ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第54話 おえかきする! 兄ちゃといっしょ!

 紙芝居。物語ごとに複数枚を一組に重ねた絵で、一枚ずつ絵を見せながら語り手が物語を伝えるお芝居の一種だ。本来の芝居と違ってこれは絵物語と語り手が居れば完結するため、非常に手軽に物語を言葉と絵で表現できる。

 

 俺は前世でこの紙芝居で数か月ほど飯を食っていた事があり、語り手としては十分すぎるほどの経験を持っている。そのため、後は平絵の絵物語さえあれば紙芝居を行う事も可能だ。

 

 その為には絵を用意しなければいけない。出来れば大きめの堅い紙が必要なんだが、この世界だと紙はそこそこ高級品だ。となってくると手に入るものが夢で見たコンビニで売ってるB4画用紙になるわけだが……一枚じゃ強度が怖いな。ノリを使って二枚重ねにするか。

 

 いや、その前に絵をかかないとな。

 

 

「わくわく」

 

「どきどき」

 

「……どうしたお前ら」

 

 

 画用紙を創り出し、さてなにを書くかと床に画用紙を広げると、妹と孤児院の年少組の子たちが目をキラキラさせながら俺の手元を覗き込んできた。

 

 

「おえかき? 兄ちゃのおえかきはじめて」

 

「ミルも! ミルもおえかきする!」

 

「あー! ずるい! ぼくもー!」

 

 

 孤児院の年少組は、ここ2年で数人増えて現在は8人が在籍している。これは妹も含めた数字だ。まだ外に出て金を稼げる年齢でもないから、この子たちはレンツェル神父に文字や算数を教わりながら元気に遊び回るのが仕事になっている。

 

 妹も一緒になってぼくもわたしもと強請ってくるため、全員分の画用紙とクレヨンを渡す。俺もそうだがこいつらも暇なんだろう。

 

 年少組が御絵描きに夢中になっている隙にさっさと絵を描く。題材は今まさに演劇でやっているモモタロ版桃太郎と……一つだけじゃ少し寂しいから浦島太郎も追加するか。サニムは海の街だし、海がメイン舞台の浦島太郎はウケるんじゃないかな。

 

 

「わぁ……兄ちゃ、おじょーず」

 

「ん? もうお絵描きは良いのか?」

 

「兄ちゃのおえかき、みる」

 

「そか」

 

 

 さらさら~っとモモタロさんを書いていると、妹が俺の絵を見て嬉しそうにそう言った。妹には上手と言われたが、プロに比べればずっと劣る腕前の絵だ。少し恥ずかしいな、と感じながら一組目の絵を描き終わり、そのままクレヨンで色を付けていく。わざわざクレヨンを使っている理由は単に色の種類の問題だ。

 

 一枚目の絵にクレヨンで色を塗っていくと、くいくいと妹が肩を揺すってきた。まってくれシスティ。今は揺れたらズレちゃうんだ。

 

 

「どうしたんだい、システィ」

 

「シス、くれよんやりたい!」

 

「よしきた」

 

 

 先ほど渡したクレヨンを持ってお目目をキラキラさせる妹に、抗う事などできるか。いいや出来ない(確信)

 

 彩色が終わった一枚目の絵を渡して、「こんな風に色を塗るんだよ」と妹に二枚目の絵を渡す。上手くいけば作業が短縮できるし、上手くできなくてもまた描けばいいしなんならその分時間が潰れる。つまりどっちに転んでも良いわけだ、ガハハ! と内心で笑いながら三枚目の彩色に移る。

 

 

「でけた!」

 

「速いな―システィ……そして巧いな。やはりうちの妹は天才だったか……」

 

 

 ただ、どうやらうちの妹はこんな保険なんて必要のない子だったらしい。妹が持ってきた二枚目の絵はクレヨンで幼児が塗ったとは思えないもので、もしかしたら一枚目の俺の彩色よりも上手に仕上がっているかもしれない。

 

 

「システィ、こっちの絵も色を塗ってみないか?」

 

「やる!」

 

 

 確認の意味を込めてまた次の絵を渡し、今度は妹がどのように彩色をするのか見せてもらう。クレヨンを動かす妹の手つきは幼さからかすこし危なっかしい所はあるが、多少のブレはあっても綺麗に彩色が出来ている。年齢を考えれば、破格の出来栄えだろう。

 

 あかん、うちの妹はガチの天才じゃった。これは優勝してまうでぇ。

 

 なにに優勝するかはさておき、これは非常に大きな発見だ。この孤児院ではある程度動ける年齢になると職業訓練も兼ねて働きに出る事になっている。俺やザンムみたいに外の森に行ったり街中へ行ったりと様々な働き方があるが、妹に絵画関係の才能があるなら危険な外での金稼ぎではなく街中での働き口を探す事が可能になるかもしれない。

 

 

「システィ。次はこっちの絵に色を塗って見てくれ」

 

「うん!」

 

 

 一先ずは、色塗りを全て終わったら。次に書く絵は妹と一緒に書いてみるか。彩色は出来ても絵を描くとなるとまた勝手が変わってくるしな。だが、妹の手つきを見ているとこれは書き方を教えればそのまま描けそうな気がするんだよな。

 

 一先ずは絵をどういう風に書くのかを実演してみて、妹にそれを真似して書いてもらう所から始めるか。漫画家も含めてほとんどすべての画家はそこにあるものを描写することで絵の描き方を学んでいく。まずは扱いなれているクレヨンを使って真似させて、その次にペンを握らせるのが良いかな?

 

 

「これが終わったら一緒に絵を描いてみるか?」

 

「おえかきする! 兄ちゃといっしょ!」

 

「そっか。なら一緒に描こう。絵を描き終わったら一緒にラーメン食べような、システィ」

 

「カレーがいい」

 

「はい」

 

 

 天使のような声でそう笑う妹に、うんうんと頷いて彩色に戻る。暇つぶしのつもりで紙芝居を作っていたら、もっといい暇つぶしが見つかった気がする。妹に絵を教える。全世界のアニキたちが羨む光景がここにある。

 

 これも行動を起こしたからと考えると、やっぱり何事もやってみるってのは大事だな。

 




タロゥ(6歳・普人種男) 

生力26 (26.0)
信力94 (94.6)UP
知力25 (25.0)
腕力31 (31.0)
速さ26 (26.0)UP
器用26  (26.0)
魅力26 (26.0)
幸運18  (18.0)UP
体力30 (30.0)

技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (31/100)
狩人 レベル3 (75/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (33/100)
薬師  レベル1 (92/100)
我流剣士 レベル2 (79/100)
木こり レベル2 (30/100)
楽士 レベル1 (80/100)
教師 レベル1 (27/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル2 (45/100)
テイマー レベル0 (20/100)UP
絵師 レベル2 (25/100)NEW
語り部(紙芝居) レベル3 (72/100)RANK UP

スキル
夢想具現 レベル2 (42/100)UP
直感 レベル2  (50/100)
格闘術 レベル1  (23/100)
剣術 レベル3  (6/100)
弓術 レベル1  (98/100)
小剣術 レベル1 (98/100)
暗器術 レベル1 (98/100)
斧術  レベル0 (45/100)
フォークダンス レベル5(35/100)
フォークマスター  レベル0 (35/100)
念話 レベル0 (20/100)
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