ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第57話 お前も来いよピッグス! 指揮棒なんか捨ててかかってこい!

神聖歴579年 冬の終わり月 31日

 

 

 今年も終わりの日がやってきた。冬の厳しい寒さから少しずつ春へと近づいていく日差しを感じながら、孤児院の子供たちは孤児院の前へと集まった。

 

 

「今年も無事に一年が終わりました。これも皆の努力と、勤勉によるものでしょう」

 

「神父様、そこはマリア様のご加護が~とかじゃないんですか?」

 

「マリア様は自助努力こそを尊ぶ方です。マリア様のお力は必死に努力をして、あと一歩届かない。祈るしかない時に縋るものなのですよ」

 

「結構厳しい、厳しくない……?」

 

 

 一年の締めくくりという事でレンツェル神父が語り掛ける中、今日が孤児院最後の日であるピッグスが軽口を叩き、その言葉に子供たちがケラケラと笑い声をあげる。この豚と同じ屋根で過ごすのは今日が最後か。なんだかんだ楽しい日々だったな。

 

 神父様のお言葉が終わった後、孤児たちは年少組と年長組の二列に分かれて列を作る。ここからが今日の本番であり、レンツェル神父とピッグスが今年の一年かけてきた成果の発表の場でもある。

 

 

「それでは今年の無事と来年の期待を込めて、マリア様へ聖歌を捧げましょう。ピッグス、準備を」

 

「はい!」

 

 

 昨年末。適当なノリで歌った合唱会がレンツェル神父は大変お気に召したらしく、今年に入ってからは暇を見てはピッグスたち年長組とあーでもないこーでもないと聖歌を作ったり、歌ったりしていたのだ。その一年の集大成をこの場で披露するのだという。

 

 もちろんあくまでもマリア様へ捧げる聖歌なのだから別に宣伝なんかしていない。孤児院と関りのある人には年末にこういう催しをするとは伝えてあるけど、それだって話のついでくらいに、である。

 

 ただ、サニムの冬はほんとーに娯楽がない。木こりが半裸で寒い中、木を伐採し続けるのを囃し立てる謎の祭りが開催されるくらいには娯楽がない。今年は新しい演劇が出来たって事で例年より上流階級は暇を潰せたが、庶民は祭り会場で焚火に当たりながらフォークダンスを踊るしか娯楽がないのだ。

 

 故に、今年最後の日にこういう合唱会があると伝われば瞬く間に噂は広まり、去年は孤児院の中で行った合唱会も余りに見物客が多いため急遽外で行う事になったほどだ。春に近い年末でよかった。もう一月前だと間違いなく風邪を引く子が出てたぞ。

 

 

「タロゥ、演奏は頼むぞ」

 

「あいよ」

 

 

 ピッグスに声をかけられたので適当に返事をする。去年みたいに手拍子足拍子のアカペラでも良いと思うんだが、今年はちゃんとした演奏をってレンツェル神父が拘っちゃったからな。とはいえこの孤児院で演奏らしい演奏ができるのは俺とピッグスぐらいだ。もちろん他の子供にも楽器を覚えて貰おうとしてるんだが、流石に一から楽器を覚えさせるのは大変で、年長組のアリスとケイが練習中だが今日には間に合わなかった。

 

 そうなると残るは俺とピッグスなわけだが、ピッグスは指揮に回るため実質俺一人という事になる。合唱隊10余名に演奏俺一人である。パイプオルガンかなんか持ってこいと思ったがそんな複雑で高価な楽器がこの孤児院にあるわけがない。というかこの世界にも存在するか怪しい。とはいえレンツェル神父がすっごい気合入ってるしここで無理ですって言うのもちょっと言いにくい。

 

 ではどうするかという時、俺が頼ったのはこの街一番の鍛冶屋と自身のスキルだった。

 

 

チャルメールル。チャルメルメルー

 

 

 カッチン親方に頼んで作ってもらった非常に簡素な形のラッパを吹き、ラーメンが食べたくなるラッパ音を自分なりにアレンジして吹き鳴らす。ラッパの吹き方は紙芝居屋をやってる時に文字通り死ぬ気で覚えたからな。体が変わっても魂が演奏方法を覚えている。

 

 

チャルメールル。チャルメルメルー

 

 

 俺の演奏に合わせて孤児院の仲間たちがマリア様への感謝と日々の営み、隣人たちへの愛を歌っているが、俺の気分は前世の頃。紙芝居の屋台を引いて、屋台に備え付けたポットで駄菓子として売っていた豚メーンにお湯を注いだあの日へと戻っていた。

 

 駄菓子を買ってくれたホスト狂いのキャバ嬢とホームレスを相手に一芝居打った後。寒空の下で豚メーンにお湯を注ぎ、白い息と湯気を吐きながらズルズルと麺を啜る。金は無かったが、あの頃の俺はしっかりと日々を生きていたなぁと笑いがこみ上げてくる。その後の会社勤めは思い返す度に涙が出てくるが。

 

 

「あ、おいタロゥ! どこに行くんだよ!」

 

 

 なんて思い出に耽っていたら、背後からピッグスの声がする。あれ、何時の間にお前後ろに回ったんだと振り向くと、ピッグスと孤児たちの合唱隊は最初の位置から一歩も動いていなかった。しまった、無意識のうちにラッパ吹きながら歩いてしまっていたか。

 

 前世でラッパ吹いてる時は、大体屋台引きながら歩いて吹いてたからなぁ。魂に染みついたとおりに演奏したらそこまで再現しちゃったって事だろう。テストの時は椅子に座って吹いてたから気付かなかったな。というか立ち止まって吹く方法が分からん。なんか勝手に足が動いちゃうんだけど。

 

 ……いや、ここは逆転の発想だ。立ち止まってラッパを吹く方法を考えるじゃない。歩いちゃってもいいさって考えれば良いんだ。

 

 

「という訳でこのまま街を練り歩くぞピッグス! 街にのりこめー!」

 

「なに勝手に言い出してんだこのバカ! あ、こらシスティついていくな! ザンムも一緒になるんじゃねーよ!」

 

「のりこめー!」

 

「のりこめー」

 

「お前も来いよピッグス! 指揮棒なんか捨ててかかってこい!」

 

「ふざけんなバカ! ぶっひぃ!」

 

 

 という訳で勝手に街に向かって歩き出した訳だが、なんだかんだとノリがいい孤児院の仲間たちはそのまま俺についてきたので、皆で歌いながら街を練り歩いた。まぁなんだ。世の中にはパレードってものも存在するし聖歌隊が歌いながら町を練り歩くってのも風情があって良いんじゃないか?

 

 街の反応も良かったし、なによりレンツェル神父も楽しそうだったしね。

 




タロゥ(6歳・普人種男) 

生力27 (27.0)UP
信力96 (96.9)UP
知力26 (26.0)UP
腕力32 (31.0)UP
速さ26 (26.0)
器用28  (28.0)UP
魅力27 (27.0)UP
幸運18  (18.0)
体力30 (30.0)

技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (41/100)UP
狩人 レベル3 (75/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (33/100)
薬師  レベル1 (92/100)
我流剣士 レベル2 (93/100)UP
木こり レベル2 (45/100)UP
楽士 レベル2 (3/100)UP
教師 レベル1 (48/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル2 (67/100)UP
テイマー レベル0 (20/100)
絵師 レベル2 (45/100)
語り部(紙芝居) レベル4 (35/100)UP

スキル
夢想具現 レベル2 (63/100)UP
直感 レベル2  (52/100)UP
格闘術 レベル1  (47/100)UP
剣術 レベル3  (30/100)UP
弓術 レベル1  (100/100)―
小剣術 レベル1 (100/100)―
暗器術 レベル1 (100/100)―
斧術  レベル0 (68/100)UP
フォークダンス レベル5(35/100)
フォークマスター  レベル0 (35/100)
念話 レベル0 (20/100)
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