ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味 作:ぱちぱち
視界は白く埋め尽くされている。前世で紛争地帯で仕事をしていた際、誤って食らった閃光弾を受けた時と同じ状況だ。あの時と違って耳鳴りはない。光に襲われた。そうとしか思えない状況だ。まぁ、今は考える前に。
「トンテキ!」
「あいよぉ! ブッヒィ!」
信力を使って勢いを殺しながら落ちる場所を調整しながら後続部隊に居たパチン・コ流の指導員トンテキの名を叫ぶと、すぐにトンテキの返答が耳に入る。そして、衝撃が全身を襲う。
勢いを殺したとはいえ人が落下してきた衝撃は大きい、が。トンテキはその衝撃をきっちりと受け止めてくれたようだ。地面に降ろされた後、軽く全身をチェックするが折れたり痛めた部分はなさそうだ。
だが視界は、まだ戻ってきていない。
「タロゥ! 大丈夫!? なにか、いきなりピカっとして、急に! アンタが堕ちてきて! か、顔も、火傷が!」
「……大丈夫、じゃないけど。生きてるし、動ける。ネネ、何があったか分かる?」
「分かんない。いきなり、ピカってした。音も何もなかったのに、見上げたら、アンタがお、堕ちてきて!」
「タロゥ、大丈夫!?」
「ロゼッタ。ああ、なんとか……何があったか、だれか分からないか? 観測してた指導員は」
トンテキさんの手を借りて立ち上がる。目隠しして稽古をするのと同じ要領でなら動ける。が、動けたからといって解決するような状況じゃない。俺は今、何に撃ち落とされた? それが分からなければ対処のしようもない。ネネの言葉を信じるなら急に光ったというが、音も何もなかったという。
狙撃されたのは、恐らく間違いない。だが、それが何によるものなのかが分からない。この状況じゃ上空に再び上がるなんて事はできない。上に居るザンムたちが異常事態に気付いて対処してくれれば。そんな希望的観測に縋りたくなる状況だ。
「光魔法だよ、今の」
「……この声は、誰だ?」
「え。あれ? あんだけ会話したのに声で分からない? え、メグもしかして目立ってない? モブ扱い?」
「……ああ。鼻提灯か」
「その覚え方はさぁ! 良くないだルォォォ!?」
途方に暮れかけていた時、答えを持ってきたのは意外な人物だった。ロゼッタについてきた自称魔法使いの学生、黒ドレスが俺を撃ち落としたものの正体を知っていたのだ。
流石は専門家、というべきなんだろう。俺が撃ち落とされた瞬間を目撃した観測員でも答えられなかった光の正体を、ただ一人見抜いたのだから。
だが、光魔法……? レンツェル神父が畑でジャガイモを連作するために使ってる滅菌魔法の事か?
「そ、光魔法。多分第5階位のフラッシュレイだと思う。周囲の太陽光を集めて一点に集中させる、極めればドラゴンの鱗も貫く強力な魔法。見える範囲ならどこでも狙えるって聞いてるわ。滅菌魔法ってなに? そんなの習ったことないんだけど」
「分からん。レンツェル神父に聞いてくれ」
光を集めて一点に集中させる。要するに虫メガネで太陽光を集中させて火を起こす奴の超豪華版って事か。道理で眩しくて熱いわけだ……俺、空飛んでるよな。しかも峡谷から出た瞬間に狙い撃ちされたんだぞ? どうやって虫メガネの光当てるんだよ。見られたら終わりのレベルじゃねーか。
ヤバいな、攻撃手段が分かったけど正直どうやって防げばいいか分からんぞ。でっかい盾でも持って飛べば少しは隠れられるかとも思ったが、そもそもどっちから攻撃してるかも分からんから防ぎようがない。頭だした瞬間にピカってされて終わっちまう。
「メグ。それは。光魔法ってものは防げるものなの? 話を聞くと、相手に見られたら一巻の終わりに聞こえるんだけど」
「防げるわよ。弱点一杯あるから」
「……マジかよ」
ロゼッタの質問に事も無げに答える黒ドレスに、思わずそう呟いてしまう。見た瞬間に狙撃されるなんてほとんどチートみたいな魔法だぞ。どうやって対抗するのか皆目見当もつかん。
だが、そうなってくると話は変わってくる。黒ドレスが本当に狙撃を防いでくれるならもう一度上空に上がる事も、狙撃手に対処する事も可能な筈。唯一の懸念はこの黒ドレスが大ぼら吹いてる場合なんだが、まぁその時はまた二人仲良く墜落するだけだ。何もできないよりはずっとマシと考え……考えて……
いややっぱ怖いわ。
ロゼッタは悪態つきながらもこの黒ドレスを信用してるみたいだけど、俺こいつの実力全然把握できてないもん。ああ、でも今の状況でこれ以上打てそうな手がない。
「……なぁ、メグ・レイトー殿。フィールドワークの時なんだけどさ」
「フィールドワークの時ね! 懐かしいわ。まだあんま経ってないけど!」
「うん。そのフィールドワークの時ね。陸ザメが襲ってきたじゃん。あの時、魔法とか見なかったなぁって思ったんだけど何してたんだっけ」
「走って逃げたわよ! 怖かったもの! あいつ百合っプルに襲い掛かってくるからメグみたいな麗人は勘違いされて襲われそうだもの! 女の子に告白されこともあるのよ! メグ、カッコいいから!」
「そっか……逃げてたんだぁ」
「走りながらじゃ強い魔法は使えないもの。呼吸が乱れるから。常識よ?」
ロゼッタが居る方に顔を向けると、ため息を吐いているのが気配で分かる。そっか。俺、こいつに命を預ける事になるのか。怖いな、さっきより怖くなってきたぞ。でも、やらないと多分このままじゃ全員死ぬ事になる。そんな予感が、ひしひしとしている。
この光魔法の使い手の存在だ。こいつが、こんなレベルの奴がここに居るって事は、精鋭軍側にも何かしらの手が打たれてるに違いない。今、撃ち落とされて分かった。こいつらはケチな盗賊なんかじゃない。どう考えてももっと質の悪いナニカだ。
「ロゼッタ。急いで峡谷を抜けた方がいい」
「でも、アンタが」
「俺は良い。最悪メグを背負って逃げ出す事が出来る。でも、この部隊は峡谷を上がれないだろ。上から矢を射かけられたり石を落とされれば全滅しかねない。お前たちを守り切れるか、分からないんだ」
俺の言葉にロゼッタが小さく息を呑む。この場は死地になるかもしれない。その事が、恐らく今、ロゼッタにも飲み込めたのだ。逃げ場のない峡谷の下じゃ、上から襲い掛かられれば全滅する。峡谷の上には味方がいる筈だが、あの狙撃手相手だとかなり厳しい戦いになるかもしれない。いや、あっちの部隊には魔法使いが他にもいる筈だから、彼らが防いでいてくれればなんとか。
どちらにしても、この場に留まる事が最も良くない。最悪の行動だろう。
そんな俺とロゼッタのやり取りを眺めていた黒ドレスが、声を上げた。
「人だけなら峡谷の上まで上がれるわよ? 氷で階段を作ればいいもの。荷馬車は無理だけど」
「ロゼッタ。よくこいつを連れてきてくれた。でもなんだか無性に殴りたい」
「そうね。私、出発前の自分を褒めたくなってきたわ。殴るなら私もやらせて」
「なんで!?」
俺とロゼッタの言葉に黒ドレスが抗議の声を上げるが、ロゼッタの傍にずっと居て俺たちの作戦も全部知ってるお前が、そんな起死回生になりそうな手札を申告しないってだけでぶん殴られるには十分な理由だと思うんだよね。今は殴らないけど。今はな!
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タロゥ(10歳・普人種男)
生力68-15 (68.0)
信力138-15 (138.2)UP
知力56 (56.0)
腕力72 (72.0)
速さ70 (70.0)
器用60 (60.0)
魅力64 (64.0)
幸運39 (39.0)
体力72 (72.0)
技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (24/100)
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (9/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル3 (12/100)
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(73/100)
スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5 (55/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (86/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(62/100)
英雄スキル
夢想具現
カルデラ近隣地図その2
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/2912051597546751843