ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味 作:ぱちぱち
神聖歴583年 秋の中月 9日 クラピエス山脈麓のとある山村
「カルデラから出兵!? しかも1000人規模の兵隊が!? 何故だ!!」
ドン、と木製のテーブルを叩き、この村の村長が喚き散らしている。そこからかよ、と雇われ者の誰かが笑う。その言葉を耳にしてゲラゲラと笑い転げる傭兵たちの姿に、村長が顔を真っ赤にして再度テーブルを叩く。
その様子を心底詰まらなそうに眺めながら、マリア教の神官服に身を包んだ老人が諭すような声で村長に話しかけた。
「はぁ。マリアよ、この愚かなる土民の愚かさをお許しください。いいか村長。君は我ら崇高なるマリア教人権派と共に裏切者たちの荷を奪った。裏切者たちが報復に動くのは当然の事だろう?」
「それがおかしいと言っている! 神父様、貴方は村に来た時こう仰った! 東方交路に入る前であれば交路戦士団は動かない! カルデラが重い腰を上げる前に神父様たちがナシェルズを攻めれば、我々の関与も分からなくなると! だから我々は少ない食料を貴方がたに提供し! 今日まで!」
「うん。貴方達村の献身は我々もよぉく分かっています。家畜は家畜なりに役に立つと知ることが出来た。マリアよ、感謝いたします。それでは今日までありがとうございました。さよなら」
村長の叫びを肯定するように神父様と呼ばれた男は優しく微笑み、背後に立つ傭兵たちに手を横に振る合図を見せる。ゲラゲラと笑っていた傭兵たちは笑ったまま立ち上がり、武器を抜いて村長の周りを取り囲んだ。
村長が悲鳴を上げる中、それをうるさそうに聞いていた神父様と呼ばれた男は村長の血が飛び散らない奥まった場所まで移動し、マリア教の鎮魂の祝詞を尊い犠牲となった村長の為に口にする。
「可哀そうに。あれだけ協力して最後はコレだもんなぁ」
「獣耳の分際でいっちょ前に村長など名乗る不遜な輩でしたので。このまま死なせては煉獄に焼かれるところだったものを私は助けてあげたのですよ。家畜は人間の為に全てを差し出してようやくつり合いが取れるのですから」
「おお、怖ぇ怖ぇ。レイモンド神父、アンタらやっぱ怖ぇよ」
「怖い? 結構な事でしょう。恐怖こそが統制を引く上で最も重要な感情です。ネゼ・カルデラなどと名乗る裏切者どもを粛清し、先の教皇の仇である魔王と勇者の血で大陸を染めるその時まで我ら人権派は恐怖の代名詞であり続けましょう。ダイモン。貴方の働きも期待しておりますよ」
マリア教人権派。先の教皇を信奉し、普人種以外の全ての人種を家畜と断じるマリア教の異端者たち。その一派の指導者の一人であるレイモンドの怜悧な視線に、ダイモンと呼ばれた戦士は破顔して笑い声をあげる。
「アンタには命を救ってもらった借りがある。その上、こんな戦場まで用意して貰ったんだ。働くさ。戦うとも。存分に、望むままにな!」
筋骨隆々とした大柄な体躯の、全身から信力を迸らせながらダイモンは立ち上がり、協力していた村から提供されていた家屋から出る。まずはレイモンドの要望通り、普人種以外の村人を選別しなければいけない。男は武器を持たせて頭数に。女子供は男たちの人質に。役に立たない老いぼれは盾に括り付けて矢避けにするのが良いだろう。人材の有効活用という奴だ。
抵抗する奴は、そうだな。殺すか。雑魚を狩るのはダイモンの趣味じゃないが、えり好みをするのは良い傭兵とは言えない。配下の傭兵崩れどもを指揮しながら、ダイモンは武器を抜いた。
ラーメンを食べる時には、機というものがある。ただ闇雲にラーメンを食べるというのは、非常にお行儀がよろしいものではない。
機とはまず空腹であり、かつそれを自覚している事。更に朝に食べた朝ラーを思い出し昼は何を食べようかと思いはせた時にピンと頭に食べたいラーメンが浮かべば最高のタイミングと言っても良いだろう。朝に食べたラーメンはさっぱりとした柚子の香りがするつけ麺だった。では、昼はこってり系で攻めるべきだろうか。いやいや、ここはちゃん系などのこってりとさっぱりの混合型でも良いかもしれない。ちゃん系ラーメンは値段の割に量もあるから信力的にも優しいしね!
「タロゥ。あんた今からラーメン食べるんでしょ。私の分も出しなさい」
「えぇ……なんで分かるんだよ」
「あんた、食事時になると顔にラーメン食べたいって書いてあるのよ。すぐわかるわ」
ロゼッタの言葉にエスパーかこいつ、怖っと内心思っていると、ロゼッタはその思考まで見透かしたかのように目を細めて呆れたような口調でそう言ってくる。顔に書いてあるなんて漫画や小説じゃあるまいし、そんな訳がないだろう。ロゼッタなりの洒落かな?
……あとでちょっと鏡を見てみよう。
「え!? ここでラーメン食べるの!? あのサニムで話題沸騰中! ロゼッタがこれからカルデラでもレストランを開くって情報が流れてからはカルデラの上流階級じゃ噂の種になってるあの!!?」
「あ。カルデラでも話題なんだ、ラーメン。良いことだ」
「当然じゃない! カルデラの上流階級じゃサニムで新劇を見た後にラーメンレストランに行くのがトレンドなのよ! メグはお父様がサニムまでの旅行なんて認めてくれないから行けてないけど」
俺とロゼッタの会話を聞いていたロゼッタの護衛(笑)である黒ドレスがそう騒ぎ始める。そういえばこいつここに居たな。コイツの前でラーメンを出しても良いものかどうか。判断をゆだねるようにロゼッタを見ると、構わないと言いたげにロゼッタは頷いた。
「構わないわ。5年前と違って、アンタをどうこうできる奴はもう少ないもの。それにメグは由緒正しきレイトー家の人間だから、秘伝の技を言いふらすなんて事はしない。そうよね、メグ」
「え!? あ、いや、そりゃ他家の秘伝なんて吹聴するわけないけど。もしかしてメグ、一旦馬車から離れた方が良い?」
「いや、ロゼッタがそう判断するなら構わんよ。再現できるもんならしてほしいしな」
夢想具現を見せる相手は限られている方が良い。これはロゼッタの言葉であり俺もそう思うから基本的にラーメンを創り出す瞬間は他人には見せないようにしている。が、ロゼッタがOKを出すんならその限りではない。
そうだな、初めてラーメンを食べる女性ならあっさりした魚のあらで出汁を取る淡麗系が良いか。魚介の風味を感じる淡麗系塩ラーメンは上品なラーメンの代名詞と言っても良い味わいだ。上流階級の厳しい舌をも満足させることが出来るだろう。ロゼッタは今日は味噌の気分らしいので味噌ラーメンに。俺は先ほど悩んでいた二択の内、ちゃん系中華そばを選択。もちろんチャーシューはマシマシだ。
「ね! ね! ロゼッタとタロゥが使ってるその棒で食べるの!? 難しそうなんだけど!」
「いや、フォークで食べても大丈夫だぞ。箸は上級者向けだ」
「慣れると使いやすいんだけどね」
「じゃ、じゃあ早速一口……美味っ! これ美味っ! なにこれすっごい美味しいじゃない!」
「くくく……そうだろうそうだろう……!」
黒ドレスは初めてラーメンを食べた初心者に勧めた人間が一番うれしくなる反応を返しながらバクバクとラーメンを食べていく。啜るのは文化的に難易度高いからな、特にマナーがきちんとしてる階級の人間は。
俺の夢想具現に関しては黙っていてもらうとしても、このラーメンを食べたという事実に関しては緘口令を敷くつもりはない。これでこの黒ドレスからラーメンの情報がカルデラ内に広まれば、ロゼッタの作るラーメンレストランにも弾みがつくというもの。
ネゼ・カルデラ国民食の座を確たるものとするためにも、カルデラをラーメン漬けにするのは必須条件の一つ。その一歩として、どうやら名家らしいこの黒ドレスは悪くない獲物である。おかわり? いいとも、もちろんだ。たっぷり食え……!
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タロゥ(10歳・普人種男)
生力68 (68.0)
信力137 (137.5)UP
知力55 (55.0)
腕力72 (72.0)
速さ70 (70.0)
器用60 (60.0)
魅力64 (64.0)
幸運38 (38.0)
体力72 (72.0)
技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (22/100)
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (9/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル3 (12/100)
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(73/100)
スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5 (30/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (73/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(62/100)
英雄スキル
夢想具現
カルデラ近隣地図その2
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/2912051597546751843