型月でセレビィ()に目を付けられた男の末路 作:どういうことか説明しろユキナリ
「私と子を成しましょ
「冗談は寝てから言えバカ虎ァ!!」
あれから結構時間が経って。
なんか俺を押し倒してとんでもない発言をし始めたアホ虎を数メートル吹き飛ばしている。
なんだこいつ何の影響受けやがったエセ尼僧。
「……あは、冗談ですよじょーだん。こう言えばツカサさんが本気で戦ってくれるかと思いまして」
「冗談でも若い娘がそんなこと言うもんじゃない」
あのな、お前に気恥ずかしいとか思う肝の細さはないのかもしれんがね。
それでもそんな発言はするな。
「次そんなこと言ったら金輪際お前には会わん」
「怒り過ぎなのでは? ちょっと揶揄っただけではありませんか」
「虎千代」
「……はい」
居心地が悪そうな顔でこちらを眺めている虎。
沙条から悪い影響ばかり受け取っているのは薄々承知していたがここまで拗らせるとはな。
「第一に俺は誰のものでもない、沙条のでもない」
「……」
「第二に、お前はお前自身を人間だと思っていないのかもしれんが」
その辺りの話は住職様に聞く機会があった。
確かに非人間的な感性やら行動なのかもしれない。
「じゃあまず人間って何やねんって話だよ」
「……え?」
「場の空気感に合わせて表情を作れるのが人間か? それとも色んな感情の発露か」
どれもこれも個性じゃねぇか、世渡り上手と感受性豊か。
ならその逆の空気を読まない奴や無感情な奴だって個性と呼べる。
さて、ならば虎千代はどういう分類か。
「てめぇは不器用で馬鹿な人間だよばーか」
「……今馬鹿って2回言いました?」
「中途半端に要領が良かったせいで、これまた中途半端に周りとの違いを理解した気になってる奴をバカと言わずして何と呼ぶ」
親に受け入れて貰えなかった? そうかそうか魔術師の家を見てみろよ、ガキのことを道具としてしか見てねぇのがこれでもかってほどいるんだぞ。
例えが悪い? それはそう。
「今はいないが沙条のこと思い出せよ、あいつ他人のこと使えるor使えない駒としか思ってねぇぞあれ」
「……」
片やなんでもできるから全てが石ころとしか思えない全能姫、片や人間のことを理解しようと頑張るおばか虎。
あいつよりよっっっぽど虎千代は人間らしいし可愛らしいじゃないか。
「んにゃっ」
「俺の祖先とか頭が狂い過ぎてて笑えんエピソードしかないしな、お前なんざ可愛いもんだぞ」
大木戸家の歴代エピソードとかとち狂ってて乾いた笑いが出てくるが。
まあそれは重要じゃない、今は虎の方だ。
「色々ごちゃごちゃと複雑化させたが、要するに」
「……」
「何もわからない中で模索するお前はちゃんと人間だ、俺が保証する」
人間味がないことなんて些細なことであると。
大分ぶっちゃけるとだ、こいつ狂『人』じゃん、人って入ってるじゃんじゃあ人よ?
「まあ言えることがあるとすれば、理解しようとすることを諦めんなよってことくらい。頑張れよ」
「ぁ……」
何かわからないが呆然としたり目を白黒させたりしている虎、忙しい奴だよ。
俺の眼だってお前のことを種族:人間扱いしたんだからどう頑張ろうが人間に違いないのだ。