ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味   作:ぱちぱち

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第97話 幼年期 エピローグ

神聖歴581年 冬の中月 20日

 

 

 護衛達の声に馬車の窓を開けて外を見ると、おおよそ2月近く離れていたサニムの姿が見えた。

 

 

「帰ってきたなぁ」

 

「そだねー」

 

ズシン、ズシン……

 

 

 俺の言葉に、最近頭だけじゃなく体まで赤くなってきたザンムが、ぽりぽりと頬をかきながらそう応える。熊人種は大人になる際、一気に体毛が生え変わるらしい。こないだの巨大化は一時的なものだったらしく、少し時間が経ったらザンムは元の姿に戻った。なんでも俺がミンチみたいな姿になってたのを見たら、急にプツンと何かが弾けた気がして、ああなっていたらしい。

 

 一応、感覚的にまたああなる事は出来そうだが、俺にバイクで突られるまでの記憶は飛んでるからなりたくはないそうだ。まぁ、気づいたら体が勝手に暴れてたってのも怖いわな。

 

 

「まあー神父さまにそうだんしてみるー」

 

「そうだな。その方が良いよ。上手く使えればザンムの切り札になるぞ、アレは」

 

ズシン、ズシン……

 

 

 山巨人相手に格闘戦が出来るスペックは、それだけでもう切り札と言っても良い。あの時は我を忘れていたために劣勢だったが、もし理性を保ったままあの状態になっていたら間違いなく強いのはザンムの方だったろう。

 

 

「でもー多分それでもタロゥのキンタロゥにはかてないでしょー」

 

「あー、うん。間違ってないんだけど違和感凄いから、普通に金太郎で良いよ」

 

ズシン、ズシン……

 

 

 ザンムの言葉に自分でも良く分かっていないあの状態の事を思い出し、ちょっと微妙な気持ちになる。

 

 山巨人を倒した後、気づいたら着ていた特攻服も無くなっていたし。なんなら裸だった上に、体も店長のものから自分の体……体? に戻っていた。それに合わせて金太郎モードの時より身長も縮んだらしいんだけど、何故か元の身体も頭2~3個分くらい身長が伸びたせいで、抱き着いていたロゼッタに言われるまで気付かなかった。

 

 この世界で身長を図ったことはないけど、多分今の俺は160から170cmくらいの大きさになってるんじゃなかろうか。まだ8歳なんだが、そこらの大人と目線が変わらない。

 

 

「孤児院に戻ったら……皆、俺だと分かるかなぁ。システィに誰? って言われたら俺切腹しちゃうかも」

 

「それもあるけどさー」

 

 

 ぶわっと風が吹くたびに体毛が飛んでいく状態のザンムが、うっとうしそうに体を搔きながら、俺が一番言われたくなかった言葉を口にする。

 

 

「あの2人。2匹? を神父さまがどうおもうかのほうがーきんきゅーせー高くないー?」

 

「言うなよ。怖いんだから」

 

 

 ズシン、ズシンという足音の持ち主を振り返ると、治った左肩に座っている子山巨人が俺の視線に気づき、何故か右肩に陣取っているアリスと一緒にわーわーと騒いでこっちに手を振ってくる。うん、今日も元気そうだね。

 

 連れ帰った山巨人。これどうすっぺかなぁ。庭で飼うって言ったらワンチャン許してくれないだろうか。

 

 

 

 

「森に帰してきなさい」

 

「ダメかー」

 

 

 サニムに入る際に大事になったのはさておき。

 

 無事に数か月ぶりに我が家、孤児院に帰った俺は出迎えてくれたレンツェル神父に見事なまでの土下座を披露し、旅先で拾ってきた山巨人の母子をペットとして飼いたいと伝えた。だが、その俺の真摯な願いはレンツェル神父慈悲無き一言で潰えた。ワンチャン狙ってみたが駄目だったか。

 

 

「えー! やだよやだよ! アリス、やーちゃんとこーちゃんと離れたくない!」

 

「シスも! シスもはなれたくない!」

 

「ぼ、ぼくも!」

 

「わたしも!」

 

 

 だが、今回の俺にはどうやら神が味方してくれているらしい。幸いなことに! 本っっっ当に幸いな事に俺の事を兄だと認識してくれたシスティと年長組を含めた孤児院の子供たちが、山巨人の身体によじ登って抵抗の意を見せてくれたのだ。山巨人の肌はごつごつしてるから登りやすくて楽しいらしい。流石に危ないから山巨人の目が届かない後ろ側からは登らせていない。

 

 これにはレンツェル神父も大困りで、なんとか孤児たちを説得しようとするも孤児たちは一向に首を縦に振らない。これがチャンスと俺も山巨人の隣に正座して座り、うるうるとつぶらな瞳でレンツェル神父を見つめていると、ザンムに逆効果だと首根っこをひっつかまれた。どういうことだ、俺はいたいけな8歳児だぞ。

 

 

「分かりました……分かりました。タロゥ、この山巨人はちゃんと君のテイムの支配下にあるのですね?」

 

「はい。間違いなく」

 

「であれば、よろしい。この山巨人の飼育を許可しましょう。ただし、山巨人の家屋や食い扶持は貴方が用意しなさい。良いですね?」

 

「はい!」

 

 

 最終的にレンツェル神父は折れてくれた。非常に不服そうだったが、俺にテイマー技能が自力で倒してテイムした魔物である事と、山巨人自体が本来大人しい魔物であった事が主な理由だそうだ。絶対に孤児に押し切られただけだと思うんだが、そこはレンツェル神父的に認めたくないらしい。

 

 

「しかし、テイマー技能に念話ですか。随分と久しぶりに耳にする技能ですね」

 

「珍しいんですか?」

 

「ええ。似たような技能の飼育者というものは非常に多いのですが、魔物をテイムできるテイマーは希少な技能ですよ。私も50数年ぶりに耳にしました」

 

 

 そう言ってレンツェル神父は、懐かしいものを見たと微笑みを浮かべる。50数年前という事は『百の勇者』の中にテイマーが居たって事だろうか。レンツェル神父が知る限りという但し書きがつくが、そこまで前に遡らないと見当たらない技能なら確かに希少なのだろう。

 

 

「しかし、テイマー技能は兎も角……君も手に入れましたか。勇者の資格を」

 

「この英雄スキルですか?」

 

「ええ。ステータスにも記載されない、本人にしか分からないスキルが幾つかあります。私が知る限りでは英雄スキルに大魔スキルなどですね」

 

「俺の右手には、英雄スキルと記されています」

 

「人種の場合多くは英雄スキルとなります。私も英雄スキルを持っています。あとは君が知る相手だと大狼ガランが大魔スキルの持ち主ですね」

 

 

 そう言ってレンツェル神父は俺に自分のステータスを見せてくれた。

 

 

生力137 (137.8)

信力119 (119.4)5

知力153 (153.8)

腕力108 (108.5)

速さ143 (143.8)

器用98 (98.8)

魅力84 (84.3)

幸運1 (1.0)

体力123 (123.6)

 

技能

市民   レベル4  (0/0)

神官   レベル10 (0/0)

聖騎士  レベル10 (0/0)

教師   レベル4  (62/100)

精霊術師 レベル3  (2/100)

 

 

スキル

異端審問      レベル10 (0/0)

尋問術       レベル10 (0/0)

回復魔法       レベル6  (0/0)

光魔法        レベル8  (0/0)

マリア教制式拳闘術 レベル7 (15/100)

マリア教制式剣術  レベル10 (0/0)

マリア教制式弓術  レベル8 (83/100)

 

 

 数年前、自分のステータスと見比べて圧倒されたステータスだ。相変わらず大きな差があるが、100倍近い差があったあの時よりもずぅっとその差は縮まっている。

 

 その事実に少しだけ勇気を貰って、一番下を見る。

 

 やはりそこに、英雄スキルという文字はない。

 

 

「英雄スキルはその所持者にしか見れません。故に英雄スキル持ちを騙る人も多くいますが、基本的に英雄スキル持ちと持っていないものはすぐに見分けがつきます。英雄スキル持ちは明らかに人類の限界を突破した強さを持つからです」

 

「俺は流石にそこまでじゃないとおもうんですが」

 

「たまにいるんですよ。発展途上のまま英雄スキルを発現する者が」

 

 

 ユーキもそうでした。そう小さく呟いて、レンツェル神父は感慨深げに目を閉じる。

 

 椅子に座り、少しの間。なにかを思い出しているレンツェル神父を邪魔することが出来ず、俺も神父が座るベンチの横に座り、山巨人に上って遊んでいる妹と孤児院の仲間たちを見る。

 

 季節はまだ真冬だというのに、珍しく気温が高くなった昼下がり。帰ってきたんだな、と今更湧いてきた実感を抱きながら、ベンチに背を預けた。

 

 

 

 

 

「わたくしからのご提案は、以上でございます」

 

 

 サニムを運営する5大商家の当主たちは、気圧されていた。

 

 たった一人の、帝国からやってきた貴人の少女に。

 

 

「50年ぶりに現れた、()()()な普人種の勇者候補。近隣諸国の悲願である新たな英雄を、まさかサニムだけで独占……などとお考えではございませんね? 50年前に締結された超人条約は未だに効力を失っておりません。一地域に超人たる勇者は一人という不文律は、今も生きているのです。もしサニムがキンタロゥ様が齎す利益を独占しようとしているなら……我が国は勿論、都市国家連合諸国も黙ってはいないでしょう」

 

「だが、彼はサニムで生まれたサニムの子だ! この地に根付いた血族の子だ!」

 

「ええ、ええ。もちろんそれは存じ上げております。ですので、わたくしは皆さまにただご提案をさせていただいたのです」

 

 

 そう言って、彼女は。

 

 タロゥたちにアリアさんと呼ばれていた少女。ムリーナスト帝国・第二皇女アクエリア・エル・ムリーナストは、ロゼッタやタロゥに向けるものとは別種の笑顔を浮かべる。

 

 

「キンタロゥ様をサニムの指導者とし、わたくしとキンタロゥ様が婚姻すればムリーナストの帝位にも手が届く。そうすれば条約にも抵触せずキンタロゥ様はサニムと帝都、どちらにでも住まう事ができ、更にサニムは帝国の商業圏へ手が届くようになる。それはサニムにとっても、キンタロゥ様にとっても……そして私にとっても素晴らしい結果ではなくて?」

 

 

 




第二部はある程度かけたらまた投稿します

タロゥ(8歳・普人種男) 

生力57 (57.0)UP
信力112 (112.6)UP
知力39 (39.0)UP
腕力62 (62.0)UP
速さ58 (58.0)UP
器用47  (47.0)UP
魅力53 (53.0)UP
幸運32  (32.0)UP
体力63 (63.0)UP


技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル3 (100/100)ー
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師  レベル3 (40/100)
我流剣士 レベル5 (100/100)ー
木こり レベル2 (70/100)
楽士 レベル3 (35/100)
教師 レベル3 (38/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル6 (43/100)UP
テイマー レベル2 (33/100)UP
絵師 レベル3 (51/100)
語り部(紙芝居) レベル5 (58/100)
水兵 レベル1 (1/100)
執事 レベル2(58/100)UP


スキル
夢想具現 レベル3 (53/100)UP
直感 レベル4  (60/100)UP
パチン・コ流格闘術 レベル6(45/100)UP
パチン・コ流武器術 レベル6(45/100)UP
飛行術 レベル1 (65/100)UP
フォークダンス レベル5(40/100)
フォークマスター  レベル0 (40/100)
念話 レベル2 (13/100)UP
女たらし レベル5 (58/100)UP
サニム流マナー レベル2 (31/100)


英雄スキル
夢想具現仏恥義理(ぶっちぎり)
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