ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

139 / 140
第137話 神聖歴583年の終わり

「お兄ちゃん。システィはとっても怒ってます。とぉっても怖くなってます。ガオーです。わかりますね!?」

 

「うん、ごめんねシスティ。お兄ちゃん腹を切って詫びるから許してくれないかな」

 

「ケガしちゃだめ!!!」

 

 

 間違いなく格上との戦い。レイモンドとダイモンとの戦いでは撃墜されたり死を覚悟したりと随分無理をしてしまったため、一時的にサニムに帰郷する事になった。傷は治ったんだが顔に火傷跡が少し残っている。視力はカルデラの光魔法使いに治してもらえたんだが、この火傷跡は戒めの為に残してもらったのだ。

 

 そしてその火傷跡を見て妹は怒った。烈火のごとく、恐怖の大王の如く猛り狂ったのだ。妹に嫌われたかもしれないと思うと身も心も張り裂けそうだったが、この火傷跡はどうしても残したいものだったからひたすら頭を下げる事しか出来ない。

 

 これは俺にとっての教訓だ。ちょっと強くなった程度で思いあがっていた自分への戒めだ。相手に加減されて生き延びた事を忘れない、屈辱の証なのだ。

 

 レイモンドは手加減していた。対峙していた時には力の差があり過ぎて俺は奴の事を把握しきれていなかっただけで、アイツがもし本気で俺と黒ドレスを殺す気だったら俺はこの場には居なかっただろう。

 

 なにせ奴は正しくレンツェル神父と同格。元百の勇者の一人であったのだから。

 

 

「レイモンドは不死の法と呼ばれる英雄スキルを持っています。その権能は他者の命を弄ぶこと。死者を自身の兵として使役したり相手の寿命を吸い取って自身のものとする事も可能な、強力な権能です」

 

 

 レンツェル神父にレイモンドの事と奴からの伝言を伝えると、神父は一瞬、痛ましい表情を浮かべて瞳を閉じ、小さくため息を吐いた後にレイモンドについてを教えてくれた。奴はマリア教凋落の原因となった破戒教皇の下僕であり、彼の名を受けて百の勇者と共に魔王軍と戦った、レンツェル神父の元同僚だったのだ。

 

 そして時の教皇が一の勇者と魔王の闘いに巻き込まれて聖都ごと消滅した際に百の勇者を裏切り、勇者の内数名を殺害。彼らの死体を操って一の勇者と魔王に戦いを挑み、敗れて姿を消した。以降は世界各地でテロを巻き起こしているという。普人種の英雄スキル持ちが狂人と呼ばれる理由の一つになっているそうだ。

 

 

「もしも本気で殺す気だったなら、君もその話に出たレイトー家の今代も無事ではなかったでしょう。お前が無事でよかった……あいつは、今も昔と変わっていないのですね」

 

「アイツ昔っからああだったんですか!? 殺せよ、一の勇者……」

 

「ユーキも普人種だったんで。それに先の教皇が亡くなるまではもう少し、多分、まともだったんじゃないかなぁ……あいつも」

 

 

 いや、殺そうよそこで断言できないんなら。完全に生きてるだけで普人種以外に災厄を振りまく害獣じゃないか。

 

 とはいえそんなこと、明らかに見逃してもらった俺が偉そうに言えるわけないんだがな。とはいえこちらもキンタロゥを使っていないから、実際に本気で殺し合っていたらどうなっていたかは分からない。

 

 まぁ、恐らく俺の負けだったかな。レイモンドとかなり甘い想定で互角に戦えても恐らくダイモンまでは処理しきれない。それにあの光の斬撃は、キンタロゥだったとしても脅威だったと言える代物だった。

 

 

「極光にまで至った剣士ですか。また厄介な男がレイモンドに付いているのですね」

 

「極光、ですか」

 

「ええ。武人の到達点の一つ。レベル10に至った戦闘技能はその一撃に滅びの光を纏います。もしその一撃が振り下ろされていれば危なかったでしょう」

 

 

 そう言ってレンツェル神父が右手の指を一本立てると指先がバチバチと光を放ち、すっと指先でコップを撫でるとその部分がえぐり取られた。えぐり取られたというよりも消滅と言って良いだろう。

 

 これを俺に振り下ろそうとしてたのか、あの野郎。喰らってたら死んでたぞ、これ。

 

 

「極光は英雄スキルに届かなかった武人が唯一英雄スキル持ちに対抗できる技。気を付けなさい、タロゥ。この技は君の首に届き得る」

 

「はい、レンツェル神父様」

 

 

 真面目な表情でそう口にするレンツェル神父の瞳を見ながら、首を縦に振る。ヤバイヤバイと思っていたが本気でヤバイ技だった。キンタロゥを切っていても殺されてた可能性が高いとは思わなかったぞ。後でパチン・コ師範に相談しないとな。あの人も恐らくこれは使える筈。であれば、パチン・コ流にも極光への備えはあるはずだ。

 

 レイモンド、そしてダイモンとの再戦は、間違いなくある。そういう予感がある。であれば、備えないのは怠慢だ。怠慢が原因で死ぬのだけは御免被る。俺は妹が真っ白なドレスに身を包み、幸せだったと。お兄ちゃんの妹でよかったと涙ながらに言いながらお嫁に行く瞬間を見るまで死ぬわけにはいかんのだ。

 

 あ、駄目だ泣きそう。その瞬間を想像するだけでもう、涙が出てくる。見てぇ、でも見たくねぇ。妹の嫁入りというのは、兄貴にとってはそんな矛盾に満ちたものなのだ。

 

 こういう気分の時は、ラーメンだな。悲しい気持ち、嬉しい気持ち。そんな気持ちを纏めてラーメンはもっていってくれる。今日はピリ辛のひき肉がごろごろ乗った台湾ラーメンだ。旨くて辛いってのはこういうものを言うんだろう。辛味のある肉汁と溶け込んだ油がアクセントになってどんどん箸が進む。啜る啜る。

 

 

「……時にタロゥ」

 

「みなまで言わずとも分かります。キノコラーメンですね」

 

「ああ、ありがたい。時たま無性に食べたくなりましてね」

 

 

 レンツェル神父と二人、並んでラーメンを啜る。ああ、サニムに戻ってきたと思う。美味いなぁ、ラーメン。妹も呼んできて、一緒に食べよう。

 

 

 




タロゥ(10歳・普人種男) 

生力72 (72.0)UP
信力141 (141.1)UP
知力58 (58.0)UP
腕力76 (76.0)UP
速さ74 (74.0)UP
器用63  (63.0)UP
魅力69 (69.0)UP
幸運45  (45.0)UP
体力74 (74.0)UP


技能
市民 レベル5 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル4 (66/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師  レベル3 (51/100)
剣士 レベル6 (53/100)UP
木こり レベル2 (70/10)
楽士 レベル3 (58/100)
教師 レベル4 (13/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル7 (8/100)UP
テイマー レベル3 (12/100)
絵師 レベル3 (90/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (100/100)ー
水兵 レベル2 (45/100)
執事 レベル3(100/100)ー
乗馬 レベル0(81/100)UP



スキル
夢想具現 レベル3 (100/100)ー
直感 レベル5  (87/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル7(8/100)UP
パチン・コ流武器術 レベル7(8/100)UP
飛行術 レベル4 (12/100)UP
フォークダンス レベル5(100/100)ー
フォークマスター  レベル1 (100/100)ー
念話 レベル2 (72/100)
女たらし レベル6 (100/100)ー
野獣の眼光 レベル0(21/100)
ネゼ・カルデラ式マナー レベル3 (51/100)UP
釣り師 レベル4(79/100)UP


英雄スキル
夢想具現仏恥義理(ぶっちぎり)


カルデラ近隣地図その2
https://kakuyomu.jp/users/patipati123/news/2912051597546751843
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。