ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味 作:ぱちぱち
「テクマクケミカルコケコッコー!」
黒ドレスが脳が痒くなりそうな呪文を唱えた瞬間に彼女を中心にらせん状の光が走り、地面から氷のらせん階段が文字通り生えていく。ズモモモモ、と音を立てながら立ち上がったらせん階段は、峡谷の上に届いたか届かないかくらいの位置で停止した。
マジで峡谷の上まで行ける道、出来ちゃったよ。
「すげぇな、お前」
「オーッホッホッホッ凄いでしょ!? メグはね、レイトー家の家伝魔法を全部使える! スペシャルでグレイトな魔法令嬢なのよ!」
「ああ。正直、ロゼッタがお前連れてきたときはなんだこのバカって思ったけど謝るわ。お前はスペシャルでグレイトな魔法令嬢だ」
「当然よ! ……あれ。メグ今バカにされた?」
出来上がったらせん階段の一段目に足をかけ、体重をかけてみる。感触は鋼鉄の石造りの階段とほとんど変わらない。これ、かなり頑丈な造りだぞ。しかも氷で出来てるから滑るかと思ったら、ちゃんと階段の足場には滑り止めのざらざらした砂利が混ぜられている。多分、土台になった岩場のものだろうが、ここまできっちりした氷の階段を突貫で作ってくるとは思わなかった。
あとは、峡谷とらせん階段を繋げる通路を作れば完成だ。流石に荷物は置いていく事になるが、ここに居る人間を全て上に運ぶ道が出来る。相手側の規模が見えないが、流石にこの近隣でカルデラ以上の動員兵力を誇る勢力はないだろうから上に居る精鋭とここの部隊が合流すれば数の差で押し切る事も出来る筈。
「あとは上をつなぐだけだな。どうするんだ?」
「ここからじゃ峡谷側が見えないわ! 光魔法への対処もあるし上まで登らないと出来ないわね!」
「ああ、そうなのか。なら、登らないと」
「うん。じゃあ、はい」
俺の言葉に頷いた後、黒ドレスは俺に向かって両手を伸ばしてくる。なにがはいなのか意味が分からないが、何かしてほしいらしい。首をかしげていると、見かねたロゼッタが口を挟んでくる。
「メグ。その、なに。謎のポーズは」
「おんぶ」
「ロゼッタ。やっぱり今からこいつをこれからこいつを殴らないか?」
「そうね。泥棒猫は躾けないと」
「なんで!!!?」
なんでじゃねぇんだよなぁ。
とりあえずこのおバカにはパチン・コ流の拳は男女平等だという事をこの黒ドレスに分からせなければいけないらしい。
「息が上がると魔法が使いにくい。なるほど。さっさと言えよそんな大事な事」
「ひぃん……あ、あたまいたいぃ。タロゥの鬼! ドエスタック男爵!」
「なんだその人名」
「鬼畜の代名詞みたいな帝国の貴族。故人よ!」
俺とロゼッタの拳骨を貰った頭を押さえながら、俺に背負われた黒ドレスがうめき声をあげる。失敬な奴だな。人が手加減として帽子の上から殴ってやったというのに。
トン、と氷の階段の端に着地し、そこを蹴って更に上の階段へと飛び上がる。つるかめ波が使えるんだから一々階段を駆け上がるよりはこちらの方が速いからな。トントンとらせん階段に沿って上へ上へと昇っていくと、やがて頂上付近に到着する。狙撃を警戒するためいったんここでストップだな。
「なぁ、メグ。光魔法は本当に防げるんだよな」
「防げるわよ? じゃ、見せたげるわ!」
峡谷から頭が出る少し手前で黒ドレスに話しかけると、背中で俺に体を預けていた黒ドレスがそう言って脳が痒くなる呪文を唱え始めた。今度は「テクマクマイマイカタツムリ」だ。サニムで見た水魔法使いはこんな呪文唱えてなかったんだけどな?
まぁ何が起きるのか楽しみにしていよう、と様子を見ていると周囲が少し肌寒くなり、らせん階段の周囲にキラキラと光る霧のようなものが広がっていく。これは霧を起こしたのか? なるほど。相手の視界に入らないようにすればいいという事か。恐らく遠距離からの狙撃であると考えると、煙幕を張るのは確かに効果的に感じる。
「これなら相手から見えないだろうし、確かに防げるか。煙幕ならパチン・コ流の門弟が幾らか持ってるはずだし、これを使えば安全に上に上がれそうだな」
「えんまく? それって見えなくなる煙って意味なら違うわよ? 多分向こうからはこっちの姿が普通に見えてる筈だもの!」
「……じゃあ、このキラキラ光る霧はなんなんだよ」
「んふふふふ。知りたい? メグのレイトー家家伝魔法知りたい?」
背後で見えないというのにはっきりと分かるドヤ顔を披露しているだろう黒ドレスをそっと階段に降ろし、怪訝な顔を浮かべる黒ドレスに笑顔を見せる。
「とりあえずもう一発殴られたくなきゃ効果を言え」
「怖い! 顔が怖いわこの子!」
失敬な。俺の笑顔は孤児院の年下達みんなから「……頑張ってね!」「タロゥ兄ちゃんならだいじょうぶ!」「これ、あげる!」と大好評な笑顔だというのに。まぁ、冗談は兎も角として、流石に今使われた魔法の効果が分からない状態で峡谷の上に出たくないんだけどな?
「まぁ、それもそうよね! ただ、メグも初めて光魔法使いの相手をするから100%の効果が出るか分かんない!」
「おい」
「でも、これだけは間違いないって保証したげる! あの光魔法は、この霧の中なら誰にも当たらないわよ!」
そう言って黒ドレスは右手でVサインを作り、立てた二本の指を俺の頬に押し付けていた。無言で拳を握って振り上げると、キャーといって離れていく。なんだこいつ。
……まぁ、こいつの奇行にも若干慣れてきたし、この程度は目くじら立てるほどでもないか。うし、腹括ったぞ。
信力を集中させて、『白鳥』の要領で周囲を覆う。一種のバリアーのようなものだ。撃墜された時もこれを纏っていたが、恐らくそのお陰で一撃で死ぬ事を回避できていたんだろう。黒ドレスが言っていた光魔法の原理を聞くに、一瞬で燃え尽きていてもおかしくない火力が出てそうだしな。
若干視界は戻ってきたから恐らく失明は免れたんだろうが……世の中には恐ろしい魔法があるもんだ。今回はたまたま生き延びたが、この感じだと知らなきゃそのまま死ぬなんて魔法もあるんじゃないだろうか。
……フィールドワークの時にもらったカルデラ大学の聴講権、これ魔法を学ぶのに使った方がいいかもしれんな。
とことこと階段を上りながらそんな事を考えていると、らせん階段の頂上に到着する。峡谷から完全に頭を出し、周囲が見渡せる場所まで来た所で周囲の霧が眩しく輝いた。うお、眩しっ。と目を細めた瞬間、霧の発光が唐突に止まり遠くの山の方で大きな炎が上がる。
「光ったって事は撃たれたわね! どうなったの!?」
らせん階段を上ってきた黒ドレスがワクワクとした様子で語り掛けてくるが、いきなり事が起きすぎて正直状況が呑み込めない。とりあえず、さっき霧が光ったのはどうやら敵の攻撃を受けていたかららしい。俺と同じ高さまでやってきた黒ドレスが周囲を見渡して、炎が上がる遠くの山の方を指差した。
「たぶん、あっちに反射したみたい! 上手くいったならあそこに敵の魔法使いが居るわ!」
「反射って、この霧が?」
「この霧が!」
自信満々という表情でそう口にする黒ドレスに原理を聞いてみると、このキラキラしてるのは氷の粒子で、この粒子が光を反射して打ってきた方向に上手く調整して打ち返すという対光魔法用の魔法の一つらしい。もちろん、レイトー家家伝の魔法だ。
うん、この戦いが終わったら魔法を学ぼう。これは対策しないと駄目な奴だ。「メグすごい? メグ頑張ったよね?」と承認欲求モンスターになった黒ドレスを適当にあしらいながら、遠くに見える山火事を眺めてそう心の中で決意する。
ところでなんでこう、この黒ドレスは凄い事をしたのに凄いと思わせてくれないんだろうか。これが名家の令嬢の姿か……?(本日二度目)
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タロゥ(10歳・普人種男)
生力68-13 (68.0)
信力138-18 (138.4)UP
知力56 (56.0)
腕力72 (72.0)
速さ70 (70.0)
器用60 (60.0)
魅力64 (64.0)
幸運39 (39.0)
体力72 (72.0)
技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (24/100)
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (9/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル3 (12/100)
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(73/100)
スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5 (55/100)
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (87/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(62/100)
英雄スキル
夢想具現
カルデラ近隣地図その2
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