ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第95話 こいつは、チッとばかし響くぜ

「ゴアアアアアッ!」

 

ボアアアアアッ!

 

 

 超重量の腕と腕がぶつかり合う怪獣決戦。巨大な赤い熊は、あれはもしかしてザンムか? 元々デカかったのにまた随分とデカくなりやがったな。

 

 それでも大きさは山巨人の半分ほど。力と力のぶつかり合いじゃ大分分が悪いようだが、ザンムは殴られた傷も物ともせずに果敢に山巨人へと向かっていく。おかしい。ザンムにしてはやけに動きが単調で、荒々しい。あんな動き、パチン・コ流じゃ教えていないぞ。

 

 止めた方が良さそうだ。そう判断してまっすぐザンムと山巨人のぶつかり合いにバイクを突っ込ませる。サスペンションを軋ませ、反動でバイクを飛び上がらせる。そのままウィップという空中でバイクを横向きにする技術をつかって、ぶつかり合う二体の巨獣の横面をタイヤで跳ね飛ばす。

 

 バイク乗りなら誰でも出来るウィップを行って回転するタイヤを相手にぶつける。名付けてベアナックル車輪タックル。単純だが、ベアナックルの強力なパワーがフルに乗った一撃は5m級の大物にも衝撃を与えたようだ。勢いでザンムにも一発入れちゃったけど。

 

 血走ったザンムの目と、山巨人の目がこちらに向けられる。物理的な圧力すら感じる視線を受けながら、声を張り上げる。

 

 

「ザンム! パチン・コ流の教えはどうしたぁ! 熊人種の力は、ただ振るえば暴力に過ぎない! 技を伴って初めて武になると、何度も教わっただろう!」

 

「…………タロゥ?」

 

 

 真っ赤に充血したザンムの目に、理性の色が見えた。一発良いのを貰って逆上したのかな。まぁ、そう言う事もあるだろう。まだまだ俺もお前も修行の身だ。とちって逆上なんてこと、幾らでもあるさ。

 

 さて、こっちは今ので片付いたとして。片付いたと思いたいが。

 

 

「よう、別嬪さん」

 

ボアアァ

 

 

 エンジンを吹かしながら、山巨人と相対する。体がデカくなったとはいえ、未だにサイズの差は歴然としたもの。

 

 だが、ただデカいだけだ。

 

 懐からタバコを取り出し、一本口にくわえる。先を指で挟んで強くこすって摩擦熱を起こし、深く吸い込んで火をつける。懐かしい味が口から肺へと吸い込まれ、そして吐き出された。

 

 前世だと未成年者の喫煙で捕まっちまうな。そう自分にしか通じないネタを心の中で呟いて、タバコを咥えたまま山巨人へと語り掛ける。

 

 

「アンタの事情は、なんとなく分かった。子供を守りたいんだろう。きっとそうだ」

 

 

 半ば自分の願望である言葉を吐きだしながら、アリスを抱きかかえたままの山巨人の子供をちらりと見る。アリスはラッパを取り上げられているが、傷つけられた様子はない。対して山巨人の子供は泥だらけで、その体躯に比してやせ細っているように見えた。

 

 この村の被害は家畜が数匹。人は襲われていない。ハサウェーさんの「本来山巨人は大人しい魔物」という言葉を考えても、それは本当なんだろう。

 

 

「だけどな。村の物を取っていくのは、駄目なんだよ。そっちにはそっちの事情があっても、村には村のルールがある。あんたはそれを破った」

 

 

 念話を用いて、言葉に信力を乗せて語り掛ける。全てが伝わるわけではないだろうが、ある程度の意思を伝えることは出来ている、と思いたい。左手に仏恥義理(ぶっちぎり)を呼び出す。何故か俺の身の丈を大きく超えるほどに成長した仏恥義理(ぶっちぎり)を肩に担ぐ。

 

 

「ケジメはつけなきゃいけねぇ。分かるな?」

 

ボアアアアッ!

 

 

 俺の言葉に、山巨人は信力が詰まった叫びで返した。だが、先ほどまでの肌を指す感覚はない。先ほどまでならば身をすくむ程に感じた衝撃も、今じゃあただただ煩いだけでしかない。それは相手にも伝わっているのだろう。山巨人の叫びには、先ほどまで無かった小さな焦りが見え隠れしていた。

 

 ある一定以上の知能を持った野生の生き物は、生き残るために相手の強さをなんとなく推し量る感覚が存在する。体格、身ごなし、雰囲気。そんな情報の多くを眺めて、大まかに格というべきものだろうそれを感じ取る事が出来るのだ。これは、ある程度武を収めたものにも存在する感覚である。

 

 山巨人は俺を見た。俺も山巨人を見た。だからこそ分かることがあった。ぶつかりあえば自分が負ける。山巨人の焦りは、それを如実に表している。

 

 

 ッ、ボアアアアアッ!

 

 

 だが、だからこそ彼女に引くという選択肢はないのだろう。彼女の勝ち筋は俺を突破し、子供を救出し、食料を奪って逃げる。それしかないのだから。

 

 飢えは性根を歪ませる。飢えは意識を歪ませる。なにより、守るべき者の飢えは、守る者の覚悟を決めさせる。

 

 叫びの中に含まれた信力が、念話を通じて山巨人の意識を少し俺にも伝えてくる。飢えと、恐怖と、我が子への愛。揺ぎ無き、母の無償の愛。その身を犠牲にしてでも、ここで俺と刺し違えてでも我が子を助けるという強い決意。

 

 

「良かった」

 

 

 子を愛さない親なんていない。きっといない。そんな小さな願いが肯定された気がした。だからこそこの刃を、躊躇なく振るう事が出来る。山巨人が右腕を振り被り、俺に向かって振り下ろす。その拳に合わせるようにバイクに跨ったまま巨大な丸太のようになった仏恥義理(ぶっちぎり)を両手で持ち、打ち上げるように振るう。

 

 信力を込めた仏恥義理(ぶっちぎり)は白く激しく発光し、空間を歪ませる。その力を一点に集中し、山巨人の右腕にぶつける。一瞬の拮抗のあと。俺の斬撃が山巨人の右拳を砕く。

 

 

アアアアアアアッ!

 

 

 悲鳴を上げて山巨人が大きくのけ反った。その体めがけて、バイクの背を蹴って飛び上がる。急速に近づく山巨人の顔に右拳を振り被る。信力を込めた、白く発光した拳がバチバチと音を立てた。

 

 

「こいつは、チッとばかし響くぜ」

 

 

 大きく弧を描いた俺の拳は飢えと恐怖と、覚悟。その全てを打ち抜いて、山巨人の左頬を捉えた。

 

 




タロゥ(8歳・普人種男) 

生力??
信力??
知力??
腕力??
速さ??
器用??
魅力??
幸運??
体力??


技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル3 (100/100)ー
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師  レベル3 (40/100)
我流剣士 レベル5 (91/100)UP
木こり レベル2 (70/100)
楽士 レベル3 (35/100)
教師 レベル3 (38/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (38/100)UP
テイマー レベル1 (23/100)UP
絵師 レベル3 (51/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (58/100)
水兵 レベル1 (1/100)
執事 レベル2(49/100)


スキル
夢想具現 レベル3 (22/100)UP
直感 レベル4  (45/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(38/100)NEW!
パチン・コ流武器術 レベル6(38/100)NEW!
飛行術 レベル1 (48/100)UP
フォークダンス レベル5(40/100)
フォークマスター  レベル0 (40/100)
念話 レベル1 (38/100)UP
女たらし レベル5 (25/100)UP
サニム流マナー レベル2 (3/100)


英雄スキル
夢想具現仏恥義理(ぶっちぎり)
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