ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第48話 あ、死んだわ。

 雪が敷き詰められた白銀の森の中は静まり返っていて、俺たちの雪を踏みしめる足音だけがやけに大きく耳に残る。

 

 先頭を行くのは門下生の一人で狩人を生業とする狼人種のトールさんだ。普段は森番の下でサニム近隣で狩猟を行っており、今回は森が主戦場になりそうという事でコーケンさんが要請して来て貰っている。本業の狩人抜きで冬の森を駆けるのは、やはり危険であるのだ。

 

 ただ、危険とは言っても前を行くトールさんや他の門下生、それにコーケンさんには悲壮感というか、緊張感的なものはほとんど感じられない。緩んでいるとかそういうのではない。危険だと認識していて、それを飲み込んでいるというべきだろうか。命を失うかもしれない事に恐れはあるのだろうが、その恐れを彼らは巧く飼いならしている。そういう風に感じる。

 

 コーケンさんが見て学べと言っていた事。最初は技術についてを言っていると思っていたが、それだけじゃない。こういった心構えも含めて、全てを見ろという事なんだろう。

 

 

「…………」

 

 

 先頭を行くトールさんが無言で背後にハンドサインを送る。教わっていないもので意味は分からなかったが、それを見た他の門下生たちがさっと音もなく周囲に散っていく。コーケンさんが俺の隣に立ち、ポンと肩に手を置いた。サインはなかったが動くなという事だろう。

 

 トールさんが外套の下から投げナイフを取り出し、ゆっくりとした足取りで少しずつ前へと歩き始める。それまでしていた雪を踏みしめるような足音が消えた。いや、足音自体はあるのだろうがほとんど聞こえないほど小さいのだ。

 

 そうやってゆっくりと一歩、また一歩と歩くトールさんに、不意に地面から飛び出した影が飛びかかっていく。

 

 ヒュッと音がして、何かを切りつけるような音が一つ。それと前後するようにトールさんの手首が動き、投げナイフが雪に覆われた地面に向かって放たれた。

 

 

「ギィィィッ!」

 

 

 甲高い悲鳴が一つ。ついで雪の下から飛び出した子犬ほどの陰に、再び投げナイフが突き刺さる。先ほど合図に従って周囲に散っていた門下生の一人が投げたものだ。

 

 なるほど、彼らが周囲に散っていたのは逃がさないためか。あ、いや。もしかしたら他にも魔物がいるかもしれないと警戒も含むのかな。今も周囲に気を配ってるみたいだし。

 

 トールさん達はそのまま周囲に気を配りながら見て回り、大体5分ほどたった辺りでもうこれ以上近くに敵は居ないと確信したのか、コーケンさんが口を開いた。

 

 

「…………ハグレか? なにかから隠れていたな」

 

「恐らくそうかと。群れが健在であればもっと痕跡があるでしょう」

 

「大狼から隠れていた可能性はあるが、あいつなら雪の下に居る奴でも鼻で探し当てる。大狼が死んだか、動けないのはほぼ確定か……参ったな、あいつが居るからサニム近隣の森は魔物が来なかったんだが」

 

「昨年の犬頭共の時からおかしかったんです。森番のお頭も今年は大狼を見ていないとおっしゃっていました。奴ら、もしかして大狼になにか……」

 

「数日前までは居たはずだ。時期が合わん。村人からも証言があるしな……だからこそ分からんなぁ、分からん」

 

 

 コーケンさんは言いながら帽子の下に手を入れて、ガリガリと頭を掻く。この辺りを縄張りにしていた強い魔物が居なくなってるのが問題、という事なんだろうか。魔物には人間に積極的に危害を加えるものとちょっかいをださなければ手を出してこないものがいる。恐らく二人が話している大狼という魔物は後者なんだろう。

 

 その大狼が森の奥にいる魔物たちからサニム近郊の森を守っていた、というと語弊があるかもしれないが縄張りにしていたから、サニムは魔物被害が少なかったという事か。

 

 あれ。それ、軽く考えてもヤバいんじゃないだろうか。今回の首狩りねずみのように人間にバリバリ危害を加えるタイプの魔物が降りてきたら森に入るなんて出来なくなるし、外街でも森の近くに住んでる人は襲われる可能性だってある。

 

 というか、すでにサニム近隣の森まで魔物が降りてきてる可能性は十分以上にある。秋の終わりまではそれっぽい姿を見なかったが、今回の首狩りねずみのように餌を求めて魔物が森の奥から出てきているとしたら……

 

 

「コーケン師範代。急いでサニムにこの事を知らせないと。伐採祭りは今日もやってます。森の近くに人が集まってる」

 

「ああ……ああ、そうだ。くそっ、七面倒臭い事になっちまったなぁ。トール、周囲を索敵しながら村に戻る! 別の魔物が降りてきていないとは限らんからな。マナとヘロイは村に戻ったら数日の間、村の警護に当たってくれ。森番と話して代わりを送るまでだ。強力な魔物が出てきたら無理をしないで良い」

 

「了解しました」

 

「はい!」

 

「おうけいでっす」

 

 

 トールさん達の返事に頷きを返して、コーケンさんは俺を見た。

 

 

「タロゥ、確かお前、イールィス家やカルホトラ家に顔が効くよな? 繋ぎを付けることは可能か?」

 

「はい。どちらの家の当主様とも商いの契約を交わしております。先方の手が空いているか次第ですが火急の事態と伝えればすぐにお会いできるかと」

 

「すげぇなお前……おじさんダメ元で聞いたつもりだったんだけど。いや、でも助かるわ。悪いがお前は俺に付き合ってくれ。パチン・コ流のコーケンがすぐにお会いしたいと伝えて欲しい。トール! お前は街に戻り次第、森番殿か留守居役の狩猟頭に報告をしてくれ」

 

 

 俺の返答にコーケン師範代は目を丸くしてそう口にした。まぁ6歳児が街のトップ二人と商取引してます、なんて素面で聞いたらなに言ってんだこいつってなるよね。

 

 殺した魔物の死骸は門下生のヘロイさんが背負い、俺たちは村に向かって歩き始める。事は一刻を争う。サニムの森すぐ近くでは今日もひたすら木を切るだけの謎の祭りが開催されているんだ。そんな所に首狩りねずみレベルの魔物が現れれば、大惨事となってしまう。孤児院の仲間たちだって、妹だってあの場には居る筈なんだ。

 

 自然、歩く足にも力が入っていく。力み過ぎると良くないと分かっていても、つい力が入ってしまう。落ち着け、冷静になれ。ふぅーと深呼吸の為に息を吐きだすと、視界が真っ白になる。うわ、俺すげぇ息してるな。ゴ○ラの放射火炎かよ。あとなんかやたらと生臭いし。首筋がちょっと暖かいし。

 

 ……うん。んなわけねぇよな。

 

 ばっと後ろを振り返ると、目と鼻の先に俺の頭位のサイズの牙が迫っているのが目に入る。

 

 あ、死んだわ。

 




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タロゥ(6歳・普人種男) 

生力26 (26.0)
信力93 (93.3)UP
知力25 (25.0)
腕力31 (31.0)
速さ25 (25.0)
器用26  (26.0)
魅力26 (26.0)
幸運15  (15.0)
体力30 (30.0)

技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (31/100)
狩人 レベル3 (73/100)UP
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (33/100)
薬師  レベル1 (71/100)
我流剣士 レベル2 (79/100)
木こり レベル2 (30/100)
楽士 レベル1 (80/100)
教師 レベル1 (27/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル2 (45/100)UP
語り部 レベル0 (25/100)


スキル
夢想具現 レベル2 (32/100)
直感 レベル2  (35/100)UP
格闘術 レベル1  (23/100)
剣術 レベル3  (6/100)
弓術 レベル1  (98/100)
小剣術 レベル1 (98/100)
暗器術 レベル1 (98/100)
斧術  レベル0 (45/100)
フォークダンス レベル5(35/100)
フォークマスター  レベル0 (35/100)
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