型月でセレビィ()に目を付けられた男の末路   作:どういうことか説明しろユキナリ

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第4話

「美遊」

 

「どうしたの」

 

 

 

 様々な考えを巡らせ悩み続けていた最近ではあったが、結局結論には至らなかった。

 だから。

 

 

 

「出てみるか、外に」

 

「え」

 

 

 

 突然の言葉に相当驚いている様子、そうだよな。

 しかしこれ以上はお手上げだというのもまた事実。

 

 

 

「いいの?」

 

「ああ、これ以上わからないものに怯えてたってしょうがない」

 

「……」

 

「美遊はどうしたい」

 

 

 

 とは言え本人の意思を無視して外に出すつもりも今の俺にはない、だって本人の問題だし。

 俺では解決まで導けなかったことだけが気がかりである、ごめんな。

 

 

 

「行きたい」

 

「そうか、じゃあ準備しよう」

 

 

 

 わかりきっていたことではあった、元々興味がある感じだったんだから。

 この年頃の子どもが、今の今までその欲を抑えていたことの方が立派でえらいことだろうさ。

 

 

 

「リュックを持ってくる。持っていきたいものがあればそれに詰めるといい」

 

「うん」

 

 

 

 こうなれば覚悟を決めよう。

 あのロクでなしを避けつつ美遊の見たいものを見させてやるさ。

 

 

 

「セ○ビィは、敵」

 

「はは、まあ関わらないことが一番だぞ妖精なんてのは」

 

 

 

 姿も知らない相手へと闘志を燃やす美遊。

 ああいや、俺の記録を通じて容姿も知ってるのか。

 

 

 

「基本的に、人外ってのは人じゃない存在だ」

 

「……? だから、人外って呼ばれてるんじゃ」

 

「そうだ、人を外れた存在だ。故に人のものさしで測れない」

 

 

 

 人間にとってダメ、ってことがあいつらにとってはどうでもいいことなんだ。

 枯れ葉を踏み潰す音を楽しむ感覚で、人を使い潰すのが妖精だ。

 

 

 

「だから基本的にあんなんには会うことのない生活のほうがいい、俺が保証する」

 

「……」

 

 

 

 すごいジト目で見られているがなぜだろうか。

 まあ関わった結果こうなってんだろというのは本当にその通りである。

 ……いや俺悪いかぁ?

 

 

 

「ま、まあこのリュックに入れとけ。長旅になるだろうからな」

 

「うん    !?」

 

「ん」

 

 

 

 そうしてゆっくりと準備を済ませて行っていたこの家に、光の粒が満ちていく。

 言った側から出て来やがった……!

 

 

 

「み〜つけたっ! ニンゲン、楽しかった?」

 

「……この生活んことならこれ以上ないくらい楽しいぜ、まだまだ続けたいくらい」

 

「んーそっか、でもだめ! ニンゲンはワタシと遊ぶんだから!」

 

「……!」

 

 

 

 どうやらこいつこれを遊びと称しているらしい、次元が違うな文字通り。

 妖精どもの規模感がわからねぇ。

 

 

 

「お兄さんは私の……どっか行って」

 

「? オマエ誰? なんでオマエみたいなのがいるの?」

 

「……」

 

 

 

 美遊が俺の前に出て妖精を睨み付けている、その様は威嚇する猫の如きである。

 対する○レビィは誰? と言った感じで意に介していない。

 

 

 

「邪魔なの、ワタシとニンゲン以外に遊ぶの要らない、消えて」

 

「お前が、邪魔……!」

 

「ええと……」

 

 

 

 さてどうしよう、このままだとセレ○ィが美遊に何をするかわからない。

 人外ってのは気まぐれだからな。

 

 

 

「美遊、危ないから下がったほうがいい」

 

「嫌」

 

「……」

 

「お兄さんは私を行きたいところに連れて行ってくれるって約束してくれた。それを、破らせたくない」

 

「そうかい」

 

 

 

 根っこから優しい子なんだろうなぁこの子、初めて出会った時から心配しかされていない気がする。

 しかし……。

 

 

 

「大丈夫だ」

 

「え?」

 

 

 

 しかし目の前にいるのは時渡りとかいう魔法クラスのトンチキをやってのける神秘の塊、そんなものにこんないい子を刃向かわせて大変な目に遭わせるわけにも行かない。

 

 ここは、俺の魔眼()の言うことを信じてみるとしよう。

 

 

 

「今すぐには無理かもしれないが、俺はお前の元に戻ってくるさ」

 

「……でもっ」

 

「大丈夫だよ、絶対な。お前がそう願うなら絶対だ」

 

 

 

 このポンコツ、初手で『聖杯』だなんて判断をやりやがったからな、それからはエラーしか吐いていない。

 つまりこの目にある材料からは『聖杯』だとしか言えないということだ。

 

 じゃあ、叶うことだってあるだろうさ。

 俺の魔眼()はそこまで当てにできないが。

 

 

 

「だから、どうしようもない時は強く願って見るといい。それを標に、俺も上手くいくかもしれん」

 

「……絶対、来てくれる?」

 

「ああ。……ま、今すぐは無理だけどな。俺も自分の力でこうなってるわけじゃない」

 

「……今すぐ一緒にいてほしいのに……」

 

「すまん」

 

 

 

 まあ保護者代わりにゃいて欲しいもんなんだろうけど、ごめんなあの妖精さん容赦ってもの知らないの。

 

 

 

「話終わった?」

 

「……ああ」

 

「ニンゲンはワタシのなんだから! さぁ行くの〜!」

 

「っ」

 

 

 

 悲しそうに、こちらを見つめている。

 言葉はないが、うん。

 強くて賢くて天才なこの子なら生き続けられるだろう、いずれ俺のことが必要なくなるくらいには。

 

 

 

「れっつら、ごー!」

 

    

 

 

 

 そして、そうして俺は2回目の転移を行うハメになり。

 その先で    

 

 

 

「ごっ……ほっ……」

 

「あ、ああ……」

 

「大丈夫か! おい、しっかり意識を保て!」

 

「くそっ……妖精、め……」

 

 

 

 道路のど真ん中にほっぽり出され、大型トラックに轢き殺されかけていた。

 あの羽畜生殺す気か!?

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