型月でセレビィ()に目を付けられた男の末路 作:どういうことか説明しろユキナリ
「どこここ……そこぉ?」
ようやく起き上がれたと思ったらどこだここ。
色白のイケメンもどっか行ったしわけわからんなぁ!
「あの羽カスはいつか絶対なんとかするとしても……生き残らなきゃだよな、うん」
今ある魔術全部紙屑を払うかのように消されるのほんっと上位種理不尽。
基礎スペックも術式も技術もぜーんぶ積み重ねろってことか?
どんだけかかるんだよ。
「とりあえず歩くしかなさそうか」
こうやって異世界を1人で歩くのは案外初めての感覚なのだが、いかんせんそれを楽しもうと言う気分にもなれない。
どうしようかね。
いくら見る機会があっても原理のわからんあの時渡りへの回答なんてまっさらで、ヤツ自体もわかっていることは多くない。
あれは、土着信仰的な神秘を溜め込み続けた神もどきの妖精だからな。
仕組みなんてそう簡単に解き明かせやしない。
「森の神として崇められてた癖になんで俺を気に入るんだ、全く」
ほとんど縁はなかったが、神代のそこらに在る神という概念に触れ続けたからまぁなんとなくわかるよね。
認めたくないけど。
「何はともあれあんなタチの悪くて現存してしまってる神なんて冗談じゃない、さっさとあっち側に行ってほしいな」
……あれもしかしてあいつあっち側とこっち側行き来してたりするのか?
色んな世界渡ってるあたりあり得なくはない、ちょっと待って欲しい。
「閉じ込める、なんて手段は取れないかぁ」
あいつをどうにかして美遊と再会する、それが今の所の目標かな。
というかほんとに何もないなここ、え俺このままだと何も成せずに死ぬが?
とか考えていたんだが……。
「元気になった?」
「げぇっ……!」
何の成果も得られないまま、羽虫のお迎えがやって来た。
散歩してただけなんだが? 結局どこなんだよここはよぉ!
「知らなーい! 黒い場所?」
「はぁ?」
「さぁさぁ次行こ次! いろんな場所にれっつごー!!」
「……」
はい。
俺の意見なんざ通じないことは分かりきっている、今は耐えの時間だ今は。
今回のこの場所はこいつにとってもあまり見る場所がなかったらしい。
「ニンゲンとのはねーむん? なの〜!」
「冗談でも悍ましいこと言うんじゃねえ」
やめろよお前に惚れられるとか寒気がする。
つかどっから覚えてくるんだよその単語は。
お前さんが理解できるような概念じゃねぇだろ昼ドラのセリフもハネムーンも。
「次の世界はなんじゃらほいなの!」
「……そうかい」
だめだ、こいつを理解しようなんて思う方が狂いそうになる。
俺にとって全ての元凶であればおっけーだ、うん。
……そしてまた、光に包まれ世界を移動したのだった。
「オオオオオオオ ッ!!!」
「戦国ぅっ!?」
そして今回落とされた場所は、一瞬で理解できる戦国時代。
その、戦場のど真ん中だった。
やっぱ妖精クオリティだなぁ!
「ちぃっ! 目立たぬが勝ちだこんにゃろうがっ!」
どう頑張っても日本人な俺だからな、戦国時代は義務教育レベルで理解しているとも。
ぶっちゃけると織田信長周りの人が歴史を変えるから、そこに関わらなければいいんだこの時代は。
目立たない寺とかその辺にいるのもありかもしれない、そう言うところでひっそりと牙を整えて……か。
「ふぅ……ま、魔術師としての隠蔽工作ならお手のものだよ一応な」
まともに使ったのあの妖精に絡まれる前以来なんだけど、案外身体が覚えているものだ。
おかげで結構な距離を移動した。
……というか、し過ぎた。
「勢い余って山のど真ん中に入ったかこれ」
まずいシータと一緒に適度な運動を欠かさなかったのが裏目に出たか?
いやそれより俺の心臓とその周りの組成が若干神代スペックに置き換わったせいなのか。
未確定だけど。
「……まぁ追手なんていないだろうしゆっくり探そうか、うん」