型月でセレビィ()に目を付けられた男の末路   作:どういうことか説明しろユキナリ

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第11話

 ごめんな美遊、シータ……俺、人として最低になってしまったかもしれない。

 お前らに顔向けできねぇよ。

 

 

 

「遠路はるばるようこそお越しくださいました、旅のお方。豪華なもてなしはできませんが、ゆっくりなさってください」

 

「ああいえ、お構いなく」

 

「……」

 

 

 

 あれは俺が木々をかき分けお山を進んでいた時のことだった。

 ふと妙な気配と視線を感じたのだ。

 

 その時の俺はその主を誘き出そうと小細工を弄して……ああ、見事その主に先手を打たせることに成功した、背後から結構なスピードで突撃して来たんだ。

 でだ、もちろんそんなの返り討ちにするに決まってる。

 その後だよ問題は。

 

 殴った感触が生き物の肉体のそれであり、目の端の方で白っぽい毛の様なものを確認した程度だった。

 背後から急に、なせいで全貌は見えなかったんだわ。

 

 

 

「……」

 

「……」

 

「こちらへどうぞ、ここにおられる間はこの部屋をご自由にお使いください。何か用がございましたら、こちらの()()()か私に言ってくだされ」

 

「丁寧に、ありがとうございます」

 

 

 

 その時は人型か? 妖怪の類だろうか、白髪ならば山姥だなガハハなどとそれの正体を人間だなんて思いもしなかった、だって寺があったこと自体予想外だもん。

 親父や母さんから聞いてたおYAMAの先入観も悪さしたのかもしれない、あんな羽虫がいるって前例もある。

 

 

 

「では私はこれで。虎千代、旅の方とお話でもするかい?」

 

    はい、住職様。旅のお話などお聞きしたいことが山程ございますので」

 

「そうか、あまりご迷惑をおかけしない様にな」

 

「はい」

 

 

 

 だから、と言うと言い訳がましいだろうが。

 目の前でにんまりと笑い、濡れた手拭いで頰を抑えている少女が出てくるまで相手が人間、しかも少女だとはこれっぽっちも思っていなかったんだわ。

 思い切りぶん殴ったぞ俺。

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

 笑顔なのにめちゃくちゃ圧を纏っている、出会いがしらにげっ山姥と呟いてしまったのを聞き取っていたのかもしれない。

 ……住職様には聞こえてなかったんだけどなぁ!

 

 やばいって目が若干イってる、人でなしの笑みだ。

 こいつほんとに人間か、俺の眼は人間だと申しておりますほんっとやばいって。

 

 

 

「山の途中でじろじろ見つめてたのお前か?」

 

「はい、その通りです」

 

「……そうかい」

 

 

 

 簡単に自白しやがったよこんちくしょうめ!

 こっち見つめてにんまりしてるのどう言う感情だよ、読めねえな初めてのタイプだ。

 

 

 

「その、悪かったな思いっきりぶん殴って。あんな山ん中で人間に襲われるとは思ってもいなかったもんでね」

 

「? いいえお気になさらず。良いものを貰えましたし私は満足ですよ?」

 

「……?」

 

 

 

 なんかとんでもない発言したんだけどこのガキ。

 え、その歳でそう言う趣味? 将来有望じゃん怖えよ。

 

 

 

「山姥の類だと思われていたのはあの発言から大体予想できましたし」

 

「……なんか願いでもあれば言ってくれ、できる限り答える」

 

「そうですか?」

 

 

 

 笑みを浮かべたままんー、と軽く悩んでいる様に見える。

 ……なーんか人間味薄く感じるんだよなぁ、そこだけ若干美遊にも通じるところがある。

 他は全く似てない。

 

 

 

「何かあるのか」

 

「……」

 

 

 

 内容次第にはなるが叶えたいところだな、流石に気まずいし。

 

 

 

「……いえ、やっぱり今は構いません。旅のお話でも聞かせてください」

 

「できる範囲のことなら叶えるが」

 

「保留、と言うことにさせてください。少々決めかねていますので」

 

「なんだそりゃ」

 

 

 

 そんなに悩むほど凄惨な罰でも考えているのかい。

 怖えなこいつ、若干あの羽虫に共通するものを感じてるのも恐ろしさの一端を担っている気がする。

 感覚的には美遊とセレ○ィを混ぜて2で割ったもののように俺は感じてる。

 

 美遊ほどまともにも見えないが、○レビィほど人でなしに振り切ってる感じもない。

 あいや、人でなしではありそうなんだがな。

 線引きが難しい。

 

 

 

「住職様からお酒をもらって来ますね!」

 

「……その歳で酒飲みかよ生臭尼僧」

 

「これが人の喜びというものなのでしょう?」

 

「んなこと俺が知るか」

 

 

 

 何だ酒が人の喜びって。

 ……そういう風に理解して定義でもしたのか?

 

 

 

「それだけってこともねぇんじゃねぇの」

 

「ほうほう……では、もらって来ます!」

 

「聞けよ話を人のをよぉ」

 

 

 

 こいつ人の喜びとかほざきながら飲みたいだけじゃねぇよな??

 ……まぁ、適当に飲ませてへべれけにでもさせりゃあ勝手に寝るだろ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「にゃっははははは! あの拳は効きましたよぉっ!」

 

「ええい引っ付くな酒臭ぇ!」

 

 

 

 こっこいつ……いくら飲んでも酔う気がしねぇ!

 酒の進みは早い筈なのにけろっとしてやがるぞおい。

 

 

 

「あなたの様な人は初めて見ましたよぉ?」

 

「俺もお前みたいな人間は初めてだよ」

 

「お揃いですねぇ……あは、お酒もお強いですし」

 

 

 

 虎女郎それ俺が酒に強いんやない、単にお前が飲み過ぎてて消費スピードが早いだけや。

 いやまぁ全然飲めそうなんだけど俺も。

 

 

 

「住職様の手前、こんな場所で戦うなんてできませんし……今夜は飲み明かしましょう!」

 

「その歳で酒豪とか後が心配だなぁおい」

 

 

 

 大丈夫かこいつ、戦国武将の中には酒を飲み過ぎたせいでトイレで死ぬことになった武将もいるんだぞ。

 誰だったかなぁ、めちゃくちゃ有名どころなんだけども。

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