TS銀髪ロリでフロアボスらしいけど自由に生きたっていいよな?【完結】   作:畑渚

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前回までのあらすじ!
ダンジョン発生事変から30年後。TS銀髪ロリになった主人公はお世話になってるアステリア学園の存続の危機を知る!彼は助けを求める莉子会長の手を迷わず握ったのだった!


第7話 天才的な解決方法

「おい莉子、怪我の確認はまだかかりそうなのか!」

 

 時間をかけすぎたのか、怪しんだようで、先生がシャワールームのドアを叩いてくる。手早くいかねば強行突入されそうだ。

 

「莉子会長、リビングルームの窓は大きかったか?」

 

「ええ。オーシャンビューが売りのスイートルームだもの」

 

 しばらく固まった後に、おずおずと莉子会長が尋ねてくる。

 

「……まさか飛び降りる気?」

 

「そのまさかだよ!」

 

 俺は機甲を足に即時展開し、バンッとドアを蹴破る。

 そして莉子会長をお姫様のように抱えて、リビングに向かって走る。

 

「っと、強く開けすぎたかな。先生がノびてるわ。まあ都合がいい」

 

 先生は開け放たれたドアに頭をぶつけて転がっていた。これなら心置きなく変身できるってもんだ。

 

「さあ舌噛まないように気をつけろよ!初フライトだ」

 

「ええ……、ん?初?ちょっとまってもしかして」

 

 莉子会長がそれ以上言う前に、俺は窓を叩き破って身を投げ出した。

 

「泥舟だったかも……」

 

「なに、水につかなければ泥舟も立派な船だ!」

 

 自由落下しながら、ブースターのある箇所を優先的に変身させていく。暗くなり始めた空に、青い炎が浮かび上がる。

 傍から見たら、姫をさらう碧翼の魔物だろう。

 

「ふふふ」

 

「莉子会長?」

 

「いいや、これで全部終わりなんだなって」

 

「終わり?」

 

「私が守ってきたもの。捧げたもの。全部、貴方が壊してしまったもの」

 

「あはは、でも謝らないぞ」

 

「謝る必要なんてないわ」

 

 莉子会長は、いたずらに笑う。

 

「でも責任はとってね」

 

「その言い方、なんかやばいな」

 

 そうして二人は空へと消えていった。

 

 

<=>

 

 

「というわけで全部ぶっ壊してきた!」

 

「はぁ、改まって何の話かと思ったらこれっすか!」

 

「まあまあ落ち着いて」

 

「話はだいたい理解した。あとはどうやってアステリア学園を守るか」

 

 小春ちゃんは話が早くて助かるな。

 

「生徒数はどうしょうもない。校舎問題も工事が必要な分俺達じゃどうしょうもない」

 

「だいぶ詰んでるっす」

 

「だが実績という面でなら、俺たちはワンチャンスあるんじゃないか?」

 

「実績っすか。たしかに私は頻繁にダンジョンに潜ってるし、小春ちゃんも発明品で実績はあるっす。でもそれでも足りないっす」

 

「なぁに、簡単な条件があるんだよ」

 

「簡単?そんなのがあるっすか?」

 

「それは、『ランク5冒険者の輩出』だ!」

 

「なるほどたしかに簡単っす」

 

 紬ちゃんはすくっと立ち上がる。

 

「不可能という点を除けばっすけどねぇ!」

 

 バァァァン!と背景に書かれてそうである。

 

「ランク5冒険者の輩出って簡単に言うっすけど、そもそもランク5の獲得から不可能レベルで遠いっすよ!?」

 

「なに、簡単な話だ」

 

 俺はなだらかな自分の胸にぽんと手を当てる。

 

「俺がランク5になればいい」

 

「っ!た、たしかにランク5相当とは言ったっすけど、だからといって成れると決まったわけではないっす!」

 

「じゃあ成ればいい」

 

「そう簡単になれるもんでもないっすよ。力……は問題ないかもしれないっすけど、知名度とか対抗戦で戦績だすとか」

 

「知名度は問題ないな」

 

「はぇ?なんでっすか?」

 

「例えば、銀髪ロリの美少女がダンジョンで暴れまわる様子がネットに載ったらどうなる?」

 

「そりゃ拡散されて……まさか私のチャンネルに出る気っすか!?」

 

「この姿での戦闘能力は未知数だが、うまくやってみせるさ。そしたら知名度は問題ない。あとは、対抗戦での実績だったか?」

 

「対抗戦は3カ月ごとに行われるっす。だから次は来月っすね」

 

「そこで俺が無双すれば、問題ないだろ?」

 

「大有りっすよ……あまりにも個人技に頼りすぎてるっす」

 

「そこは泥船を作った船頭として責任を持つさ」

 

 俺は何も言わずに静かに話を聞いている莉子会長に目を向ける。

 

「これが俺のプランだ。この船に乗るか?」

 

「元より、あのホテルであなたの手を取ったときから私の答えは決まっています」

 

 莉子会長は立ち上がり、俺の手を取った。

 

「たとえこの船が沈みゆく運命だとしても、私たちの手であがきもがいた過程は残る。このアステリア学園を守るために、最後まで私はこの身を捧げます」

 

 言葉にずっしりと重みを感じる。女の子がこうも覚悟を決めてるんだ。それに応えないようでは漢ってものが廃る。

 

「まかせろ。絶対に結果を出してみせるさ。そのために協力してもらう」

 

 俺はホワイトボードに書かれたランク5という文字に大きく丸をつけた。

 

「まずは、足がかりの1つ目からだ!」

 

 こうしてアステリア学園は、大人の助けを得ずに、生徒だけの力によって存続をかけた戦いの火蓋を切ったのだった。

 

 

<=>

 

 

「やっほーっす。数日ぶりっすみんな。元気にしてたっすか?」

 

〈紬ちゃ〜ん♡〉

〈俺たちは何時だって元気わよ〉

〈今日もかわい〜!〉

 

「みんなありがとうっす!そんなみんなに、今日はサプライズゲストをお呼びしてるっすよ!」

 

〈え、まじ?〉

〈男?男なのか!?〉

〈ユニコーンは落ち着いてもろて〉

 

「あはは、安心?するっすよ。かわいい女の子っす。それでは自己紹介頼むっす!」

 

 俺はカメラの死角から出て、丁寧にお辞儀する。

 

「おれ……じゃない。私はアステリア学園1年生のセナっていいます。どうぞよろしく」

 

 元の名前の苗字だが、女の子っぽいからこれを名前にすることにした。

 さて、コメント欄は……

 

〈か、かわいいいぃぃ〉

〈ふぁっ?美少女ふぁっ!?〉

〈俺たちが守らねば〉

〈ごめん紬ちゃん、セナちゃんに行くわ〉

〈その細腕で戦えるの?ほんとに?〉

 

 まあ想定通りか。キャッチとしては悪くない反応だ。

 

「セナちゃんはつい先日うちに入学したばかりの新入生ちゃんっす。ダンジョン知識とかに乏しいところはあるっすけど実力やいかに!って感じっすね!」

 

「はい、紬先輩、よろしくお願いしますね」

 

 営業スマイルをばら撒いておく。愛想は良いに越したことないからな。

 

「ぐっ、先輩呼びはなかなかに破壊力があるっすね」

 

 なに効いてんねん。

 

〈あ、ずるいぞ!〉

〈俺たちも転入すれば先輩呼びしてもらえる?〉

〈今入学すれば同級生名乗れるという〉

 

 コメント欄もなに湧いてんねん。

 

「と、とにかくっす。今日は2人でダンジョン攻略していくっすよ〜」

 

「お〜!」

 

 さて、お披露目といきますか。

 

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