ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第69話 ラーメンの普及に一役買ってくれたアンタへのご褒美なんだから

神聖歴580年 冬の中月 20日 ラーメンレストランHanJiro

 

 

「おいしいね、兄ちゃ」

 

「ああ、美味しいねシスティ」

 

 

 ズルズルと麺を啜る妹を眺めながら、ラーメンを啜る。至福のひと時だ。このために生きていると言っても過言ではないだろう。

 

 その上ただ飯である。ただで食べる飯と書いてただ飯だ。信力を使ってラーメンを作るとかそういうのではない。本当の意味で一切自分の労力を使わずにラーメンを食べる。このラーメンが無かった世界でこれが出来る人間が、どれほど居るだろうか。

 

 かつてこの地に存在した。もしくは今も存在しているかもしれない前世を同じくする人々の中でも、このような幸せを嚙みしめた人間は俺以外に居ないだろう。

 

 

「お口に合いましたか」

 

 

 まぁ、労力を使わずに、というのは流石に語弊があるか。俺の様子を固唾を飲んで見守るシェフに、笑顔を浮かべて感想を述べる。

 

 

「美味しいです。良い点も悪い点もありましたが、美味と自信を持って言える味ですね」

 

「そうですか! その、悪い点と良い点をお伺いしても」

 

「もちろんですよ。そのために俺に試食を頼んだんですよね? ただ、これはあくまでも俺の感想だという事を踏まえてください。良い点はスープ本来のうま味がしっかりと出ている点と、麺との相性が抜群に良かった所。悪い点は余計な調味料を多く用意しすぎてる点ですね。ラーメン単体に関しては非常に良い出来栄えだと思いました」

 

「なるほど……ただ、この街の富裕層はその。用意された調味料を全てかけるのがトレンドと言いますか」

 

「……みたいですね。まぁ、それはもう文化という事で。しょうがないのかな。うん。これはあくまでも個人の感想。参考程度にとどめて頂ければと思います」

 

「いえ! ラーメンマスターと呼ばれる貴方の舌を疑うなど!」

 

 

 何時の間にラーメンマスターとかいう大仰な名前で呼ばれてるけど、俺がこのラーメンレストランに来たのってプレオープンの時だけなんだけどね。

 

 なのになぜか店内の一角には5大商家の人と俺が食べるように常に開いている席が一つあるんだ。不思議だね。なんでその枠と俺を同一においてんだよ。

 

 

「あの、それは。お嬢様の指示でし……」

 

「マリネ! 余計な事を言うな! 違うわよタロゥ、これはラーメンの普及に一役買ってくれたアンタへのご褒美なんだから」

 

「お、おう……」

 

 

 同じ卓を囲んでラーメンを食べていたロゼッタが、人を殺しそうな視線を向けてシェフへ叱責を飛ばす。業務上の機密漏洩に当たるとかかな。でも利益享受者である俺には伝えて貰っても良いことだと思うんだけど。

 

 まぁ、ロゼッタが止めたって事はダメなんだろう。うん。そんな事より妹の口周りがとんこつスープで汚れてる方が大事だ。

 

 

「ほら、システィ。お口を拭こうな」

 

「ん~」

 

「よし、綺麗になった」

 

 

 口周りを綺麗にしてあげると、妹は嬉しそうにほほ笑んだ。天使か。天使だったわ。料理が口に合ってるんだろう。今回、妹に用意されたラーメンはお子様セットのひな型とでも言うべきもので、ミニサイズの醤油ラーメンの他に子供が喜びそうな肉料理やスープ、更に食後に食べるための甘味もつけられている。

 

 本当は野菜サラダも用意したかったんだが、メイン料理にサラダセットという文化がこの国には根付いてないので今回は諦める。いちおうシェフに注文して用意してもらったサラダはドレッシングは甘みを感じるもので、これなら野菜が嫌いな子でも比較的食べやすいんじゃないかというものなんだが。

 

 

「野菜は、お腹が空いた時にお腹を安く満たすためのものでしょ?」

 

 

 上流階級であるロゼッタからしてこの程度の認識である。ただ、これもしょうがないというか野菜を美味しく食べる料理ってのがこの国にはあんまりない。基本的にこの国というか世界では肉料理と穀物がメインで、野菜はその付け合わせとボリュームを満たすための存在だと思われてるっぽい。

 

 まぁ、この世界の野菜自体がそれほど美味しくないってのも大きいんだろうな。前世の日本だと品種改良しまくった野菜だったから、そのままかじりついても美味しいものが結構あったけどこの世界の野菜はすっげー渋いんだ。

 

 極貧時代の遺産として孤児院の庭でもいくらか野菜は作ってるんだが、その野菜がまぁ美味しくない。食べる物が増えてきた現状、あまり好んで食べる奴はいないくらいには。レンツェル神父くらいかな。あれを喜んで食べるのは。

 

 やっぱり前世の日本は、飯美味かったよなぁ。あの世界の野菜とか肉をこっちでも作れれば、信力の心配なく美味いものをどんどん作れるんだが。ただ、俺の夢想具現で出せるものは最初に見た行きつけのラーメン屋とコンビニ、それにキャンプ場にブラックマーケットの4か所に置いてあったものだ。

 

 最初の三つには当然として、ブラックマーケットには確か豚も牛も売ってたが流石に絞められてるしそもそも高すぎて買える気がしない。あとは鳥……鳥かぁ。

 

 鳥は、ワンチャンあるんじゃないか? ブラックマーケットには鳥と一緒に卵も売られていたが、ああいう所で売られているものが無精卵なわけないから有精卵の可能性が高い。あとはその鳥を育てれば雄鶏なら肉に、雌鶏なら卵を取ることが出来る。更に夢には黒い鶏の姿もあったから、多分烏骨鶏も取り扱ってるはずだ。

 

 烏骨鶏の卵を育てれば、この世界でも最高級に近い鶏肉と鶏がらを手に入れる事が出来るようになるはず。恐らく現在進行形でラーメンレストランを模倣しようという連中は多く居るだろうが、ここでラーメンレストランだけで扱う烏骨鶏スープのラーメンなんて提供すればこの店の立場は不動のものとなるだろう。多分。

 

 ただ、鳥小屋は匂うんだよなぁ。孤児院の庭に作るともろに匂いが来るから正直あそこには立てたくない。そうなると庭の野菜畑がやっぱりデッドスペースというか余り役に立たない場所のままで……あ、ジャガイモでも植えるか。あれなら孤児のなんちゃって農夫でも育つだろうしね。

 




タロゥ(7歳・普人種男) 

生力33 (33.0)UP
信力99 (99.9)ー
知力32 (32.0)UP
腕力38 (38.0)
速さ33 (33.0)UP
器用33  (33.0)
魅力31 (31.0)
幸運20  (20.0)
体力34 (34.0)


技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル3 (100/100)ー
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (90/100)
薬師  レベル2 (72/100)UP
我流剣士 レベル4 (20/100)UP
木こり レベル2 (61/100)UP
楽士 レベル2 (83/100)UP
教師 レベル2 (45/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル4 (56/100)UP
テイマー レベル0 (61/100)UP
絵師 レベル2 (78/100)UP
語り部(紙芝居) レベル4 (84/100)UP


スキル
夢想具現 レベル2 (100/100)―
直感 レベル3  (18/100)UP
格闘術 レベル3  (0/100)UP
剣術 レベル4  (68/100)UP
弓術 レベル3  (59/100)UP
小剣術 レベル3 (59/100)UP
暗器術 レベル3 (59/100)UP
斧術  レベル2 (51/100)UP
フォークダンス レベル5(40/100)
フォークマスター  レベル0 (40/100)
念話 レベル0 (58/100)UP
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