型月でセレビィ()に目を付けられた男の末路   作:どういうことか説明しろユキナリ

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第5話

「ニーンゲンは、落として拾うっ♪」

 

「……ロクでもねぇ!?」

 

「? これが楽しいのっ! 隠れんぼなの、色んな景色を見れるの〜!」

 

「どこまでもクソ……!」

 

 

 

 光の粒の先? とも言える世界で俺を運びながら妖精はこんなことを言ってのける、ほんとにおもちゃとしか思われてねぇんだけど。

 

 

 

「じゃあ行ってらっしゃい!」

 

「は    

 

 

 

 とか考えていたらいきなり突き飛ばされる。

 

 

 

「途中で拾ったこれ、あげるのー!」

 

 

 

 ……やっぱり妖精って人の害ですわ!

 

 

 

「わっとと……って」

 

「危ないっ!!!」

 

 

 

 飛ばされたのはなんと大型トラックの前だった。

 

 

 

「これならまだ回避が……!」

 

 

 

 人の声がした、ということは魔術を使う様な真似はできない。

 しかしこんな場所で死ぬわけに……ってんん!?

 

 

 

「あっ、えっ……!?」

 

「まじか」

 

 

 

 なんか少女がいた、そんなタイミングに飛ばされることある?

 だが実際に飛ばされている、クソだな妖精。

 

 ……と言うのはさておき、ここから俺が取れる選択肢は2つに1つ。

 

 少女を突き飛ばしてトラックに轢かれない様にするか、俺が回避して轢かれない様にするかである。

 

 

 

「……はぁっ」

 

「わきゃっ!?」

 

「危ないぞ、ガキ」

 

 

 

 別れたばかりの、美遊と同じくらいの背格好をした少女が危険な目に遭いかけている。

 そんな子を助けずしてどうして美遊と再会なんざできるかよ。

 

 

 

「えっ     

 

 

 

 ……そうして大型トラックの手によって、俺はひき肉へと姿を変えたのである。

 

 嘘だ、ギリ原型保ってる。

 

 

 

「ごっ……ほ……」

 

「おいしっかりしろ! 今救急車を    

 

 

 

 意識が遠のく、血が抜けて体温が下がる感覚がする。

 羽畜生がなんてことない表情をしている気がして腹も立つが、言葉が出ない。

 

 

 

「……くそっ」

 

 

 

 かすんだ目で少女の方を見る。

 生きていてもらわねば困るぞ、俺の立つ瀬がないからな。

 

 

 

「あっ、え……!?」

 

「……」

 

 

 

 おそらく生きている、ならばよし。

 ……もう限界だな。

 

 

          

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ぁ……?」

 

 

 

 目覚めて目に入ったのは白い天井。

 ……病院だな。

 

 

 

「……ぃって……」

 

 

 

 全身が痛んでいる、中々激しい衝撃だった様で。

 ……ま大型トラックなら当然かぁ。

 

 

 

「ぐ……ん? しかし傷……」

 

 

 

 痛むは痛むが、傷らしい傷はない……のか?

 

 

 

「ふふ、こんばんは。私の王子様」

 

「……どうも、あの時のお嬢さん」

 

 

 

 時間はもう夜、だと言うのに俺の病室にはあの時の少女がいる。

 ……あの時はよく見ていなかったが、よくよく見るととんでもなさそうなガキである。

 

 

 

「いっ……見ても、情報が完結しないってのは初めての感覚だな」

 

「綺麗な眼、素敵だわ」

 

「そういうお嬢さんも愛らしいお姿なこった」

 

 

 

 眼が情報を処理し続けねばならない程のとんでもない量、一体何者なのだろうか。

 最近の少女というのはこうもとんでもないのが普通だったりするか? 嫌だなそんな普通。

 

 

 

「あなた、何者?」

 

「何者って?」

 

「私の目には、あの時轢かれるまで誰も映っていなかった。なのに、あなたは突然現れて私を助けた」

 

「……」

 

「初めてだったわ。私に見えない誰かがいるのも、私を助ける人に出会ったのも」

 

 

 

 なるほどとんでもなさそうだ。

 しかし己は何者か。

 そう問われても……ねぇ。

 

 

 

「ロクでもない妖精に目を付けられただけの、ただの魔術師さ」

 

「……ふぅん」

 

 

 

 嘘をつく理由もない。

 信じるか信じないかはこの少女次第だろう。

 

 

 

「まあ、それでもいいわっ」

 

「?」

 

「ねぇ、私の王子様。名前はなんて言うの?」

 

「……ん」

 

 

 

 眼が何かを弾いた、これは……。

 

 

 

「アラン」

 

「え?」

 

「アラン・スミシーだ、お嬢さん」

 

「……嘘」

 

 

 

 少女は驚いている、あれまぁ油断ならないことで。

 

 

 

「いきなり魅了とは、先を急ぎ過ぎではないかな」

 

「……ふふ、本当に不思議な眼。そうなのね、あなたの眼は楔、『情報』しか受け付けない」

 

「今のでお見通しとは恐れ入るよ」

 

 

 

 いやぁ怖い、話せば話すほど全て見透かされそうな少女である。

 

 

 

「ふふ、ふふふふふ! いい、いいわ。あなたほんっとうに素敵!」

 

「お気に召した様で、何よりだ」

 

 

 

 しかし、そんなにお喋りしている時間もなさそうなのが現実である。

 

 

 

「あれれっ? もう見つかっちゃった! ニンゲンってばわっかりやすーい!」

 

「……なるほど、不快ね」

 

 

 

 おそらく、トラックに轢かれた俺はかなりの間眠っていた。

 その間にこの羽虫は俺を探し当てたのだろう。

 

 

 

「いっ……随分とお早い発見だ」

 

「んん〜、この世界つまんなーい! 次の世界に行こっニンゲン」

 

「……」

 

 

 

 まずい、少女から夥しい気配がする。

 未だに解析ってか情報精査が終わんねぇんだけど。

 

 

 

「ふぅん、ちょっとした神性まで保持しちゃって。この妖精(はむし)、土地神の類が混ざってるのね」

 

「ふんふふーん♪ 次は何処にしようかな〜!」

 

 

 

 一瞬でセレビの性質を見抜きやがる……っ!

 とんでもねぇガキだよほんと。

 

 

 

「今の私じゃ、手を出せなさそうね。歯痒いわ」

 

「そう言うことだ、またどっかで会えたら会おうぜ。お嬢さん」

 

 

 

     光の粒が、早くも俺を包み込む。

 短い旅だったなぁ今回は、酷い目にも遭ったし。

 

 

 

「でも、絶対に私のものにするわ、私の王子様♡」

 

「……そうかよ」

 

 

 

 おおこわ、今の子って皆こんな感じなのかしら。

 美遊もしっかりしてたしなぁ。

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