ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第9話 初めてのメインウェポン

 神聖歴578年 春の中月 11日

 

 

 森での薪拾い中に遭遇したコボルトたちから命からがら逃げだして、一夜がたち。死肉に惹かれた森の獣が出てきているという事で林への出入りも禁止された俺たちは、暫くの間小銭を稼ぐ手段を失ってしまった。

 

 孤児院の薪は十分備蓄がある。出入り禁止と言っても森の浅場に食べるものがなくなったら獣は奥の方へ帰るだろうし本職の狩人さんがそれらの獣を優先的に狩っているみたいだから数週間の辛抱ではあるのだが、その間現金収入が無くなるのは辛い。

 

 そんな想いと共に、今回の件で痛感した事がある。この世界は、力が無いものは圧倒的に立場が弱いということだ。俺はたまたまレンツェル神父という非常に強力な守護者を得ることが出来たが、もしもこの孤児院の院長先生が戦う力もないごく一般的なイメージの神父様であれば昨日の段階で俺と妹は死んでいたかもしれない。

 

 鍛錬の為に薪拾いを始めてから確かに体はどんどん成長している。このひと月の頑張りがなければ逃げ切る事は出来なかっただろう。俺の努力は確かに昨日、俺の命を助けた。つまり俺がこのひと月していたことは間違っていなかったということだ。

 

 まとまった時間は出来た。現金収入がないのは辛いが、最悪の場合ロゼッタに貯めているラーメン器を売れば多少の銭は稼げる。市場に直接売りに行くのも考えたのだが、俺のようなみすぼらしいガキがこんな高価なものを売りに出せばどこから盗んできたのかと難癖付けられるのがオチだろう。ロゼッタだって自身では売らず大人の使用人を使って売っていたのだ。見た目というのは非常に大事な要素になる。

 

 俺の中でこれからやっていく事の骨子が出来上がってきた。

 

 まずは鍛錬。これが最優先となる。どうやら俺の成長速度はかなり早いらしい。これは技能だけでなくステータス面でもそうで、信力なんかは現在で15もある。これは一般的な大人とそう大差ない数字になる。5歳の俺がひと月の鍛錬でそこらの大人並にステータスを伸ばせたという事だ。スキルの影響で伸ばしやすいってのを考えても、破格の速度だろう。

 

 基本的によく使うステータスは伸びも良いって事だな。信力だけではなく、森歩きを始めてから俺の速さは2から5にまで上昇しているしこの考えは間違っていないはずだ。

 

 それとやはりラーメンだろうな。ひと月前の俺と今の俺じゃあ明らかに肉の付き方が変わっている。これはラーメンという高カロリー食品を摂取する事でこれまで痩せ細ろえるだけだった体にエネルギーをぶち込むことが出来たからだ。やはりラーメン。ラーメンは全てを解決する。

 

 次に、金銭面での自立だ。今までは何をするにもステータスがまるで足りなかった。これは現在も解決していないのだが、このまま順調に成長していけば出来ることも増えていくはずだ。ステータスが上がれば冒険者や傭兵として生計を立てるという道も出てくる。孤児院の先輩には冒険者見習いになったり教会の兵士として取り立てられた人も居るから、そういう道もあるにはある。なんなら俺の現状では一番現実味がある選択肢だ。

 

 問題としては、この世界ではレンツェル神父のような化け物とも戦場で相対する可能性があるって所だろうか。ステータス値3桁の相手と相対すれば秒で命を散らすことになりそうだし、そう考えても鍛錬を続けることは必要だろう。

 

 ……それと並行してなにかしら前世の知識を活かして小銭を稼げないか検討しておこう。街の中で糧を得られるならそれが一番だしね。うん。

 

 

 

 

 

 

「ふんっ! ふんっ!」

 

 

 森歩きが出来なくなったためどういう事をしようかと考えた時、真っ先に思い浮かんだことは真っ白な鎧に剣を佩いたレンツェル神父の姿だった。体育の授業で剣道を軽く触ったこともあるし、他の武器よりも想像がしやすい。素振り位ならそこらに落ちている棒か薪拾いで拾ってきた薪を使っても良いだろう。

 

 そう思っていたのだが、よくよく考えたらそんなものよりもよっぽど良いものを夢見た事があったなと気付き、それを取り出して振り回してみたところ思った以上に使い勝手がいい。やはり持ち手がちゃんとしてる方が棒は振り回しやすいな。

 

 

「タロー、それなにー?」

 

「ぼくとー」

 

 

 ザンムの言葉にそう応えて、仏恥義理(ぶっちぎり)と刻印された木刀を振り回す。前世で通っていたラーメン屋の店長さんが若かりし頃に使っていたものらしく、300回人を殴っても壊れなかった歴戦の兵だと店長さんが笑っていた逸品だ。普通に買えば万は超えそうなものなのだが、足しげく通っていた俺を気に入ってくれたのか店長さんは「たろうちゃんなら1000円で売っちゃる!」と言ってくれていたのを覚えていたのだ。

 

 まぁ店に飾ってあるものだし新品よりは安いかな、とダメもとで夢想具現を使って見たら信力10で出てきたため、今日の夕飯は店長さん一押しのラーメンセット(ギョーザ付き)にしようと思う。利益率が高いからこれを頼め! と身もふたもない事を言っていた店長さんの姿を思い浮かべると少し涙が出てくる。ありがたく木刀、使わせてもらいます。これが俺の今生初めてのメインウェポンだ。

 

 ただ、持ち手に巻かれた包帯? についてる赤黒い模様はなんなんだろうか。俺の知ってる店長さんは笑顔がまぶしい優しそうな初老の男性なんだけどね……

 

 




タロゥ(5歳・普人種男) 

生力9  (9.8)
信力15 (15.3)
知力4  (4.9)
腕力3  (3.6)
速さ5 (5.1)
器用5 (5.3)
魅力4  (4.1)
幸運2  (2.8)
体力4  (4.7)

技能
市民 レベル1 (21/100)
商人 レベル0 (27/100)
狩人 レベル0 (78/100)
調理師 レベル0(62/100) 

スキル
夢想具現 レベル1 (34/100)
直感 レベル0 (3/100) 
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