ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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誤字修正、蜂蜜梅様ありがとうございます


第133話 「サマをつけろよ三下。うちの神父様を、呼び捨てにしてんじゃねぇよ!」

「うっひゃー! 飛んでる! メグ飛んでるぅ!」

「あんまり叫ぶな、舌噛むぞ!」

 

 

 俺の背中で喚く黒ドレスにそう告げて、更に速度を上げる。らせん階段と峡谷を氷の橋でつないだ後、俺は黒ドレスを背負って遠方に見える山火事の場所へと向かった。恐らく狙撃手がそこに居るという判断だったが、時折ピカっと山の一部が光って見えるから当たりのようだ。

 

 

「テクマクマイマイカタツムリ! 無駄無駄ぁ! 単純な光魔法じゃレイトー家の家伝、コーリングアイスミラーは破れないわよ!」

「頼もしいんだがなぁ」

 

 

 俺の背中に柔らかいものを押し付けながら胸を張っているだろう黒ドレスは、確かに腕のいい魔法使いなんだろう。実力と言動が逆の意味で乖離してるせいでそう感じないが。

 

 黒ドレスが魔法で創り出す霧のカーテンに守られながら空を飛ぶ。第一目標は光魔法使いを抑える事、その次が友軍の状況確認だ。それらのタスクを同時に行うため、俺は通常よりも高度を上げて山火事の現場へと向かい、その過程で上空から周囲を見渡した。

 

 状況は、俺が思っていた以上に悪い。高い木々の中、緋熊と化したザンムが何かと戦っているのが目に入ったからだ。つまり、友軍はすでに戦闘状態にあり、かつ連絡員として付いていっている筈のザンムが戦闘に参加するような状況という事だ。

 

 ザンムとの合流を優先するか? 一瞬、そんな考えが頭をよぎるがそれは悪手だと即座に考えを切り捨てる。光魔法使いは今、自分に向かっている俺を優先的に狙っている。ここで俺が進路を変更すれば、光魔法使いをフリーにする事になる。峡谷を上っている後続部隊には、光魔法を防げる魔法使いは居ない。無防備に狙撃を受け続ければ、後続部隊は壊滅してしまうかもしれない。

 

 ザンムたちは気になる。気になるが、俺が光魔法使いを抑えないとどうする事も出来ない。そう結論づけ、俺は恐らく俺を見ているだろう門下生が居る事を信じて空中で手旗信号を行った。精鋭部隊、戦闘中。後続部隊、峡谷上に進軍。この二つを二度行い、そして再び山へ向かってつるかめ波で飛び始める。

 

 

「いきなりダンスしてどうしたの? 手、疲れちゃった?」

「ああ。すっげぇ疲れてる」

 

 

 能天気な黒ドレスの言葉が、若干癒しになってきたかもしれない。俺もこれくらい気楽に生きれたらストレスもないんだろうか。いや、それはそれで面倒ごとが増えそうで嫌だな。あと妹にこんな頭パープリンな兄だと思われたくない。うん、こいつみたいな生き方は俺には合わんしやりたくないな。

 

 近づいていくと、徐々に山の状況が見渡せるようになってきた。クラピエス山脈の外延部に位置する山の中ほどに、どうやら農村がありそこに火が回っているのだ。嫌な予感が的中した。今回の盗賊に土地勘があるのは薄々感じていたが、農村が盗賊の本拠になっていたらしい。

 

 いや、もしかしたら。農村丸ごと賊徒に……? もしそうだと100人規模の賊徒が居る事になる。精鋭部隊の方でザンムが参戦しているのも、これが理由かもしれない。

 

 山村から再度光が放たれる。これで合計13回目の狙撃だ。流石にこれだけピカッとされると俺の方でも慣れが出てきて、光った瞬間に体を動かして車線をズラす程度は出来るようになってきた。魔法の霧が無くても今の狙撃は軽く右腕を掠める程度で避ける事が出来た、はずだ。黒ドレスの霧で直撃しないのは分かっているから許される練習法だな。

 

 

「なんか、嫌な臭い」

「ああ。奇遇だな、俺もそう思う」

 

 

 焼けついていた視界も今は大分回復していて、多少の視力低下こそ感じるが平常時とほぼ変わらない程度には周囲を見る事が出来るようになってきた。その視界の中に、炎で包まれた村の様子が映し出される。

 

 端的に言えば、地獄だ。

 

 

「メグ。見るな」

「オエッ」

「おい。おいバカ! よせ!」

 

 

 上空から見下ろした山村の状況に、黒ドレスに忠告するが少し遅かったらしい。背後からえづくような声と若干湿ってきた背中の感触。この女郎吐きやがった。

 

 最悪だ。最悪だが、まぁ。しょうがないのかもしれない。眼下に広がる光景を見た上で嘔吐するのは、人として真っ当な神経を持っている証だとも言える。これを見て平然としているようなら、俺はますますこの背中に背負った意外と一部が大きい黒ドレス女の神経を疑う事になったはずだ。

 

 

「あれ……アレなに? タロゥ、あんなの、アレ」

「言葉にするな。囚われるぞ」

 

 

 単に村が焼かれていることが問題じゃない。それで人が焼かれる姿を見ても、気分は悪くなるだろうけど大きな問題じゃない。俺と黒ドレスが目にしている光景は、そんなものじゃなかった。

 

 村の家々の間。通路と呼ぶべき道に等間隔で柱が立てられていた。恐らくは木製だろうそれは、頂点の部分に人型の何かを突き刺して燃えていた。

 

 それらが人形なんかじゃない事は、上空に漂う臭いで分かっている。だけど、それらに言葉を付ける事を俺はしたくなかった。

 

 

「狂ってる」

 

 

 この光景を見て、ただ一言。俺が現状を表す言葉は、それだ。

 

 

「お前、狂ってるよ。これやったの、お前だろ?」

「んんっ! 目上の人間に対する態度がなっていませんね。良いですか、少年よ。人間を人間たらしめるのはね、知性と礼儀なのです。それらを忘れれば人は容易く獣へと姿を転じてしまう。このように」

 

 

 山村の中心部。燃え盛る家々の中、一か所だけ炎に包まれていない広場の中央に、そいつは居た。周囲には明らかにただの賊徒なんかじゃない、重厚な鎧を見に纏った戦士たちを従え、質素なマリア教のローブ。レンツェル神父が良く着ているそれに身を包んだ男は、足元に転がっている人の死体を蹴り上げた。

 

 その死体は、恐らく元は狼人種の男性だったのだろう。両耳を削がれ、全身の毛を毟り取られたその姿からは生前の姿はうかがい知れない。

 

 獣。獣か。

 

 

「この者はかつて、この山村の村長でした。ナシェルズに上納する税の額に納得がいかなかったそうで。クラピエス山脈に巣食う小鬼どもと手を組み、ナシェルズから東方交路に出る商人に通行税と称して小銭を集る小悪党でした。悪い奴ですねぇ。だから獣耳なんかに生まれたんですよ。獣耳が人様相手に税を取るなんてあってはならない行為です。全てを差し出してようやく存在を許される劣等種族が勘違いしちゃったんでしょうねぇ」

 

 

 そう言って男は、ペッと元村長の死体に唾を吐きかける。

 

 

「まぁ、この付近の地理にそこそこ詳しかったですしナシェルズの商隊を罠に嵌める時には役に立ちましたのでね。こうして賊徒の首謀者として討伐される栄誉を与えてあげた訳ですよ。マリア様もお喜びでしょう」

「喜ぶわけねぇだろうが、下種が」

 

 

 ビリビリと。

 

 ビリビリと、体中の血液が煮立っていくのを感じる。

 

 もう駄目だ。もっとこの男と会話をして、情報を引き出すべき。頭ではそう理解していても、もう駄目だった。我慢できなかった。

 

 この男が。この目の前の、悪意と傲慢が形になったような男がレンツェル神父と同じ服を纏い、同じようにマリア様の名を騙るのを見るのが、我慢ならなかった。

 

 

「お前が。お前たちが誰で、何をしたかったのかなんてどうでもいい。興味もない。この山村の連中がこうなったのも、もしかしたら自業自得なのかもしれない」

 

 

 信力が体から、爆発的に湧き上がる。

 

 

「だが!」

 

 

 目の前の存在を許すなと、俺の魂が叫んでいる。

 

 

「お前が、レンツェル神父様と同じ服を着て、レンツェル神父様と同じようにマリア様を語るのが許せねぇ」

「……レンツェル? 君、今レンツェルと」

 

 

 俺の言葉に男がビックリしたようにこちらを見て。男の頬を、俺が放った銀球鉄砲が掠めた。直後、グワァンと金属が打ちあうような大きな音が響き、男の背後に立っていた戦士の一人が兜を弾き飛ばされて地に伏せる。

 

 周囲に居た戦士たちの視線が、俺と、男と、倒れた戦士の間を行き来する。

 

 

「サマをつけろよ三下。うちの神父様を、呼び捨てにしてんじゃねぇよ!」

 

 

 驚愕した表情の男に、信力を込めた叫び声を浴びせかける。男は驚愕の表情を浮かべた後、傷が入った自分の頬を指で撫で、そして。

 

 

「そうか、そうか。君ぃ、レンツェルの所の子供なんだねぇ」

 

 

 にんまりと微笑みを浮かべた。

 

 




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タロゥ(10歳・普人種男) 

生力68-11 (68.0)
信力138-21 (138.7)UP
知力56 (56.0)
腕力72 (72.0)
速さ70 (70.0)
器用60  (60.0)
魅力64 (64.0)
幸運39  (39.0)
体力72 (72.0)


技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師  レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (24/100)
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (9/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (100/100)ー
テイマー レベル3 (12/100)
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(73/100)



スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5  (57/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(100/100)ー
パチン・コ流武器術 レベル6(100/100)ー
飛行術 レベル3 (91/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター  レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (46/100)
釣り師 レベル4(62/100)


英雄スキル
夢想具現仏恥義理(ぶっちぎり)


カルデラ近隣地図その2
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/2912051597546751843
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