ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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閑話 ザーンムゥラァ

 5歳の時、父ちゃんと母ちゃんが死んだ。

 

 傭兵だった父ちゃんと母ちゃんはレキストンって都市で働いていた。住んでいる都市、サニムは平和で傭兵の仕事は少なかったからだ。父ちゃんの父ちゃんの頃は魔王って悪い奴が暴れてて仕事が一杯あったらしいけど、その魔王と勇者が戦って、平和になって、サニムじゃ傭兵の仕事は全然なくなったらしい。

 

 爺ちゃんはサニムの兵士だった。兵長て偉い人だったけど、年を取って腰をやっちゃってからは引退したんだって。だから、父ちゃんも母ちゃんがレキストンで稼いでる間は爺ちゃんが俺の面倒を見てくれていた。

 

 でも、父ちゃんと母ちゃんが死んでから、爺ちゃんはめっきり弱くなってしまった。俺と一緒の時はいつものように振る舞ってくれる。けれど夜にトイレに起きた時、爺ちゃんの部屋を見たら酒瓶が一杯転がっていて、机に突っ伏した爺ちゃんがうわごとみたいに父ちゃんの名前を呼んでいるのを見かけた。何度も何度も父ちゃんの名前を呼んでいるのを見かけたのだ。

 

 だから、俺は役所の人に話して、自分から孤児院へ入った。俺を通して父ちゃんを見ている爺ちゃんが、可哀そうになったから。

 

 そうして紹介された孤児院は酷い所だった。孤児院を運営している神父様は凄く良い人だったが、6歳の俺にも分かるくらいに経営に向いていなかった。毎日毎日ふかした小さな芋一つ。文句を言おうにも、神父様本人は一番小さな芋を食べて居たり、場合によっては食べなかったりしているせいで文句も言えなかった。

 

 しょうがないから稼げる奴は自分で稼ごう。自然とそういう思考になった孤児たちは、それぞれが自分が出来る範囲で金を稼いだり食べ物を手に入れたりし始めるそうだ。もしかしたら、こういう経験をさせてハングリーさを養うとか、そういう考えがあるのかもしれない。いや、神父様の様子を見るにアレは素だろうな。

 

 俺が選んだ稼ぎは薪拾いだった。熊人種は成長が早く、6歳の俺でもそこそこデカいし力も強い。それに薪は絶対に誰かが必要とするものだし、なにより孤児院の子供は薪拾いを無税で行えるのだ。拾えば拾うだけ儲かる。

 

 そうやって薪拾いを始めて1年、2年と経過した頃。一つの転機が訪れる。孤児院の後輩。タロゥが薪拾いに付いてくるようになったのだ。

 

 最初は無理だろ、と思っていた。なんせタロゥは普人種で、体もそんなに大きいわけじゃない。やせっぽちのガリガリだった。これがもう少し大きければ話は別だが、少なくとも5歳になってすぐの頃のタロゥはとても森歩きなんて出来るようには見えなかった。

 

 実際、最初の内は全然ダメダメだった。タロゥの歩く速度に合わせると全然薪拾いが進まない。そうなるとこっちまで稼ぎが減って、食べる物を買うことも出来なくなる。

 

 まぁ、孤児院の極貧仲間だ。最初の数回は付き添って、後は一人でやってもらおう。そう思っていた次の日、タロゥは一本の糸と籠、それにその辺にあった木の棒を持ってきた。

 

 

「ザンム。これでわなをつくってとりをとろう」

 

「わな?」

 

 

 最初は何を言っているのか分からなかった。実際に目の前でそれを使ってタロゥがアホ鳥を獲って、ようやく言っている意味が分かった。罠とは獲物を捕まえるためのものだと。狩りをする際には弓を使うと教わっていたから、こんなに簡単に獲物が取れるなんて思わなかった。

 

 タロゥは続けてもう一匹アホ鳥を捕まえ不器用な手つきで羽を毟ったり内臓を取り出したりした後、火をつける道具を使って起こした火で二匹のアホ鳥を焼き始めた。

 

 

「これ、おれい」

 

「いいの?」

 

「うん。だから、まきひろいをおしえて」

 

 

 タロゥは良い匂いで焼けた鳥の内、一匹をこっちに渡してそう言った。それを聞いた時、ああ、こいつとはやっていけそうだなと思った。

 

 

 

 

 

 やっていけるどころじゃねぇわ。

 

 目の前でネネというハーフ猫人種の薬師をナチュラルに口説くタロゥを見ながら、ザンムはボリボリと自分の分のアホ鳥の丸焼きをかじる。

 

 タロゥは瞬く間に孤児院の環境を変えていった。恐らくそう言うスキルを持っているのか自分と妹のシスティの飯を自力で賄う様になると、毎日の薪拾いの稼ぎを貯金し冒険者の登録料にし、冒険者となったり。それにつられて俺も冒険者登録する事になったり。薪拾いよりも大きく儲かる薬草摘みの仕事にもありつけ、その稼ぎを狙った街の子悪党を木刀でぶちのめしたり。

 

 ああ、あとはあれだ。コボルト共の斥候に襲われて命からがら逃げだしたなんて事もあったなぁ。その後にレンツェル神父が凸して血まみれになって帰ってきたときは久しぶりにスカっとした気分だった。

 

 俺の父ちゃんと母ちゃんは、コボルトの王に鍋にされて喰われたらしい。冒険者になり、知り合った大人たちの中にそれを知っている人が居た。悲しくはなかったけど、心底ムカついた。爺ちゃんをあんなに悲しませたのは、そいつが理由らしい。

 

 いつか俺がコボルトの王を殺す。人生の目標がその日出来上がった。

 

 

「ねぇータロゥ。ぼーけんしゃになるならーぶじゅつはいるかなー」

 

「いるだろ。最終的に腕っぷしの世界だから」

 

「じゃあ、おれもぶじゅつおぼえたい」

 

「分かった。なら、俺の師匠に口きいてやるよ」

 

 

 いつの間にかタロゥは武術の道場にも通いだしており、たった1年くらいで指導員にまで上り詰めたらしい。こいつならそうだろうな。この3年余りタロゥという人間を見続けてきたが、この男はやらかすことに突拍子がなく、それでいて早々出来るようなもんじゃない事をやらかす奴なのだ。

 

 あんまりにも高頻度で何かを起こすから、少しの間も目を離すことが出来ない。

 

 

「おれー。つよくなりてー」

 

「俺もだよ」

 

「ミンチみてーになってたもんなー」

 

「うるせー」

 

 

 そう言って、互いの右手をごつんとぶつけ合う。人生の目標も、こいつと一緒なら割合早く達成できそうな気がする。

 

 




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ザンム(11歳・熊人種男) 


ステータス表

知力28(28.7)
腕力83(83.8)
速さ56(56.6)
器用15(15.5)
魅力13(13.2)
幸運1(1.0)
体力79(79.3)

技能
市民 レベル2(67/100)
狩人 レベル5 (27/100)
薬師  レベル2 (13/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル1 (56/100)


スキル
緋熊 レベル0 (12/100)
直感 レベル1 (15/100)
パチン・コ流格闘術 レベル1(56/100)

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