ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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誤字修正、白鞘侍様、7GARA様ありがとうございます


第60話 人類最強の大バカ野郎でしたよ

 魔王マオ・アドゥ。伝え聞く容姿は森人種の女性なのだが、伝承によっては身の丈50mほどの怪物とも幾重にも重なった影で出来た化け物とも言われている。

 

 50数年前、世界中の魔族を束ねて人類に宣戦布告し、人類側の国家を複数転覆させたまさしく人類種の天敵とも呼ばれる存在だ。実はこの魔王と俺の住むサニムはちょっとしたかかわりがあったりする。

 

 というのも、サニムが所属する都市国家連合はこの魔王マオ・アドゥが一の勇者と戦った際、戦場となった宗教国家マリア聖王国が前身となっているのだ。といっても当時の首都、聖都マリア・サマァ・ガミテルは魔王と勇者の手によって都市を吹っ飛ばされたため、その統治下にあった都市国家たちが自分たちの身を守るために連合した事によって生まれた共同体なのだが。

 

 つまりサニムは魔王によって独立した国家になったわけだ。ただまぁこの宗教国家当時からかなぁり評判が悪かったみたいで、都市国家たちも割とノリノリで独立したみたいだ。マリア教を主教とする国だったそうだが、所属する都市からの上納金を使って上層部は毎夜毎晩酒池肉林の宴を催していたらしいし、バリバリ人種差別主義で普人種以外の人種は全てどういう出自の者でも奴隷扱いだ。

 

 ちなみにマリア教の教えでは人種差別なんて1ミリも唱えてない。なんならマリア様の教えを伝える高弟には森人種や狼人種、兎人種も居て、彼らは聖人として扱われていたのが当時の教皇の一言でいきなり教典から消されたりしていたらしい。ソースはそれを間近で見ていたレンツェル神父だ。

 

 レンツェル神父も森人種のため奴隷扱いを受ける所だったんだが、当時すでにマリア教の聖騎士として高名を馳せていたレンツェル神父を奴隷に落とすのは流石に無理だったらしく、時の教皇は「破門となるか魔王を殺してくるか」の二択をレンツェル神父に迫り、レンツェル神父は百人の勇者の一人として魔王軍と戦う事になったそうだ。

 

 

「無茶苦茶ですやん。よくそんな事できましたねその教皇」

 

「あの男は人の心を操るスキルを持っていたらしいですね。宗教に携わる者は他者の心を容易に操ってはならないというマリア教でも最も厳しく戒められている事を、奴は己の権力欲の為に破っていました。聖都の消失によってかの教皇も死亡し、影響下にあったマリア教の人々もスキルの影響から逃れたため死後破門とされましたがかの人物の影響でマリア教は一時期邪教のそしりを受ける事となりました。現代では破戒教皇と呼ばれています」

 

 

 吐き捨てるようにレンツェル神父は言った。破戒教皇。なんだか破壊王みたいでカッコいいと思ったのは内緒だ。口に出したら流石にレンツェル神父も怒っちゃうだろうしね。

 

 さて、マリア教のあれこれも少し気になるが、肝心かなめの『一の勇者』についてだ。大狼さん曰くレンツェル神父は『一の勇者』と一緒にいる事が多かったみたいだし、かの人物についてどの資料を見るよりも詳しく知ることが出来る、と思っていたのだけども。

 

 俺の質問に対してレンツェル神父は、朗らかな笑顔を浮かべてただ一言、こう言い切った。

 

 

「『一の勇者』ユーキ。あいつは人類最強の大バカ野郎でしたよ。バカすぎて、最強にまで至ったんです」

 

 

 

 

 

「コーケン師範代。バカすぎて最強になるって、どういう意味だと思いますか?」

 

「えぇ……戦闘者は頭回らんとダメだろ。バカはどんだけ力があろうとあっさり躓いて刈り取られるぞ」

 

 

 最近、鎧から板金鎧にジョブチェンジした重しを着たままコーケンさんと組打ちを行う。ある程度の型が決まった動きだけだが、これがまた奥が深いのだ。動きはスローなのに、組み立て方をどれだけ工夫しても必ず最後にはコーケンさんに組み伏せられてしまう。

 

 ただ、この組打ちを始めてから伸び悩んでいた戦闘術関連の経験値がググーンと伸びている。具体的に言うと、パチン・コ流戦闘術レベル2 (67/100)だったのがこの組打ちを始めて10日もせずにパチン・コ流戦闘術レベル2 (85/100)へと跳ね上がったのだ。

 

 それにレベル1で上限が来ていた弓術なんかも組打ちを始めた日にレベル2になった。これを見て思った事は、武術関係のスキルとかはこういった段階を踏んでからレベルアップするんじゃないかって事だ。もっと言うとそのスキルに対する理解度が上がったら、それに合わせて技能もついてくる、みたいな感じかな。

 

 剣術だけはレベル2を超えたのも、前世で軽く習ってたからと武術の中では比較的目にしやすいものだったからじゃないかな。全く触れた事が無い弓術は構えから理解していかなきゃいけなかったけど、剣術は触りくらいは学校で教えられたしね。

 

 それを言うと格闘術もレベルキャップは無かったかもしれない。殴り合いとかの経験くらいあるし空手や柔道も触りだけとはいえ齧った事はあるから、少なくともレベル1で止まるってのはなさそうだ。

 

 

「そろそろ夕方か。そうだタロゥ、今夜はうちに飯を食べに来ないか。うちのカミさんのシチューは絶品だぞ。娘もお前と会ってみたいと言っていてだな」

 

「あ、それは光栄なんですが……今夜はちょっと」

 

「なんだ。孤児院には俺の方から使いを出しておくぞ?」

 

「いえ、実はイールィス家との付き合いのようなものに行かなければいけないんです」

 

「あぁ……もしかして週一のアレ関連か」

 

 

 俺の言葉にコーケンさんがなにかを察したかのように頷き、残念そうに肩を落とす。コーケンさん、こないだ結果的にとはいえ俺を大狼さんに攫われちゃった件から前より随分と気にかけてくれるようになったんだよね。

 

 特に自宅に御呼ばれするなんてかなり年季が入った弟子でもされたことがないらしく、一緒に森へ行ったトールさんは10年門弟をやっていたのに呼ばれた事がない、と嘆いてた。なんでもコーケンさんは奥さんとお子さんを大事にされてて、道場関係の人も滅多に合わせないんだって。飲みに誘っても毎晩「妻が家でご飯を作ってるから」といって断るんだって。

 

 そんな場所に誘ってくれるなんて、相当気を使われてるって事なんだろうな。ただ、あの件は相手が大狼さんという近隣最強格相手だったから起きた事であり、コーケンさんが全部悪いって訳でもないんだけどなぁ。

 

 あ、そうだ。気を使われてばっかりなのもなんだし、日ごろお世話になっている礼をしてみるか。プレオープンだから人を呼んでも良いって言われてるしね。本当は妹を連れていくつもりだったんだけど、よく考えたらハイラルさんが来そうだしあの子をあの人に合わせたくないんだよな。

 

 

「コーケン師範代。お誘いを断ってなんですが、もしよければ僕の用事に一緒に来られますか? 美味しいものが食べられますよ」

 

「うん? いや、俺はね。パーティー的なのは苦手なんだよ。妻が料理を作って待っててくれてるしねぇ」

 

「そうですか……残念です。奥様を大事にされてるんですね」

 

「いやぁ。俺には本当にもったいない出来た妻と娘でねぇ」

 

 

 俺の言葉にコーケンさんは照れくさそうに頭を掻く。本当に奥さんが好きなんだろうな。そりゃ仕事が終わったらすぐ家に帰るわ。こんな愛妻家を夕飯に誘うなんて、無粋しちまったな。

 

 

「分かりました。残念ですが、ラーメンレストランの開店パーティーには俺一人で行ってきます」

 

「ちょっと待っていてくれるか。妻には今夜のご飯はいらないと伝えてくる」

 

「コーケン師範代?」

 

「あの。妻と娘も連れて行っていいかな?」

 

「コーケン師範代???」

 

 

 まぁ、構わないんだけども。そう伝えるとコーケンさんはとても嬉しそうな表情でそそくさと道場を出ていった。ついさっきまでのちょっとした感動がゴミ溜めにダンクシュートされた気分だ。

 




タロゥ(6歳・普人種男) 

生力27 (27.0)
信力98 (98.3)UP
知力26 (26.0)
腕力32 (31.0)
速さ26 (26.0)
器用28  (28.0)
魅力27 (27.0)
幸運18  (18.0)
体力30 (30.0)


技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (51/100)
狩人 レベル3 (82/100)
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (35/100)
薬師  レベル1 (95/100)
我流剣士 レベル3 (13/100)UP
木こり レベル2 (45/100)
楽士 レベル2 (3/100)
教師 レベル1 (48/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル3 (2/100)UP
テイマー レベル0 (35/100)UP
絵師 レベル2 (45/100)
語り部(紙芝居) レベル4 (35/100)


スキル
夢想具現 レベル2 (72/100)UP
直感 レベル2  (60/100)UP
格闘術 レベル1  (78/100)UP
剣術 レベル3  (90/100)UP
弓術 レベル2  (28/100)UP
小剣術 レベル2 (28/100)UP
暗器術 レベル2 (28/100)UP
斧術  レベル1 (20/100)UP
フォークダンス レベル5(35/100)
フォークマスター  レベル0 (35/100)
念話 レベル0 (35/100)
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