型月でセレビィ()に目を付けられた男の末路 作:どういうことか説明しろユキナリ
「あは、ふふふ、ふふふふふ……」
「おい虎が壊れちまったじゃねぇかどうすんだ」
「知らないわ、壊しておけば良いじゃないの」
あの後ぎゃーすかにゃーこら言い合っていたのだが、遂に耐えかねたのか虎が俯いて笑うだけの存在になってしまった。
愛歌の方はけろっとしている、無理すんなよ。
「あまりにも人の心がねぇ返しをありがとよ」
「? 人だって、草や花を踏み潰したって誰も気にしないじゃない」
「知り合いの家の庭と畑じゃ気にするだろうが」
「……庭はまだしも畑に他人が足を踏み入れる機会なんて、現代であるかしら」
おーおーお前田舎に喧嘩売ってんなお前な。
まあこいつもまだまだガキだってことか、うんそう思おう。
「俺にとってあいつは知り合いだ、んで俺の感性は至ってまとも。理解したか?」
「……わかったわ」
「おうならいいが」
「私以外を見る必要も、知る必要もないから安心して見捨てていいのよ?」
「そういうことじゃねぇんだよなぁ」
何だこのロリ。
俺と自分以外のその他一切に対する容赦がねぇが。
「私はあなたがいれば良いんだもの」
「俺はお前だけじゃあ良くねぇな」
「……これって浮気かしら」
「そもそもお付き合いも結婚してねぇよ!?」
何だこのロリ!?
歳の差どうなってると思ってんだ絵面が犯罪だろうがよ。
「そこに愛があれば良いじゃない、私はあなたを愛してる」
「俺の愛がないって前提を理解してないのか?」
「こんなにアプローチしてるのに……」
「俺とあんた出会ってまだ半日も経ってないんだよなぁこれが」
なんとびっくりまだ6時間程度である。
いや流石に無理ぞ? 俺頭メルヘンじゃねぇから誰彼好きにはなれねぇの。
「これだけ楽しく会話できるんだもの、相性がいいと思わない?」
「ご本人……じゃあるな、ご本体と対面できてたんならそう言えたかもだがね」
はは、俺これからこれを避け続けなきゃいけないのかぁそっかそっかぁ。
さてどうしようか。
「……す」
「あら、まだ何かあるのかしら?」
ようやく再起動したらしいちび虎が何かを呟いている。
「私のものです」
「……ん?」
あれ、何か嫌な予感が
「おっ……ごっ……!?」
「……」
腹部に凄まじい衝撃が走り、数瞬遅れてその場に蹲る。
今の虎か?
「何をするつもりなのかしら」
「決まっています」
俺をノックしてさっさと沙条の方へ振り向いてしまった虎の顔は、俺からは見えない。
しかしだ。
「止められては厄介ですし……何より」
「……」
沙条が無詠唱無動作で魔術を行使している。
ああくそ身体よ動け。
……動かねえなぁ良い一撃喰らわせやがって!
「こんな顔、彼には見せたくありません !」
「所詮は畜生……ねっ!」
ああもうこいつら、致命的に相性が悪い!
野生動物じみた奴に周りを石ころとしか思ってないような存在をぶつけたらそりゃあ諍いが起きるに決まってる!
「げほっ、ああくそほんっとに……」
あいつらのやってることは単純明快。
沙条が避けたり防御したりで、虎の方が殴る蹴る。
何故沙条は攻撃しないかって?
それはだな。
「一般人よりずっと、虎の攻撃は重いからなぁ……うん、しゃあない」
ざっと言えばスペックが足りない。
本物なら問題ない程度の認識で虎の相手をしていたんだろうが、この場にいて虎と対面してる沙条は所詮そこそこの性能を持ってるだけの
「ふふ、野蛮ね」
「防戦しかできない癖に良く言いますねぇっ!」
結果
虎がそこらの石ころよりなんか硬くて尖ってたのと、沙条が思ってたより弱体化してたのが原因か。
……というのが見た感想、そろそろ動けるな。
「
こんなくだらないことにこの意味のわからん力使うのは正直嫌なんだが。
あんなのに生身で割って入って無事死亡とか笑えねぇよ。
『辞めろ』
「えっ……んにゃっ!?」
驚いた様子の虎にいつものを喰らわせて今最大の問題児と対面する。
「ふふ、黒いあなたも素敵」
『無敵かお前は』
弱体化してるって言ったって大元があの羽虫とおんなじことができるレベル。
現代魔術師にとって化け物なのには変わりないだろうさ、かと言って虎とおんなじ様な拳骨喰らわせるのはちょっと憚られるんだよなぁ。
「……いいわ、辞めてあげる」
『随分と物分かりがいいな』
「あなたが私を見てくれてるんだもの、それで十分だわ」
『……』
だめだこのノリ調子狂う。
あっけないなおい、虎を伸しただけじゃねぇか。
「はぁ、ここから妖精が来るまでこれかよ」
「?」
可愛いお顔であどけない表情をしておられますが、原因の一つあなたですよ沙条さん。