ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第44話 うち、モモタロさんを演じるラドクリフ様が見たい!

「! コーチ、お久しぶりです!」

 

「お久しぶりです、カーマさん」

 

 

 レイラさんに肩ポンをされて十数分。引きずられるようにサニム公立劇場へとやってきた俺は夏以来となる人物と顔を合わせていた。サニム公立劇場の華、カーマ。サニムの芸事の頂点に君臨する街一番の踊り手である。

 

 夏祭り前に街の踊り手たちにフォークダンスを指導した事があるのだが、その時のメンバーである彼女は今もコーチと俺の事を呼んでいる。もちろん今も俺が指導してるって訳じゃない。彼女はすでに実技でも教鞭でも俺より上のフォークダンサーだ。ただ、後進の育成の際に助言を聞かれたりする事は今もあるため、中々呼び名を変えてくれないのだ。

 

 

「……タロゥ。どういうこと?」

 

「どういうもなにも。夏前にレイラさんの所で仕事をしてたろ。それ関係で知り合っただけだよ」

 

「カーマ様が居たなんて! 聞いてないんだけど!! なんでうちをそこに! 呼ばないかな!!?」

 

 

 流石に一人で連れていかれるのは嫌だったため無理を言ってついてきて貰ったネネが見た事もない表情で俺の胸倉を掴んでそう尋ねてくる。がくがくと頭が揺さぶられるが、仕事で行ったんだから無茶を言うなと言いたい。言いたいけど言ったら多分余計ややこしくなりそうだから口をつぐんでおく。

 

 ザンムがネネを羽交い絞めにして俺から引き剥がすと、いきなりの事態に目を白黒させていたレイラさんがこほん、と咳ばらいを一つした。

 

 

「ねぇ、タロゥくん。この子大丈夫? いきなり人の胸元掴んで随分とアグレッシブなお嬢さんだけど」

 

「いきなり人の首根っこ掴んでここまで引きずってきたレイラさんが言っちゃいけないと思います」

 

 

 心配そうな表情でそう口にするレイラさんに思った事をそのまま返すと、レイラさんはそっと目を逸らした。

 

 

 

 

 

 

「モモタロさんを演劇に使いたい? どうぞご勝手にって感じなんですが」

 

「軽い! 君、対応が軽すぎる! もうちょっとこう、あるだろ!?」

 

「ないです」

 

 

 公立劇場の中に連れ込まれ、応接室だろうな、という造りの部屋に通され、そこで内密の話という前置きの元、レイラさんの要件を聞かされることとなる。一言でいうなら演じる演目が無くて困ってるらしい。

 

 

「公立劇場の演目は季節ごとに交代して演じるんじゃなかったっけ」

 

「そうだよ。でもね、タロゥくん。流石に30年も同じ演目を繰り返してるとね。飽きるんだよ演じる方も観客も。一番新しい演目が『百人の勇者』だよ!? 私が生まれる前のお話だ」

 

 

 割と切羽詰まった様子のレイラさんに、劇場の主らしき初老の男性がうんうんと頷きを返す。30年か、予想よりも長かったぞ。むしろそんだけ長い間両手で数えるくらいの演目だけで持たせてたこの街の演劇関係者が凄いよ。

 

 それならまぁ、俺が適当にアレンジした桃太郎ならぬモモタロさんでもこんだけ食いつきが良いのも分かる。アレンジが入ったとはいえあれ元は桃太郎だから話の骨子がしっかりしてるんだよな。俺の適当なアレンジでもちゃんと話として成り立つんだから劇団の脚本家が手を加えれば演劇にも使えるだろう。ネネに聞いた限りだと桃太郎に類似した話もないみたいだし。

 

 俺としては芸能ギルドに引き抜きとかいわれるのは困るが、利害が一致していたとはいえフォークダンスの普及を進めてくれているレイラさんには協力したい所だ。

 

 問題は、適当に話し過ぎたせいであんまり内容を覚えてないって事なんだよな。なんなら冒頭部分でむちゃくちゃ言ってた気がする。

 

 

「あ。そうか、お話が必要ならモモタロさんじゃなくてもいいのか」

 

「ええ!? うち、モモタロさんを演じるラドクリフ様が見たい!」

 

「いや、適当にあの場で話をくみ上げたから内容覚えてなくて」

 

「はぁ!? じゃああれ全部あんたの創作!?」

 

「いや。適当な話を繋ぎ合わせてつくった。完全な創作ってわけじゃないよ」

 

 

 まぁ元になる桃太郎はこの世界にはないんだが、それは今言っても意味がない。前世の話は誰にも知られない方がいいだろうしね。異端認定怖いから。

 

 しかしそうなるとモモタロさん以外の話を考えないといけないんだが、あれは興が乗ったからあそこまでぺらを回せたんだよなぁ。今のテンションで同じことが出来るかというとちょっと難しい。妹が目の前に居るなら話は別なんだが。

 

 そうなってくると別の話を出さないといけないわけだが。うーん、桃太郎は使ったし、海の傍にあるサニムにちなんで浦島太郎が良いかな。割とこの世界だとマジで竜宮城っぽい所ありそうだし、受け入れやすいかもしれない。

 

 そんな事を考えていると、隣に座っていたネネが意を決したような表情でちょいちょいと俺の肩を小突いてきた。本当にモモタロさんを気に入ってるんだな。ちょっと微笑ましさすら感じながらネネに視線を向けると。

 

 

「あのさ。モモタロさんがダメなのって、タロゥが話を覚えてないからだよね?」

 

「ああ。録音もしてないしもう一回同じ話をしてくれって言われても難しいんだ」

 

「ろくおん? それは良く分かんないけど、ようは同じ話をもう一回すればいいの? そうすればラドクリフ様のモモタロさんが見れる?」

 

「まぁ、そういう事だけどそれが難しいって話」

 

「……それさ。語り手はタロゥじゃなくても良い?」

 

「うん? そりゃあ俺じゃなくても良いんだけど」

 

 

 ネネの言葉に首をかしげていると、ネネはすぅっと息を一度吸った後。

 

 

「じゃあ、うちが語る」

 

「へ?」

 

「うち、全部覚えたから」

 

 

 間の抜けた返事を返した俺に、ネネは真剣な表情でそう返した。

 




タロゥ(6歳・普人種男) 

生力25 (25.0)
信力87 (87.0)UP
知力24 (24.0)
腕力28 (28.0)
速さ25 (25.0)
器用24  (24.0)
魅力24 (24.0)
幸運15  (15.0)
体力27 (27.0)

技能
市民 レベル3 (85/100)
商人 レベル3 (19/100)
狩人 レベル3 (58/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (27/100)
薬師  レベル1 (67/100)
我流剣士 レベル2 (43/100)
木こり レベル2 (1/100)
楽士 レベル1 (77/100)
教師 レベル1 (16/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル2 (9/100)
語り部 レベル0 (10/100)NEW


スキル
夢想具現 レベル2 (18/100)
直感 レベル2  (23/100)
格闘術 レベル0  (92/100)
剣術 レベル2  (89/100)
弓術 レベル1  (59/100)
小剣術 レベル1 (59/100)
暗器術 レベル1 (59/100)
フォークダンス レベル5(25/100)
フォークマスター  レベル0 (25/100)
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