ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第81話 くそぼけがー

神聖歴581年 冬の始め月 5日

 

 

「イールィス家のロゼッタよ。今回の商隊はサニム領内の外延部にある5つの農村と8つの町をぐるっと巡って冬の間にサニムに戻るのが目的となるわ」

 

 

 緊張した面持ちでロゼッタが声を張り上げる。イールィス家傘下の商人8名とその使用人が30名、冒険者と傭兵合わせて20名の護衛隊という大所帯は、彼女の指揮のもとサニムの領内をぐるっと回って商いを行う。取り扱うものは冬の間に品不足が見込まれる生活物資などであり、商隊というよりはサニムという寄り親から周辺への支援にも等しいものだが、商いは商いだ。

 

 サニム内部での商いはすでに何度も行っているロゼッタだが、今回のような商隊を率いての商いは完全に初体験となる。ダリルウさんは自分の後継者としてロゼッタに期待しているが、期待しているからこそ獅子は我が子を谷に突き落とす事もある。今回の件はロゼッタにとって得難い経験を得る機会であると共にイールィス家の後継者としての資質を問われる場面でもあるのだ。

 

 今回、俺達は護衛隊の一員ではなくロゼッタ付きの護衛として雇われている。商隊の護衛ではなくロゼッタの護衛だ。これは若い女子であるロゼッタの身近にせめて気心が知れた同年代の知り合いを置きたいというダリルウさんの親心だと俺は思っている。

 

 その心意気に全力で応えるため、俺はこの1月。フィアナさんから学んだマナーに乗っ取り、ロゼッタの直ぐ傍に侍るのにふさわしい格好をして、ロゼッタの直ぐ傍に侍るに相応しい行動と言動をしなければいけないのだ。

 

 

「お嬢様、お茶のお替りをお持ちしました」

 

「えっ、うん。ありがとう」

 

「喉に良いハーブを煎じたものになります。商隊の皆様もどうぞ」

 

「あ。ああ、こりゃどうも」

 

「おお、あったけぇな」

 

 

 燕尾服を着た俺の言葉に、先ほどまで値踏みするような眼でロゼッタを見ていた商人たちも毒気を抜かれたのか。少し表情を緩めて俺の用意したお茶に口を付けた。こいつはネネが冬場に飲むならとオススメしてくれたお茶だ。喉に良いだけでなく体も温まるから辛い寒空の下の旅もこのお茶を飲めば多少は楽になるはずだ。

 

 そして少し気が緩んだ空気をロゼッタは見逃さなかった。長旅だと揉めることになる馬車の並び――これは襲撃が起きやすい最前列と最後尾は誰もやりたがらないため――についてはローテーションで回していく事、それに護衛隊の費用の負担に関しては利益に関係なく頭割で負担するなどという点を決めていく。

 

 会議が終わった頃には、だれもロゼッタを侮るものは居なくなっていた。ロゼッタの商隊デビューの一歩目は、まず順調な足取りだと言えるだろう。

 

 

「護衛隊の方はどうだった?」

 

「ようへーたいのお頭さんとーぼうけんしゃがわのリーダーとは話したよー。やくわりぶんたんもあっさりおわったかなー」

 

 

 さて、商隊を運営する上で話を通すのは商人だけではない。俺達と彼らを護衛する傭兵と冒険者ともちゃんと話し合いは行っておかないといざという時に動きがバラバラで被害甚大、なんて事が起こるかもしれないからね。

 

 そのため、商隊が出発する前に大まかな護衛の方針を決めておくんだけど、こっちにはロゼッタは出席せず彼女の補佐をするイールィス家の番頭さんが彼らとの話し合いを担当した。

 

 これは、傭兵や冒険者が荒事を専門とする連中のためだ。ロゼッタはイールィス家の跡取り。その肩書を知っている商人たちは彼女を尊重してくれるが、傭兵や冒険者は肩書の前に見た目で判断する事が多い。女の子が矢面にたって話を進めようとすると舐めてかかってくる可能性があるため、補佐に大人がついているわけだな。

 

 まぁ、それ以外にも。ダリルウさんとしてもロゼッタに期待はしているけど、もし万が一ロゼッタが役割を全うできなかったって時の為の保険が彼なんだろう。

 

 その番頭さんの話し合いに、ザンムは番頭さんに請われて専属護衛という名目でついていったのだが、これが番頭さんからは非常に高評価だった。話がスムーズに進んだのはザンムのお陰だという。

 

 ザンムは11の子供だが、見た目だけで言うと2m越えの体躯に全身を鎧で固めた熊人だ。この全身鎧はパチン・コ流の道場に居るザンムの先輩、熊人種のタイガーさんの鎧を譲り受けてザンムの体躯に合わせるように調整したお古なのだが、全身鎧は全身鎧。

 

 こんなものを着こんで特に苦も無く動いてる巨漢が背後に控えている。それだけで傭兵隊は番頭さんを舐めてかかる事はなく、ザンムの事を知ってる冒険者のリーダーもザンムの勤勉さを知ってるから番頭さんとの話し合いに口を挟むこともなく、終始和やかに護衛の取り決めは終わったそうだ。

 

 

「ねぇ、タロゥ」

 

「はい、如何されましたかお嬢様?」

 

「……良い。その呼び方は良いんだけど、その恰好、なに?」

 

「燕尾服ですが」

 

「そうじゃない。そうじゃないのよ……!」

 

 

 俺とザンムの言葉を聞いていたお嬢様ことロゼッタが、なにか釈然としないような様子で俺に話しかけてくる。もうすぐ出発だからお花摘みはご遠慮願いたいのだが、どうもそんな様子でもない。

 

 おいおい、今日はお前の晴れ舞台になるんだからしっかりと体調管理をしとかないといけないだろ――なんて戯言は言わないでおく。こういう空気の時にこんな軽口言ったらひどい目に合うって事は俺も学習したからね。女心は難しい。これはどの世界も共通だ。

 

 

「じっさいーなんでそのかっこうなのー?」

 

「この格好ならロゼッタの傍に控えててもおかしくないだろ? 見た目の威圧はザンムが控えてりゃ十分だしな」

 

「……ちゃんと考えがあるならそう言いなさいよ! まったく! その宣言通り、私から離れるんじゃないわよ!」

 

 

 俺の言葉にロゼッタはぷりぷりとした口調で、でもやたらと上機嫌な表情で馬車に乗り込んだ。忙しない奴だなぁ。

 

 

「タロゥってーそのうちさされるよー」

 

「なんでだよ。特に理由なく刺される覚えはないぞ?」

 

「くそぼけがー」

 

 

 何故か頼れる相棒に罵倒されながら、俺たちは一番豪華な馬車に乗り込んだ。これから一昼夜かけて最初の農村へと向かう事になる。キャラバンに同行するなんて前世でも経験した事なかったからな。仕事とはいえ、少し楽しみだ。

 




タロゥ(8歳・普人種男) 

生力37 (37.0)
信力99 (99.9)ー
知力35 (35.0)
腕力42 (42.0)UP
速さ37 (37.0)UP
器用38  (38.0)UP
魅力34 (34.0)
幸運24  (24.0)
体力36 (36.0)


技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル3 (100/100)ー
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師  レベル3 (35/100)UP
我流剣士 レベル4 (100/100)ー
木こり レベル2 (70/100)
楽士 レベル3 (30/100)UP
教師 レベル2 (94/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル5 (67/100)UP
テイマー レベル0 (92/100)UP
絵師 レベル3 (33/100)UP
語り部(紙芝居) レベル5 (36/100)UP
水兵 レベル1 (1/100)
執事 レベル1(30/100)NEW!


スキル
夢想具現 レベル2 (100/100)ー
直感 レベル3  (89/100)UP
格闘術 レベル4  (68/100)UP
剣術 レベル5  (100/100)ー
弓術 レベル5  (30/100)UP
小剣術 レベル5 (30/100)UP
暗器術 レベル5 (30/100)UP
斧術  レベル4 (23/100)UP
飛行術 レベル0 (34/100)UP
フォークダンス レベル5(40/100)
フォークマスター  レベル0 (40/100)
念話 レベル0 (75/100)UP
女たらし レベル3 (100/100)ー
サニム流マナー レベル1 (15/100)NEW


取得可能スキル
素人○貞 レベル5(100/100)ー
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