ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第130話 あまり離れると監視役が辛いんだけどね

 二手に分かれたカルデラ軍は足が遅い荷駄隊を含んだ峡谷を進む部隊が囮の役割を担い、残った精鋭部隊がおびき出された敵勢力を駆逐する役割になっている。ロゼッタを含む後方部隊はこの囮側に位置する事になるため、パチン・コ流の人間もザンムと連絡役のヴラドさん以外は囮側の配置になる。

 

 囮というだけに危険だと思われそうだが、それは完全に奇襲が決まった場合の話だ。頭上を取られるのは確かに危険だが、事前に備えていればある程度対応できるしそもそも精鋭部隊も手ぐすね引いて待ち構えているのだ。囮部隊が大ダメージを被る前にまんまと出てきた敵勢力を横から精鋭部隊が殴りつける事だろう。それに、そういう奇襲を喰らわないように俺もブンブン蜂のように峡谷の上を飛び回って警戒するわけだしな。

 

 という訳で一番危険なのは間違いなく俺なんだが、まぁ、大丈夫だろう。身バレが怖くて英雄スキルこそ使えないが、英雄スキルに覚醒してからこっち、俺の信力の冴えは通常時でも勇者級だとレンツェル神父に太鼓判を押してもらっている。矢や槍が飛んできても事前に察知して避けるのは余裕だろう。俺の反応速度以上でぶっ飛んで来たら流石にちょっと避けられないかもしれんがそんな事出来る奴はそれこそ勇者とか言われるレベルの連中くらいだ。盗賊にそんなのが早々居る訳ないし居たらこんな姑息な手は使ってこない。真っ向から商隊を襲って真っ向から討伐軍を叩きのめすだろう。英雄スキルや大魔スキル持ちはそういう事が出来る奴らだ。勇者級の連中は。

 

 逆に言うとキンタロゥモードなら俺もそれくらいは多分出来るんだろう。ロゼッタには一応本当の本当に最悪の状態の時はこれを使え、とロケット花火を渡している。これが打ちあがったらもう無理、ヤバイという合図だ。その時は命優先で、キンタロゥを呼び出すしかないだろう。その後の事は生き残った時に考えれば良い。

 

 峡谷に囮部隊が侵入する。向こう側の出口までは凡そ半日という所だろう。その段階で俺は上空に飛び上がり、峡谷沿いに偵察を開始する。

 

 この辺りはクラピエス山脈のふもとに位置するため緑も多いが、森が途切れて岩場が広がっている個所も結構ある。見通しも良いため上空で監視していれば奇襲を受ける可能性は限りなく低くなるはずだ。

 

 

 

 

 

 峡谷に入ってから3時間ほどが経つ。今のところ襲撃はないし峡谷付近には人影は見当たらない。

 

 

「もっと高く飛んだ方がいいかな」

「あまり離れると監視役が辛いんだけどね。双眼鏡だっけ。それ使ってアンタを見続けるのも大変らしいわよ」

「まぁ、こっちは飛行してるしな」

 

 

 空中偵察の案が出た時、双眼鏡があれば便利だと思って幾つか用意したものだが、アレ使って飛行する物体を追いかけるのも難しいからな。監視役が悲鳴を上げているらしい。目の疲れなども起きるから俺が休憩するタイミングで交代してるんだが、交代する分双眼鏡に慣れるまでが遅くなるようだ。

 

 出来るだけゆっくりとした軌道で飛んでるんだが、それでも慣れてないと難しいか。あんまりゆっくりしすぎると狙撃の危険性も上がるし難しい所だ。

 

 

「ね。ところでこの双眼鏡はそのまま貰っていいのよね? 船乗りにピッタリのアイテムじゃない」

「いいけど、望遠鏡があるって聞いたことあるけど」

「望遠鏡よりも使い勝手いいじゃない。両目で調整できるし首紐も良い感じだわ!」

 

 

 ロゼッタとたわいもない話し合いをしながら体を休める。この場にはもう一人、一応の護衛役の魔法使いさんがいるんだが彼女は馬車の中で鼻提灯を膨らませて爆睡している。これが名家の令嬢の姿か……? 

 

 ムカついたので鼻提灯を指で弾くとパンッと提灯が弾けて黒ドレスが「フガッ!?」と飛び起きた。何しに来たんだこいつ。

 

 ……いや。ロゼッタが黒ドレスと話している時は学生相応の話し方になって気安く応対してたし、指揮官であるロゼッタの精神安定剤代わりになるんなら。まぁ、良いのか。そう自分を納得させて道場の門弟、特に次の監視役に頑張れと言ってから空に舞い上がる。

 

 峡谷に入ってからは1時間警戒の30分休憩を交互に行っている。これは俺の信力回復のためでもあるが、相手側への釣り針でもある。一定のペースで行われている行動は狙いやすいだろ?

 

 相手側にとって俺の空中偵察は邪魔以外の何物でもないはずだ。その俺は一時間に一回峡谷の中に入り、そして30分くらいしたらまた峡谷の上空に舞い上がってくる。もし俺が敵なら間違いなくこのタイミングで狙うし、味方側もそれを理解している。俺が攻撃されれば精鋭軍は一気に臨戦態勢へと移行し、敵勢力の撃滅に動くだろう。

 

 まぁ、俺が一番危険なのは重々承知の上でやっている行動だ。とはいえ、流石に動きが無さ過ぎるな。これもしかして、本気で相手方は逃げ出した可能性があるんじゃないだろうか。今日に入ってからは偵察する人影すら見てないんだけども……

 

 そう考えながら、峡谷の間を通って上空へと抜け出る。青空が目の前に一気に広がる光景は、何度経験しても感動できる瞬間だ。

 

 さて、30分の間に周囲はどうなったか。最大限に警戒しながら周囲を見渡そうとして、チカッと視界の隅で光が見える。その瞬間、ほとんど反射的に『白鳥』を使えたのは、コーケン師範代に叩き込まれた基礎鍛錬の賜物だろう。

 

 眩しさ。そして熱。例えるなら光の塊が、光の速度で殴りかかってきたというべきか。感じた事はただただ眩しさと熱さ、そして失った視界だ。『白鳥』によって全身を信力が覆い、それが障壁になって致命には至らなかった、のだと思う。一瞬過ぎて何がなんだか分からなかったが、『白鳥』によって信力を周囲に流すことにより状況を確認する事はできる。

 

 今、俺は墜落している。峡谷に向かって。

 

 




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タロゥ(10歳・普人種男) 

生力68 (68.0)
信力137 (137.9)UP
知力56 (56.0)
腕力72 (72.0)
速さ70 (70.0)
器用60  (60.0)
魅力64 (64.0)
幸運39  (39.0)UP
体力72 (72.0)


技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師  レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (24/100)
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (9/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル3 (12/100)
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(73/100)



スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5  (51/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (85/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター  レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(62/100)


英雄スキル
夢想具現仏恥義理(ぶっちぎり)


カルデラ近隣地図その2
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/2912051597546751843
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