすか。まあしょうがないっすね」

 

「莉子、もし辛かったら相談してくれよ。どういう形であれ、力になる」

 

「紬さん、小春さん、ありがとうございます」

 

 莉子は申し訳なさそうに2人に謝罪を告げ、そして少しして来た黒塗りの車に乗ってどこかへ行ってしまった。

 

「まったく、慌ただしいことだ」

 

「莉子会長らしいといえばそうっすけどね」

 

 その瞬間、紬の電話が鳴る。

 

「あ、先輩っすおつかれさまっす~、えっ!?わかったっす、すぐいくっす!」

 

「噂をすれば紬にも、だね」

 

「小春ちゃんごめんっす!すぐ現場向かうっす~!」

 

 そういってタクシーを捕まえて紬は現場へと向かっていってしまった。

 

「まあ、慌ただしいのもうちらしいか」

 

 1人残された小春は、コンビニで買ったアイスを片手に、研究室へと戻っていくのであった。

 

 

 こうして新たな日常で、皆必死に生きていくのであった。

 

 

「……っと、行ったようだな、あぶねぇ」

 

 

 一つの影がそう呟きながら、献花台へ近づき、花束を添えた。

 

 そして誰にも気付かれないまま、影は雑踏へと消えていく。

 

 彼もまた、新たな日常へと、一歩を踏み出していくのであった。

 




最後までお読みいただきありがとうございました。
エンディング悩みに悩みましたがこんな形になりました。タタカナイデ
ではまだ次回作でお会いしましょう!
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