型月でセレビィ()に目を付けられた男の末路 作:どういうことか説明しろユキナリ
「ぜぇ……あぐ……ぁ……!」
転移したと思しき先で俺は、心臓からなる全身の痛みに苛まれていた。
「
「……神代の何かで一般人の心臓作んじゃねぇ……っ!」
それは肉体強度の違いによる……そう、言うなれば節々の痛み。
アルミで作った
「うぐぁ……くっそ! 死ねるかぁ……!」
ヤツの『時渡り』の際に、俺はおそらく色々と弄られているし影響を受けている。
神代のマナに耐えられているということを知った時は本当に驚いたし、呼吸とかしてるだけで強くなれそうな環境だなぁとか呆れてた時もある。
「……! あの妖精っ、うおえっ!?」
吐き気、全身からの熱とひび割れていくかの様な痛み。
動けない、でも動かなきゃいけない。
「はぁ……こんな、ところで、約束破っていられねぇ!」
美遊との約束、シータへの生存証明。
こんなとこだろうか、それで十分じゃないか。
「ひび割れたとこから治していけ……!」
幸いなことに魔力は十分、さっきと違って魔術自体は効くんだから後は俺の気合次第だろう。
「 、 」
「……おさまった……」
それから永遠とも思える時間の後に平穏が訪れた。
臨死体験以上にタチの悪い時間だったぞ。
「ここどこだよ」
何かしらの建物が遠くに見えるがその程度。
ああもう、また人里離れてんのか。
「今度何かに襲われても、今はもうどうにもなんねー」
全身が、痛みから解放されたが故の開放感や倦怠感に襲われていて使い物になる気がしない。
これが本当の賢者タイムというヤツだろうか、多分違う。
「ああ眠……でも寝ると、流石に」
あらゆる観点から寝ることを推奨されないが、もはや起きている気力がないし瞼も落ちて来ている。
……どうにでもなれーって、寝てみるべきか。
「何をしている」
「ぁ?」
ぼやけた思考を繰り返していると声をかけられる。
「……何も、あらゆる意味で疲れ果てて、るので」
「そうか」
ヨーロッパ貴族風とも言うべき男性だ。
語彙の少ない俺では恐ろしく顔が整っている、と言う他ない。
「何故お前は疲れている?」
「そんなこと、あなたに関係ありますか」
「さぁな。俺は気まぐれにお前に問うている」
「……」
何故なんて、そんなこと。
一瞬のうちに何もかもが起こりすぎて、シータが心配で、全身が痛くて尚且つ、疲れていて。
そして……。
「そして、なんだ」
「……」
「お前はその感情に振り回されているのだろう、己が身を焼く新しき感情に」
「さぁ、知りませんよ」
……まぁ、ぐつぐつと奥の方になんかはあるけども。
そりゃあ怒るでしょう、14年も見守って来た妹にあんなトラウマ級の出来事ぶち込んだ挙げ句、つまらないだなんて。
あの時のヤツの心底つまらなさそうな顔と、シータの泣き顔を思い出すと叩き潰したくなる。
「それを解放しようとは思わないのか」
「今じゃない」
「ほう?」
「憎しみは、常に燃やすものじゃない」
炎ってのは使い方次第で人を温めるのにもこんがり燃やすのにも使えるんだ、それが憎しみの炎であれ一緒だ。
……つーか、あんた誰ですか色白イケメンさんよ。
「ク、クク よかろう、ならば我が力使いこなしてみるがいい!」
「は?」
「黒き怨念の力、存分に振るうがいい」
「おい、待て。あんた……って」
なんか聞きたいこと言いたいこと勝手に言って帰って行ったんだけど……え、何あの不審者。
使いこなせってなんの話だ、そんな誰かに認められなきゃいけないアイテムとか持ってた覚えないんだけど。
「そういや、あの羽虫にもらったもんとかあったっけ」
随分前に途中で見つけたーとかほざいてた気がする。
美遊の時の後だったかな、まあ直後にトラック攻撃喰らったわシータと猪チェイスするわですっかり消え去っていたのだが。
「……使い方わっかんねぇ……」
胸元を探ってみるとあら不思議、変な板が出て来た。
拘束されたナニカが描かれた板である、タロットか何か?
「色々起き過ぎてて頭追い付かないってぇの」