ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第52話 タロゥはバカだけど頭は良いし見る目もある。バカだけど

 ズガン、と脳天に拳が振り落とされる。甘んじて受けたとはいえ、目から火花が出るほどの衝撃と痛みに思わず目から涙が出てくる。

 

 

「バカモノォ! う、う、うちの娘を! こんな場に連れ出して!」

 

「はい、すみません」

 

 

 森番のジジさんは黒い体毛を逆立ててそう叫んだ。

 

 当然すぎる怒りだ。治療の為とはいえ、大狼さんの前にネネを連れて行ったんだから。大狼さんはサニムを守ってくれているとはいえ魔物であり、基本的に人間に仇なす存在だ。その魔物の前に可愛い愛娘を連れて行ったと言われて怒らないわけがない。むしろこの一発は当然の報いだろう。

 

 なおも怒りが収まらない様子のジジさんがもう一度、拳を握り締める。

 

 

「お父! タロゥはバカだけど頭は良いし見る目もある。バカだけど。魔獣王ガランはうちを傷つけようともしなかった。許してあげて」

 

「ネネ……! しかし、だなぁ……」

 

 

 もう一発かと歯を食いしばっていると、俺の隣にいたネネがジジさんから俺をかばう様に前に立ってそう口にする。

 

 非常にありがたいんだけど、バカだけどを二回続けたのはどういう意味だろう。大事な事だから二回言ったとかそう言う事か? この猫耳とは後でちょっとお話しないといけんかもしれんな。

 

 

『うむ。敵対した者に牙を向けることはあれど、ワシは子供は食わん。だがつくねは喰う。少年、お替りを所望する』

 

「ガランは約束を違える者じゃないよ、森番殿。それは、この50年奴がサニムに害をなさなかったことからも分かっている事だろう?」

 

「神父様。しかしですねぇ」

 

「私はこの街で30年。魔王戦役の頃から含めれば50年以上、こいつと対峙し続けてきた。こいつの事を一番知っている私が言うんだ。間違いない。それとも森番殿は私の保証は意味がないとお考えかな?」

 

「いえ……そういう訳ではありませんが……」

 

『ほほ。レンツェルはワシの事をよぅ分かっておるようではないか。そうか、こやつとの付き合いももう50年を超えるのか。あの頃は一の勇者についていくだけの若造だった者がなぁ。ところで少年、つくねはまだかえ』

 

「いやどうすりゃいいんだこの状況」

 

 

 俺たちの会話を静かに見ていたレンツェル神父がそう言うと、ジジさんも語気を緩めた。魔王戦役だとか50年生きてる狼ってなんだよとか色々言いたい事はあるが、どうやらこれ以上怒られないぽいのは間違いなさそうだ。いや、ネネを巻き込んだ事は本当に申し訳ないと思ってるからしっかりと叱ってくれても良いんだけどね。

 

 それは良いんだけど、なんだろうかなこの場の空気は。ジジさんとレンツェル神父が醸し出す大人ーな雰囲気の重厚感が大狼さんの一言コメントのせいで一気に台無しになってしまっている。

 

 そして問題は。この大狼さんの言葉は俺にしか分からないって事だ。

 

 

「タロゥ。とはいえ君が今回行った事は、非常に危険な事だったんだよ。それは理解しているね?」

 

「……はい」

 

「場合によってはネネさんに危害が及んでいたかもしれない。結果良ければ全てよし、ではないんだ。出来うる限り危険の目を摘んでおくのも必要なんだよ。そして、君はそれが出来る子だと私は思っている」

 

 

 腰を落とし、俺と目線を合わせながらレンツェル神父はそう口にする。レンツェル神父はどこまでも正しい。今回ネネを巻き込んだのは必要だと思ったからだが、本来はレンツェル神父や大人に頼るのが正解だったのだろう。

 

 ただ……俺はレンツェル神父を信頼しきれなかった。もしかしたら大狼さんや子狼さんに危害を加えるんじゃないかとつい考えてしまったのだ。昨年、コボルトを皆殺しにしたレンツェル神父の姿が頭を過ってしまったのだ。

 

 

『レンツェルを連れてきてもワシは構わんかったぞ。こやつとは30年前から不戦の約定を交わしておるし、こやつの治療術の巧みさはよう知っておるからの』

 

「すんません大狼さん、ちょっとだけ黙っててもらっていいですか?」

 

『つくね』

 

「はい」

 

 

 ジジさんが見ているから背中から取り出したようにしてつくね串を渡すと、大狼さんは嬉しそうに「ワフッ」と鳴いてつくね串を口にした。

 

 その様子を見てネネが「……モモタロさんだ」と余りに不穏な言葉を口にしたが、ちょっと今は待ってほしい。俺の処理能力もそろそろ限界なんだ。

 

 

「すみません、話の腰を折ってしまって」

 

「ああ……いや。もしかして、ガランと会話しているのかい?」

 

「はい。さっきの、食べ物を大狼さんが食べたら急に分かるようになりまして」

 

 

 そんな俺たちのやり取りを見ていたレンツェル神父が、驚いたような表情を浮かべてそう尋ねてくるので頷くと、レンツェル神父は目をぱちくりと瞬かせた後、朗らかな笑顔を浮かべて「そうか……君も」と呟いた。

 

 

「ん、ごほん。だが……よくやった。君がガランの子供を助けたお陰で、街の脅威が一つ。間違いなく減った」

 

「神父様」

 

「結果が全てではないが、それでも結果は結果だよ。森番殿、日が昇ったらガランの子が捕えられていたという塔へ行きましょう。コボルトたちの痕跡を調べなければ」

 

「ええ……ふぅー。タロゥくん、君の軽率な行いを! 父親としての私は許さない。だが、森番としての私は、大狼を助けた君に感謝している……はぁ。次はもう少し、大人を頼りなさい」

 

 

 レンツェル神父の言葉に、ジジさんが仕方なく。本当に仕方なくといった様子で、言葉を絞りだすようにして言った。その言葉に頭を下げると、ジジさんは先ほど拳骨を落とした俺の頭頂部を軽く撫でて、再びため息を吐く。

 

 そんな俺たちのやり取りを眺めていた大狼さんは、『少年、娘にもつくねを所望する』と口にした。

 




タロゥ(6歳・普人種男) 

生力26 (26.0)
信力93 (93.9)UP
知力25 (25.0)
腕力31 (31.0)
速さ25 (25.0)
器用26  (26.0)
魅力26 (26.0)
幸運17  (17.0)UP
体力30 (30.0)

技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (31/100)
狩人 レベル3 (75/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (33/100)
薬師  レベル1 (92/100)UP
我流剣士 レベル2 (79/100)
木こり レベル2 (30/100)
楽士 レベル1 (80/100)
教師 レベル1 (27/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル2 (45/100)
語り部 レベル0 (25/100)
テイマー レベル0 (15/100)UP


スキル
夢想具現 レベル2 (38/100)UP
直感 レベル2  (50/100)
格闘術 レベル1  (23/100)
剣術 レベル3  (6/100)
弓術 レベル1  (98/100)
小剣術 レベル1 (98/100)
暗器術 レベル1 (98/100)
斧術  レベル0 (45/100)
フォークダンス レベル5(35/100)
フォークマスター  レベル0 (35/100)
念話 レベル0 (15/100)UP
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