ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味 作:ぱちぱち
神聖歴583年 秋の中月 5日
「さぁさぁ見ていってくれ! 産地直送! イキの良いオス豚だぁ! どう料理する!?」
「ブヒィッ!」
「ああ、そんな! トンテキさん、何故こんな姿にぐふっ!」
「このアマ、豚人種舐めたなゴルァ!」
「いまのはプリムがわるいねー」
ネゼ・カルデラ都市国家群でも有数の規模を持つカルデラの市場は、金さえつめばどんなものも手に入ると言われる場所だ。屋台に立つ商人たちが声高く自慢の商品を喧伝する中を歩くと、懐かしさを感じる。張さんのブラックマーケットはこんな熱気と混とんに満ちた場所だったなぁ。
ノスタルジーに浸りながら指導員5名を連れて市場を歩いていると、先頭を行くロゼッタが足を止める。目的の場所に到着したようだ。
「これはこれはイールィス家の。わざわざご足労頂きかたじけない!」
「マルワ様、先日はお世話になりました」
市場の中でも端の方、屋台ではなくしっかりとした建物の中にある店舗が立ち並ぶエリアに到着した俺たちは。その中でもひときわ豪華な装いをした建物に入る。建物の中はそこそこに広く、入り口に入ってすぐの所に受付らしき場所があったためロゼッタはそこに声をかけ、そこから待つ事10分ほど。
急ぎ足に建物の奥から白髪が混じり始めた年齢の身なりの良い紳士と、護衛らしき青年の二人組がやってきた。
紳士の名前はマルワ。カルデラで食料品を商う大商人の一人で、イールィス家とは懇意にしている間柄だという。
「彼らが、君と同門の。確か最近サニムから入ってきた……?」
「ええ。パチン・コ流武術道場のカルデラ支部師範代、タロゥと門下の者達です」
「タロゥです」
お偉いさんがお偉いさん同士で挨拶を交わす中、ロゼッタが俺の名前を出したので居住まいを正して軽く頭を下げる。同じように一斉に頭を下げた門下生の姿に、マルワさんはうん、と小さく呟いて頷いた後、背後に立つ青年に視線を向ける。
「どなたも腕利きです。特に師範代殿とそちらの熊人種の方は、私でも勝負になるか」
「うん、そうか。さもありなん。クラピエス湖を10年荒らしまわった湖蛇を討伐した御仁とその一党だ。まさかご本人がいらっしゃるとは思わなかったが、それだけイールィス家も本気だという事だろう。ご武勲は耳にしております。カルデラの民として、上流のクラピエス湖を荒らす人食いを討滅したタロゥ師範代にお礼を言わせて頂きたい」
青年の言葉にマルワさんが頷いて、人好きのする笑顔を浮かべて握手を求めてきた。あの蛇の件でお礼を言われたのは久しぶりだ。あの後少しの間はこういうお礼の言葉が多かったんだが、カルデラアングラー四天王の一件からはそっちでばかり握手を求められていたからなぁ。
賊が増加している。マルワさんの話は、つまるところそういう事だった。
ロゼッタはラーメンレストランの開店に向け、万全の準備を行っていた。立地の良い物件の確保と信頼できるスタッフの雇用。そして飲食店であるなら当然起きる信頼できる筋からの質の高い食材の確保。その食材に関して、ロゼッタはイールィス家と付き合いのある大商人であるマルワさんを頼んだのだが、ここで問題が発生していることを知った。
質の高い食材を扱う以上は生産地は幾つかに絞られる。その内の一つ、クラピエス山脈を挟んで反対側にある小麦の名産地、ナシェルズの町から来る商隊が襲われ、積み荷が届かなくなってしまったのだという。
ナシェルズは内陸の町で、カルデラへの商隊は基本的にクラピエス山脈の西側を迂回するようにカルデラに行くか、東方のマリアの大滝そばを通ってラズ・アルダームの港町で海路を取るかになる。
東方ルートは非常に遠回りになるため、出来れば使いたくない。輸送距離が伸びれば当然その分のコストがかかるし、商品の劣化や他のトラブルだって起きやすくなる。
「クラピエス山脈の西方ルートというと、東方交路ですよね。ムリーナスト帝国にもつながってる。大陸の動脈じゃないですか。交路を守る交路戦士団が居ると聞いたことがあるんですが」
「いえ、東方交路であれば確かに、戦士団が即座に動くのですが。ナシェルズから東方交路に出る少し手前に難所があり、そこで襲われてしまったそうでして少し面倒な話になったのです。もちろんナシェルズからの商隊にも十分な護衛をつけていたのですが」
「ナシェルズからの護衛を……それは、本当に賊が行ったんですか?」
そう言ってマルワさんは険しい表情のまま首を横に振る。全滅か、それに近い有様だったんだろう。ナシェルズからカルデラへの輸送となれば当然その規模はかなりの物になるはずだ。俺の経験で言えば、前にロゼッタと一緒に行ったイールィス家の商隊と恐らく同規模程度は考えられるから護衛も当然それに近い規模になるはず。山巨人のような大型の魔物相手でも一戦出来るくらいの備えだろう。
その護衛を全滅させるような奴らが、賊? 帝国の騎士団が破壊工作をしていると言われた方がまだ信じられる話だ。基本的に賊ってのは食い詰めた農民や仕事がなくなった傭兵などが食い扶持を得るために行う場合が多い。今の話しでは、それこそそこそこの規模の傭兵団が丸ごと賊徒にでもなってないと起きえない話だ。
「ええ、ええ。疑問はごもっとも。私も初めて耳にした時は信じられませんでした。ですが、護衛の傭兵たちが敵を引き付けている間にナシェルズに逃げ戻った商人たちと、なんとか生き延びた傭兵もおりましてな。どうにも、賊徒はかなり大掛かりな罠を張っていたのと、賊の中に複数名かなりの使い手がいたようで」
「……それは」
俺の疑問にマルワさんが応える。壊滅したとはいえ護衛についていた傭兵たちもしっかりと己の職分を果たそうとしたのだろう。彼らの働きによって持ち帰られた情報により、マルワさんを含めたカルデラの商人たちは事態を把握した。当然、その対策も始めている。
「カルデラは件の盗賊たちに賞金を懸け、可及的速やかな解決のため討伐隊の編成を行っております。カルデラの戦士団の半数に、森番が率いる狩人衆。複数の傭兵団。また、交渉次第では交路戦士団の参戦もあるでしょう」
「……それは、もう戦の規模ですね」
「ええ。戦です。消費地であるカルデラへの荷が奪われるということは、カルデラが干上がりかねない事態に繋がるのですよ。蟻の一穴であろうと我々は見逃してはいけないのです」
マルワさんの言葉には、強い決意と覚悟が見える。あるいは危機感だろうか。もちろんナシェルズからの荷が来ないだけでカルデラが干上がるという事は、おそらくない。この街は港町であり、今日も荷物を満載した船が港で荷下ろしをしているのだから。だが、事はそういう問題ではないのだろう。
カルデラへの荷物を奪われた。それを一度でも許せば、カルデラは立ちいかなくなる可能性がある。それこそをマルワさん達カルデラの大商人は恐れている。故に報復をしなければいけない。二度とこんな事を起こさぬようにと、激烈に。そして苛烈に。
そして、そんな内容の話を聞かされるという事は、だ。
「イールィス家からの申し出は、渡りに船と言えました。そして、パチン・コ流にとってもそうだと私は考えますが」
いかがですかな。と問いかけてくるマルワさんの言葉に、少し考えた後、俺は首肯する。
つまり、これはアレだ。カルデラに住んでカルデラの飯を食べる以上は、お前らも協力するよなというカルデラ側からの問いかけだ。俺たちパチン・コ流を。それにイールィス家にここで血と汗を流さないものは、カルデラのものではない、と。
そしてそれはつまり、ここで義務を果たしたならば。
「パチン・コ流カルデラ支部は、全力でご協力いたします。カルデラに住まう市民として」
サニムからやってきたパチン・コ流をカルデラは受け入れる、という事になる。
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タロゥ(10歳・普人種男)
生力68 (68.0)
信力136 (136.7)UP
知力54 (54.0)
腕力72 (72.0)
速さ70 (70.0)
器用60 (60.0)
魅力64 (64.0)
幸運38 (38.0)UP
体力72 (72.0)
技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (21/100)
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (3/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル3 (5/100)UP
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(69/100)UP
スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5 (26/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (69/100)
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(62/100)UP
英雄スキル
夢想具現
カルデラ近隣地図その2
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/2912051597546751843