ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味 作:ぱちぱち
神聖歴583年 秋の中月 8日
イールィス家の家紋を付けた鉄を用いて強化した荷馬車が複数台用意された。ロゼッタがカルデラでの商いに用いていた荷馬車を改造したものだ。それらにイールィス家の家人たちが武器に食料、弾薬を積み込んでいく。弾薬だ。弓の矢玉はもちろん、抱え大筒の弾丸や火薬といった物も含まれている。
「あ、ちょっとそこ! 火薬の隣に水瓶は置いちゃダメ! 湿気ったら使えなくなる!」
「ネネー、かやくあつかえるのー?」
「ん。火薬の調合も保管も薬学部で習うよ。火薬は取り扱いに注意が必要だから今回はうちが管理する」
うちの頼れるパーティーメンバー、ザンムとネネが中心になり、イールィス家の荷馬車には戦に備えた物資が積み込まれていく。二人とも人相手の戦いは初めてだが、荷馬車での長旅は経験しているから他の門弟たちよりも動きに無駄がない。
この備えを見てもロゼッタの本気度が垣間見える。本気でここで、カルデラの内側に入り込む気なのだろう。あんまり深入りするのは抜け出しにくくなったりもするが、カルデラはサニムの最も重要な交易相手だからここで踏み込むのが最善だと判断したわけだ。今まではあくまでサニムからのお客様がサニムでの商売の延長でカルデラに来ているという認識だった。それを変える好機だと見ているんだろう。
その考えは、俺にも同意できるものがある。パチン・コ師範やコーケン師範代から任されたってのもあるが、カルデラ市民にとってパチン・コ流道場は外部からやってきた新進気鋭の武闘派という認識だ。あくまでも外様という受け止め方をされている。ここでカルデラのために力を振るうのは、大きな意味がある。自分たちの為に戦ってくれたという事実は、カルデラ市民たちの感情面に大きく影響を与えるからだ。
とはいえそれはあくまで俺個人の視点だ。道場の禄を食む指導員は兎も角門弟にまでパチン・コ流の為に命を賭けろとは言えないから師範代である俺と実戦経験がある指導員、それにザンムの少数精鋭で要人警護でもしてお茶を濁そうと思ってたんだが。
「結局、門下生の半分が参加したのかぁ」
「未熟な門弟は弾いてこれですから、参加できるなら全員参加したと思いますよ」
「なんせ勝ち戦も勝ち戦。こんな勝ち確の戦で初陣を上げられるのはデカいっすからねぇ!」
「ラーメンレストランの店員は来て欲しくなかったんだけどな?」
お調子者の狼人種の門弟にそう告げると、周囲の門弟たちがワッと笑い声をあげる。笑い話じゃねぇんだよ。せっかくマナーを叩きこんでる店員が戦に出るって言いだしたせいで俺が給仕長にバッチバチに叱られてるんだよ。
まぁ、だが。彼らもカルデラで育った若者だ。カルデラの為に戦いたいという彼らの想いは無下にできないし、どうせ戦に出るなら出来るだけ手元で配慮してやりたいしな。
というか対人戦の戦って意味だと俺も初めてなんだが。一応括りとしては初陣になる筈なのに誰もそんな事は気にした様子もない。実戦経験があればその辺は気にしないという事なんだろうか。
参戦予定のカルデラ側の部隊指揮官なんかも挨拶の際に「おお、君があの」だとか「敵側の凄腕は彼らが受け持ってくれるという事か。イールィス家も本気でカルデラに……」だとか意味深な言葉を残していくし、そのうちの一人の戦場に行くとは思えない豪奢な黒いドレスを着た女は「貴方が居るならメグ達魔法使いも上手く使ってくれそうね」とか訳知り顔で口にして何故かイールィス家の馬車に陣取っているし。いったいロゼッタは上層部に対してどういう内容を吹いてるんだ?
視線を向けると、指導員の紅一点、兎人種のプリムさんを護衛として傍に置いたロゼッタは、集められた戦力の代表者やカルデラのお偉いさんたちを相手に真剣な表情で会話を交わしていて、時折意味ありげにこっちを見てくる。その仕草やめろよ、不穏で仕方ないぞ。
まさか俺とザンムにいきなり敵陣特攻をかませとか言わないよな。部隊指揮なんてやったことがないからパチン・コ流の門弟を指揮するのはあいつに任せる予定なんだが、流石に特攻隊みたいな事をさせられたら指揮権取り上げるぞ?
「そこは安心してほしいワケ。このカルデラ大学魔導学科でも随一と噂される頭脳を持つワタクシがロゼッタの傍につくんだから」
「誰だお前」
「ちちちちょっと! つい先日フィールドワークで苦楽を共にした仲でしょ!? カルデラ大学魔法学部のメグ・レイトー! ななな並んでテント張ったりマイム・マイム踊ったじゃない!」
心配だなぁ、とぼやくように呟いたら何故か俺たちの傍に陣取っていた黒ドレスの女が喚く。そう言われるとなんとなく見覚えのある顔立ちだと気づくが、恰好が違いすぎてなんとも腑に落ちない。あの時は学生たちが全員、学生用のローブを着てたからな。マイム・マイムをもう一度踊ってくれたら多分思い出すんだが、流石にこの場で踊り始めたら空気を読まないどころじゃないしなぁ。
ザンムに視線を向けると、ポリポリと頬をかいたザンムが「うんー嗅いだことある人のにおいー」と首を縦に振った。どうやらフィールドワークに居たのは間違いないらしい。ザンムは見た目よりも臭いで相手を覚えてくれるから、こういう時に助かる。
「ああ、すまん。薬学部と生物学科は兎も角、他の学部とは関わり薄かったし格好も違うから」
「そ、それはまぁそうよね。うん、しょうがない。メグの印象が薄いわけじゃないわよね?」
「まぁ、その恰好ならもう忘れないかな」
これから山林に入っていくのにひらひら付きまくった黒いドレス来てる女は、流石にもう忘れられそうにない。抜群の第二印象ってやつだ。
「あら、メグ。あんた本当に来たの? その恰好は何よ。戦場舐めてんの?」
「ロロロロゼッタ! あああ当たり前でしょ! メグは実践派の魔法使いなの! こないだのフィールドワークで魔物とだって戦ったことがあるんだから! それにこのドレスは魔道具でとっても頑丈なのよ! 戦場にだって付いていけるわ! ……だから、ね? 学友を助けると思って陣借りさせてくれないかなって……」
「あんた……また大きい事言いすぎて引っ込みつかなくなったの?」
「そそそそのぉ。お父様に、ね? 学費の件でお小言を言われたからつい、ね?」
魔法使いを名乗る変な女と会話をしていると、打ち合わせが終わったらしいロゼッタがプリムを伴って戻ってきた。どうやらこの面白い女はロゼッタの友人らしい。なるほど、ならまぁ、ロゼッタの傍に控えてると考えれば良い、のか?
ロゼッタは急所だけをカバーした動きやすそうな皮鎧を身に着けている。この皮鎧はパチン・コ流の動きを阻害しないように作られており、パチン・コ流の指導員以上の者は俺とザンム以外は全員この皮鎧を身に着けている。ザンムの場合は皮鎧より自前の毛皮の方が頑丈だし、俺の場合はつるかめ波での飛行時に邪魔になるからつけていない。そんなん矢が当たったらどうするのかって? 昔の偉い人は言いました。当たらなければどうということはない、と。
「わかった。まぁ、魔法使いが居ると助かるのは間違いないし……でも、私の傍から離れないで。勝手に魔法も打つんじゃないわよ」
「うん! うん! ありがとう、ロゼッタ! メグ、頑張って役に立つから!」
さて、ロゼッタと面白い女、メグの交渉もどうやら終わったみたいだし、荷物の方の積み込みもちょうどよく終わったみたいだ。戦士団や傭兵たちも続々と出発しているみたいだし、俺達もそろそろ出発する頃合いか。ここから先は順調に進んで欲しい所だけど……はてさて。どうなるかね?
お気に入り・評価よろしくお願いします!
タロゥ(10歳・普人種男)
生力68 (68.0)
信力137 (137.2)UP
知力55 (55.0)UP
腕力72 (72.0)
速さ70 (70.0)
器用60 (60.0)
魅力64 (64.0)
幸運38 (38.0)UP
体力72 (72.0)
技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (22/100)UP
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (9/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル3 (12/100)UP
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(73/100)UP
スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5 (28/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (70/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(62/100)
英雄スキル
夢想具現
カルデラ近隣地図その2
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/2912051597546751843