ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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誤字修正、蜂蜜梅様ありがとうございます


第100話 カルデラ

神聖歴583年 春の始め月 10日

 

 

 ネゼ・カルデラ都市国家群の中心地、カルデラ。

 

 ネゼ・カルデラ都市国家群が宗教国家マリア聖王国だった頃から栄えていたこの街は周辺諸国の経済の中心地であり。古い歴史ある街並みと全く新しい流行の二つが同時に存在するカルデラには毎日新しい何かが生まれ続けている。

 

 そんなカルデラの地で、最近どんどん赤くなっていく髪の毛の毛先を弄りながら俺は途方に暮れていた。

 

 おかしいな。合流予定の時間は昼過ぎの筈だったんが明らかにもうそろそろ夕方に突入する時間帯だ。長い船旅が終わり、事前に用意された暫くの宿に荷物を預けた後指定された広場の噴水の前でおおよそ3時間。昼飯どころか午後のティータイムの時間になってしまったぞ。

 

 あれ、もしかしてすっぽかされた? いやいや、あいつほどの律義者がそんなドタキャンなんてするはずがない。もしかしてなにかに巻き込まれでもしたのか?

 

 嫌な予想が頭の中を過る。幸い向こうの逗留先は知ってるから、そっちに顔を出せば何かわかるかもしれんな。そう考えて腰かけていた噴水の縁から立ち上がったタイミングで、待ち人はようやくやってきた。

 

 

「やー、ごめんごめんー。ちょっとアレがコレでこーなってー」

「お、おう。大丈夫か? ザンム」

「うんー。死ぬほどいたいだけでーうごけるよー」

「本当に大丈夫かザンム!!?」

 

 

 全身をズタボロにされたザンムの姿に思わずそう叫ぶが、ザンムは膨れ上がった顔を歪めて「へーきへーき」と笑い声をあげる。以前にもまして真っ赤になった毛並みのせいでどこがケガしてるかイマイチ良く分からないな。顔が膨れてるだけで実はそんなにダメージはないんだろうか。

 

 ま、まぁ本人が大丈夫って言うなら大丈夫なんだろう。とはいえ半年ぶりの再会である。13歳になったザンムはやっぱりでかく……デカ……デカいな。

 

 間近で見上げると明らかに上背が2mを超えている。俺も結構デカくなったと思ったけどザンムの高さはもう、なんだ。デカすぎだろって言葉が出てくるくらいに大きくなっている。半年前よりも2,30cmはデカくなってるんじゃなかろうか。

 

 

「なんか……デカすぎじゃない?」

「えー、そっかなー?」

 

 

 思わず口から出た言葉にザンムは首をかしげる。これでまだ成長中なんだから熊人やべーわ。でも見たことある熊人の誰よりもコイツもうデカいんだよなぁ。

 

 いや、体がデカいのは冒険者としては得難い資質だし良いことだよな、うん。どこまでデカくなるかは知らんけど。酒場に入れるくらいの大きさで止まるかな……?

 

 まぁなにはともあれ。

 

 

「久しぶりだな、ザンム」

「そだねー、タロゥ。げんきそーでよかったー」

 

 

 親友との久しぶりの再会は、やっぱり嬉しいもんだな。

 

 

 

 

 

 俺と冒険者パーティーを組んでいたザンムがカルデラに居るのは、パチン・コ流の新道場立ち上げに参加していたからだ。というか、俺もそれに参加するためにこっちに来たんだけどね。ザンムが先に来ていたのはすでに成人しているからで、先行隊の一人としてこの地に根付けるよう準備をしてくれていたのだ。

 

 じゃあ冒険者パーティーとしてはどうしてるのかというと、そっちはちょっとだけ休止中だ。理由としては幾つかあるが、薬草採りはアリスとマッチ率いる孤児院の後輩に完全に譲ったというのが大きいかな。

 

 アリスは笛に関する事以外は非常に物覚えが悪かったが、根気よく指導してくれたネネの努力の結果サニムの森で生えている薬草ならほぼすべての種類を覚えてくれたし、元々物覚えの良かったマッチは薬草の種類も地理も地図の書き方まで完ぺきに覚えてくれている。そのため薬草採りは正式に二人に託して、合わせて孤児院の後輩の指導も行ってもらっている。

 

 薬草採りは孤児院の子供たちが自立するための一つのルートとして確立されようとしている。冒険者ギルドの方も薬草は幾らあっても良いものだからと薬師に声掛けをして修行中の薬師見習いと孤児院の子たちでパーティーを組ませてくれるため、孤児院の子たちによる薬草採りは今後も続けられるはずだ。

 

 それと休止の理由としてはもう一つ。ネネが薬師として独り立ちした事もある。俺たちに薬草についてを教えてくれたネネは長い下積みを終えて正式に薬師の一人と認められたため、現在はカルデラの大学で薬学についてを正式に学んでいる最中だ。これに関しては結構急に決まったみたいで、一昨年の冬にバタバタと、何故かロゼッタと取っ組み合いをしながら準備していたのを覚えている。

 

 

『絶対に絶対にカルデラに来てよね!? フリじゃないから!!』

『わかったわかった』

 

 

 去年の春、別れ際にあんな約束までさせられちゃったからな。まぁ、冒険者として身を立てる上でカルデラかレキストンでの活動は必要だと思ってたから、その約束自体は別に問題ない。

 

 薬草採りを後進に譲った以上、俺たちは次の稼ぎ場を見つけないといけない。サニムの場合、冒険者の稼ぎ場は山脈か海になるんだが、山脈は現状コボルトの王国が活発に動いていて危なすぎるため必然的にサニムに居ると海での活動がメインになる。それ自体は悪くないんだけど、サニムの冒険者にとってメインの稼ぎ場は山脈だ。多数の魔物が生息する山脈から価値のある魔物の死体や鉱物を持って帰るのがサニムの冒険者の主流の稼ぎ方だから、山が落ち着けばそちらにシフトしたい。

 

 そのためにも陸での冒険者としての活動をもっとやりたい所だった。候補に挙げたレキストンはコボルト王国との前線に近いから傭兵みたいな仕事ばかりになるため、出来ればカルデラに地盤が欲しいな、と思ってはいたのだ。

 

 そこにドンピシャで入ってきたカルデラでの新道場の立ち上げ。これをコーケン師範代から聴いた瞬間、俺とザンムは飛びついた。二人で今後の活動について話すうえでいつかはカルデラも見てみたいなと思ってたからね。

 

 という訳でまだ成人していない俺より半年早くザンムは先遣隊としてカルデラに船出。俺も10歳になって成人扱いになったから、船に乗ってこのカルデラへとやってきた。といっても俺は地元の方でもやる事が結構あるから年間の内半分しかカルデラには居られないんだけどね。

 

 まぁ、サニムとカルデラの間は天候に恵まれれば船で数日の距離だし、実を言うともっと早く移動する手段もあるにはある。そっちは連発するとちょっと疲れるからあんまりやる気はないけどね。

 

 

「それじゃあ案内を頼むよザンム。あと昼飯。ずっと待ってたから何も食べてないんだ」

「あー、そっかそっかごめんねー。じゃあおいしい屋台知ってるからーそこで串でもかおっかー」

 

 

 そう言ってザンムは先に立って歩き始めた。後ろからついていくと目的の屋台は割と近い場所にあり、ザンムは銅貨を出して結構な数の串を買った。これはアホ鳥かな? 試しに一本食べてみたら食べなれた味だけどなんだかすっごくあまじょっぱい。面白いタレを使ってるみたいだ。

 

 アホ鳥は文字通り毎日食べていたけど、こうやって食べ方を変えると凄く新鮮に感じる。こういうのを食べると他の町に来たって感じがするなぁ。これが冒険者のだいご味のようなものなのかな。この街ではどんな冒険が俺を待っているんだろう。

 

 まだ見ぬナニカに心を躍らせながらザンムについて歩いていくと、やがて大きな広場へとやってきた。屋根はあるが限定的だ。広場の数か所がリングのように床の一部が高くなっていて、そこにだけ屋根が付けられている。

 

 

「箱はまだできてないんだー」

「そうみたいだな」

 

 

 リングのような場所――武闘台とでも呼ぶか。武闘台の上では見知った顔の指導員が見知らぬ顔の子供や青年に向けて型の実演をしている。指導員は先行隊の一員で、型を見学しているのはカルデラでの入門者かな。まだまだ過程の途中だが、着実にパチン・コ流はカルデラに根付き始めているようだ。

 

 

「お、ようやっと来たなタロゥ」

「コーケン師範代」

 

 

 広場の入り口。恐らくは道場の建設のために買い上げただろう土地の入り口で全体を眺めていると、背後から聞き覚えのある声が呼びかけてきた。振り返ると、先遣隊の責任者として赴任していたコーケンさんが数人の門弟と共にこちらに向けて軽く手を上げた、

 

 

「良い、良い。もうお前も同じ立場なんだから。ところで昼過ぎに来ると聞いていたが」

「そっちのデカいのが遅れてきたんですよ。顔ぱんぱんに膨らませて。こっちは昼から待ちぼうけで」

「ああ……おいザンム、お前なぁ。もしかして殴り込んだのか?」

「パチン・コ流がなめられてるとーむかつくじゃないですかー」

「それは良いんだが、約束に遅れるのはいかんだろ。どうせ行くならタロゥを迎えてから行ってきなさい」

「いやいやいや」

 

 

 俺が慌てて頭を下げると、コーケンさんは鷹揚に手を振ってそれを止めてくる。その会話の流れで判明したのだが、このデカいのはどうやら俺を迎えに行くのを後回しにしてどっかに殴り込みをしてきたらしい。あれ、こんなに血の気が多い奴だったっけと不思議に思うも、周りの反応からザンムが殴り込みをしたのは別にどうでもいい、むしろ褒められてる感じがする。

 

 え、もしかしてカルデラって終始こんなノリなのか? 都会はもっと文化的だと思ってたんだけスワトンよりも血生臭くないかこれ。もしかして単身赴任先ミスったか?

 

 そんな後悔に陥っている俺を尻目にコーケンさんたちは和気あいあいと殴り込んだ他所の道場をどういう風に畳んできたのか話し合っている。あ、殴り込んだ先は別の流派の道場なんだ。それ流派間の戦争になるのでは???

 

 

「まぁ、新しい所に僕らみたいなのが入るとどうしてもこういう争いは起きちゃうからね。もしもの時は、お前も頼むよ。タロゥ師範代」

「はぁ……分かりました。流派のためですからね」

 

 

 俺の懸念を察してはいるのだろう。ポンポンと俺の肩を叩くコーケンさんにそう応えて、俺はまだ出来たばっかりのパチン・コ流カルデラ道場に視線を送る。

 

 ここが俺の、カルデラにおける拠点になる場所だ。なら、全力で守り抜いて見せるさ。

 




第二部 少年期 はじまります 

お気に入り・☆評価よろしくお願いします!

タロゥ(10歳・普人種男) 

生力65 (65.0)UP
信力122 (122.7)UP
知力48 (48.0)UP
腕力71 (71.0)UP
速さ67 (67.0)UP
器用55  (55.0)UP
魅力60 (60.0)UP
幸運36  (36.0)UP
体力70 (70.0)UP


技能
市民 レベル4 (58/100)UP
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)UP
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師  レベル3 (48/100)UP
剣士 レベル6 (15/100)UP
木こり レベル2 (70/100)
楽士 レベル3 (48/100)UP
教師 レベル3 (58/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (79/100)UP
テイマー レベル2 (71/100)UP
絵師 レベル3 (89/100)UP
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (35/100)UP
執事 レベル3(100/100)ー


スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル4  (81/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(79/100)UP
パチン・コ流武器術 レベル6(79/100)UP
飛行術 レベル3 (11/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター  レベル1 (100/100)
念話 レベル2 (56/100)UP
女たらし レベル5 (100/100)UP
サニム流マナー レベル3 (32/100)


英雄スキル
夢想具現仏恥義理(ぶっちぎり)


カルデラ近隣地図
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/822139845715828802
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